あなたに会えた。
待ちあわせの場所にたどり着くと、しばらくして、あなたが到着した。
車を降りて、あなたの車に乗り込んで、「やっと会えたね」とお互いに言い合った。
「会いたかった」と。
車を、人気のない路地に止めて、真っ先に、ギュっと抱きしめあった。
会っていなかった時に感じていた不安がうそのように、あなたの肌のぬくもりから、抱きしめられた腕の強さから、愛を感じることができた。
「肩をもんでくれんか」と言われ、マッサージをしながら、いろんな話をした。
途中、私の足を触って、「相変わらず、すべすべだね。いつも綺麗にしてるな」と言った。
「そう?魅力的に思える?」と聞くと、「もちろんよ」と言われた。
「おまえは、ものすごく魅力的よ」と。
私は、けっして、魅力的と言われるような部類の人間ではない。
あなたにはそう見えるほど、私に気持ちが向いてきてるんだと、嬉しく思った。
あばたもえくぼという言葉がある。
あなたから見えている私は、それなのだろう。
「旦那にも言われんか?おまえは魅力的だって」と言うので、「まさか」と答えた。
本当に、そんなことなど、微塵にも思われてはいない。
家で、時々顔をじっと見られては、「ぶっちゃいくだな〜」と冗談交じりに言われる。
そうかといって、あなたと軽く会うときは、別人のようにメイクをしているわけでもなくて、ファンデーションを薄く塗る程度。
そんな私が、魅力的に見えるというのだから、本当に、ありがたいことだと思う。
「本当に、一緒に暮らしてみたいよね」と言ってみた。
「そうだなー」とあなたはいい、さらに、「どんな生活を送っているかな。楽しい毎日だろうね」と聞くと。
「そうだなー。毎日お前の手作りのご飯を食べて、一緒にお風呂に入って・・・」と、考えながら言ってくれた。
「それから?それから?」と私はワクワクしながら、その続きを待った。
「あとは、ゆっくり過ごしたいねー」とあなた。
「テレビを見て〜、休みの日にはドライブして〜」とそのあとに私が続けた。
「紅葉を見に行って〜」と私が具体的な例をあげると、「紅葉とか、四季の自然は、いつも現場で山ばかりみてるから、もういい」と笑いながら言うので「え〜」と言って、「じゃあ、温泉ドライブ」というと、「それはいいかもね」と言ってくれた。
「こんなに続いてるってことは、居心地がよっぽどいいってことなんだろうね」と、同じ話を蒸し返してみる。
あなたは、素直に、そうだなと答える。
「長く一緒にいられるってことは、そういうことなんだろうな」と。
そういうことが聞きたくて、同じことを何度も何度も話題にする私に、真摯に答えようとしてくれる。
時々、今目の前にいる人は、本当にあなたなんだろうかと思いたくなるほど、あなたは私に向き合ってくれて、私は幸せでいっぱいになる。
帰る間際、「会えて嬉しかった」というと、「嬉しかったのは俺のほうよ」と言ってくれた。
会えた。
夢のような時間はあっという間に終わり、夜がきて、とてもとてもせつない気持ちでいっぱいになってしまっているけど。
幸せでいっぱいだったはずなのに、胸がしめつけられる思い。
好きって、苦しいね。。
今日もず〜〜っと話をして過ごした。
どんなに話しても、話し足りない。
抱きしめても抱きしめても、はかない。
運転中は、ずっと手を握っていた。
はしゃいではしゃいで、「よく考えれば、俺たち、おじさんとおばさんなのにな」と、あなたは笑いながら言った。
いろんなことを話しすぎて、何から記録していけばいいのか。
忘れないうちに、嬉しかったことから書いていこうと思う。
今日、一番嬉しかったことは。。
私があなたに抱き付いて、「ものすごく愛してる」と言うと、「ばーか、俺のほうがもっと愛してるよ」と言われた。
まさか、そんなことを言われるなんて。。
空想の中での、こんなこと言われたいな〜と思うような言葉を、現実で、言われるなんて。
信じられない気持ちで、聞いていた。
それから、、「私に、やめてほしいこととか、嫌なところは、ある?」と聞いてみた。
「あったら、直していかないとね♪」と。
そしたらあなたは、少し迷って、「そうね〜、もう会わないって言うこと」と言った。
「会わない、会えない、かな」と付け加えた。
「そんなこと言わないし!」と言ったけど、やめてほしいことが、私への不満ではなくて、自分の願望だったことに驚いた。
私は、うざいことを言ってしまう自分を戒めてもらうつもりだったのに。
あなたの愛を感じて、本当に私の心は慰められる。
あなたも、自分で今日のことを、進歩だと言っていた。
仕事だと偽って、私と会ってくれていること。
「おまえのために、時間を作りたいと思っていたのよ」と、俺もお前のことを思っているんだということを、伝えてくれた。
いつか一緒に暮らしたいという夢も、また語り合った。
私が前に、80歳くらいになったらーという話をしてたので。
「80は遠いな〜」と言った。
「じゃ、60?」と聞くと、「そうだな〜、そのくらいには一緒になれてるんじゃないかな」と言っていた。
へぇと思った。
夢物語に、付き合って、私に合わせて相槌を打ってるだけじゃないんだと感じることができて。
あなたと会える日まで、あともう少し。
私は、その日が、ダメになってしまうんじゃないかと、怯えている日々。
楽しみにしていると、ダメになるという、何かのトラウマなんだろうね。。
ダメになると思うと、ダメになるから、そう思わないようにしているけど。
これがまた、難しい。
絶対会える、現実になる、楽しい一日が待っていると、ウキウキしていたいけど。。
期待しすぎると、ダメになった時の衝撃が大きいから。。
考えないように、考えないように、心はニュートラルに。
数日前の電話で、「その日は、少し仕事が入って、朝は職場に顔を出さないといけなくなった」と言われた。
私は、ドキドキして、嫌な予感を打ち消そうと必死だった。
でもあなたは、「9時くらいには終わりそうだから。少し遅くなるけど、ごめんな」と、朝早くから出かけられないことだけを、申し訳なさそうに言ってくれた。
中止でなければ、全然構わない。
私は、ホッとして、「わかったー」と告げた。
次の日、「仕事は大丈夫?やっぱり、朝だけじゃなくて、1日仕事になるとか言われてない?」と聞くと、「それは大丈夫」と言われた。
「仕事するって言われてるけど、俺は断固として拒否してるから。どうしてもはずせない用事があるって、言ってあるから大丈夫よ」と言われた。
私を優先してくれていることが、とてもありがたかった。
なんとしてでも、時間を作りたいと思ってくれている気持ち。
私たちの仲は、ここまで進展したんだなーという、感慨深い思い。
あなたの、私に対する、思いの強さ、気持ちの変化。
昔々、あなたがまだ、結婚もしていない頃。
私への思いはそんなに強かったわけではなくて、ただの仲のいい、友達以上恋人未満の関係だった。
そんな私が、あなたと遊ぶ約束をしていて、優先順位に負けて、悲しい思いをしたことが、何度もあった。
まだ、携帯がない時代で、遊ぶ約束は、家の電話から。
今から会おうと言って、あなたの家まで行って、あなたの家の近くの公衆電話から、「着いたよ」と電話して、会っていた。
いつものように、「着いたよ」と電話すると、「ごめん!おまえから電話きた直後に友達から電話がきて、今からそいつと会うことになった。おまえはもう、出てるやろね〜と思って、連絡できなかった」と言われて、しょんぼりしながら、帰ったこともあった。
クリスマスの日、会っていたら、あなたの友達から電話がかかってきて、麻雀に誘われ、そっちへ行ってしまったこともあった。
クリスマスという、特別な日にも、ないがしろにされていた過去。
そんな理不尽な仕打ちにも、耐えながら、私はあなたを思い続け、今に至る。
私が、恋愛で得たものは、「忍耐」に尽きると、つくづく思う。
そんなあなたが、仕事よりも私と会うことを優先してくれる。
なんて感慨深いことだろう。。
なんとしてでも、阻止して、おまえと会うからという、強い意志。
嬉しくて嬉しくて、胸がいっぱいになる。
「どこに行こうか〜」とワクワクしながら、計画を立てる。
「だけど、おまえ、あんまりあちこちうろうろはできないよ。俺も仕事してることになってるし、どこで誰に見られるかわからないから」と言われた。
「え〜〜、1日中ラブホにでもいるつもり〜?どこか、海とか山とか外で遊びたいよ」と言うと、「いやいや、ちゃんと、どこかには行くのよ」と慌てて、言ってくれた。
「お弁当作ろうかなと思ったんだけど、、暑いから腐れるかなと思って、迷うんだけど」と言うと、「腐れはしないんじゃない。早めに食べたら大丈夫やろ」と言われた。
「お弁当作ってほしい?」と聞くと、「食べたいねぇ」と言ってくれた。
「お店で食べるのも、人目が気になるでしょ」と言うと、「そうなのよね〜」と言われた。
「じゃあ、ラブホで食べる?」と聞くと、「いや、どこか、外で」と言ってくれた。
そういう、私の思いも、くみ取ってくれていることが、本当に嬉しい。
どうかどうか、無事にその日がやってきますように。
なんのアクシデントもなく、無事に会えますように。
幸せで、楽しい1日になりますように。。
まだまだ、電話だけの日々。
なかなか会えない。
けれども、嬉しいこともあった。
夫が出張でいない日を告げると、いろいろ考えてくれたみたいで。
休みの日に、仕事になったことにして、時間を作ってくれることになった。
昼間のデート。
一体、何年ぶりだろうか。
そして、昔した約束が、やっと現実になるという喜び。
7年くらい前から、「おまえともっとゆっくりできる時間を作りたいね〜」と言われ続けていて。
「いつか有休を取って時間を作るから、どこか行きたいね」と言っていた。
いつ?いつ?と、聞いてはいたものの、現実になることはないだろうと思って、ほとんど諦めていたけど。
あなたから、いろいろ向かってきてくれていることが、本当に嬉しい。
今朝の電話では。。
電話を切る間際に、「いつものあれを聞きたいですか?」と冗談ぽく聞いてみた。
あなたは、「おう、もちろんよ。聞かせんか」と素直に応じたので。
今度は、私が、「どうしよっかな〜」と言ってみた。
そしたらあなたは、「あ〜〜おまえ、そんなこと言うわけね〜」と笑いながら言って、「俺の知ってるお前は、そんなこというやつじゃなかったのにな〜。もっと素直でかわいらしい女だったのにな〜」と言った。
私も笑って、「こんだけ待ちぼうけをくらえば、意地悪にもなるのよ」と言って、「でも、この先にすごく嬉しいことが待ってるから、言ってあげる」と言って、「愛してるよ」と伝えた。
あなたは、満足げに、「おう」と言った。
「あなたは言わないんでしょ。また今度ね」と言うと、「おう、俺は会った時に」と言っていた。
念願の約束は、実現するだろうか。
どこまで行けるのだろう。
どのくらい一緒にいられるのだろう。
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