同屬嫌惡
 何かを笠に着た物言ひをする輩は苦手だ。笠に着るものは、障碍だらうと學歴だらうと何でもさう云へる。世間的に其の輩にとつて不利益な條件であらうが、何だらうが特定の自分の状態を理由に言ひ譯をする輩はもつと苦手だ。
 親の脛を齧つておきながら自分は貧乏だからと參加した飮み會で金を出し澁る學生や、自分は目が見えぬからと日常的些事を周圍の人間に押し付ける障碍者、東大院卒の學歴だけが自慢の無資格無職野郎。具體的にいへばそんな輩が僕は非常に苦手だ。

 親から貰つた金は自分で稼いだ金では無い。其の金をいくら使はず貯金しやうと自分のものにはならぬと僕は思つてゐる。僕にとつて、親が稼いだ金は親の金だ。毎月の小遣ひを貯金して其の金で車やブランド品を買つて、「自分の金で買つた」と言ひ張る學生を何人か見てきた。少し貯めれば車が買へるやうな、月に數十萬の小遣ひを子供に渡す親も親だが子供も子供だと呆れた。同時に自分で稼いだ金では無く、親の脛を齧つた金で得た物品を自慢する彼等が非常に愚かしく見えた。

 自分が障碍者だからと周圍に好意を求め、自分では何もしない知人が居た。彼女の親は實に甲斐甲斐しく娘の要求に應えて、毎日送り迎えをし、出來る限り付き添い、決して娘に家事をさせぬ。親の要望故か彼女は親が居ない状況でも自分では何もしやうとせず、常に周圍に注文を付けてゐた。椅子に座らせろだの、テイツシユを捨てたいから持つていけだの、食事がしたいから口に運んでくれだのと云ふ彼女を見た時は本當に驚いた。其の場は病院では無くフアミレスで、彼女の世話を燒いてくれるのもヘルパーさんでは無く彼女の親御さんだつたから。
 視力は殆ど無くとも晴眼者と變はらぬくらい上手に炊事洗濯をこなす主婦を僕は知つてゐた。時間は掛かるかも知れぬが慣れれば出來る事が多い。なのに、何もしないのでは慣れようも無い。

 きつと之は同屬嫌惡。
 僕がいくら自活し、自分の力で生きてゐる心算でも、所詮僕は自分の血筋と學歴、そして病歴を笠に着て行動してゐるのだらう。
2004年02月04日(水)
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