Love Letters
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2006年05月24日(水) お見舞いに行った日


 あなたのお見舞いに行った日のことを

 詳しくは書かずにいました。

 何となくあの時に私が会った人は

 私が知っているあなたとは違う人のような気がして。



 予想していたよりもずっと綺麗な病院。

 それもその筈、市がかなりの予算をつぎ込んで建てた

 最新設備の整った新しい病院なのだそうです。

 GWの前半ということもあって、

 あなたの病室の他の患者さんは

 皆外泊に出ていました。



 柔らかい春の日差しが入る病室で

 あなたと二人だけでお喋りしました。

 当たり障りのない会話。

 何だか友達だった頃に戻ったような感じ。



 帰り際、

 休日のがらんとしたロビーで話をしました。

 帰りの電車の時間を気にしながら。

 長いすの隣に座っていた




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 「駄目よ。^^」


 私がそう言うと、

 あなたはすぐに手を引っ込めたけれど。



 病院の玄関の外まで送ってくれたあなたと、

 柱の陰でキスをしました。

 あなたは私の肩を抱くようにして、

 短いキスを三回。




 翌日、あなたと電話で話しました。


 「キスしか出来なかったね。」


 「小夜子が欲しがったら、

  連れて行こうと思ってたんだけど。(笑)」


 「どこへ?(笑)」



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 「妖しい。(笑)」


 「休日なら誰も来ないでしょ。^^」


 「そっか、残念。^^」


 とは言ったものの、

 実際はそんな気分にはならなかったのです。

 やっぱり健康なあなたが戻って来てくれないと、

 私のスイッチがオンになることはないでしょう。



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2006年05月21日(日) 鮮度の落ちた恋


 昨日もあなたと電話で話をしました。

 どうやら入院が長引きそうです。

 治療は一通り無事終了して、

 後は退院を待つばかりだったのですが、

 担当医師から今後のことも考えて

 外科的手術もしておこうという方針が出されたからです。




 あなたには早く元気になって退院してほしい、

 そう願う一方で、

 色褪せていく己の気持ちに

 目を背けることが出来ない自分がいます。




 「活きのいい男にしか興味が抱けないのは、

  健康な女だったら当たり前でしょ。」


 私達のことをよく知る友人が言いました。




 あなたのことを嫌いになったわけではないのです。

 毎日のように惰性的に交わされるあなたとの会話。

 見通しのつかない退院の日。

 そういった諸々の事情が

 私達の恋を曇らせているのでしょう。




 昨夜、




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 その後、

 あなたからの返信が途絶えています。



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2006年05月19日(金) 大切な指輪を失くしたら


 ふと気がつくと、

 左手の薬指にしている指輪がありませんでした。

 あなたから貰った最初の指輪。



 いつ、どこで外したのかが思い出せなくて…

 血眼になって探しました。

 職場で指輪を外すということは絶対無いから、

 あるとすれば家の中の筈。



 キッチンのシンクや

 バスルームの棚、

 ベッドの下や隙間など

 思いつく場所は全て。




 『どうしよう…

  失くしたことをあなたに伝えるべきか否か…』


 伝えればきっと

 あなたはがっかりするでしょう。

 でも、たとえ今黙っていても、

 いつか気づかれてしまうと思うし。




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 いつの間にこんな場所に置いたのでしょうか。

 全く記憶にないのです。




 とりあえず、

 すぐにあなたにメールを送りました。


  ごめんなさい。

  指輪を失くしました。

  でも、安心して。

  必死に探して、たった今見つけたから。



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2006年05月03日(水) ピリオド


 担当医師に器具の使用ミスがあって、

 一時はICUに搬送されるかもしれないという

 容態にまで陥っていたあなた。

 不幸中の幸いで医師が素早くミスに気づき

 適切な処置をしたため、

 最悪の事態は免れました。



 数日安静に過ごしていた個室を出て

 四人部屋に戻ったあなたは、

 本来の治療を始めました。



 春の日差しが暖かい週末に

 あなたの病室を訪ねました。

 その後の治療が順調だったこともあって、

 あなたは思ったより明るく見えました。

 病院生活が退屈なのか

 あなたはいつになく饒舌で、




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 最近

 誰かから聞いた話を思い出しました。

 愛する人が病気になって

 毎日のように病院へ通い、彼を励まし、

 彼の回復を願った彼女。

 恋人が元気になって彼女の元へ戻った時、

 彼女が彼に告げたのは別れの言葉でした。



 変わったのは彼なのか、彼女なのか、

 それとも二人の関係なのか。

 いずれにしても人の心は

 時として理不尽に動くものです。



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小夜子

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