J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2004年12月21日(火)    レイが会社を辞める!?

J (3.秘密の恋愛)

9. これからのこと (6)


それって、つまり、。
実家へ帰って来いってこと、だよな。
ということは、。
「えっと、それは会社を辞めて、ってこと?」

私は注意深く確かめるようにして聞きました。
レイは私の顔をまっすぐ見つめて頷きました。


レイが会社を辞める!?
そんなことは!
そんなことは考えもしなかった、、。

私の心に暗雲が広がる。
どうしてか暗い気持ちになる。
思わぬレイの言葉にいささか気が動転もしたようでもあった。
頭の中がくるくる回るがうまく機能しない。


私はジントニックをごくりと飲んでから、
考えを纏めなら話を繋げる。

「そうか、、で、レイちゃん、君はどう思ってるの?」
「私は、、。会社を辞めたくないんですよね。でも、父は、、。」
「帰って来いと、。」
「そうなんです。」

レイは私の言葉を確かめながら自分の話をしている。
私はレイの気持ちを確かめるように話を聞いている。

「なんでまた、そんな話になったの?」
「通夜の晩にこれからどうするって話になって。
 おじいちゃんもおばあちゃんも年だし、お父さんは仕事があるし、
 弟はまだ高校生でしょ、お姉ちゃんはあのとおり結婚して家をでてるから、、。」
「え、じゃぁ、家事をやれって、そういうの?お父さん。」

「そうじゃないんです、もちろんそれも少しはあるんですけど、
 父とは約束してたことがあったんです、」
「何?」
「、、、会社に就職する時の約束、。」


レイは口篭る。
なんなのだ、はっきり言ってくれないとわからないじゃんか。

「、、どんな約束なの?」
「3年位したら帰って来いよ、って。」
「ふうん、、。なんで?」
「それは、、。できれば私は地元の人と結婚してもらいたいから、って。
 東京にいって悪い虫にでも憑かれたらこまるからな、って。」


悪い虫!?
どこかで聞いたような話だな、、。(参照こちら


   2004年12月02日(木)    父が、帰って来い、って言うんです、、。

J (3.秘密の恋愛)

9. これからのこと (5)


「うん、ほんとに。気遣いができるいい人だった。
 僕は直会の時、彼のおかげで救われたよ。」
「何を?」
「いやさ、僕は誰が誰やらで、右も左もわからなかったろ、
 彼がこちらに、って言ってくれたからあそこに座れたんだ。
 そしたら、君の隣の席だったんだけどね。」(参照こちら
「あー、それで。」
「僕はあの時うれしかったよ。君に話ができるって思ってね。」
「うふふっ。そうですか?」

私がレイに話すことができてうれしかった、と聞いて、
レイはとてもうれしそうな表情をしました。

「そうさ、だって知らない人ばかりなんだもの。」
「うーん、そうでしたよね、ごめんなさい、私気がつかなくて。」

ちょっとしたひと言でレイはまたしゅんとなりました。
私は言い方がまずかったな、と少し反省しつつ。

「あ、いやぁ、そういう意味じゃなくって。」
「どんな意味なんですか?」
「えっと、ほら、君はそれどころじゃなかったから、さ。
 そんなこと気にしないでいいんだよ。」
「ふぅん、。」

レイは思案顔。
私はうまい言い回しが利かなくて焦りつつ。

「つまりぃ、僕は君と隣り合わせに座れてよかった、これで君と話ができる、
 と本当にそう思ったんだよ、ってこと、なだけ。ほんとだよ、他意はないよ。」
「、、はい。」

レイは私の言葉を確かめるようにして、そして頷きました。


「でさ、そこで、これからのこと、話したよね、。」
「ええ。」
「なんだっけ、それで?」

やっと話を本筋に戻した私でした。

・・

レイはシリアスな表情をになり、口を開きました。

「、、実は、父が、」
「ん? お父さんが?」
「父が、帰って来い、って言うんです、、。」

え!?
どういうこと?


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