Love Letters
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2006年08月27日(日) 不機嫌な朝


 最後の日の朝、

 8時頃に小さなTVの音に目が覚めたら、

 あなたは既に起きて

 窓際の椅子に座って煙草を吸っていました。

 私が目覚めたことに気づくと、

 あなたがその日の天気やニュースについて

 独り言みたいに話しかけてきます。

 とうとう来てしまったお別れの日。

 今度会える日はずっと先になりそうです。




 「もう、起きちゃったの?」


 あなたはいつも早起きだから、

 目覚める時はいつも独り…という気持ちになります。


 「今日も暑くなりそうだよ。」


 私の気も知らずに

 あなたは普通の笑顔で

 朝の天気予報を教えてくれます。




 チェックアウトは正午。

 まだ二人きりでいられるのに、

 あなたの爽やかな態度で

 もうすぐお別れしなければいけないということを

 切ないほどに思い知らされるのでした。

 私の言葉の端々が

 つい刺々しくなってしまいそうだったので、

 私は再びシーツにくるまり、

 目を閉じました。




 「もうちょっと寝ようか。^^」


 あなたはもう一度ベッドに来ました。

 少し不機嫌になっている私を

 後ろからぎゅっと抱き寄せました。

 そのまま眠ったふりをしていたら、




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 「あん、駄目よ。」


 そう言いながら、

 朝から反応してしまう身体。

 まるであなたに見透かされているかのように、

 あなたの愛撫で

 濡れていくのでした。




 「ねぇ、いっぱいキスして。

  会えない時間の分まで。」


 僅かな不機嫌を残したまま、

 私はあなたにそっと抱きつきました。


 
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2006年08月24日(木) 夏休みはもう終わり


 イタリアンレストランの後に

 バーへ行く予定だったけれど、

 あなたの体調があまり良くなかったので、

 そのままホテルに戻りました。



 あなたは少し具合が悪いと言って、

 服を着たままベッドに寝転びました。




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 出会った頃は

 お泊りデートといえば、

 何度も抱き合っていた私達。

 この頃は何だか年を重ねた夫婦のようです。



 今のような関係が

 私にとっては少し寂しい気がするけど、

 あなたにとっては心地良いのだと思うのです。

 以前そんな風に言っていたし。



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 相手が自分にとって空気のような存在になった時、

 別れはより重いのか、それとも軽いのか。



 あなたと過ごした幾つかの夏。

 アルバムから切り取られた写真みたいに

 眩しかった季節の光景が鮮やかに蘇ります。

 そして、

 今年の夏休みも

 駆け足で過ぎてゆこうとしています。



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2006年08月22日(火) ソムリエと小説


 夜はあなたと

 以前も行ったことがあるイタリアンレストランへ。

 ここはオイスターとパスタが美味しいんです。



 入院前のあなたに比べて

 お酒を飲む量がずっと少なくなったようです。

 これはあなたの身体にとってもよいことです。^^



 私達のテーブルにソムリエの女性が来て、

 注文したお料理に合う飲み物を勧めます。

 あなたがあるウイスキーについて尋ねると、

 彼女はにこやかにこう言いました。




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 あなたは笑って、

 「彼の味覚はわからないからな。^^」

 と言いました。

 こういうやりとりがあなたらしくて笑ってしまうのです。

 あなたが生牡蠣にかけて美味しいと思うアイラモルトは

 彼女が薦めたものとは違っていたようです。^^



 何年も付き合っていると

 食の好みも似てくるような気がします。

 いつも食べたいものが一致するから不思議です。



 デートから帰ると、

 あなたから自宅のPCに

 デート中に頂いた美味しいものの画像が

 いくつか送られていました。



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2006年08月21日(月) 人形筆で弄られて


 あなたは

 私のバスローブの胸元を開くと、

 人形筆の柔らかな筆先で

 素肌をなぞっていくのでした。




 「気持ちいい?」


 私の左の胸の先端を

 筆先で小さく旋回させながら

 あなたが意地悪く聞きました。

 そこが熱を帯びるほどに固くなると、




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 右の先端もひりひりに尖った後、

 あなたは二つの乳房を寄せると

 筆で交互にその先端を愛撫するのでした。




 「クリもこれで触って欲しい?」


 筆の頭に付いている小さな人形を見せながら、

 悪戯っぽい笑顔を浮かべて

 あなたが聞きました。


 恥ずかしくて私が黙っていると、

 あなたは半分ふざけて

 私の目の前で人形を揺らしてみせます。


 「欲しくないなら、終わりにしようか?」


 わざとそんな言葉で私を苛めます。


 「欲しいです…」



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 「感じる?」


 「聞かないで…」


 和紙で包まれた紅い筆が

 既にちゅるちゅると濡れていた

 私の恥ずかしい部分に届きました。




 人形筆で十分に焦らされた後、

 ようやく私は

 ずっと欲しがっていた

 あなたの熱いものを

 受け入れることを許されたのでした。



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2006年08月20日(日) いつものシティホテルで


 私達が泊まった旅館は、

 素材を生かした美味しい朝食が頂けることで有名です。

 普段あまりご飯を食べないあなたも

 おかわりしていました。^^



 朝食後は

 お風呂に入ったり、

 お部屋で高校野球を観たりと

 12時のチェックアウトまでのんびり過ごしました。



 午後から

 二泊目のシティホテルに移動。

 車の窓から美しい夏の緑を眺めながら、

 このまま時間が止まればいいのにと

 思っていました。^^



 二時過ぎにいつものホテルにチェックイン。

 外は38度の猛暑でしたが、お部屋の中は快適。

 ダブルベッドに二人で寝転んでお昼寝の筈だったのが、




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 首筋や脇の下を撫でられているうちに

 私の身体はあなたを欲しがって

 熱く濡れてしまうのでした。



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2006年08月19日(土) ずっと繋がっていたい


 旅館の近くのお土産屋さんで、

 あなたが美しい人形筆を買ってくれました。

 私はあなたと自分のために

 携帯のストラップを買いました。



 旅館に戻ったら、

 既に予約していた夕食の時間になっていました。

 旅館に隣接するお店のカウンターで

 旬のお刺身や炭火焼のステーキ、

 魚介の天麩羅などを頂きました。

 久しぶりのあなたとの食事はとても楽しくて、

 デザートのフルーツが運ばれるまで

 ずっとお喋りしていました。



 お部屋に戻ってから

 あなたに抱かれました。




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 久しぶりに触れ合う肌は気持ちが良くて、

 ずっと繋がっていたいと感じていました。



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2006年08月18日(金) 久しぶりのデート


 前回あなたに会ったのは

 病院でだったから、

 三月の初め以来の久しぶりのデートでした。



 会うとすぐに、

 照りつける太陽の日差しから逃げるように

 あなたの車の中へ乗り込みました。



 二時間ほどのドライブで着いたのは

 今回で二度目の温泉宿。

 チェックインが済むと

 すぐに浴衣に着替えて家族風呂へ行きました。



 あなたと一緒にお風呂に入るのも久しぶりだから

 私は恥ずかしかったのだけれど、

 あなたは気にする様子もなく。(笑)

 さらっと汗を流す程度にお湯に浸かり、

 冷房の効いた涼しいお部屋に戻りました。




 「夕食前に出かけようか。」

 
 しばらくお部屋で休んでいると

 あなたが言いました。


 「ご飯食べてからじゃ駄目かな?」


 もう少しのんびりしていたかった私が聞くと、 




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 もしまたその温泉街を訪れることがあったら

 買ってくれるとあなたが約束していたものがあったのです。

 

 細い坂道には

 小さなお土産屋さんが軒を並べています。

 まだ黄昏前だというのに

 既に幾つかのお店は閉まっていました。

 
 「確かこのお店だったよね。」


 あなたは去年二人で来たその場所を

 はっきり憶えていました。



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小夜子

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