■ 日々の歩み。 ■
徒然の考察・煩悩・その他いろいろ発信中。

2004年04月29日(木) 都忘れ

 今日は天気がよかったので、近所をお散歩。
我が家から少し路地を入ったあたりは、結構大きなお屋敷が多くて
玄関先やお庭に、色とりどりの花が咲き乱れているお家がたくさんあります。

 そんな中に、薄紫の可憐な花を発見。ミヤコワスレ です。
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/HTMLs/Miyakowasure.html

花の種類など詳しくない私ですが、これはちゃんと識別できる。
この花を初めて目にしたのは、自宅の庭。
名前を教えてくれたのは、同居していた父方の祖母でした。


 祖母は明治時代の終わり頃、日本橋で商売を営んでいた裕福な家の
生まれだそうで、文字通り、乳母日傘で育ったお嬢様だったとか。
ところが、とある一族の御曹司と結婚したものの、相手は若くして病死。
まだ幼い息子は跡取りとして取り上げられ、実家に帰されたそうです。

 その後、軍人だった私の祖父とお見合い結婚し、3人の子供を
儲けましたが、祖父も太平洋戦争で戦死、次男も栄養失調により
死んでしまい、残った長男と三男(うちの父)は、横須賀の親戚の家に
預けられ、母子は別々に暮らすことになりました。


 こうやって書いていくと、小説に登場する悲劇のヒロインのようですが、
なにしろ、私の血の繋がった祖母ですから。
一筋縄ではいかない、破天荒な人でした。

 とにかく何事においても我慢するということが出来ない人で、
言いたいことはズケズケ言うし、勝手気ままに振舞うし、
お金遣いは荒いし、お酒は大好きだし、人の好き嫌いは激しいし


…どこかで聞いたことのあるような性格ですね。
(まめ家の女性は、母方父方問わず、性格のキツさは基本設定です)
とにかく、付き合わされる方はたまったものではありません。


 その上、家事が一切出来ない人で、18年同居してましたが、
ものすごく元気で、1ヶ月に最低1回は、国内・国外問わず
旅行して歩くくらい矍鑠としていたのに、台所に立ってるのを
一度たりとも見たことがない。

 食事は用意が全て整った後、家の誰かが部屋まで呼びに来てくれるし、
趣味で植えた庭の植木は、息子の嫁さんが手入れをしてくれる。

習字(自宅で教えてた)や、詩吟、絵画などを嗜んだり、今考えれば
ずいぶんと風流な人でしたが、自分は東京の生まれだ、ということに
とても誇りを持っていたようで(静岡で30年も住んでたけど)。

生まれも育ちも清水、しかもチャキチャキの八百屋の娘だった私の母や、
近所の人たちと、そりが合うはずがない。お互い合わせる気も毛頭ないし。


 あんまり死んだ人の、しかも身内の悪いことは言いたくないけど、
ある意味、「渡る世間は鬼ばかり」も真っ青な家だったので。

穏やかで楽しかった祖母との思い出とか、全然思いつかない。
違う意味でおもしろい話はいくらでもあるのに。


 …まあ、そんな祖母が庭で育ててたんです。都忘れ。
(実際に世話してたのは、私の母でしたが)

  本当に誰から見ても、好き勝手に生きた人に見えましたが、
彼女の心の中にも、幼い私には窺い知れなかった寂しさや辛さが
たくさんあったのでしょう。

 可憐に咲くあの花を見かけると、祖母のことを思い出し、
そこはかとない寂しさの影を感じて、なんとなく胸がせつなくなります。



2004年04月28日(水) 雨にも負けず風にも負けず

 先月の終わりから、我が家ではとある方のご尽力により
某歌劇団専用チャンネル受信のためだけに
CS放送を受信してるのですが。

(上記のような非常に偏った己の趣味嗜好を明言することに対する
 なけなしの羞恥心は、もはやかなぐり捨てました。)



 その方面の知識が皆無といっても過言ではない私ですら
(通常は地上波だけで充分だ)加入者が少ないんだろうなあ、と
思わずにはいられない(つうか、加入するまで存在すら知らなかった)
マイナー路線の ス●パー110。

 あの歌劇団の専用チャンネルを、他のチャンネル契約料の
約4倍以上 という、もう何がなんだかよく判らない金額で
1日中流している時点で、一部の限定された人々のみに発信される
裏街道スメル に満ち満ちてますが。


 我が家の位置が悪いのか、とにかく電波の受信が弱っちい。
テレビ(チューナー)の前でPHSが受信すると、画像が乱れて
音声が飛ぶ。そして最悪の場合、受信不能になる。

 その上、先日の強風でアンテナの向きが若干曲がったらしくて
いきなり受信できなくなったり。

 他のCS放送がどうなのか、まったく知らないのですが、
結構な額の専用チューナーにアンテナ買わせて、さらに
契約料やら払ってる割には、なんともお粗末 な感が
拭いきれないんですけど。

 限定された趣味の、ごく一部の少数の人々のためだけに発信する
という意味では、値段が高くなるのは仕方がないと思うけど、
少数派であるが故の選択肢の少なさにつけこむ ような
殿様商売っぽい姿勢には、ちょっと疑問を感じちゃうなあ。


 まあ、なんだかんだ言いながら、放送自体は
貴重な映像も多くて、かなり楽しませてもらってます。うほ。



2004年04月26日(月) 突撃!我が家の晩御飯。

 先週は、一週間に3度も夕飯がゴーヤチャンプルー という
まさにゴーヤ週間といっても過言ではない1週間だったのですが、
まめ姉妹はそろって、ゴーヤチャンプルー大好物なので、
特にクレームはありません。


 今までもちょくちょく食卓に上っていましたが、
家の近所のスーパーでは、九州産のゴーヤ1本399円と、
かなりの高級食材(あくまでまめ姉妹感覚) 

 そこで色々探した結果、会社近くの沖縄料理の食材専門店で、
1本80〜100円で売っているのを発見したため、
一気に定番メニューとなり、頻度も激増。

 
 ゴーヤ以外の具は、豚肉とスパムハムと島豆腐と卵が
ポピュラーですが、スパムハムや島豆腐は入手が難しく
単価も高いため、島豆腐の代用品として、焼き豆腐を使用。

 先日、これにジャガイモの千切りを加えてみましたが、
なかなか美味しかったですよ。

 九州産のゴーヤより沖縄産のゴーヤの方が、若干苦味が
強い気がしますが、なるべく薄くスライスして、さっと
下茹でするといいようです。


 沖縄料理、万歳。



2004年04月24日(土) 目に青葉。

 薄紅色の花に変わって、桜は青々とした葉を纏い、
サツキやツツジの目にも鮮やかな赤や白の花が
今を盛りと咲き誇っていますね。

 そんな訳で、眩しいほどの太陽に誘われて
川沿いの遊歩道を日光浴と森林(?)浴もかねて散歩。

 色とりどりの花が咲き乱れる春もいいけど、 
目に滲むような、鮮やかなこの時期の新緑の美しさは
清々しい爽やかさに溢れていて、四季の風景の中で、
いちばん好きかもしれない。



2004年04月22日(木) ポン酒天国。

 本日は、所属の経理部飲み。
最近よく行く、新宿御苑駅近くの居酒屋ですが、
日本酒と焼酎の種類がなかなか揃っている上、
肴も小料理屋系の、ちょっと手の込んだものと
新鮮で種類の豊富な刺身が揃っていて、お気に入り。

で、本日の女将さんお勧めの1本。「一ノ蔵 姫膳(ひめぜん)」
http://www.rakuten.co.jp/e-kanoya/423881/425580/447491/

日本酒なのですが、アルコール度数が8.5%(通常は14〜16)
さっぱりとした甘酸っぱい味で、日本酒というよりは、
喉ごしのすっきりとした梅酒 といった感じ。

お酒が好きな男性には、甘くて物足りないし、邪道 とか言われそうですが、
フルーティーで飲みやすいので、女性が美味しく飲むには最適かと。

つうか、ぐびぐび飲めるよ!!(飲みすぎです)



2004年04月19日(月) 逢魔ヶ刻の四辻で。

 最近のお気に入りの話。
江戸川乱歩の短編。「押絵と旅する男」

 澁澤龍彦編集の「暗黒のメルヘン」(河出書房)という短編集に
収録されているのを読んだのですが。

 この話、実は映画になっていて、5年くらい前に観たんですが、
こっちはねえ。映像は綺麗なんだけど、なんだかダラダラ間延びしてて、
すんごく眠かった記憶が。(鷲尾いさ子は綺麗だった)
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD28357/comment.html

 小説の方が、絵画的・ビジュアル的といいますか。
読み進めていくと、御伽噺のような現実味の薄い内容と相俟って、
色とりどり、極彩色の映像が、万華鏡のようにくるくると
脳裏に浮かんでは消えていく心持がします。

 極彩色の真ん中には、黒ビロウドの細身の背広を着込んだ
青年とも老人ともつかない男が、白い面で佇んでいる、と。


 まあなんといっても、私がこの話を気に入った理由は、小道具の使い方。

特に、押し絵(覗きからくり)と凌雲閣。

 凌雲閣は、明治23年に浅草に作られた、12階建ての塔。
当時としては画期的な高層建築で、みんなの度肝を抜いたらしい。
一昔前の東京タワーみたいな感じで、観光名所だったようです。
(お土産屋さんや見世物小屋が、たくさん出ていたらしい)
http://www.aurora.dti.ne.jp/~ssaton/taitou-imamukasi/asakusa-12kai.html


 残念ながら、関東大震災で倒壊してしまったので、現存しませんが、
両国の江戸東京博物館で、模型を観たことがあります。


 押絵は、高価な飾り用の羽子板でご存知の方が多いと思いますが、
立体的にふくらみをつけた、布製の絵画。

主に人物画が多く、これに書き割りの背景をつけて箱に収め、
小さなレンズから内部を覗くことで奥行きをつけた立体紙芝居を
覗きからくりというらしい。

 これも実物を一回だけ見たことがあるのですが、やはり
千葉の佐倉市にある国立歴史民俗博物館での展示物で
実際にお祭りなどの見世物としては、現存していません。

 どちらも、現在の私達の生活には全くもって馴染みがないものですが、
だからこそ、日常的空間の中に、突如起こる非日常的・奇怪な出来事の
装置としては、うってつけなんだろうな。



2004年04月17日(土) 愛と死の輪舞

 Kサンにお誘いいただいて、帝国劇場で観劇。

一路真輝主演  「エリザベート」
http://www.toho.co.jp/stage/eriz2004/

 宝塚で4度再演されている演目で、私が初めて見た宝塚のビデオも、
この作品。(2回目の星組バージョンでしたね)

 宝塚初演時、トップ男役として黄泉の帝王トート役を演じた
一路真輝(退団公演だった)が、退団後、宝塚と同系列企業の
東宝で、タイトルロールであるエリザベートを演じています。

 演出は、宝塚と同じ小池修一郎氏ですが、上演時間が大幅に
伸びているし、宝塚・東宝でも何度も再演されているため、話の大筋は
変わりませんが、新たに場面や歌が増やされたり、舞台上の演出が
変更になった箇所が多い。

 長くなった分、わかりやすくなった面もあるけど、いかにも付け足し
といった感じで、改変部分が妙に浮いた場面もあって、一長一短かなあ。


 それに東宝ミュージカルは、勿論宝塚とは違うので、男性も子供も出演。
チケット代が宝塚より高いだけあって、舞台装置も衣装も
もんのすごく豪華。それだけで圧倒されたね。

 男性が入ることで、やっぱり宝塚と比べると、コーラス部分に
厚みがあって格好よかったなあ。

 あとは、ダンサーも全員男性だしプロの人なので、妙にバレエっぽい
宝塚のダンスと比べると、これも迫力が違う。
(ちょっと振り付けが?ってところもあったが)


 ところで今回、いちばん気になったのは、主役のエリザベート。
宝塚版とは解釈がかなり異なるせいもあるけど、宝塚の方を見慣れていると

どうにも押し出しが強くて、我儘なだけの人に見えちゃって。
もともとエリザベートってそういう人なんだろうけど。

強烈な自我意識の裏にある、絶望的な孤独
 というのが
エリザベートの話の重要な部分だと思っていたし、彼女の抱える弱さや孤独、
それでも満身創痍で進み続けるひたむきな姿に共感して観てたお芝居だから、
それが薄くなっちゃうと、個人的には感情移入しにくい。

 せっかく「男役が主役じゃないといけない」という、宝塚の制約が取れて、
名実ともにエリザベートが主役 のはずなのに、もったいない。

 
 色々言いましたが、もともとのお話が凄く好きだし、本当に絢爛豪華な
舞台だったので、大変楽しく観劇させていただきました。



2004年04月16日(金) イノセンス。

 やっと観てきました。「イノセンス」

 なんていうのかなあ。
期待が大きすぎた分、なんだか拍子抜けしたっていうか…。

前作に比べると、作画であからさまに普通のアニメっぽい部分が
増えていて、それが違和感あったり。特に主人公のバトーの顔。
背景はすごく綺麗だったけど、たまに入るフルCGっぽい場面が
妙に浮いていて、ちょっと嫌かも。(フルCGの不自然さが苦手)

あとは、モチーフの使い方が、安直というかなんというか。
なんとなく、若いなあ、って苦笑したくなるような。

押井作品なんで、相変わらず、小難しい薀蓄を登場人物たちが
必要以上に喋るんですが、説教臭い割りに、ストーリーを通した
問題提起が、薄っぺらく説明不足なせいかも。
私の理解力が足りないだけなのかもしれないが。

個人的な感想としては、ストーリーの本筋や主題があるのに、
本筋の周りの枝葉末節を装飾することに重点を置きすぎちゃって
一般的に映画として一番盛り上げなくてはいけない部分が
妙にあっさりと小さく纏まっちゃってる印象が強いです。

一応、ラブストーリーらしい部分もあるんだけど、
一方的な女神崇拝に終始しちゃってて、しかも女神が
異様なくらい寛大で気持ち悪い。
実体がなくて精神的な繋がりだけだから、仕方ないのかもしれないが。

女の子に興味があるのに、実経験こなしてない男子の

エロゲー的ご都合主義の、ドリー夢物語

つう感じで、青くてなんかこっ恥ずかしい。(エロはないが)


ジブリ絡みで派手に宣伝ブチかましちゃったけど、
やっぱり一般大衆向けの映画じゃないよなあ。
アレ見て喜べるかどうかって、

オタクかそうじゃないかの踏み絵

みたいなものじゃないんだろうか。(私はオタクです)

話の筋自体は凄く単純だし、登場人物も少ないから
判りやすいはずなのに、変に難しく煙に巻いてる感じは
色々薀蓄引っ張り出して、大仰に議論するのが大好きな人々に
どうぞ盛り上がってくれ、と言わんばかりだしね。


 ただ、犬はすごく可愛かった。
犬が大好きでよく判ってる人が、本当に細かいディテールまで
実態に忠実に再現しているって感じで。

飼い主の帰宅に喜び勇んで椅子から落ちるところとか、
餌入れに耳突っ込んで、鼻先で容器を動かしちゃうところとか、
膝の上で熟睡する寸前に、大きくため息つくところとか、
久しぶりに再開した飼い主と、耳の後ろの匂いを確認しあうところとか。

人間やアンドロイドの登場人物たちの現実感が、非常に希薄だった分、
リアルな造形の犬と主人公の関係が、この映画の主題(らしきもの)に
もっとも食い込んだ部分だったような気がします。


まあ、普通の感覚で楽しい映画だ、とはお勧めできませんが、
押井監督が大好きなものと興味があるものをごった煮にして
皆さんに紹介している話だと思えば、とても楽しい話です。



2004年04月15日(木) 攻防戦。

 暖かい昼下がり、新大久保〜大久保駅まで、細い路地沿いに
近道していくと、途中の空き地付近で、大きな縞猫によく遭遇します。

一年中妊娠しているかのような、タップタプの腹に
毛なのか肉なのか、ポヨポヨした頬の、肉まん型のデカイ顔。
妙に据わった三白眼。洗い立てのような真っ白な腹毛に、
艶々とお日様に輝く背中。

栄養状態が良好そうな上、民家の玄関先(ドア開きっぱなし)で
ウツラウツラと日向ぼっこしてるのをよく見かけるので、
飼い猫かなあ、と思っていたら、その家のオバちゃんが、
野良猫なのよ、と教えてくれました。

天気のよい日には、よく軒先を貸しているらしいのですが、
一度もあのツヤツヤフカフカな毛並みを触らしてもらえないらしい。

私が遠巻きに見ていても、目も開けやしませんが、
ジリジリとにじり寄って、あともう少しで手が届きそう、
というところまで近づくと、フイッと絶妙な間合いで
かわしてしまうのです。

さて、今日は空き地前を巡回中の件の猫に遭遇。
道路の少し先を、私のことなど気にも留めない素振りで
腹肉を揺らしながら悠然と歩く猫に、一声掛けてみました。


「でーぶ。」


するとどうでしょう。いつもは知らん振りでさり気なく
足早に去って行く猫が、くるりと振り返ったではありませんか。

凶悪なほどの目つきで、じっと私を見上げる瞳が、
なんだか恨めしそうにも不機嫌そうにも見えるのに、

ああ、やっと振り返ってもらえた。 

と妙に感動して嬉しくなったり。


猫と私の関係って、切ない片想いみたいだ。
猫にとっては迷惑この上ない感じが、また特に。



2004年04月11日(日) にゃんぱらり。

 ひょんなきっかけで、猫好きな方と知り合いになりまして。
既に1匹猫を飼っているのですが、この春、新たに子猫を
1匹貰い受けたとの情報を入手し、見学に行ってきました。

 猫は実家でも飼ったことがないのと、一般的に言われるように
犬に比べると気まぐれで意志の疎通が上手く図れない気がして
あまり交流を持ったことがなかったのですが、やはり
動物の愛らしさというのは、実際に目にすると格別ですな。

 
 子猫は、メインクーン という種類の純血種。
銀色の縞猫で、瞳も濃い灰色。
http://petpet.goo.ne.jp/goo/zukan/catinfo.asp?kind=48


長毛で、ふっさふさの長い尻尾。身体は大きく
大きな成猫のオスだと10キロを超えるという、超大型猫。

すでに猫の領域を超えているような気が…。

顔立ちは、雄いうこともあって、若干精悍な印象もありますが、
まん丸な大きな目と、長い耳毛がピョコピョコ飛び出た
大きな耳がついた、フワフワ毛玉のような愛らしさ。

ただ、大きく成長することが如実にわかる、ぶっとい前足 が
飼い主の今後の苦労を暗示しているようでした。


 ところでこの猫、鳴き声がなんだか変。
潰れたような、掠れた小さな声でしか鳴かない。
子猫って甲高い声でミャーミャーよく鳴くと
思っていたのでちょっと意外だった。



2004年04月10日(土) しづこころなく

 いやはや、すっかり春の鬱期突入で、心はささくれ
他愛もないことで苛々してみたりと、日記の更新も
滞っておりましたが、なんとか元気で生きてます。

 さて今日は、京都へ桜を観にいってまいりました。
なんとも豪華で風情漂うような気がしますが、

なにせ日帰り強行軍ですから。

朝7時半東京発の新幹線だよ。
趣深いというより、すでに執念です。

 北山や仁和寺の裏手の方に、原谷苑 という
この時期だけ公開される桜の名所がありまして。

お寺や庭園ではなくて、植木屋さんの 商売道具育成保管場所 
みたいな場所なんですけど、さすが老舗。
立派な桜が山を埋め尽くさんばかりの勢いで咲き誇り、
濃色薄色さまざまな紅色に、視界一面が染まるのですよ。

一度にあんなたくさんの桜の花を、初めて観た。すごい迫力。
ただ、人の喧騒も騒がしかったが、押し合いへし合いこれでもかと
咲き競っている桜の樹々も、なんだかザワザワと落ち着かない風情に
感じられてしまったり。

思わず、「世の中に絶えて桜の〜」とか「ひさかたの〜」なんて
口ずさんで、さもありなん、と独り納得していました。
春は、人の心だけでなく、桜ですら浮かれてしまうらしい。


 その後、平安神宮に行く予定だったのですが、
人酔いしたので、私はちょっとパスして、一人で「無鄰庵」へ。
http://kyoto.cool.ne.jp/kyotocity/niwa/murinan.htm

 南禅寺の門前近く、明治の政治家・山県有朋の別宅跡の庭園。
こぢんまりとしているのと、場所が多少判りにくいし、人も
それほどいないだろうと思ったのに、さすがシーズン中の京都。
ちょっと縁側でボーッとする、という雰囲気ではなかったです。

ちなみに京都の日本庭園といえば、桜は定番な気がするのですが、
無鄰庵 は、見た限りでは、桜が見当たらない。

一歩外に出れば、東山界隈の見事な桜が、それこそ
飽きるほどあるから、わざわざ家の庭にまで植える
必要性を感じないんだろうなあ。これぞ、最高の贅沢。


 予想より早く無鄰庵を後にして、次に向かうのは、
「青蓮院」http://homepage2.nifty.com/cub/niwa/shorein.htm

 ここも、あんまり桜がない。
種類はいくつかあるけど、全部で5本かな。

ソメイヨシノは散ってましたが、庭によく手入れされた、
いい枝振りの八重桜が1本、枝先に少々新緑が芽吹いて、
それが却って清々しい印象で、咲いていました。

他の桜も、全体的に盛りは過ぎていましたが、周囲の楓や
竹の瑞々しい蒼さが、白い花の美しさを引き立てていて
なんとも爽やかな風情があって、とても気に入りました。

 桜だけだと、どうしても煩くなりがちなので、
このくらいが、のんびり眺めるには丁度いいと思うわ。

 
 ところで、ここは仮御所として使われたこともあり
天皇家縁のお寺のため、宸殿前には右近の橘と左近の桜が
植えられています。

 左近の桜は、小さくてどちらかというと貧弱な枝垂桜ですが
暗い建物の中、更に御簾越しに桜を眺めてみると、
花が雪のように、真っ白に光り輝いて見えて、ひなたで直接
見るのとはまったく違った、幽玄な美しさがありました。

 
 至近距離で、盛りの美しさをつぶさに見るのもいいですが、
花を愛でる心栄えの豊かさというのは、少し距離をおいて
目に見えるもの以外の美しさを、心の目で補完しながら
感じることなのかもしれません。



2004年04月05日(月) 暗黒アリス。

 すんごい久しぶりに、「不思議の国のアリス」読んでます。
子供向けの児童書版ではなくて、お馴染みのちょっと不気味な
挿絵入りですが、解説が欄外に載っている、翻訳本。

 日本語以外の小説を読む場合、韻を踏んだ表現やことわざ、
その国や時代の習慣や風俗が理解できないと、なかなか面白味や
裏に潜む意味が伝わらずに、魅力が半減してしまうことも多いですが、
こういう解説がこと細かについていると、話をより深く理解するには
すごく便利だと思うわ。初めて読むにはちょっと邪魔だけど。


 アリスに関しても、押韻やアナグラムなどの言葉遊びが
テンコ盛りで、登場人物の設定まで、さまざまな意味を踏まえた上で
成立しているので、子供の頃に読んでいたのとはまた違った視点で
物語を捉えられて、なかなか興味深かったです。


 例えば、お茶会をしている奇妙な言動のイカレた 3月ウサギ と 帽子屋 

3月ウサギ = 繁殖期である3月頃のウサギが、狂ったように飛び跳ねる
          ことから、常軌を逸した様子を示す言葉。


帽子屋 = 当時の帽子の製造過程において、材料のフェルト処理に
        硝酸水銀を使用していたため、水銀中毒を
        “ mad hatter’s disease(狂った帽子屋の病)”と呼んだ。


という話を知っていると、アリスの話の根底にある、ブラックで
意地悪でちょっと偏見的な、大人(ルイス・キャロル)の視点が
透けて見えてくる気がしませんかね。    


 まあ改めてそんな風に読んでみると、どえらくアナーキーな話だね。
筋が通ってるとか通ってないとか、そういう次元じゃなくて
歪んでいるといか、狂ってる。怖っ。

夢野久作「ドグラマグラ」に通じる匂いがするね。



2004年04月03日(土) わたしは、秘密の花園の鍵を持っている。

 春のせいか、私からはちょっと離れた周辺が
妙に桃色に染まっていまして。いいことです。(本当か?)

 そんなこんなで、10年くらい前に語り尽くしたような話を
大したことはないですが、それなりに酸いも甘いも経験してみた
この歳になって改めて真面目にしてみると、ああそうか、と
妙に自分自身に納得する部分もあったりして、それはそれで
新たな発見があって面白いです。

つうか

過去の自分の、飽くなき挑戦者としての勇気と探究心に、
脱帽して帽子を投げつけてやりたくなります。


 本当になにやってるんだか。

 それにしても、ピュアな男の子が多いなあと、最近荒み気味の
自分のハートをそっと抑えてみた矢先に、私が知る限り、
もっともどす黒いピーターパン から連絡がありまして。

 その近況を知るにいたって、まだまだ私は健全だと、
ほっと胸を撫で下ろした次第です。
世の中には上には上がいるものなんだね。



2004年04月01日(木) Poisson d’avril

 あ、嘘つくの忘れた。

今年こそは、と毎年思うのに、毎年終わってから気づく万愚節。
イベントを大切にする人間ですから。私は。


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