anxious for Heaven

鳥かごなんて、最初からなかった。

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2007年11月30日(金)
本当は
辛いんだろうなって知っている
安心して心を解きほぐせないから
疲れや、焦りや、苛立ちや、不安や
いろんなものが凝り固まっちゃって
震えて震えて仕方がないんだろうなって
本当は知っている

チカラ抜いても良いんだよ、って
ぐにぐにとマッサージをしてあげたい
肩も、首筋も、腕も、気持ちも

子供みたいに抱っこして、頭を撫でてあげたい
よしよし、大丈夫だから、って

自分がそうされると安心するように
相手もそうされると安心するんだって
きちんとそれは理解している

本当は似てるから

全く違うように見えて
本当はそっくりだから

親になる、けど
自分達もまた子供なんだって
それは否定できないことで
完璧な親になるつもりなんかはない
そんなことは目指していないし望んでいない
大人であり、親である自分と、そうでない自分を
きちんとそのまま見つめて認めていたい

親でしかない、大人でしかない、なんて
そんなのは息が詰まってしまいそうだ
『親』たる者も、『子』たる者も
そんなお仕着せのような堅苦しさを纏いたくない


たぶん、だけど
『親子』という定型枠にはまっていたくないんだな
親だから○○、なんて、役割や定義よりも、まず
一緒にいる仲間でありたいな、と思う

だから
無理して大人振ったり
無理して親振ったり
そんなのばかりじゃなくていい

確かに守るべきことはあるけれど
背負うべきものもあるけれど
親と子、大人と子供、であるより前に
三人の対等な人間でありたい

だから
『大人のくせに甘えるな』
とは言いたくない、な
『甘ったれるな』とは言っても、ね

甘えて良いし、解きほぐして良いんだよ
そのための『帰るべき家』なんだもの

よくわかんないけどね

2007年11月26日(月) とりあえず吐いとけ
自分がすっきりするためだけの日記。

痛い痛い。いーたーいー!
なぜ右っ腹だけ痛む!?
盲腸はとっくに切除済だぞう?
右を下にして寝ても、上にして寝ても、仰向けになっても痛い。
そして昨日の夜からの張り…10分間隔?陣痛?
なんて様子を見てると遠退いちゃうし、忘れた頃にまた来るし。
前駆陣痛なんだろうな。
そういえば前駆陣痛を『さきがけじんつう』と読んだ冬寿は、賢いのかお馬鹿なのか…。

腰が痛い。お腹が重い。
あと数日さ、って思いもするんだけど、その数日が苦しいなぁ、これは。
今日か?明日か?来週か?
いつまで、って明確なゴールがないから、苦しい。

痛かったりするのには慣れてるし、そもそも痛みには強い。
でも、ね、多分期待や焦りやいろんな相乗効果で、より強く感じるんだな。
うん、痛くて、苦しくて、でもわくわくする気持ちもあって。
痛いのに、苦しいのに、このまま続け!とも思っちゃって。
続かないと、本陣痛つかないし。

もうちょっと頑張るか。
どのくらいが『ちょっと』なのかわかんないけど。

冬寿にも、早く会わせてあげたいよ。
今から楽しみにしてるんだもん、ぺたぺた触るの。

…あの人が急に勉強なんてしだした影には、落ち着かないからって理由もありそうだなぁ。

さて…今日も頑張ろう。
明日でまた、区切りが変わるから、ねっ。
長い長い40週間の、最後の1週間になるから、ねっ。

2007年11月24日(土) Countdown
予定日まで



週に一度の通院は思ったよりも大変で
片道1時間以上をバスに揺られて行きます
時間帯によっては直通バスがあるので
予約の時間を調整してもらったり

モニターをお腹に巻いての検査は退屈で
でも印刷される折れ線グラフを興味深く見ています

超音波断層写真は既に画面からはみ出していて
表示される推定体重もぐんぐん増えていきます

お腹は重くてもう仰向けに寝ることも出来ません
寝返りを打つたびにお腹はパンパンに張ります

ほんの少し歩いただけでも重さと痛みが走ります
だけど普通の妊婦さんよりずいぶんスタスタ歩きます


27日は水道工事で7時間も断水になるから
その日はもう入院していたいなぁなんて
身勝手なことを考えるけどどうなるでしょう
今夜の満月を挟んだ5日間が出産ラッシュです
大潮の波に乗れたら良いのになんて期待もします
1時間単位でしか睡眠がとれないくせに
強烈な眠気にノックダウンされそうなのですが
最後の休息だと身体は理解しているのでしょう
眠れるときは眠るように心がけましたが
やっぱり何かをしないと落ち着けません
まだまだ毎日料理をしていたりします



あと10日

2007年11月18日(日)
きちんと眠れますように、と、薬を1錠だけ飲み込んだ
1日1時間半の睡眠がずっと続いていて
このままじゃ出産に体が耐えられないからね

薬を飲んで、少し頭がとろけてきたくらいが
一番自分の素直な気持ちを思い知るみたいだ

寝る前の挨拶を、と、冬寿に電話をかける
声を聞いていると、何でもないことでじんわりする

何かあったら、すぐ連絡するんだよ?
風邪引かないように、きちんと布団かぶってな?

言葉もそうだけど、優しい声だなぁ、と改めて思う
(喧嘩してるときは、それはそれとして)
うん、たぶん
言葉そのものより、柔らかい声に優しさを感じるんだなあ

今は
顔が見えない、手を繋げない、頭を撫でてもらえない
だけど、だから
なおさら、その声に、包まれている感じがする

昔の、遠距離恋愛時代のようでいて
でももっと身近で、暖かくて、安心出来るような

家族なんだなって思う

新しい家族にも、その声で語り掛けてあげてほしいな

さんにん家族になるまで、あと、何日?
予定までは、あと、15日
最長でも、あと、30日

短くて長くて、長くて短い
最後のふたりの時間も大事にしよう

2007年11月15日(木)
一番つわりがひどかったとき(ちなみに3日で4キロ落ちた)
洗面所で泣きながら吐いていた私を見て、冬寿が言った

もう、やめてもいいよ
ごめんな
見てるのも辛い、泣きたくなる

結局、臨月間近まで微妙につわりは続き
今も2日に1回は吐いたりしているんだけど
何とか『やめる』ことなくここまで来た

元来、体が強くないものだから、しょっちゅう寝込み
フラフラになった時期もあったけれど、何とか

全部終わったら、ご褒美あげるから!
何が良いか考えてな!
楽しみがあったほうが頑張れるでしょ?
だから絶対決めとけ!

と、最近の冬寿はよく口にする

物欲がないものだから、ご褒美なんて思いつかない
でも、考えろ、決めろ、と言われたので
これかなぁ…というものを思い描いてはいる

そうやって、冬寿はご褒美をくれようとするけど
私は彼に、お礼がしたい

無理だな、手が届かないな
そう思っていたもの、そう思っていたことが
いくつも形になってきた

普通に暮らすこと
薬を飲まずにすむこと
好きな人と暮らせること
美味しく食事ができること
小さな命を守ること

辛かったり苦しかったり大喧嘩したり泣いたり
怒ったり死にかけたり怒鳴られたり悩ませたり
マイナスのことだってたくさんあるんだけど

それでも楽しい毎日です、と言えるのは
他でもない冬寿のおかげだから
いろんなものをこの手に握らせてくれたのは
他の誰でもない冬寿だから

ありがとうを形にしたい
いっぱいお礼を言いたい

…一生に何度も言わないし?w

ご褒美を考えると同時に
お礼を考えていたりもする

…どうしよう、ね?



さて
あと20日をきったけど(予定日まで)
どう、なるかな?

なんだか遅れそうな気すらしてきたよw

2007年11月13日(火)
砂糖を小さじ半分くらい入れたホットミルク
これを飲むと、心なしか、眠りが深くなります
(ただしトイレも近くなる…)

あんまり薬を多用したくないので、出来れば
このホットミルクだけで寝たいと思うのです

今日は何だか、いつになく落ち着かなくて
そわそわするような、変な感じがすごくするから
早く眠ってしまいたいんだけど、な

なんだろうねぇ、この違和感ってば…
陣痛でも来たらいいんだけど、ね〜

まぁ、たぶんそれはない…かなぁ

早めに電気を消して、寝る態勢に入りましょう

お腹の奥の方から響いてくる
しゃっくりの胎動が気になるけど、ね

2007年11月08日(木)
この病気で、なんども入退院を繰り返して
それでいて、ここまで理想的な回復をした
あなたはとても稀な、類を見ないケースなんです
特に私たちの専門外来は、出来てまだ数年で
だから、あなたのような回復を辿った人が
後続のお手本になるような人がいることは
たくさんの患者さんの、そして治療者の
とても大きな励みになるんです
ありがとう、だから、ぜひこのまま
好ましい状態をキープしていきましょう


ということを言われてしまったわけだけども
退院した4年前からこれまでのことを
長い時間をかけて話し合っていると

いろいろあったなぁと思うわけで

ずっと調子が良かったの?という質問からはじまり
時系列順に出来事やストレッサーを話していると
とてもじゃないけど、平穏じゃなかった気がするし
実際、よく持ちこたえたという感じらしかった

じゃあ、なぜ回復への道を辿れたのか?というと
環境を、自らの強い意志で変えたということ
(仕方なくとか流れでとかでは意味がないらしい)
(私にとっては家庭からの半解放がそれにあたる)
過小な自己評価をやめたこと
(以前ほど自責の念に囚われなくなった)
同時に、過大な自己評価をやめたこと
(独力で対応しようという無茶をしなくなった)
(ひいては誰かの助力を求めるようになった)

そしてなにより

『本当に、旦那さんの存在は大きかったのね』

医師やカウンセラーと話せば話すほど
冬寿という人が、いかに『ありがたい』か思い知る

ただ、感謝の意味での『ありがたい』ではなくて
文字通りの『有り(在り)難い』存在なんだ、と

きちんと知っていてくれて
きちんと受けとめてくれて
きちんと支えていてくれて

『だけど、それは、彼の持つ資質も大きいけれど』
『あなたが打ち明けて、かつ努力できたから』
『ふたりの力で、今のこの現状がある』
『縁と契機を上手く見つけて手放さなかった結果』

本当に、感謝しなくちゃ、だ

そして

その結果を象徴するのが、産まれてくる娘になる

それは単に、回復した結果というだけではなくて
回復に至るまでの、紆余曲折や努力や信頼や
言うなれば、辿ってきた道筋の証であり

同時に、最後の契機そのものでもある


大事に、しなくちゃね


というか
そこまで理詰めで考えなくても
十分大事なんですよ、可愛いし!
むしろ
頭使って突き詰めるのはやめちゃいました
だって、そんなことしなくなったほうが
ずっとずっと人らしく生きていけるもの
今までの半分くらいしか、考えなくなって
今までの倍くらい、生きやすく楽しくなりました

…と伝えたら、笑われたけど、ね
笑いながら、『でも、それが大事なことだ』って


考える能力というものがあるばかりに
人は何でも頭で、理論で考えてしまうけれど
本来、そんなことばかりしなくても
きちんと生きていけるようには出来ている
本能や感情は、何のためのもの?
理性や理論は、何のためのもの?
前者はきっと、生きていくためのもので
後者は、それを支えるためのもので
なのに、後者にばっかり振り回されて
自分を生きにくくしちゃったら意味がない

だから
うまく使えばいい、本能も理性も
頭だけじゃ、生きてなんていけないから

たぶん、そう思えるようになったことが
私にとっての『回復』なのかなぁって


とりあえず今は
お腹の娘を大事にしましょう
冬寿の存在を大事にしましょう
さんにんで仲良く楽しく生きていきましょう
いつも笑えるように
泣いてもまた笑えるように
すれ違ってもまた手を繋げるように

だから、心だけじゃなく、実際そうできるように

ちゃんと、無事に産まれておいでね

2007年11月07日(水)
ようやく涼しくなってきたこの頃

冬寿から、コートが届きました
里帰り前に、頼んでおいたのです
『寒くなってきたら送って〜』と
…まだまだ日中は20度前後だけど
今のうちしか受け取れないから、ね

届いたコートのポケットの中に
…折り畳んだ手紙が入っていました

たいしたことは書いていなかったんだけど
(6行くらいの手紙だったからなぁ)
その、短い文面の中で、胸を打たれたのは

次会うときは、みんなで!

という、何気ない一文でした

何気ないのに、短いのに、…重い

みんなで、かあ
うん、そうだね
もう、ふたりじゃないね
次は、さんにんなんだね

その、まだまだ先のような気がする『次』すら
実はもう、30日をきっていて
(こればかりはズレるかもしれないけど)
(しかも、前にズレるか後ろにズレるかすら…)

いまだに、いまひとつ、ピンとこない
『みんなで、さんにんでいる風景』

でも、確実に、目の前にあるはずなんだよね

あと…何日かな

ふたりの間の子供に会いたいと同時に
冬寿に会いたい気持ちも、とても強い

恥ずかしくて馬鹿みたいだけど
まだ、どこかで、恋をしているみたいだ
もう、3年も家族なのに、ね

たまには
離れてみることも必要なのかも…ね
いつもどこかで感じている思いだけど
より一層、強烈に実感出来るから



頑張るか。

2007年11月04日(日) 回遊
静かで穏やかで、波のない単調な暮らし
体を労り気を使い、待ちの態勢で過ごす日々

それはとても大事なことなんだけど
同時にとても退屈なことでもあって

そろそろ動きがないかな、と思う自分もいる

あと一月もすれば
毎日が戦いで忙しなくて、何もかもが未体験で
疲れや焦りや寝不足に悩まされる日々が来る
楽しくて微笑ましくて可愛くて
そういう面もたくさんあるだろうけれど
夢ばかり見ているわけじゃなくて
たぶん辛いことも多いんだろう、ともわかっている

それでも、今は
早くそんな日々がやってきてほしいんだろう
追われたくて、振り回されたくて
がむしゃらになりたくて、動きたくて

やっぱり
とまってなんていられないみたいだ、自分
身体でも心でも
回遊魚のように泳ぎ続けていたい

悩みを濾過して、苦しみを吐き出して
お腹いっぱい、新しいものを詰め込みたい
プラスのものは、糧にして血肉にして
マイナスのものは吐き出して

一連の消化活動が『生きる』ということなら
それはやっぱり、泳ぎ続けていないと果たせない

新しい餌場を求めて
またぐるぐると

一緒にいられると思ったのは
たぶん、間違いじゃない。
written by:Kyo Sasaki
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