ほっく。

2003年10月20日(月) おまけ付き


椿のつぼみを2、3個もらって
一枚一枚むきながら歩くのが好き

ガードレールの杭になってるあれに
ひとつひとつ触れていくのが好き

それから
消防署の車庫にある消防車
犬小屋にいる犬みたい ってクスっと笑うのも






2003年10月18日(土)


四季のなかでも
秋 って
色えんぴつの「黄土色」みたい

使わないまま、いつのまにか失くなってるの






2003年10月17日(金) キヨちゃん


夕方
うちの前にキヨちゃんが立っていた

深刻な顔で
うつむいている


「あの、あたし…… ごめんね。 真理奈が…」



わかってる。

いいよ。

謝らないでいい。


きっと わたしだって…






2003年10月16日(木) 肉まん


「 ま、そんなもんだろ 」

アサキは言った
肉まんの紙を放るように

通学路からはずれたコンビニで肉まんを買い
食べながら歩いた

空の高いところを何かの鳥の群れが
あちらへ こちらへ


いつもの曲がり角
アサキとわかれて

見上げたカーブミラーのなか
微笑んでる わたし






2003年10月15日(水) ほどける


図書室にはいるとアサキがいた


「顔色わるいぞ」

ん?うん… と言葉を濁し、横の本棚のほうを向く

どうしてか目を合わせられない
わたしはもうこのひとと
目を合わせていいような人間じゃない と思えて

横を向いたままのわたしの左耳に
アサキが本を弄ぶ音がきこえる



それからどのくらいの間があっただろう

背中に
アサキの声が柔らかく降った

「……だいじょうぶか?」



瞬間。
わたしは了解した


このひとは
わかっている

わかってくれている






2003年10月14日(火) 平熱のものたち


窓枠の 砂ぼこり
本の ひもの栞の色
生米の 手ざわり

こういうものは
いつもと変わらず 確かだ

ほんの ひととき
いつに変わらないわたしに戻る






2003年10月13日(月) もし


神様だとしたら


どうして?






2003年10月12日(日) つかまえる つかまえられる


昔、よく
アリの行列に置き石をした
つかまえて水に沈めた
水から這い出たのをつかまえて
よその巣に放り込んだ


私たちは今
アリだ


私たちをつかまえてるのは
なんだろう

運命? 悪魔? それとも






2003年10月11日(土) おとうさん


夕方 4時
おとうさんが学校にきた
駅からそのまま
会社の格好のまま

わたしは呼ばれてない
ひとりで先に学校をでる


3本足で固まって
しっぽの切れた猫
ガードレールの足元
アスファルトの割れ目の雑草
水たまりに映りこむ
青空、 雲、 青空、 風、 青空


…おこられるの?

おとうさんが おこられるの?






2003年10月10日(金)


今週は
アサキとも話してない

なんとなく
話し掛けられない

アサキは
無視なんてしないと思うのに






2003年10月09日(木) 玄関


姉ちゃん、
給食費わすれてるじゃん


え、変わったこと?
なんで?

ないよ、別に。 なんで?





2003年10月08日(水) 教室のにおいが、よそよそしい


目立たないようにしてきた

悪いものに見つからないように
つかまらないように
息をひそめていた

わがままも言わなかったし
悪いこともしなかったし
誰もみてないところでも
きちんとしてきた

なのに。
どうして?





2003年10月07日(火) 廊下


先生に呼び止められて
「お父さんとお話をしたいので…」

教室のドアのところに2・3人
こっち見てる

先生が行ったあとも
まだ見てる

わたしがそっちを向くと
ヒュッと首が引っ込む


こんなふうに
見られることなんて
わたしにはないだろうと思ってた ずっと

ないはずだった






2003年10月06日(月) どんな顔でいよう


『 捨て子 』  『 お母さんはどこ?! 』

黒のマジック
わたしの机


普通に 座って
普通に 教科書やノートをだして
普通に 6時間目まで聞いて

でも 図書室には寄らないで
まっすぐ帰宅 した


…どこから漏れたの?






2003年10月05日(日) あれかこれか


心当たりがない

ピアスはもうやめたし
目立つことも
変わったこともしていないし

…アサキ?
アサキと仲良くしてること?






2003年10月04日(土) 歯車


このあいだから真理奈が
誰かをつかまえてはヒソヒソしてる
キヨちゃんは昨日
話し掛けてこなくて
わたしが話し掛けても返事をしなくて


今朝 げた箱
わたしの上履きが何かで切り裂かれていた

履いてきた靴のまま
教室に行こうと

5歩 あるいたところで 足は


うしろで
カタン。
歯車の はずれる音がきこえた






2003年10月03日(金) くもり空くぐもった飛行機の


のどがちぎれるくらいの声で

好きなものを
好きと叫べたら


なにか違ってくるかしら

空は広くなるかしら?






2003年10月02日(木) 窓から給食の


魚の南蛮漬けかなーとも思ったけど
これ、まちがいない
酢豚だよ !

分度器で机の角を測ったり
コンパス分解したり
気をまぎらそうとしたけど

だめだ。
どーしても
ヨダレとまんない…






2003年10月01日(水) 窓から金木犀


もしわたしが
手のかかるワルイ子だったら
もっと可愛がられたかなぁ

でも
ワルイ子なんて
なり方わかんないよ





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