J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2004年09月07日(火)    私はここでいいのか。

J (3.秘密の恋愛)

8. 誤解 (3)


行き着いた先は和風の小料理屋でした。
玄関で靴を脱ぎ座敷に通される。
どやどやとした人の流れの最後のほうで私は上がりました。

会場に入ると席は決まってはおらず、
私はさてどうしたものかと思いましたが、
レイの姉の旦那が戸惑う私を見掛けて
すぐに声を掛けてくれました。
「工藤さん、。こちらにどうですか。」

私は彼の心遣いに安堵しました。
知り合ったばかりとはいえ、
彼はこの場では私にとってただ一人の知人。
見知らぬ人々の中で唯一心を許せる相手でした。


レイの姉の旦那、島田は上座の端のテーブルに座っていました。
このような席は何度か経験しているので勝手は知っている。
けれど、この地方のやり方ってどうなんだろう。
私の立場でそこは適した場所なのだろうか。
座を見渡すと取り立てて決まりはないようだが。。
誘われるまま島田の前に腰を下ろしてみたが一抹の不安も残る。

島田の隣にはレイの姉がいる。
さらに上の席には血縁の近い者が座っている(ように見える)。

私はここでいいのか。
それとも私がどこに座ろうと構わないのだろうか。
もっとも、私が周りの人の素性をまったくわからないのと同様に、
周囲にいる人々も私の素性をまったくわからないのであろうけれど。

まあいい。
いづれにせよ、借りてきた猫。
おとなしくして成り行きにまかそう。
一応、オレは客人であろうしな。
多少の無礼も知らぬことだからと勘弁してもらおう。

と、私は腹を決めて。
タバコを燻らし直会が始まるのを待つ。

レイは?
と見回すと、遠い方で見知らぬ人と話をしていた。
親戚の誰かなんだろうな。
レイはどこに座るのかな。

などと遠く見ていたら、、。

レイはこちらに来て、
私の隣に座った、
のでした。



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