思考過多の記録
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2004年06月19日(土) 嵐の前

 僕の職場は現在繁忙期を迎えている。仕事が立て込んできているところへ持ってきて、組合だの芝居だのと精神的にも体力的にも大変なことが重なってしまっている。意欲はあるのだが、自分のキャパシティを超えている感じもする。そのおかげで、先週は3日程家を出られなかった。周囲に迷惑をかけてしまっていることはよく分かっている。そして、そのことによって、自分が信用を失っていることも。



 繁忙期なので、春から僕の職場には他の部署から応援の人が2人程来ている。そのうちの1人が、僕と同じグループで働いている。もうベテランの方だが、この仕事は初めてだ。この方はなかなかパワフルで、かつては組合でも活躍していたのだが、一時期精神的なことから数ヶ月間休職していたことがある。その方の所属している部署が、物理的にも精神的にもきつい環境なので、退職者なども結構あるといういわく付きのところなので、さもありなんと思っていたが、それ以上の詳しい情報はなかった。



 その方が、僕と同じ部署にやってきた。そして、3ヶ月が経過した。
 先日、僕の真向かいに座っている、まわりの環境に敏感に反応する僕と同年代の女性が、僕に愚痴をこぼした。
「あの人は苦手。何だかかき乱されている気がする。この職場に合わないのではないか。」
 彼女もまた、僕と同じグループで、その方と仕事をしなくてはならない立場である。



 確かに、彼女の言うことも分かる。別の人からも、同じようなことを聞いていた。
 その方は根っから悪い人というわけではない。しかし、人に何かを言うときに喧嘩腰とも取れるような言動をすることが多々ある。また、他人を評するその人言葉は、本人は全く自覚なく発しているのだろうが、相手の神経に障るいい方になっているときがしばしばある(「そんな言い方をしなくても…」と、言われた人や聞いた人が眉をひそめる感じだ)。僕は、その方のいた部署のことを考えたとき、誰も自分を助けてくれないその部署では、他人を攻撃することが自分の身を守る唯一の方法だったのだろうと思っていた。きっと、その癖が染みついてしまって、ここでも同じようなことをしてしまっているのだろう。僕に愚痴をこぼした人達に、僕はそう言っていた。



 そして、僕もこの3ヶ月の間に何度もその人の無自覚な言葉の攻撃に晒された。勿論、同じグループにいるのだし、会社の命令とはいえ、応援に来ている方だ。それに、年上の人でもある。波風を立てるわけにもいかない。
 周囲がストレスを感じていることを僕も肌で感じながら、僕自身、知らず知らずのうちにストレスを蓄積させていったようだ。今週に入り、心も体も、言うことを聞かなくなりつつある。



 その人が、明らかに人間的に問題があるのなら、話は簡単だ。憎んだり、蔑んだり、無視したり、様々なやり方で自分を守ることができる。けれど、その人はどちらかと言えば善意の固まりのような人である。他人が困っていれば率先して動くし、何か問題が起これば、それをきちんと主張し。解決するように働きかけていく。
 問題は、そのやり方がしばしば周囲を「かき乱す」ように見られることである。しかし、ベースにあるのが善意なので、それに対して違和感を覚えたりすると、自分の方が間違っているんじゃないかと思ってしまうのだ。先に書いた女性も、その人を悪く思う自分に少し罪悪感を持っているようだった。



 ネット上のコミュニケーションであれば、自分と合わない人は切り捨てていくことができる。しかし、相手が生身の人間で、しかも職場という(基本的には)逃げられない空間では、そう簡単に人間関係を絶つわけにはいかない。これが生きることのしんどさであり、そこから逃れようとすれば、そのプレッシャーの大きさに応じて、犯罪や狂気、自殺などに発展していく。
 仕事のプレッシャー、そしてその他のことのプレッシャー。様々なことが重なり合って、僕の中で、何かがかき乱され始めている。
 その人の応援の期間と仕事の繁忙期は、来年9月まで続く。



 僕は正気を保っていられるのだろうか。


hajime |MAILHomePage

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