あずきの試写室

2003年12月28日(日) 「ザ・ビッグ・ワン」

マイケル・ムーアが新作本のサイン会&講演会をかねて
全米各地47都市を50日でめぐり、
その間にアポなしで、巨大企業に突撃してしまおうという。
無謀ながら、毎度のバイタリティで
あちこちの企業で煙たがられつつも、
一般市民の立場にたって
どんどんいってしまう姿は
マイケルお願い!
なんて頼りになりそうなほど。

この作品のとりを飾るのは
スポーツシューズの大手ナイキ。
全世界で有名な
ナイキの会長フィル・ナイトをこの映画で
初めて見ました。
靴は知っていても、会長は知らなかった。。
こんなおじさん(失礼)だったんだ。

巨大企業とリストラ問題で
どこの企業も
「元社員が、困らないように全力を挙げて
新たな職場を見つける」的な
キレイごと(失礼)を
語っているのを見ると。
世界共通語のように感じてしまう。

映画の中でマイケルは
「国名をビック・ワン」
にしたらどうかと提案しているが。
タイトルの名
ビック・ワンはアメリカのことであり、
巨大企業の会長ひとりひとりが
ビック・ワンだと思っているんだろうなあと思いつつ。
そんなビック・ワンに振り回されてしまう
ひとりの中に自分もいるんだと感じてしまった。

マイケル・ムーアの声が
もっともっと企業の奥に届きますように。



2003年12月25日(木) 「ラストサムライ」

最初CMで見たときは、ラストサムライって
トム・クルーズのこと?アメリカ人なのに?
なんてとんでもない勘違い女でしたが。
すでに賞候補となっている
渡辺謙の勝元のことだったのですね。ほっ。

もともと幕末時代が大好きな私。
最初のトムが横浜港に入港するシーンは感動。
暇さえあるとセピア色に映っている写真を見たりしていたので
そのままあの写真の世界が動いている。すごい!!
1870年代の再現を
忠実に目指していたというだけあって、
かなり力が入ってます。
服装や武器なども、下手な時代劇より
よっぽどリアルで、勿論お金のかけかたが違うけれど、
ハリウッド映画ということを一瞬忘れそう。

注目されている戦闘シーンでも、
思わず函館戦争で、土方さんが馬上で鉄砲に撃たれて落馬した姿を
重ねてしまいました。すみません、妄想しすぎ。

ちょっとロード・オブ・ザ・サムライ
なんて見ていて想像しちゃうほど
迫力あるシーンが展開されます。
やっぱり馬はすごいよな。
官軍わかりやすい衣装だな(笑)

大村演じる原田眞人監督がほんとにくにくしい演技でした(笑)
また天皇演じる中村七之助さんの声が
頭に響いてくるようで、勝元と対象的でしたね。

個人的には、時代劇大ベテランの福本清三さんとトムに
もう少し、面白いからみがあったらよかったなあ。

一緒に行った家の人は
「小雪のへっぴり腰でくわを持つ姿は、どうにかならのかな」
って。そんなところまで見てないって(笑)



2003年12月23日(火) 「ミッシング・ガン」

「鬼が来た!」のチァン・ウェンが主人公で、
ストーリーも警官がなくした銃により殺人が!
なんて感じで
思いっきり、サスペンス映画を想像したのですが
全然違ってました(笑)

勿論、銃をなくすことによって、
主人公の心配は無限大。
自分の責任で、関係ない人を巻き込んでしまうと。
勿論銃を知らないか、それとなく(ばれたらまずいから)
聞いていて回ってみるものの。
田舎町が舞台で、しかも住民が
みんな知り合いだったら。
もう伝言ゲームのようですね(笑)
あ。知られていたか。。。なんて。

かといって、大雑把というわけじゃないです。
ル・チューアン監督が
「薄汚くがちゃがちゃした中国人のイメージを払拭して
実は繊細で弱い」という考えををもって
作られているのですから。
といっても、その意図が大成功!かはちょっと疑問(失礼)

30歳の若き監督の、カメラワークは
コッポラ監督を師と仰ぐだけあって
斬新ではあるものの、
あののどかな景色と住民を見ていると
事件が起きても
やっぱりのんびりした気持ちになってしまうのでした。



2003年12月22日(月) 「灰の記憶」

アウシュビッツを扱った映画はたくさんありますが
今日この映画を見て、今後どの映画が
印象的だったかと聞かれたら
まずこの作品が上がってしまうほどでした。
正直年末年始に、ちょっと見てみようー
なんて感じで見るのには
全くおすすめできません。

この作品を見るまで
ゾンダーコマンドなる存在があることを
知りませんでした。
特別労働班なる班に属するユダヤ人は
同じユダヤの人々の死体処理をすることで
4ヶ月の延命を約束されるというもの。

生き延びるために選択される
そんな極限の状況におかれた人々と
ガス室から生き延びた少女をともに描くことで
より人間の本質を浮き彫りにしています。
まったく話さない少女が
唯一話すシーンは
あまりにも切ないです。

人間ってどこまでいってしまうのか。。。
感情移入とか、想像とかの上を
いってしまう世界。
決して、解りきったことはいえない世界。
二度とあってはならないと
戦争が現実として
考えられる今だからこそ
切実に思うのでした。



2003年12月18日(木) 「フォーンブース」

あっという間に日常生活の一部に
入り込んで普及した携帯電話。
それとともに姿を消しつつある
町の公衆電話。
そんな最後の砦のような
ニューヨーク8番街にある
たったひとつの公衆電話(フォーンブース)のみで
1時間20分を見せきる演出(脚本)はなかなかのものです。

勿論コリン・ファレルの演技力にもあるのですが、
声だけしか出てこないキーファー・サザーランドの
心をざわざわさせるような
低音の声は、印象的です。
どうしてこう、いじわるな会話を
後から後から繰り出してくるかね(笑)って感じ。

舞台が地味だからこそ、
周りの人物描写が気になったりもする。
奥さんの存在だったり、
ちょっと余所見をしたくなるような可愛い女性の存在だったり。
警官や交渉人といった存在も。

主人公スチュの鎧のように固めた心の中心へ
どんどん周りを削ぎとるよう
会話が浸透していく様は
スリリング。うん。

フォーンブースを中心に
カット割りされて
同時進行で状況を映す演出も、
地味な画面に
あきさせない工夫が。
スチュの追い詰められた
心境がリアルに感じられて、良し(なんかえらそう)

公衆電話で、呼び鈴が鳴ったら
やっぱり思わずとってしまうものかな。
非通知以前に絶対に知り合いのわけ
ないと分かっているのにねー
ってそれを言ったら物語は始まらないのでした。










2003年12月16日(火) 「ファインディング・ニモ」

「モンスターズ・インク」で、まるで
一緒にその場にいるような臨場感と躍動感を
味わわせてくれたピクサー社。
世界で一番といわれるアニメ技術とはいえ、
このニモの水の中の世界は
ただただ圧倒されてしまいます。

とにかく、水のきらめきや流れ
いそぎんちゃくや海草といった
一つ一つが、息づいている!マジ!なんてぐらい。
テレビのドキュメンタリーで見る
水中の世界よりも
もっと生き生きしてるみたいに。

さらに、その中を自由自在に動き回る
さまざまな生き物たち。
ニモやお父さんのマーリンもさることながら
アオウミガメやエイ。
水槽の中だけど
アカシマシラヒゲエビ(なんかマニアック)の
動きひとつひとつが滑らか。
それにくらべて
人間の動きは繊細さとは程遠くー
人間ってなあって、自分が魚になったつもり(笑)

ストーリーはいたってシンプルだけれど、
もうこの水中の世界を眺めているだけで
わくわくした気分。

マーリンとともに旅をするドリーが
独特のキャラで、
とくに歌を歌いだすと結構笑えます。
それにしても
本来なら子供だと可愛い役割になりそうながら
適役のダーラ。なんかチャッキーみたい(笑)
(でもニモもマーリンも動きはとってもかわいいんだけれど
よーくよーくみると顔は人面魚みたいで、ちょっと怖い。。って失礼)

とにかく、水槽のようなテレビ画面で見るのではなく
海のように大きなスクリーンでどうぞ^^



2003年12月11日(木) 「少女の髪どめ」

「運動靴と赤い金魚」のマジッド・マジディ監督最新作。
といっても、タイトルから敬遠していて
後からしまったと思った運動靴なので
今度は髪どめで勝負だ!(なんの・・・)と
初の監督作です。

イランに住むアフガン難民の姿を描いているものの。
底にある深い悲しみや不安を前面にだしているのではなく、
テーマは限界を知らぬ愛。
マジッド監督のコメント
「愛はあらゆる境界線を越える力がある」
良い言葉ですね。

作品の中でも、最初は少年だと思い込んでいた
バランが、実は少女だと分かった時から
主人公ラティフの心は愛を感じはじめるのですが。
ラティフの心変わりが、あまりに極端なので
最初笑ってしまいました。
ここまで変わるかーーって。

その後の無償の愛は見ている私まで
ああ。バラン、彼の気持ちを少しは
くんでいるのだろうか。。。と
思わず憂いを秘めた瞳に訴えたくなってしまいました。

ほんと私も、幕末時代に生きた人を愛している(オーバーかしらん)
ので、境界のみならず時代まで超えてしまうと実感。
監督のメッセージの愛と一緒にしたら失礼ですね。。反省。






2003年12月07日(日) 「デッドコースター」

前作「ファイナル・ディスティネーション」が
ホラー作品としてわりと良くできているわりに、
興行的にはいまひとつで
残念と思っていたものの。
なんと2ができるとは。
しかも邦題は「デッドコースター」
映画の中では1のことにも触れているのにさ(笑)

とそれはさておき。
前作よりもさらにパワーアップしてますねー。
前日の「CUBE2」とはえらい違い(失礼)

とにかく、助かったーとほっとさせといて
更なるどんでん返しが。
なんていう場面が1時間30分の中に
何度も出てくるというサービス精神。
まあ、こんな簡単にいくわけないよねって
思うんだけれど、ついわっと思ってしまう。
製作者の思う壺です。うんうん。

なんだかイメージとしては
ドミノ倒しを連想してしまった。
とめようとすると、どんどん次のこまが
倒れていってしまう。

1から引き続き登場のクレア役の
アリ・ラーターが良いです^^
容姿はちょっと怖め(笑)なのですが
頼りがいのあるお姉さん的役が板についてます。
主人公キンバリー役のA.J.クックよりも
アリのほうが、個人的にはヒット!

怖いけれど、結構笑えるのはなぜ。。うーん。。。
やりすぎだからか。。。(笑)







2003年12月06日(土) 「CUBE2」

「CUBE」を見た時は、その斬新な発想と
低予算でも、これだけ迫力のある
映像を作ることができるのだと
ただただ圧倒。
確かに結末は、解決されてはいなかったというものの
2が出るとは思いませなんだ。
まあ作ろうと思えば作れるとはいえ
1の完成度を超えることはむりであろうと。
勝手に思っていたのですが。
2果たして。

ヴィンチェンゾ・ナタリ監督から
引き継いだアンドレイ・セクラ監督。
お気に入りの「レザボアドックス」の
撮影監督だったとはちょっとびっくり。
真っ白で、ラインの入っている
CUBEの中が続く映像は
無機質だけれど、あくまでも真っ白な色彩が
結構綺麗かも!なんて思いましたが。
相変わらずの邪悪さ(笑)

でも、前作のぞぞぞっとする感じとは
なんだか違っているのは、
新鮮味がいまひとつかけているせい?

というよりも、
実はなんだか良くわからなかったのです(おおおい)
パラレルワールドを形成しているのか。。。

やっぱり1の完成度に、
CUBEの意味づけをするのは難しかった
気がするのですが。どうでしょう。

8人の男女の中で、主人公ケイト演じる
ケリー・マチェットは
「カンパニー・マン」にも主演しているので
ほんとのところナタリ監督作で
出てみたかったのか、聞いてみたいところだなあ。



2003年12月04日(木) 「エニグマ」

近所のレンタル店で、出た出たと
しっかり「デッド・コースター」の空箱をレジに持って行ったのに
帰宅して、さあ見ようと出てきたのが「エニグマ」だった。なぜ??
で、料金も払っちゃったので見てみました。

ミックジャガー初プロデュース作品でもあり、
エキストラ的にちょこっと出てもいます。
いあ。見ている時は気がつきませんでした。
後からメイキングを見てわかりました。
あの特徴のある顔で気づかないとは。。もぐりあずき。

戦時中イギリスにあった暗号解読センターブレッチリー・パークが
舞台になっていますが。
このセンター戦後30年目にして、初めて一般の人々に
その活躍を知られるようになったって、すごいなあ。
当時1万人の人が勤めていたというのに。
現在は、博物館になって一般に公開されているというので
見てみたい。

暗号解読者のみなさんが、これまた個性があって
今で言うハッカー、暗号おたくとでもいうのでしょうか。
でも、そういう面白みは正直あんまり描かれていないのです。
暗号解読が勿論テーマなんだけど
恋愛物語りもミックスして、戦争物!!と
堅苦しさだけを強調していないところは
とっつきやすいです。
でも、逆になんかなんだなー。
だって、主人公の天才数学者恋にくるって
去っていこうとする恋人に、秘密を教えれば去らないでくれるのか的
雰囲気になっちゃって。どうよ。
うーん、恋のためなら教えちゃってもいいほどの秘密だったのか(爆)

天才役のダグレイ・スコットが、地味ーで、苦悩する
主人公を違和感なく演じています。ほんと地味な役者さんだなあ。

それにしても、びっくりなのがケイト・ウィンスレット。
激太りと一時期聞いていたのですが、
かなりのボリュームで。。。
「乙女の祈り」の時が、懐かしいです。。。。

マイケル・アプテッド監督作品とのことで
マデリーン・ストウ主演の「ブリンク」
久々に見てみたくなりました。

暗号は解読できたけれど、女性の心は解読できなかったという
映画でした。違うけれど、なんだかその点ばかりが。。。。
エニグマ機の構造はなかなか面白かったです(う。それだけ・・・)




2003年12月01日(月) 「theEYE」

「タイムリセット」も「レイン」も
面白く見れたので、ダニー&オキサイドの双子の
監督作品は相性がいいかも!と思っておりましたが。
「theEYE」一般評価はどうあれ
個人的には面白く見れました。

作品の前半部は、ほとんど音響によっての
怖がらせ方に凝っていた様な。
映像的に怖いのは大丈夫なのですが
音が後ろからどーんと来るのは
苦手なほうなので、
ビデオでありながら、
音声控えめにしてみました(意味ないじゃん)

ホラー映画でありながら
途中から推理物のような雰囲気もあり。
とくにネタバレになってしまうので
詳しくはかけませんが、
ある村に行ってからの
再現ドラマは
痛々しかったです。

主人公マン演じるアンジェリカ・リー
かわいいですね^^
いろいろなシーンで
怯えた目で見つめる姿が
ぞくぞくしてしまいました(あぶないね)

心理療法士ワー・ローを演じるローレンス・チョウは
頼りないなああ。療法士なのに。。
マンを守ってあげるどころか、
守られていそう。。。
DVDの映像特典に出てきたローレンスには
かなりびっくり(わからなかった)
大槻ケンジ??(笑)

若手二人の演技と不気味な霊のアンバランスさが
パン兄弟脚本で、違和感なく見れたのでした。


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