海津ほろよい日記
湖畔の酒蔵 ほろよい社長の日常

2005年05月31日(火) 鮎が獲れない

普通預金の残高をながめながら冷や汗を流す、いつもながらの月末。

集金のついでにお酒の在庫を見ておこうと、佃煮加工場も経営しておられる酒屋さんをのぞくと、珍しく社長さんがおいででした。この社長、口はとっても悪いんですが、気のよい人でついつい長話をしてしまいます。

6月から鮎の「すくい漁」も始まるので、「今年は鮎はどうですか」とお聞きすると、「ほとんど獲れぬと」と御機嫌ナナメであられました。

4月、5月と「小糸網(刺し網の一種)」(漁師さんは単に「こいと」と呼んでます)で獲れる鮎が非常に少なく(一晩の漁で5キロとか10キロ程度の時もあるそうです)、鮎の値段が高騰しているそうです。

佃煮に加工してキロ6.000円で販売してもあまり合わないそうで、「100グラム600円なら牛肉なみで、お客さんも買ってはくれぬ」と、夏に向けて本格化する鮎漁を危ぶんでおられます。

いよいよ「鮎の木の芽炊き」も鮒寿司なみになるのでしょうか。



2005年05月30日(月) カヌーで大遠征





↑マキノ東小学校の子供たちがカヌーで出発する中ノ川前の風景。江戸時代に組まれた古い石垣と深緑のケヤキが鮮やかです



↑少しいったところには旧海津港の桟橋跡が。今は朽ち果てた杭が残るのみです。


うちの愚息が通っているマキノ東小学校の5、6年生が課外学習の一環として、カヌーで海津から大津まで遠征します。

明日早朝に出発し、2泊3日で大津に到着するそうです。

いつも岸から眺めている風景ではなく、琵琶湖の沖から見た湖岸の様子は、昔、海津が湖上交通で栄えた時代を思い浮かばせ、知的でいい刺激になるでしょう。

お尻の皮がむけないか、少し心配ですが。







2005年05月29日(日) ハマヒルガオ




↑朝の浜掃除で見つけたハマヒルガオ。数輪だけですがきれいに咲いていました。

5時起床。みごとな青空です。

7時30分から8時45分。海津3区の一斉清掃に参加、琵琶湖岸の空き缶ひろいと雑草抜き。

ノーリリース条例が制定され、バス釣りの人が少なくなったので、使い古しのワームやらルアー、空き缶などが少なくなりました(昔は鋭い釣り針がそのままになったルアーがあちこちに落ちていたのですが)。

9時から10時。先週悪天候のため延期になっていた、マキノ球技大会ソフトボールの部、第1回戦にキャッチャーとして参加。

10時30分から12時。ほろよいの親戚筋K家の法事に、浄土真宗のお寺ですので、仏説阿弥陀経(ぶっせつあみだきょう)のあと、正信喝(しょうしんげ)をお参りの皆さんと唱和、蓮如上人のありがたいお説教を拝聴してやっとこ終了。

12時30分から15時まで。ソフトボール第2試合に出場。つづけて第3試合の塁審を担当。

18時から21時30分、球技大会の慰労会で参加の皆さんと痛飲。盛り上がりました。

分きざみの休日で少々疲れたほろよいです。



2005年05月28日(土) リカルドさん田植えをする




↑苗箱を洗うリカルドさん。作業着ルックもなかなかサマになっています。

4月28日に種まきした苗も充分に成育し、今日はマキノ山田錦の田植えです。一昨日広島の新酒鑑評会にお連れした、イタリア人ソムリエのリカルドさんも、日本酒の勉強の一環として、お手伝いにきてくれました。

去年と同じく植付けする田んぼは3反の田んぼが4枚で1町2反、70俵強の収穫を見込んでいます。

リカルドさんとほろよいが現場にきた朝8時には、すでに1枚目の田んぼが8割がた植え終わっておりました。聞けば朝5時すぎからはじめたとのこと、栽培農家、吉原さんの意欲が伝わってきます。

いつものように田植え機の運転は吉原さん。苗の補給や苗箱の洗浄が二人の担当で作業がすすみ、午後からはリカルドさんに補植(田植え機が植えそこねて、欠株になったところに苗を手で植えていく作業)もやってもらいました。田植えはもちろん初めてだそうですが、けっこう興味深々の様子です。

4枚の田んぼを植え終えたのは午後5時すぎ。さすがに丸1日の作業は疲れました。リカルドさんも生あくびをかみころしています。お互い今晩は早めに休みましょう。







2005年05月26日(木) リカルドさん鑑評会へ行く



↑ほろよいとは正反対。痩身でハンサムなリカルドさん。こんどはマキノ山田錦の田植えをお手伝いいただきます。


5時起床。となり町に住むイタリア人ソムリエ、リカルドさんをお誘いして全国新酒鑑評会に出発です。

彼は春夏と奥さんの実家が経営しておられるキャンプ場のお手伝いをして過ごし、秋冬はイタリアやスイスでソムリエの仕事をしています。奥さんが日本人で、日本での生活経験もあることから、ソムリエ組織の機関紙に日本酒の記事を書かねばならなくなり、アドバイスを求めてほろよいの蔵においでになりました。

なにせ場末の蔵のこと、たいしたお手伝いはできないのですが、日本酒についていろいろなシーンを実際に経験していただいたらという思いで、今回東広島までお連れしました。

開場まぎわの10時前に、きき酒会場に到着。さっそくリカルドさんと一緒にきき酒です。こんな大勢の中で、次から次へときき酒するのは初めてだそうで、スポイトでお酒を吸いとり、プラコップできき酒する方式に興味津々の様子でした。

きき酒の態度は、さすがプロのソムリエです。酔った様子もみせず、何百もある出品酒を次から次へときき酒し、金賞と銀賞、賞をのがした酒の違いを彼なりに理解した様子でした。

新幹線の中で見せていただいたのですが、リカルドさんはソムリエ用のきき酒のチャートを持参しておられ、香りの種類、タンニン(渋み)や、酸のボリューム、アルコール度数、発泡性の有無などはもちろん。そのお酒にあった料理や、サービスする際の最適温度まで記入事項が印刷されています。

ひとつの対象を細分化し、分析的な方法で評価するのはさすが西洋人という感じです、お酒を評価するときにそいうアプローチの仕方は必要とは思いますが、えてしてこの手法は「絶対的な見方」になってしまい、「こういうお酒は○○度でなければ」とか「この料理や食材に合う」という決めつけになってしまわないか心配です。

お酒は嗜好品であり、人によって感じ方がちがうのですから、「相対的なものの見方」や、「全体としてどうなのか」という物の見方もまた必要ではないかと思うのです。

鑑評会の帰り、京都の「地酒バー」にお連れし、日本酒サービスの既成概念をひっくりかえすような、生酒の燗や長期熟成した生酒などを召し上がっていただいたのですが、彼はどう感じたでしょうか。

↓今年の鑑評会は金賞が7つ、銀賞が1つと滋賀県勢が大躍進!。若手の台頭が目立ちます。でも「竹生嶋」がありませんから〜〜(切腹ッ!)






2005年05月25日(水) 新緑から深緑へ




きのう軽く雨が降って大気中のチリが洗い流され、朝から透き通るような快晴です。

あんまり気持ちがいいので湖岸にでてみると、水面は涼しげに漣がたち、山はむせかえるような深緑にあふれています。

知らないうちに新緑から深緑へ季節がうつっていました。

旧海津港の桟橋跡には、カワウが気持ちよさげに羽を乾かしておりました。

なかなかひょうきんなしぐさで、数羽が戯れているくらいなら可愛いものですが、何百匹も群れをなして編隊飛行をしている様をみるとちょっと禍禍しいものを感じてしまいます。





2005年05月24日(火) 春陽米

吉田さん「春陽」というお米知ってますか。その米で造ったお酒のサンプルがあるので試飲してみます?

きのう訪問させていただいた彦根の酒屋さんでの出来事です。

そのお酒(滋賀県内の蔵元のお酒です)はワインのように酸味が強く、アルコール分13%とやや低め、精米歩合70%の純米酒というスペックからは想像できないくらい淡白な味わいでした。

この業界にはいって17年あまり、酒米についてはある程度知っているつもりしたが「春陽」という米は初めて、ネットで調べたら、なかなか面白いお米であることがわかりました。

このお米は、タンパク質の摂取を制限されている腎臓病患者のために、農林省系の研究所が開発した低タンパク質米なのだそうです。

お米に含まれるタンパク質には、「グルテリン」などに代表される易消化性タンパク質と、「プロラミン」に代表される難消化性タンパク質があるそうで、体内に取り込まれやすい易消化性タンパク質を、品種改良によって一般品種の約6割に減らした画期的なお米なのだそうです。

これまで、腎臓病の患者さんは「でんぷん米」といって、お米を半分以上に精米したり、酵素処理によってタンパク質を除去したものを食べておられたそうなのですが、高価で食味が悪く評判がよくありませんでした。「春陽」の開発はまさに福音といっていいでしょう。

さて、お酒をつくる場合、易消化性タンパク質「グルテリン」は、麹菌や酵母によって、旨み成分であるアミノ酸に分解されるのですが、「春陽」は低グルテリンですから、生成されるアミノ酸が少なく雑味の少ない淡白なお酒になります。

精米歩合70%の春陽で純米酒を造ったところアミノ酸度は0.7で、精米歩合40%の山田錦で造った大吟醸酒と同等のアミノ酸度になったそうです。

ほろよい個人としては、味わいのしっかりした酒が好きなのですが。こういう特殊なお米でいろんな可能性を模索するのもいいことだと思います。

「春陽」について詳しくは「中央農業総合研究センター 北陸研究センター」のHP(ココ)へ

詳しい報告はその中の(ココ)へ、後のほうに「越の誉」さんが試験醸造したデータも載っています。

せっかく農林水産省のキモ入りで開発された「春陽」なのですが、製品の表示問題で厚生労働省が待ったをかけ、生産者が困惑しています。興味のある方は(ココ)と(ココ/長文の議事概要の終盤のところ)へ。





2005年05月23日(月) 琵琶湖一周

めずらしいことに高島市外の得意先の注文がかたまってあったので、午後から配達に出発。

西浅井、長浜2件、彦根とまわって湖周道路を南下、琵琶湖大橋を渡って大津に行き、京都市内の酒販店さんが終点でした。

午後は、ちょうど近畿地方を低気圧が通過中だったので、ほろよいの軽バンは、台風なみの激しい風雨の中でかなり揺られました。

ちょっぴり疲れましたが、週に1度くらいこれくらいの配達があればいいのにねえ。



2005年05月22日(日) ビーチバレー〜パロディCM




高島市教育委員会が主催するマキノ地区社会人を対象にした球技大会がありました。

あいにくの雨降りで、男性のソフトボールは次の日曜に延期になりましたが、女性のビーチバレーは実施です。ほろよいは、今年、海津3区の社会教育委員を拝命しておりますので、3区の女子ビーチバレーチームのマネージャー役をさせていただきました。

応援はもちろん。試合後のドリンクの準備やら、お昼ごはんの手配などけっこう仕事があるのですが、皆さん奮闘していただいたおかげで準決勝まで勝ち進んでもらいました。

9点先取でセットが取れ、2セット取れば勝ちなのですが、結構な運動量でビーチバレーといってあなどれませんですなあ。

こんな調子でほろよいは終日、仕事はせずに休日モードでありました。

おまけではありますが、このあいだ店番をしながらネットサーフをして見つけた作品です。なかなか秀逸で笑っちゃいました。休日のヒマつぶしにごらんください。

ココ(音が出るので注意、クイックタイムプレイヤーが必要です)



2005年05月21日(土) 来週末はいよいよ田植え



        ↑田植えを待つ山田錦の苗

山田錦の契約栽培をお願いしている吉原さんから電話があり、来週末の28日か29日ごろ田植えをすることになりました。

先月28日に種まきしたあと、比較的暖かい日が続き、苗も十分に大きくそだっています。いよいよ17BY(酒造年度)にむけての酒造りがはじまります。がんばって田植えのお手伝いをしなければ。

↓海津の一番奥にある田んぼを俯瞰しました。水の張ってあるところは田植えを終えています。緑のところは減反によって米作りをやめ、畑になったり、荒れるにまかせてある田んぼです。
 昔は大小さまざまな田んぼが入りみだれていたのですが、耕作者と地主が相談して規格化した四角い田んぼに圃場整備しました。お金も結構かかっているのですが、お米をつくらないのでは話になりません。







2005年05月20日(金) 知らぬ間に

26日の一般公開に先立ち、酒類総合研究所の全国新酒鑑評会の審査結果が今日、公表されました(詳しくはココ)。

出品点数1019点のうち、予審通過酒(入賞酒)532点。さらにそのうち結審を通過した酒(金賞酒)が257点ということです。

滋賀県はといいますと7蔵が金賞、1蔵が入賞をはたしており、ちかごろにない好成績でした。

ほろよいの蔵は残念ながら予審も通過できませんでしたが、常連の吟醸蔵に加え、いくつかの若手の蔵が金賞をとられており、知らぬ間に、皆さん着々と実力をつけておられるようです。

うちも安閑としてられなくなりました。がんばらなくては。



2005年05月19日(木) 白アリ警報発令

事務所で帳面をしていると、どこからともなく羽化した白アリが何匹も飛びかいはじめました。こりゃまずい!てなことで、周辺の柱やら梁を観察すると、小さな3ミリくらいの穴から、次から次へと何十匹もゾロゾロと出現しているところを見つけました。

ほろよいの蔵は、明治、大正、昭和と建て増ししながら現在にいたっていますので、天井裏や床下には古い部材がたくさんあります。

どうやら、そのどこかに巣くっているようで、穴周辺の巣になりそうな部分に殺虫剤を噴霧、見つけたものは片っ端から小型の掃除機で吸い込んでしまいました。

2年ほど続けてこの時期に白アリの羽化がみられ、そのたびに殺虫剤を噴霧するのですが、まだ本丸を根絶やしにしていないようです。

外にでてみると近所の古い倉庫の屋根からも白アリが羽化をはじめており、おびただしいほどの華奢で透明な羽が皐月の光をあびて、空中で輝いています(5月中旬の天気のいい日は、白アリの羽化がみられますので、おうちの近くで見つけたら気をつけてくださいね)。

古い立派なおうちでいいですねえと、皆さんおっしゃってくださいますが、白アリをはじめ、雨漏りやら、瓦のふきかえやらで、けっこう大変なんですよ。





2005年05月17日(火) ンまいっ!

きのうろ過を済ませ、17.2%の原酒を15.5%に割水しておいた純米酒を、朝から早速ビン詰めです。

1.8リットルビンを700本強、720mlや300mlの小容量ビンの需要もけっこうあるので、それぞれ300本と200本詰めました。

ビン詰め終了後、検品かたがた、ほのあたたかい残酒(ビン詰めラインに残ったお酒)をきき酒すると、「ンまいっ!」1年余の常温熟成で味がノリノリです。

午後は今津小売酒販組合の夏ギフト、5蔵元セット(高島市内5蔵元の冷酒が300mlビンで1本ずつ詰め合わせてある)受注のための資料作成。

先週小売組合の役員さんとセットの打合わせをしたのですが、やる気のある酒販店さんが若干名と、お付き合い程度の酒販店さんがほとんど、まったく興味がないのか役員なのに欠席する酒販店さんもいて、熱の入り具合が大きく分かれてきました。

昨年末、歳暮のピーク時期に新聞に取り上げられ、組合に問い合わせが殺到して100セットもさばいた酒販店さんが実際にあったんだから、もっと欲を出してもらえませんかねえ。







2005年05月16日(月) 純米酒のろ過

「いよいよ酒造りが佳境にじはいります」と1月に書きこんで以来、4ヶ月。酒造りはとうに終わってしまい、桜の喧騒はどこへやら。力士祭りからゴールデンウイークに突入し、初夏になってしまいました。

なんともはや長いスランプではありましたが、ぼつぼつ身の回りのことを書きこんでみたい意欲も湧いてきましたので、よろしければおつきあいください。

というわけで、今日はマキノ産「吟吹雪」55%精米で仕込んだ15BY(平成16年2月に絞り、3月に火入れ後タンクで常温貯蔵していたもの)の純米酒をろ過しました。

最近の純米酒は、香りが高くてキレイな純米吟醸もどきが多く、低温で貯蔵するものですから、お燗をしてもお酒の若さがデフォルメされてしまい、じっくりと落ち着いて飲めるものが少ないような気がします。

40歳半ばとなった、ほろよいも体力の衰えをけっこう感じるようになりました。この年になると純米吟醸生原酒やら、大吟醸斗ビン取りなんていうお酒はうまいのですが、体力がついていきません。1年ほど常温で熟成させ、ほどよくカドがとれ、ややクスミ気味の純米酒を体温より少し低めのお燗で飲むとホッとします。

そいうふうに感じるほろよいが、うまいと感じる充分に熟成した純米酒でした。


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