日記

2010年08月11日(水) 精霊モノガタリ途中経過過去編その2

 軽い設定があれば、勢いでここまでは書けるんだよねぇ。先は続かないけど。

 というわけで過去編その2アップ。
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 そんな時、不穏な動きが朱鈴の周りで起こっていた。彼女の王位継承権は13位、しかも有力な後ろ盾はなく、今までは見向きもされていなかった。
 しかし、彼女の才覚と霊力は他の継承者とは桁外れだったため、一部の貴族が彼女を担ぎ出せないかと動きだしていた。またそれに呼応して他の継承者を擁立する者たちとの対立ができ始めていた。

「最近、狙われることが多くなったわね」
<<そうですね。気づいた端からあなたに告げていますから、今のところ大丈夫でしたが>>
「本当に『白蓮』には助けてもらってばかりだわ。契約すらしてなくて、何も返せないのに」
<<お側にいられるだけで幸せですから>>
 笑顔を見せてくれたが、すぐにその笑顔が曇った。
「『奏』、まだ起きてこれないのかしら」
この頃になると『皓月』がなぜ力を消耗したのか、うすうす気づいているようだった。それに気づいているのか、朱鈴の力が解放された後は『皓月』は一度も姿を見せていなかった。
<<まだ力が回復していないのでしょう。回復の兆しは見られますので、時間がたてばきっと起きてくることができるでしょう>>
「回復しているのなら、いいわ。いくらでも待ってあげる。そして起きてきたら、めいっぱい文句いってやるんだから」
 彼女は霊力が解放されてから、多少の力なら精霊と契約することなく使うことができるようになっていた。それにより刺客を退けていたが、限界が迫っていた。
<<契約者の刺客を送り込まれたら・・・。私は直接的に力を使うことができません。『皓月』、いつか回復すると信じています。間に合って>>

 ある風の強い日、私は彼女とともにあった。
「今日は本当に風が強いわね」
<<そうですね。季節の変わり目とはいえ、こんなに強いのは久方ぶりかと>>
 風にまぎれて、一瞬気配がした。
<<朱鈴、今・・・>>
「えぇ、気づいたわ。でも、今はもう気配がしない。厄介だわ」
<<契約者、でしょうか>>
「たぶん、そうでしょうね」
 今まで来た刺客とはレベルが違っていた。私は察知したことを彼女に伝えることはできるが、直接的に刺客には何もできない。
 気づいたときには室内に黒い装束の男が刃を彼女に向けていた。
<<朱鈴!>>
「っく」
 なんとか一太刀目はかわすことができたが、すでに次の刃を繰り出していた。これはよけれない・・・。
 そのとき『皓月』の声が聞こえた。
<<朱鈴、私の名前を呼んでっ>>
「『奏』!」
一瞬で現れた『皓月』は、刺客の刃を粉々に破壊した。そして刺客の命を奪う。
<<よかった。朱鈴無事だね>>
「『奏』・・・」
無理を押して出てきた『皓月』の体はもう保てないほどに消えかけていた。
<<ごめん。無理して出てきたから、朱鈴を抱きしめられない>>
「『奏』・・・『奏』」
<<最後まであなたを守りたかったのに・・・>>
「いや、いやよ」
<<ごめんね>>
「『奏』。『皓月』、消えないでっ」
<<朱鈴の願いはすべてかなえてあげたかったのに。ごめんね、もうかなえてあげられない>>
どんどん『皓月』の体が消えていく。
<<ありがとう、私の大切な誓約者・・・>>
その言葉を最後に『皓月』の体はすべて消え去ってしまった。
「『奏』、消えちゃった」
<<・・・最後の力を振り絞って、あなたを守ったんです>>
「『奏』が消えてしまったら、意味がないじゃない。いつか『奏』と『白蓮』と三人でまた笑えるようになるために、がんばってきたのに」
その日、朱鈴は声をあげて泣いた。彼女が泣いたのは、それが最後だった。

次の日、彼女は強い意志を宿した瞳で私を見て宣言した。
「『白蓮』、あなたの力を貸してほしい」
 深い悲しさを秘めているのに、とても強い力を感じた。
<<あなたと誓いをかわすことができればと思っていました。でも、こんな形でかなうとは・・・>>
「ごめんね。私は『皓月』と誓約したから、他の精霊と誓約しない。だから、『白蓮』とは契約でしか誓いを交わせない。でも、今はあなたの力が必要なの」
いつか『皓月』の言っていた言葉を思い出した。もし自分がいなくなったら朱鈴を頼むという言葉を。こうなることを予期していたのだろうか。
<<・・・あなたが謝る必要はありません。私はあなたと誓いをかわせるだけで満足です。さぁ契約を交わしましょう。私の力を存分にお使いください>>
「ありがとう、『白蓮』。私は、王になるわ」

 そうして、彼女は一国の王となった。彼女は賢王と呼ばれるようになった。しかし、その美しい顔には暖かな笑みを浮かべることがなかったため、凍花王とも呼ばれた。
 国のために、婚姻し3人の子をもうけ、そのなかで第二王子が霊力・才覚を現したため、王子が成人後王位を譲った。朱鈴は王位を譲る際に私との契約も解除した。
 私は次の王と契約をした。
「『白蓮』、あなたは自由なところに行ってもいいのに」
<<私はあなたのことを見守りたいと願っています。そして、あなたは自分の子を見守ることが願い。ですから、私はあなたの子孫を見守っていこうと思います>>
「ありがとう、『白蓮』・・・」

 その後、しばらくして朱鈴は病に倒れた。病状は深刻で、残された時間はわずかだった。小康状態になったある日、ぽつりとつぶやいた。
「『白蓮』、私は後悔しているのかもしれない」
<<何を?>>
「『奏』と誓約したことを」
<<なぜそのようなことを思うのです>>
「だって、私と誓約しなければ『奏』は今も存在できていたはずなの」
<<それは違います。精霊は誓約できるほどの人と会えるのを最上の幸せとしています。そして、そんな相手と誓約を果たし、力を使うことは無常の喜びなのです>>
「でも・・・」
<<『皓月』は幸せでした。たとえ願い半ばで消えたとしても。一時しか契約をできなかった私ですら幸せだったのです。出会えたこと、誓約できたことを後悔しないでください>>
「うん。そうだよね。『奏』と出会えたのは幸せだった」
<<えぇ。私もあなたに出会えて幸せでした>>
「私も『白蓮』に出会えてよかったよ」
『皓月』が消滅してから、見せる事のなかった笑顔を浮かべる。ずっと気持ちを抱えていたのだろう。もっと早く彼女の気持ちを聞ければよかったのに。私ではそこまで踏み込めなかった。
「ありがとう、『白蓮』」
<<朱鈴、少し眠りましょう。疲れたでしょう?>>
「うん、お休みなさい」
<<おやすみなさい。、朱鈴>>
 そして、その後眠るように朱鈴は息を引き取った。

 彼女が逝ってしまった後も、私は歴代の王と契約を行っていった。そして、いつしか私との契約が王の選定条件となるようになった。
 彼女の血を受け継いだものから、できるだけ賢王となれる器の者を選んでいった。ただ、王の資質と霊力を両立しているものは少なく、私の力を使えるような契約者はなかなか現れなかった。
 精霊として、より力のあるものとの契約を優先したい気持ちを抑えるのはなかなか骨だったが、それでも彼女の望みの方が強かった。
 そして、国は栄えていった。
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 連続して公開してきたけど、今書いている分はこれでおしまい。この後どうするかなぁと思案中。
 いっそ設定をごっそり変えるかなぁ・・・。

 勢いで書こうとするのはそろそろやめないと意味ないモノが増えていくと思ってはいるんだけどね。どうにも完結することができないんだよねぇ。
 まぁ根気が必要ってことなんだろうけど。



2010年08月10日(火) 精霊モノガタリ途中経過過去編その1

 うっかり国の過去設定をちらっと考えたばっかりに、書きたくなってがっつり設定作っちゃった過去編。どっちかっていうと本編より設定が細かいんだ、これが(笑)

 というわけで過去編その1アップ。
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 彼女を最初に見たのは、彼女がまだ言葉もろくに話せない頃だった。最強の霊力を秘めた彼女に一目で心を奪われたが、すでに彼女には誓約を交わした高位の精霊『皓月』がいた。かの精霊がいるなら、私には契約すら望めない。あきらめはしたが、彼女の元を離れることはできなかった。誰とも契約することなく、二人を見守ることにした。
 精霊のだれしもが思う”存在意義”を、契約して力を使ってもらうという事よりも、彼女のそばにいる事の方に見出したのだ。

 言葉を理解し始めた彼女は、私には名前がないと伝えると、しばらく考えてこう宣言した。
「じゃあ、あなたのこと『白蓮』って呼んでもいい?」
私は驚いて言葉を継げることができなかった。彼女が私を呼んだ瞬間、私の中の何かが書き換わったように、白蓮という名は私のものになった。
彼女は驚いている私をみて、心配になったのか戸惑った顔をした。
「えっと、名前つけちゃいけなかった?」
<<いいえ、とても素敵な名前をありがとうございます>>
「よかった」
<<それにしても、誓いを交わしていないのに、名前をもらえるなんて思っても見ませんでした。一緒にいるもんですねぇ>>
『皓月』はその様子を眺めながら不満そうにつぶやく。
<<いいなぁ。名前つけてもらうなんて>>
「だって『皓月』にはもう名前あるじゃない」
<<でも、私も朱鈴に名前つけてほしい>>
「んー、じゃあ『奏』って呼んであげる。声が音楽を奏でているようだから。特別な呼び方ね」
その言葉を聞いたとたん顔がほころぶ。
<<私と朱鈴だけの呼び名だね。だから『白蓮』はこれで呼んじゃだめだから>>
<<念を押さなくても、あなたを愛称でなんか呼べませんよ。私よりずっと高位の精霊なんですから>>
とても幸せな日々だった。そんな日々が崩れ始めたのは、朱鈴が10才を過ぎた頃だった。

いつも彼女と一緒だった『皓月』がたまに姿を現さなくなった。そして、朱鈴が13才になる頃、『皓月』は深く眠りにつくようになった。

 朱鈴は、いつもとても強い意志を秘めた目をしていた。それが、今日は力をなくしていた。まるで迷子の子犬のような目をしていた。
 『皓月』は今、深い眠りの中にいた。急速に力が衰え、実体をとることができなくなっていたのだ。
「私、精霊が眠るって知らなかったわ」
<<あまりないことですから。高位の精霊が実体を取れないほど急激に力が衰えることなど・・・>>
「そう、だよね。どうして、あの子の力が衰えてしまったのか。原因を突き止めないと」
その会話を聞いていたのだろう。『皓月』が実体を現した。
<<その必要はない>>
「『奏』、起きたの?大丈夫」
その様子はあまり大丈夫とは言いがたかった。
<<原因はわかってる>>
「だったらその原因を取り除けば・・・」
<<今はそれができない>>
<<原因は何なんですか。あなたがこれほど疲弊するなんて>>
<<まだ教えられない。あと3年はこの状態が続くと思う>>
「3年も?どうにかならないの?」
<<うん、とりあえず私が3年抑えてれば大丈夫だから>>
朱鈴の顔を見て、心配そうに微笑む
<<朱鈴は少し休んだ方がいい。顔色が悪い>>
そういって、朱鈴に眠りを与える。
<<ちょっと眠ってもらったよ>>
<<あなたのことを心配しすぎて、最近よく眠れていませんでしたから>>
やさしく髪をなでる『皓月』の顔色は朱鈴よりも悪い。
<<さきほど、あなたは3年抑えるとおっしゃいましたよね。何を抑えるんですか?>>
<<口がすべっちゃったな>>
<<私には教えてくれませんか。力を使うことはできなくても、何か手助けができるかもしれません>>
誓いを交わさなければ、力を使うことができない、精霊の制約があった。今はそれがもどかしい。
<<・・・そうだね。『白蓮』には話しておこう。今朱鈴の力が暴走している。体の成長と力の成長があってないんだ>>
<<なんてこと・・・>>
<<力の成長に体の成長が追いつくのはあと3年ほどかかる。だからその間朱鈴の体に支障がない程度に力を抑えておかなければならない>>
<<あなたが疲弊するほどの力なのですね・・・>>
<<そう。だから抑えておかなければ彼女は死んでしまう。それは絶対に避けなければならない>>
<<3年、抑えることができますか>>
疲弊ぶりからして、3年も持つことは難しいのではないか。そう思ってしまうほど、『皓月』には力を感じなかった。
<<ぎりぎりってとこかな。10才の頃から抑えているがこの1年は急激に増大したから>>
<<朱鈴自身が抑えるようにすることはできないのでしょうか。力を持った契約者は自分の霊力をコントロールすることが可能です>>
<<難しいだろうね。抑えてたって並大抵じゃない霊力だから。コントロールするより暴走してしまう可能性の方が高い>>
<<あなたが力を抑えるしかないって事ですか・・・>>
<<そうだね。だから、もし私がいなくなったら朱鈴のこと頼むよ>>
<<そんな縁起でもないこと言わないでください。あなたがいてこその朱鈴でしょう>>
<<そうだね、私も朱鈴の誓約精霊であることは譲れないから>>
それじゃぁまた眠るよと言って『皓月』は姿を消した。
<<あと、3年・・・>>

そして、その3年後『皓月』はほとんど姿を現さなくなった。
「ねぇ、『白蓮』。『奏』がこのまま消えちゃうなんて事はないよね」
ありえないことではない。力をなくした精霊は消えるのみだ。ただ、朱鈴にはそのことは伝えることができない。
<<『皓月』は大丈夫だと言っていました。その言葉を信じましょう>>
「そう、だよね」
その後、『皓月』は姿をあらわさないままだったが、朱鈴の力はほとんど開放されているようだった。力を抑える必要はなくなったが、疲弊した力は簡単には戻らないようだった。

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過去編その2に続く。



2010年08月09日(月) 精霊モノガタリ途中経過その3

当初今回出てくる精霊と男の子を主人公にして書く予定だったんだけど、エピソードが出会いしか思いつかなくって・・・。
 たぶん、これの続きはもう書かない、というか書けないなぁ。設定自体はすごく気に入ってるから、キャラクターを別途考えて別の話を書くかなぁ。

その3をUP。
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 目の前には人とは異なる存在が人の形をして、浮いていた。
「う、うそだろう・・・」
 まるでよくできた人形だった。完璧な形状と素材で作られた人形。ただ、強い意志を感じる目とその存在感は彼女を人形と呼ばせない力を持っていた。
「俺に見えるわけがないんだ。幻覚か?」
「私は存在しているわ。嘘だと思うなら、私に触ってみるといいわ」
 そういって、完璧なその身に光を宿らせた。いっそう彼女の存在が強くなる。そして、やわらかく微笑む。
「でも、私は存在するのみ。力を使うのはあなた」
 光をまとって透き通るような白い手を彼女は差し出した、とても無邪気な笑顔で。
「さぁ、私の手を取って、約束を交わしましょう。私をあなたのものにして」
「え、手を取って、約束を交わす・・・え?」
 混乱した状態から抜け出せずに、言われた言葉をオウム返しに言うだけが精一杯だった。何が何だかよくわからない。
「・・・何度言わせればいいの。大人しく請うているのだから、黙って手を取ればいいのよ」
「え?」
 やわらかく微笑み語りかける口調だったのが、一変不機嫌な命令口調に変わる。
「さぁ、手を取りなさい。そして誓約を交わすのよ」
 有無を言わさぬ口調に、訳も分からないまま思わず差し出された手を握る。二人の間で力が流れた。
「これで、私はあなたのものよ。存分に使ってね、私の誓約者よ」
「せいやくしゃ・・・?」
 えーっと、今何が起きたんだろう・・・。そもそも、せいやくしゃって、何なんだ?
「あなた、何も知らないの?」
 何もわからなかったから、素直にうなずいて答える。
「知らないというか、認識できていない」
 彼女はあきれたといってため息をついた。
「じゃあ、私が一から説明してあげるわ。精霊がいることは知っているわよね」
 それを知らなきゃこの世界では生きていけないだろう。素直にうなずいた。
「精霊の力を使うには契約しなきゃだめだって事も知ってるわよね」
 これにもうなずく。
「人から精霊に行うのが契約。精霊から人に行うのが誓約って知ってるわよね」
 契約は知っているが、誓約なんて聞いたことがない。首を横に振る。
「誓約って何だ?」
「誓約を知らないの?」
「契約や契約者って言葉は知ってる。霊力をもち、精霊と契約した人間が契約者と呼ばれる。精霊の力を行使できる者」
「そうね」
「でも、誓約者なんて聞いたことがない」
「まぁめったに出ないから、人間では知る人も少ないのかもしれないわ。精霊が気に入った人間と契約することを特別に誓約と言うの。で誓約した人間を誓約者と呼ぶのよ」
「へぇー知らなかったよ」
「まるで他人事みたいに聞いてるけど、あなたは私の誓約者になったのよ」
「・・・え?」
「さっき手を取ったでしょ。あれで誓約完了。私はあなたの精霊になった。私の力はあなたのものよ」
「えーっと。俺、霊力ないんだけど」
「そうね。かけらほどしかないわね」
「だとすると、俺、精霊の力なんて行使できないんじゃ」
「問題ないわ。契約では人間側の霊力以上には力を行使できないけど、誓約であれば人間側に霊力なんて必要ないもの。精霊の力を思う存分行使できるのよ」
「へぇーそうなんだ。って、俺、精霊力を行使できるの?」
「だから、そう言ってるじゃない。もう、何て理解力のない頭なの。こんなのが誓約者だなんて、前途多難だわ」
 頭を抱えてため息をつく。
「だったら、何で俺を誓約者に選んだの?」
「そんなの気に入ったからに決まってるでしょ。もー、そのくらいわかりなさいよ」
「えーと、ごめんなさい」
 よくわかっていなかったが、とりあえず素直に頭を下げて謝る。
「いいわ、これから私がじっくり教えてあげるから。ばんばん力を使ってね」
 精霊力って、そんなにばんばん使うものでもないと思うんだけど・・・と思ったが、とりあえず口には出さないでおいた。
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次は過去編。



2010年08月08日(日) 精霊モノガタリ途中経過その2

昨日の続きから。

やっと精霊とか契約者・誓約者とはって話が入ってきたので、ここまで読めば多少設定が理解できるかな。説明不足だらけなのは百も承知なんだけどね。

ちなみに、世界設定が当初は機械化されている近未来系の設定にしてたけど、途中から中華ファンタジーのイメージが強くなってしまったので、せっかく作った設定がまったく使えない方向に進んでるんだよねぇ。
とりあえずその2をUP。その3まで続くよ。その次は過去編をアップする予定。

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「なぁ『白蓮』、誓約者って実際いるのか」
<<えぇ、私の記憶の中では二人存在しました>>
「本当か?聞いたことないぞ」
<<聞かれたことがなかったので>>
「そうだよな、お前は聞いた事しか答えないし。聞いても答えてくれる保障もないと」
<<あなたは力の強い契約者ですから、聞かれればほとんどお答えしていますよ?>>
「そうだったな。前王が愚痴をよく言っていたからその印象が強いんだ」
<<前の契約者は場つなぎ的に選んでしまいましたから。ちょっと悪いことをした気がします>>
「お前が気に病むことはないさ。一度でも国の頂点に立てたのだから」
<<そうでしょうか>>
「それより、誓約者についてもっと教えてくれ。その二人いたのはどんな奴だった?」
<<一人はこの国の王女でした。のちに賢王とよばれた朱鈴。あなたも名前くらいは聞いているはずですよ?>>
「あー、そういえば聞いた気がするが・・・俺は歴史は苦手なんだよ」
<<そうでしたね。朱鈴の存在は、もうとっくに歴史となっていたのでしたね>>
「あった事あるのか?」
<<えぇ。彼女が幼い頃から最期の時まで、見守っていました。彼女は、私より高位の精霊の誓約者でした。本当に強く美しかった。彼女と出会いすごした日々はとても大切な記憶です。ですから私は、彼女の血筋から王となれる者を契約者に選んでいます>>
「それも初耳だな。血筋で選んでいるのは知っていたが、そんな話があったとは」
<<あなたほどに強い契約者に恵まれなかったので、しゃべる機会がありませんでした。あなたは歴代の王の中で彼女の次に強いのですよ。まぁ彼女の足元にも及びませんが>>
「それは、喜んでいいのか悔しがればいいのかわからんな。で、もう一人は」
<<西の大陸にいらっしゃいました。最上級といっていい精霊と誓約を交わした誓約者がいたと聞いています。彼はその力をほとんど使うことなく、一介の鍛冶屋として生を終えたそうです>>
「力を使わなかった?しかも鍛冶屋か」
<<えぇ、誓約していた精霊と話す機会があって、愚痴を聞きました。せっかく誓約できたのに、ちっとも呼んでくれなかったと>>
「珍しいやつもいたもんだな。俺だったらかなり使うけどな」
<<かの精霊は力が強大すぎたのもあったのかもしれませんね。私がちょうど朱鈴と契約できた時期でしたので、ひどく羨まれました>>
「おもしろいもんだな。精霊の話は」
<<人よりは、退屈かと>>
「そうか。精霊から見たらそんなもんか。そういえば、精霊はなぜ人と契約するんだ」
<<精霊は自然から生まれます。ただ、生まれた後、特に何もすることがないのです。生きとし生けるものはそれぞれ役割を担って生きています。その役割が精霊には与えられていない。世界に必要だといわれていないのです。ですから、自分を必要としてほしいという欲求があります。特に力の強い精霊はその感覚が強いのです。ですから力の強い人間と誓約・契約しようとします。私を含め一部例外はありますが>>
「例外か。『瑠璃』もそうだな」
<<元が擬似精霊だったからなのでしょうか。もともと求められて生まれたので、多少自分中心に物事を考えるようです>>
「お前も例外か?」
<<私は彼女の血を受け継いでいる国の王となれる器のあるものの中から一番力の強い者を選んでいます。どれだけ力が強くともこの2つの条件を外れている者を選ぶ気にはなれません>>
 ですからあなたも王の器はあるのですよ、と続けた『白蓮』に苦笑いを返す。
「そういえば、契約と誓約はどう違うのだ?」
<<契約は人から精霊へ行われます。人がいくら望もうとも精霊は拒否することができます>>
「それは俺が契約したときに聞いたな」
<<えぇ。そして、契約は契約者の資質以上の力を精霊に行使させることはできません>>
「たとえば前王が断り続けられたようにか」
『白蓮』は苦笑しながらうなづいた。
<<そして、精霊と契約者どちらかが契約解除を申し出れば解除することが可能です。前王にはあなたが契約できるようになった段階で解除していただきました>>
「そうだったな。で、誓約はどうなんだ?」
<<誓約は精霊から人へと行われます。これは精霊より人の霊力がかなり上でないと拒否できません。そんな人間ほとんどいませんから、精霊が気に入った人間に無理やり誓約します>>
「無理やりなのか。それはまた」
<<また、誓約は精霊から解除できますが人からの解除はできません>>
「どこまでも精霊上位だな」
<<ただ、誓約者本人の資質は関係なく力の行使が行えます。精霊の意思には反することはできませんが。その点も、気に入った人間にはいくらでも力を使ってほしいと思うのが精霊ですから、よほどのことがない限り誓約者の願いを断ることはありません>>
「ということは、例えば俺とお前が誓約でつながっていれば、他の国をすべて滅ぼせといえばやってしまう可能性があるということか」
<<まぁ、私にはそこまで力がないので、実際はありえませんが、極論で言えばそういうことになります。ですから、今回の『瑠璃』の予言は少し留意すべきかと>>
「そうだな。西の大陸でおとなしく鍛冶屋をやってくれる保障はない。誓約者がどこに出るのかわからんか」
<<たぶん難しいかと。もしかしたら、今回の誓約についてはこれ以上話せなくなる可能性も出てきます>>
「どういうことだ?」
<<予言で告げられた精霊がかなり高位だからです。『瑠璃』が名前を言えない時点でかなり高位ですが、私が探ってもそのような精霊の存在を探知できない。高位の精霊が突然出てくる事はほとんどないので、たぶん隠れているのでしょう。その場合、私を従わせる事のできる精霊である可能性があります>>
「その精霊が言うなって言えば、言うことはできなくなる、か」
<<えぇ>>
「とりあえず、できる範囲で探知しておいてくれ」
<<わかりました。あまり期待はしないでください>>
「あとは、誓約者ってのが善人であることを願うのみだな」
<<えぇ、本当に>>

 その願いはかなうこととなる。本人たちは気づくことはなかったが。
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その3に続く・・・。



2010年08月07日(土) 精霊モノガタリ途中経過その1

 ずっと前に書いていた精霊ネタの途中経過。なんだか色々な既存の話の色々な部分が混ざった話で目新しいモノがない気がする。まぁ目新しいモノがある話なんてかけたらスゴイよ(笑)

本編の方は主人公たちが出会うまでしか書けなかった・・・。この後の展開が思いつかん。

とりあえず長いけど、途中まで書いてみたぶんをUPしてみる。
ただ、設定の説明記述がものすごく足りないから、たぶんわからないよね。先に設定を上げた方がよかったか・・・。
 まぁいいや。とりあえずその1UP。
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時精霊『瑠璃』が1年ぶりに予言を告げた。下級役人には噂のみが広がっていた。
「なぁ『瑠璃』が予言を出したって聞いたか?」
「そりゃ、久しぶりだな」
「今の『瑠璃』の契約者ってあいつだろう?顔がいいだけで力がほとんどない・・・」
「そうそう。やつに代わってから予言の頻度が極端に落ちたよな」
「なぁ、予言の内容ってなんだったんだ?また、たいした予言じゃねぇのかな」
前回の予言は下級役人の家の猫に子供が生まれるというものだった。
「それにしては、予言が出たって聞いてから触れがでるまで時間がかかってるよな」
「誰か知ってるやついないのか?」
「俺、知ってるぜ。教えようか?」
 噂をしていた下級役人たちは驚いて振り返る。いつの間にか、すぐ後ろに一人の男が立っていた。ひどく顔の整ったきれいな男だ。
「あ、契約者の・・・」
「そう、さっきしゃべってた顔だけの契約者だよ」
「・・・」
 下級役人たちは顔を見合わせる。位のみで言えば、契約者は上級役人と同等。しかも、『瑠璃』の契約者となれば、大臣に匹敵する地位だ。自分たちの首などどうとでもなる。
「あぁ。大丈夫、俺もわかってっから。顔だけだって。『瑠璃』ももうちょっと力のある奴から選べばいいのにな」
 きれいに整いすぎてともすれば冷たい印象を与える顔だが、いつも微笑みを刻んでいるためか人懐っこさすら覚える。能力はともかく、性格がよかったのは不幸中の幸いだと言われていた。一代前の契約者は能力はそこそこあったが、性格が破綻していたために、問題をよく起こしていたのだ。
 下級役人たちは、性格がよいとの噂を思い出して、少しほっとする。
「で、『瑠璃』の予言、聞きたくない?っていってもまだ審議中なんだよな」
「審議中?『瑠璃』の予言はほとんど決定事項として扱われるのでは?」
「普段だったら、そうなんだだけどね。予言の内容がすごいから。俺も聞いたとき聞き間違えたかと思ったし」
 軽くため息をついて首を振る。

<<****の精霊の誓約者が現れ、人として最強の力を手に入れる>>

 予言を聞いた大臣たちは困惑していた。
「どうだ、この予言の精度は」
「『瑠璃』は契約者によって予言の頻度や内容の大小は変わるが、予言自体は違えた事はなかったろう」
「いや、何度か予言の修正を行っているはずだぞ」
「そういう時は曖昧な語尾で予言していた。多少の修正程度で内容に変化はなかった」
「では、今回の予言は本物なのか・・・」
「ただ、前半がどうしても聞き取れない」
「解析しても無理か」
「どうやらその精霊自身が『瑠璃』より高位らしく言葉にできないようだ」
「『瑠璃』より高位か・・・。わが国では『瑠璃』より高位の精霊は数えるほどしかいないのにな」
「問題は、誓約者となる人物が誰で、その力をどう使うかだ」
「そうだな。探すあてはあるのか」
「一応『瑠璃』に続きの予言を出すよう要請はしているが・・・」
「まぁそれは無理だろうな。今回の予言ですら1年ぶり。前回の予言は下級役人の家の猫が子供を2匹産むってしょうもない予言だったのだから」
「他の時精霊はどうだ?」
「それも微妙だな。力は『瑠璃』の足元にも及ばない上、予言の内容精度も悪い」
「『白蓮』であれば、何か知っているかもしれん。王に聞いていただけるかお伺いを立てよう」
「誓約者なんてものが存在しうるのかも疑問だがな」

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その2に続く・・・。


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