もっとつらいことや、悲しいことや、人の負の部分を分かり合わなければ楽しい毎日は送れないのだと勝手に信じてきたけれど、それは寂しい人間のマイナス面のストイックさであったのだろう、もっと素直に、明るく、楽しくまっすぐに、毎日過ごしたいと思う。春になったら国分寺に、学芸大の桜を見に行く約束をした。
私の知らない、昔の日記を続けて読む。アイスホッケーをしたりジョギングをしたり、近所の人とけんかをしたり、ディズニーシーに行ったり小池栄子をブスだと非難したり、ハムスターを床に落としたりしている。
私はその頃、就職活動をしたりアルバイトと教習所を両立させようとして分刻みのスケジュールをこなしたり、毎年男の子に振られたり、赤ペンでゴス日記を書いたりしていた。
土曜の夜は「チャイカ」でロシア料理のコースを食べた。週刊新潮の50年記念号を見せてもらい、面接の話をした。私は好きなように話し、好きなように笑い、好きなように眠っている。手に触る時、いつも、私の手の温度について話した日のことを思い出す。
2006年02月25日(土) |
生まれて初めてピザをとる(写真) |
今度は母方の祖母が亡くなった。大宮で通夜。おばあちゃんは曲がったことが大嫌いで、勝負には勝たないと気が済まない、とても気の強い人だった。死に顔も、「穏やか」、「安らか」というよりはとても気丈で、凛としていた。遺影も、全く笑っていない。ああ、この人はきっと、これからもちゃんと、歩いていけるんだろう。三途の川を渡っておじいちゃんに会えるだろうと思わせる顔だった。私も自分が死ぬ時には、哀れみの涙を誘うのではなく、「ああ、大丈夫だね、この人は」と思わせるような顔をしていたいと思った。
祖母は足腰が弱ってから、施設に入っていた。3週間前に脳出血で入院。「数日中にお葬式だと思う」と母から電話がかかってきてから、粘りに粘って結局3週間眠り(生き)続けた。
「バナナちゃんが仕事が忙しいから、おばあちゃんがお通夜を日曜日にしてくれたのかもしれないね」。母が涙ぐみながら言う。私もそんな気がする。おばあちゃんは、孫に借りなんて作りたくなかったんだろう。
いとこたちにも久しぶりに会った。親戚一同集まって、どうということはない会話が繰り広げられる会場にいるのが、私はとても好きだ。通夜ぶるまいの間は、隣に座ったいとこのお嫁さんと話した。新婚生活はどうですかと尋ねると「まるさん(いとこ)はね、絶対に台所に立たないから、大変」「ハウスウエディングはお金がかかるよ」と色々教えてくれた。
一人人が死ぬ。一方で、新しい家族が増える。みんな別々に、それぞれの責任で生きているけれど、振り返るとこんなにたくさんの、血の通った人々がいる。
土曜日に彼と一緒にテレビを見ていたら、ブランチで表参道ヒルズオープンのお知らせをやっていた。「バナナちゃんは、表参道行くの?」と聞かれた。行っても行かなくてもどっちでもよかったので「うーん1回は行くかも。デルフォニックスっていう文房具屋さんができたみたいだから」と答えた。
彼は、「僕はね、僕はね、回転ドアとか怖いから、表参道ヒルズなんて絶対行かないっ」と言う。(表参道ヒルズに回転ドアはないと思う。)
その日、夜にたまちゃんからメールが来た。
「表参道ヒルズ、もう、なんか、すごいドン臭いよね。本当に落ち込むよ。僕が好きだったデザインとかアートとかファッションとかってこういう形で結実するのか。郊外の国道沿いにあるカラオケとゲーセンとビデオ屋とファミレスがくっついたパチンコ屋と何も変わらないよね。何も変わらないよ」。
この人たちは、大切なことをよく分かっていると思う。
----------------------------------- ■最近ボンヤリと思ったことのメモ
絲山秋子『沖で待つ』を読みました。とてもよい。新しく好きな作家ができてうれしい。最近いろんなものに不感症気味だったので。この人はINAXで営業していたのだそうです。最終的に心を病んで辞めてしまったそうですが、1989年入社で2001年退職だから、約12年勤めたということか。受賞の記者会見での「私が社会とつながっていることを実感させてくれたのは会社だった」という言葉がとても印象的だった。
映画『RIZE』見ました。ダンスの映像が本当にすごい。バレーダンサーのジョルジュ・ドンが踊っている『愛と哀しみのボレロ』を見た時と同じような衝撃。人の身体表現が見せる、あの奇跡のような瞬間……とか難しいこと書いてもアクセス上がらないもんね〜。
2006年02月11日(土) |
石蕗の花とカトウさん |
私の母の高校・銀行員時代の友人で、カトウさんという人がいる。お会いしたことはないが、向田邦子のような女性だと、勝手に私は想像している。
旅行が趣味の、教養豊かな女性だ。本の虫でもある。しかし気取ったところは全くない。おしゃべりが大好きで、「ねえあなた、あの本が良かったわよ」と母によく電話をかけてくる。話し始めると止まらないらしく、毎回1時間以上の長話になる。
努力家で、英語も独学で修得した。母と同じ高卒にもかかわらず、行員時代は外貨の窓口で外国人の対応をまかされていた(母曰く、当時の女子としては異例の出世だったという)。
文学やら歴史やら、あるいは世界各国の文化、文明などについて、彼女が知らないことはない。彼女は今から20年ほど前、イランに旅行に行った。周囲の誰もが「イランなんて何が面白いの?」という顔をした。彼女は特にその地を選んだ理由は述べず、その旅行を楽しんだと母に葉書をくれた。母はあとから「イランにはメソポタミア文明の発祥地があるわよね。カトウさん、きっとあそこに行ったんだわ」とはっとしたように言っていた。彼女に話すと、四大文明のうち3つはすでに訪れており、「インドがまだなのよ」と笑っていたそうだ。
彼女は40歳を過ぎても結婚しなかった。
「恋のようなもの」を経験しなかったわけではない。30歳の頃、旅先で博学な老紳士と知り合った。年齢は彼女より30以上も上であったが、これほど刺激的な会話ができる男性は初めてだった。銀行の同僚も、見合いする男性たちも、漱石や島崎藤村、中上健次には興味がなく、海外といえば「ハワイですか?」と聞かれた。退屈だった。彼は違った。定年退職後、彼は世界中を旅しているという。彼女が当時興味を持っていた、東欧諸国を訪れたときの話を、たくさんしてくれた。
旅が終わり、お礼の手紙を書いた。返事が届くのを楽しみにしていた。突然、奥さんだという女性から電話がかかってきた。「主人に手紙を書くのは、やめていただけますか」。それ以来、連絡はとっていない。
当時「独身貴族」という言葉があった。「カトウさんはもう結婚しないわね。彼女に合うような高い教養のある男の人って、なかなかいないのよ」。母は言った。
ところが10年前、突然葉書が届いた。「結婚しました」。カトウさんは、ヤマモトさんになっていた。相手は、バツイチで5歳年上の会社員だった。大手ゼネコン勤務で、収入は申し分なかった。前の奥さんとの間に3人の子どもがいた。カトウさんは、「完全に縁を切ってくれたら結婚する」と言い、相手の男性は慰謝料の支払いを前倒しで終了させ、籍を入れた。
しかし、実際に生活を始めてみると、カトウさんの日常は180度変わってしまった。夫は極端な亭主関白だった。海外旅行が大嫌いで、妻が旅行をすることも禁じた。食事は徹底した菜食主義。外食は決して許されず、休日の昼食でさえご飯、味噌汁、おかず3品以上を作るよう命令された。カトウさんの自由な時間は、夫を送り出してから帰宅するまでの数時間。読書だけが何よりの楽しみとなった。
今年も、カトウさんから母へ年賀状が届いた。「運動不足で骨が弱ってしまったので、あなたを見習って散歩をしています」。年賀状、寒中見舞い、暑中見舞い……彼女は折々の手紙を欠かさない。100人以上に送る年賀状でさえ、墨をすって1枚1枚手書きで完成させる。
今日、私はずいぶんひさしぶりに、中目黒駅に降りた。目黒川沿いの「カウブックス」を覗いていたら、欲しかった古本が見つかった。すでに絶版になっており、出版社にも在庫がないと言われた1冊だった。広津桃子『石蕗の花』。カトウさんが一昨年の今頃、母に電話ですすめてくれた本である。一人の女性の人生を思いながら、私はページを繰っている。
こんばんわ メ−ルありがとう
61歳です。早いもんだネえ。 サイクリングと散歩で健康です。(お母さんも同じです)
ところで、今夜は帰る頃・雪だとか 足元気をつけてね。
花粉症対策と通帳については、あとでお母さんと研究してネ。
カメラ取り扱い注意してね。重いだろうから。 無理をしないようにネ。
デジカメ写真を添付します。川島町の白鳥です。
では また おとう・おかあより
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メ−ルありがとう
花粉症つらいよね 出来ることなら身代わりになってあげたい位です。
漢方を試してみようか?
銀座の若草漢方薬局へ行けば高村さんという薬剤師さんが 本当に相談に乗ってくれるのかしら ?
そうであるならば行ってみて、よく話を聴き自分の症状も説明した上で、 安心できるなと確信を得たところで、薬の服用を試してみてはどうかしら。
あくまでも慎重に体の状態を見ながら、お試し・お試しの精神で、 お金のほうは相談してね。
銀行口座の件は、よく考えてからのほうがいいと思います。 りそな銀行・郵便局・埼信以外だと、吹上・鴻巣・熊谷 などにはありません。
現在の口座引落の電気・ガス・家賃他の再手続き・ その間の振込み等が煩雑なので。
おばあちゃんは依然として昏睡状態が続いています。 ではまた おかあさんより
2006年02月07日(火) |
EOS Kiss買いました。 |
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