あずきの試写室

2003年06月29日(日) 「カノン」

行定勲監督作品の当作品。
劇場映画ではなく、テレビ放映用だったので
予算的にはあまりかかって、いなさそうな作品(失礼)
あ。低予算でも、全然脚本によってはオッケーどころか
すごいなあと感心する作品もあるのですが・・・

もういきなり屋外でグランドピアノを弾いている
ところから、不自然な音階が全編鳴り響いて
いきそうないやーな予感が(笑)

音楽が深い意味を持つ、ホラー作品といえそうですが
怖さというよりも、なんだか愛惜漂う雰囲気。
画面が、どんよりした感じで
見ていて、じめじめしました。

それよりも、なんかそれは明らかに変だなあと
ひっかかるところがいくつか。
屋外グランドピアノに匹敵する崖の上でのバイオリン演奏(笑)
なかなかありえないと思うのですが。
芸術家としては普通のこと。って訳あるわけないですね。

映画自体より、むしろ薄ボンヤリした画面の中で
ぎょろっと動く賀来千香子の大きな目の方が怖かった(笑)
果たして篠田節子原作に忠実だったのかなあ。
持っているのに、読んでなかった。。。だめじゃん。。

賀来千香子演じる瑞穂の学生時代を内藤陽子(新人かなあ)が
演じているのですが、どうしても昔の内藤陽子を
思い浮かべる私は、いったいいくつだ。



2003年06月26日(木) 「壬生義士伝」 (ああマニアック)

見終わったあと(いきなり終った後)家にある
「新選組隊士録」を見て見たら
主人公吉村貫一郎について
「慶応元年五月、土方歳三の江戸での隊士募集に応じて上洛し。。。
四年一月鳥羽伏見の戦いに敗走し、大阪で脱走した。。。。二十九歳」
って。え。吉村さんて29歳だったんですか。
なんか中井貴一が40過ぎているせいか、とっても
おじさんに感じてしまったのですが。
でもほんと、幕末時代の主人公ってなんだか若くても
みんなおじさんが役者をするせいか、年寄りと思っちゃうよね。
実際近藤さんだって35歳で亡くなってるのに。
50代にしかみえない人がしているしなあ。

勿論新選組が舞台となっているし、
吉村貫一郎が隊士であったのだけど、
私としては新選組の話ではなく
あくまで吉村一代記という感じで見てしまいました。
あ。史実と違って怒ったという訳では
まったくないです。

なんせ、新選組といえば、近藤を始め、土方・沖田と
来るのが普通ですが、あくまで3人は脇役。
むしろ、斎藤一が今回は吉村と対を張って主役。
斎藤演じる佐藤浩一がいい味だしてます。
斎藤一って「るろうに剣心」でも「風光る」でも
なんか主役じゃないけれど、光っているものなあ。
戦後どんな感じで警察官をしていたのか見てみたかったなあ。
(って100年も前の人だって忘れてますね)

って脱線しましたが。
明治に入って、当時を知る二人の出会いから
物語が始っていく構成は、なかなか面白かったです。
あの男だけの世界を、いかに見せるかという点も
思った以上にリアルで、あきさせない演出でしたが。
いかにせん、最後にくるにあたって
なげーよ(失礼)ってほどのくどさで
回想場面を繰り広げるのはどんなものだろう。
ああいう場面があってこその浅田次郎でしょうか(大変失礼)
もっとすっきりさせてもよかったかもと
思わなくはないですが。。。。

西郷、桂、高杉、勝、そして竜馬と沢山の才人を
世に送り出して来た幕末時代。
一般の人々の生活だって、それに負けない世界が
あったのだと、あらためて実感。

新しく「新選組血風録」みたいに
美男5人集といった、脇役の話を映画化してくれたらいいのになあと
思いつつ、いったい誰が見に行くのかといわれると困るけど。
少なくとも私は行くぞ!って営業にならないですね。
あ。中島登とかも出して欲しいなー。どんどんマニアックに
なっていくので、この辺で。

最後に、沖田演じる堺雅人いいですねー。
ちょっと昔の島田順二を彷彿するような。
沖田ってあんな感じだったらいいな。









2003年06月25日(水) 「白い船」

島根県平田市にある塩津小学校と
小学校の目の前に広がる海を
週1回決まって通るれいんぼうらぶという
フェリーとの心温まる
実話を元にした物語。

島根県の美しい自然と、ベテラン俳優大滝秀治さんの熱演。
まるで「阿弥陀堂だより」ならぬ「白い船だより」(笑)
なんて思ってしまいそうですが。
実際生徒とフェリーの乗務員の交わす手紙やFAXは
ほんとたよりですよね。

とにかく塩津小学校のみなさんがいい感じ。
全校生徒はたったの14人と先生方。
学年を超えて、また先生と生徒という枠を超えて
ひとつの家族みたい。
船を見つけたことからの流れはもう
生徒がはしゃいでるだけじゃなくて、
先生まで超盛り上がり。
いまどきの学級崩壊なんて言葉は
この学校では別世界の出来事だろうなあ。

見えるフェリーに手紙を出してみようという
発想も勿論のことながら、
みんなが純粋だからこそ実現できた物語。
その船に乗ってみたい!!
って夢見ちゃうなんて、かわいいし、ほのぼの。

実際の新聞は平成10年7月17日に
掲載されたそうなので、
すでに当時の小学生はほとんど
卒業してしまっています。
でも、いまだフェリーと学校の交流は続いているって
いい話ですねー。

私なんて思わず、アクシデントがあるんじゃないかって
勝手にタイタニックなどを想像(完璧毒されてます)した
自分が恥ずかしいほど。
心が洗われるようだなあ。



2003年06月23日(月) 「ストーカー」

今日写真屋さんに行ったのですが、
もしこの写真を何枚もコピーして
部屋に貼っていたと想像したら
確かに怖いかもなー。
なんてふと思いつつも、
作品自体はあんまり怖くないです。

世にストーカーあれど
まさか家族単位でストーカーするケースって
あるんだろうか?
主人公サイ(ロビン・ウィリアムス)は
写真屋さんに勤務。
そのお客さんのヨーキン一家の一員に
なることが夢。(なんか愛想のない説明)
孤独な男性の、寂しい妄想といったら
それまでなんだけど、
なんでそこまでヨーキン家族になりたかったのかが
いまひとつ不明。

サイがなんだかとってもお年寄りに見えちゃって
悪役というより、しょぼいおじさん状態に
ちょっと悲しかった。悲哀漂うロビン・ウィリアムス。

とにかくこの邦題が全てをぶち壊しそうな勢いです(笑)
原題「One Hour Photo」のほうが良かったなあ。
でも、インパクトがないということか。。。
ちょっとびっくりだったのが
子供が欲しがっている「エヴァンゲリオン」のフィギュア。
ちゃんと日本語で「新世紀エヴァンゲリオン」って。
思わず「残酷な女神のテーゼ」を口ずさみそうになりましたが(笑)

それはおいといて
ヨーキン=Your Kin(あなたの親族)という言葉を
かけているということですが。
そこまでこだわっているのなら
最後のサイの行動。
もう少しどうにかならなかったのかなー。
親戚のおじさんだったら、ああいうことはしないはずだ!
なんて力説してもしょうがないんですけどね。

ただあれこれ妄想しちゃうサイの心境は
ちょこっとわかる気がした私も
ストーカー予備軍か!やだやだ。





2003年06月22日(日) 「運命の女」

平凡だけれど平和な日々を送る
人妻の元に現れた、魅力的な若い男性。
ある意味古典的な設定を
いかに斬新に見せるか
エイドリアン・ライン監督の手腕に
かかっている作品。
で、「危険な情事」のような
あっと言わせる仕掛けを想像していると
結構ふぬけます(失礼)

せっかく現れた若く素敵な魅力的な男性に
求める事はそれだけなのかあ。ふう。。
なんて思ってしまうのはいけないのでしょうか。
もっと、精神的な繋がりなんて
言ったら、聖人君子みたい???
でも、なんだか
ただそれだけの世界が流れて行くのは
結構辟易。

リチャード・ギア演じる夫が
なんだか夫というよりも
お父さんみたいな雰囲気になっちゃっているから
妻が浮気をしたくなったのか(違うよね)

愛人のオリヴィエ・マルティネスの
魅力的なんだか、そうじゃないんだか
分からなったのが、致命傷か。

と自分は運命の人になれない
僻みの感想になったのか!
絶対に違うという前に、
パジャマにお菓子を食べながら
見ている状況をどうにかした方がいいかも。



2003年06月20日(金) 「集団殺人クラブ」

パッケージに女子高生が並んでいる写真と
タイトルから
イメージとしては「自殺クラブ」を
想像しちゃったんですが。
全然違ってました。
いつものごとく見る前から
勝手に想像しすぎ。。

タイトルと内容が全く違っているので
注意(どんな注意だ)
確かに5人の女子高生が
タケゾウなる怪しい男性を
殺すのですが。
別にクラブじゃないし、
集団とは言え、殺しているのは
二人ぐらいだし(細かいつっこみすぎ)

でもなんといっても
この映画遠藤憲一のタケゾウが怪しい。
といっても、気持ちは悪いけれど怖くない。
最初宮迫かと思ったんですが。似てませんか??
このタケゾウ。
ホラー映画のいろんな面を合わせたような
なんだかキレのよくないキャラで。
富江+寄生獣って感じでしょうか。

映像はテレビゲームの場面に
入り込んだような。
昔々の大林監督作品「ハウス」を思い出したり。

斬新なようで古い様で
怖いのかと思うと怖くなかったり。
中途半端な雰囲気は
すでに合ってないタイトルを
つけた時から決まっていたのかしらん。ふみゅう。



2003年06月18日(水) 「シャーロット・グレイ」

先日見た「阿弥陀堂だより」の日本の美しい自然と
今日見た「シャーロット・グレイ」のフランス南西部の
古くからある建物と自然にこれまたうっとり。
映画の内容云々よりも、まず景色に目が。。。
実はいくつか細かいことが
気になっちゃったのですが。
シャツの干し方変わってるなあとか(まったく関係ないです)

舞台背景としては、戦争の真っ只中なのですが
シャーロット・グレイという女性の
ある意味成長物語。
恋愛がらみでありますが、
語り口があっさりしているので
それほど甘くはないです。
むしろ静かな痛みを感じてしまいました。

主演のグレイ演じるケイト・ブランシェットが
ほんといいですねー。
あのブルーの瞳と真っ赤な唇に思わず吸い込まれそうです。
恋する女性から、自ら飛び込んだ世界に
恐れつつも、背筋をピシッと伸ばして
立ち向かっていく女性へと変貌していくのは
かっこいいです。

そんなケイトと互角に演じているのは
本来ならジュリアン役のビリー・クラダップなのですが
あえて私は、そのジュリアンの父役マイケル・ガンボン。
無骨ながら頼りになって
お父さん私も守ってくださいー
なんて思わず委ねたくなっちゃう存在感。

正直、思わずそれは無理だろうー
なんて思っちゃう箇所もあったのですが
少ない登場人物のひとりひとりが、
キャラクタとして立っていたので、
2時間の長さを感じませんでした。

それにしても、シャーロットが恋した軍人。。
どこにほれちゃったんだろう(笑)
わ。わからん。。。






2003年06月16日(月) 「阿弥陀堂だより」

とにかく奥信濃の自然と91歳の女優北林谷栄さんの演技と
そして、タイトルにもなっている
阿弥陀堂からの景色がとても素晴らしい!!
ワンダホーって言いたくなるほど(映画の雰囲気ぶち壊し)

私が子供のときからすでにおばあさんの役が
ぴったりだった北林さん。
いまや演技と実年齢が一緒になってしまいましたが
あの飄々と漂うような演技は
誰も真似できないぞと思うのです。

物語は妻がパニック症候群にかかって
ふるさとに戻ってきた、夫婦の生活が
メインなのですが、
その背後に、まるで絵画のように流れていく
奥信濃の自然が
時にやさしく、時に厳しく。
普段周りが建物に囲まれた
生活をしていると
忘れている郷愁を感じさせてくれます。

また小西真奈美ちゃんのにっこり微笑む姿が
とってもかわいくて、同姓ながら惚れ惚れ^^
いいなあ。うっとり。

心の中に、きっと阿弥陀堂での日々のような
風景があるはずだと思いつつ
心の深くに潜ってしまっている日常。
だけど疲れたときに、ふっと浮かび上がってきて、
また進んでいこうと思わせてくれる。
それこそ、自分に届く阿弥陀堂だよりかもしれない。



2003年06月14日(土) 番外編「舟越桂展」+「スタジオジブリ立体造形展」

東京江東区にある東京都現代美術館で開催されている
「舟越桂展」と同じ美術館で地下2階で開催されている
「スタジオジブリ立体造形展」行ってきました。

舟越桂さんの作品は、「永遠の仔」のカバーで
初めて拝見したのですが、
あの遠くを見詰めているような
それでいて、見ているこちらの心を
覗き込むような不思議な眼差しが
とても印象的でした。

今回、20余年にわたる創作生活で作られた
100点を超えた作品の中から約3分の1の作品が
展示されています。
全て楠から彫り込まれ、瞳だけは大理石が
はめ込まれています。

とにかく驚いたのが、触れてはいけませんが
柵など一切なく、そばまで行って
見る事が出来るのが良かったです。
いろんな角度で見れて、より作品のもつ
雰囲気を感じる事が出来るからです。
更に、明るく広い会場に
まるで人間と混ざり合い、
一瞬どこに作品があるのか
遠目で見ると解らなくなりそうな展示方法。
同じ目線で、対話できそうでした。いい感じ^^

木彫りなのに、着ている衣類は布のように
なだらかな線をとり、
まるで風が吹いたら、ゆらりと
はためくようです。

また圧倒的に多いのが
女性ともいえるし男性ともとれるような
中性的な雰囲気。
すっかり舟越さんの描く世界に
引き込まれてしまいました。

で、その思いを引きずりつつ
「スタジオジブリ立体造形展」へ

ジブリ作品全12作の登場人物達が
立体造形となって、展示されています(あ。そのままですね)
なんといっても今回の目玉は
製作中の新作「ハウルの動く城」の立体造形。
5mもある作品は、
舟越展から降りるエスカレーターの横からも
見る事ができるのですが。
まずその大きさに圧倒されます。
見た感じでは、硬そうなのですが
実際触ると柔らかいのにびっくり。
そうなんです、ハウルのお城は、実際に触れる事ができるのです。
細かい細工に、目を奪われるとともに
作品が公開された時は、どんな映像となって
見る事が出来るのか期待が深まります。

で・・・・・・・
実は他の作品が・・・・・
なんというのか、うーん
ナウシカだったら、オームはよく出来てるけれど
ナウシカがどうしてもマネキンのようで。。すみません。。
もののけ姫もモロの子供たちはいいんだけれど、
肝心のサンが。。。

比べてはいけませんが、最初に舟越展に行ったのが
まずかったかも。。
もし同時に見に行かれる方がいたら
(あまりいないと思うけど)
ジブリを先見たほうがいいです。うん。
これから期待して楽しみにしている人
ごめんなさーい。
お子さんにはとっても楽しいと思いますよー
(あ。全然フォローになってない)
ハウルの城はオススメです!(ほんと)



2003年06月13日(金) 「カルマ」

邦題は「カルマ」ですが、原題は「異度空間」。
違う温度の空間って感じでしょうか(そのまんまじゃん)
違うと思うけれど、
見ていてそんな感じがしちゃったのですが。どうでしょう。
主演レスリー・チャンの遺作となってしまったのは
本当に残念です。
あのすずしげで優しい眼差しが、切ないです。

幽霊が見える女性が出て来る
最初の話が長くて、
途中からレスリー演じる精神科医の話に
シフトしていくのですが、
自分としては、最初の女性の話が
もっと簡単で良かったのではないかなあという印象。
入れることによって
話としての深みをもたせているのかもしれないのですが。
どうも、どっちつかずになってしまった気が。。

レスリーの話になってからの
幽霊役の女の子は、すごい怖いというよりも
途中マトリックス??なんて思えるほどの
増殖シーンありで、変幻自在で圧倒されます。うん。

恋愛がからんでくる所が
「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」を
彷彿させたのですが、
「チャイニーズ」の方にもレスリーが
出ていたのですね。
ただ怖いだけのホラーよりも恋愛要素が入っている事によって
切なさが加味されて、しんみりしちゃいますね。

サービス精神旺盛な香港映画ですが、
ホラー映画よりむしろ
実録シリーズの方が怖いかも。
特にいまだうなされそうな「人肉饅頭」の
妙なリアル感は本当に怖かった。



2003年06月12日(木) 番外編「ロマノフ王朝展」と旧岩崎庭園

ロマノフ王朝といえば
アナスターシヤの生存説がとっても印象的ですが。
今回日本で初公開となるロシア正教の15世紀から19世紀の
イコン、聖盃やロマノフ王朝の贅を尽くした
宮廷生活の宝飾品やテーブルウェアなどが展示された
「ロマノフ王朝展」を見に東京都美術館まで行ってきました。

とにかく、想像以上のイコンが並んでいる様は圧巻。
細かい細工に、目がくらくらしそうなほどです。
また板に書かれた、宗教画も
一瞬コマ漫画を連想してしまいましたが(あ。失礼かなあ)
何百年も前に書かれた絵なのに
なんだかある意味新鮮に感じてしまうのが不思議。

また司祭が身にまとっていた品々は、
刺繍が細かくほどこされ、丁寧な仕事ですねーと
思わず言ってしまいたくなるほど。
頭にかぶる儀式用冠ミトラも宝石で縁取られ
思わずRPGの世界を連想してしまう
私はゲームに毒されてるでしょうか(むむ)
しかも「ベルセルク」も連想しちゃったし。

また宮廷で使われていたテーブルウェアは、
なかなか見ごたえがありました。
正直、お洒落!という感じじゃなくて
むしろおんどりをデザインしたワインセットなどは
ひゃあなんか怖い!なんて思ってしまったほど。
だって、カップの底に鳥の足のデザインがついてるんですよー。うひゃあ。
でも、ナポレオンがアレクサンドル1世に
贈ったという「エジプシャン・サービス」は
エキゾチックで素敵!
思わず覗き込んで、ガラスにぶつかる音がしてました(笑)

今までロマノフ王朝について、全くと言って良いほど
知識がなかったのですが、こうして直に歴史に関する品々を
一通り見終わった後は
「エルミタージュ幻想」を見て、再確認してみたくなったのでした。

その後、以前から絶対に行きたいと思っていた
三菱創設者岩崎家本邸だった旧岩崎庭園に行ってきました。
現在の敷地は当時の何分の1と狭くなってしまい
建物も当時は20棟あったのが
現存するのはわずかに3棟。
それでも、その贅を凝らした建物には
ただただ圧倒すされるばかりでした。

とにかく、廊下や各部屋の床にほどこされた
寄せ木のみごとさ。何種類もの木々を使った細工は
100年以上たった現在でも、これほど丁寧な仕事は
見た事がないぞと思わせるほどです。

洋館から続く和館。
まるで外国からいきなり京都に来てしまったような
一種の異空間が共に共存している不思議さ。

そして、洋館から地下通路でつながっている
スイスの山小屋風の作りの撞球室。
素敵すぎます!

そんな素敵すぎる建物を建築したのが
ジョサイア・コンドル。
鹿鳴館・ニコライ堂といった有名な建物を
建築した上、東京駅を設計した辰野金吾や
赤坂離宮を設計した片山東熊が
門下生だったというのですから
日本の西洋建築の父のような方ですねー。

洋館の中で働いている方に聞いた所によると
なんでも岩崎家はコンドルのパトロンだったとか。
その他岩崎家が持っている別宅の
設計も手掛けていたそうですが、
この旧岩崎庭園のみならず
熱海の別邸も是非是非公開して欲しいです!!
なんせ熱海の別邸の写真を見た時から
すっかり惚れ込んでしまいました。
広大な敷地の中を新幹線が通っているって(ふうう)

ロマノフ王朝と財閥岩崎家の夢のような
生活に触れて、優雅な気分に浸った一時でありました。




2003年06月11日(水) 「わすれな歌」

「6ixtynin9」でタイ映画もなかなか面白いかも!
なんて開眼させてくれたラッタナルアーン監督最新作。
今回も、主人公夫妻のめぐる人生は
なんだか随分回り道をしている。
ある意味巻き込まれ型のような、
自分から飛び込んでしまったような。

主人公ペンは、愛する妻サダウと別れて
兵役につくが、そこから脱走して
目指したものは人気歌手(いきなりな展開)(笑)
でも、世の中なかなか甘くなく、
プロダクションのMr.マリックのような
社長はかなり怪しく、ペンの災難は続く(サダウも忘れずにね)

タイトルのわすれな歌は、
ペンが人気歌手を目指すきっかけとなった
ある大会の時に歌った歌なのですが
哀愁があって良い曲です。
なんでも、劇中に流れる曲は
日本の演歌に近いような雰囲気の
ルークトゥン歌謡といって、
タイでも下層階級の人々が聞く曲だそうですが。
歌詞も、ある意味所帯染みているような。
で、その曲を聞きながらクラブのように(あ。違うか)
踊ってしまうのがちょっと驚き。
演歌で踊るという感じでしょうか(盆踊り?とも違いますね)
歌の大会しかも、
掃き溜めから脱出するという感じの大会(笑)
一瞬「8mile」を想像してしまいました(見ていませんが。。おい)

夫婦の恋愛を根底に描きながらも
そこにたどり着くまでの
どたばた劇は、気の毒なようななんというか。
一瞬夫婦愛を忘れてませんか?
わすれな歌っていっているのに
なんてつっこみを入れたくなりましたが(笑)

途中映画を見るシーンがあるのですが
ペン役のスパコン・ギッスワーンも登場している
「怪盗ブラックタイガー」だったのには笑えました。
香港映画や中国映画、はたまた韓国映画とも違う
タイ映画なんだか癖になりそうです。
よし!今度からトムヤンクン映画と呼ぼう(変わった味だけど癖になる)
いかがでしょうか。あ。すでにどこかで云われていた気が。。。
映画以前に自分が忘れない様に。。。




2003年06月09日(月) 「ワンダフルライフ」

タイトルから明るいイメージを
一瞬抱きましたが、明るくもなく暗くもなく
どちらかというと平坦というか。
起伏がないというか。

天国の入り口で
「人生の大切な思い出を選ぶ」ということを課せられる死者。
そんな死者たちと選択を手助けする人々との物語です。
(昨日まで読んでいた「ラブリー・ボーン」と一瞬だぶりました)
が、正直思いっきり泣ける
という感じとも違って。
うーーーん、むずかしいーーーー。

是枝監督は、ドキュメンタリー風の作品とも
考えていたようで、
死者たちの声を、ひとりひとり
思い出を語るシーンとして映していきます。
なんでも、いろいろな場所で500人の人から話を聞き、
その中の10人が実際に登場しているそうですが。
思い出といっても
人それぞれなので、楽しい話というよりも
ふむふむそうなんだーという感じ。
さびしいとか悲しいとかいう雰囲気じゃないです。

手助けをする役としてARATAさんが出ているのですが
「ピンポン」の眼鏡をかけた顔しか知らなかったので
一瞬わからなかったです。
でも、ほんと静かな魅力がありますねー。

ワンダフルライフ!!なんて声を大にして
いいたい雰囲気とは対極の
この雰囲気にはまる人と
なんだか気が抜けたちゃった人と別れるかも。

公式HPの過去のイベントにあった
「ワンダフルライフの撮影記録とそこに至る500人の記憶」
という写真展は行ってみたかったなー。



2003年06月08日(日) 「落穂拾い」

ミレーの名画「落穂拾い」を先日渋谷にて
生で見た時は、まだこの映画の存在を知りませんでした。

現代の落穂拾いを連想する人々を追っていく
ドキュメンタリー映画ですが、
アニエス・ヴァルダ監督の眼差しが
そのままダイレクトに伝わってくる作品でした。

市場で、鳩や鳥達と一緒に残った野菜くず(といっていいのか)を
拾って、そのまま口にいれてしまう男性。
といっても決して怪しい人ではなく(あ。変わった人ではあるか)、
普段は外国人にフランス語を教えていたり。

賞味期限を何日か過ぎたぐらいでは
全然大丈夫ーなんてゴミ箱から拾う人々。
はたまた、収穫が終った果樹園の果物を持っていく人から、
規格外の大量のジャガイモを捨てている
場所に車で乗り付け、何十キロも持って帰る人々。
実際私もあのジャガイモは拾っちゃうかも(笑)

勿論、食べ物だけじゃなく電化製品等も。
実際、粗大ゴミの日に出ている家電を見ると
使えそうな物がありますよねー。

監督はフランス国内をあちこち精力的に車で移動し
撮影していきます。
1928年生まれの監督のパワフルさと
人々のある意味バイタリティ溢れる生活に圧倒されました。うん。
監督自身が持って帰った
針のない時計は、なんだか不思議なオブジェのようでした。

監督の「ドキュメンタリーを撮影する事は
謙虚さを学ぶ一つの訓練」とHPで語っていましたが、
日頃、一日賞味期限が切れただけで捨てちゃったり、
まだ使えるのに新しい機種を買ったからと
簡単に捨てちゃったりする自分
もっと謙虚に生活しないといけないです。

「落穂拾い 二年後」という最新作があるそうなので
その後のみなさんにまたお会いしたいものです。



2003年06月06日(金) 「アバウト・シュミット」

ポスターのなんだかしょぼくれていそうな
ジャック・ニコルソンが、とってもリアルな中年男性を
等身大に演じていて、監督曰く「なりたくない中年像」が
やたらと真に迫っていて印象的な作品に仕上がっていました。

元々表情で怖がらせるのが得意なニコルソン。
今回も、とにかく派手なアクションは皆無なのに
表情だけで笑ってしまう。
「シャイング」のような怖い感じとは違うんだけれど
某夫人に甘えるシーンでの顔は怖い(笑)あ。キモイ(笑)

定年退職からスタートする第二の人生は
誰のもとにもやってくるからこそ
主人公に感情移入しやすいかもしれない。
シュミットに畳み掛けるように起こる出来事は
辛いしやるせない部分もあるけれど、
そのことをクローズアップして
暗い作品にしているのとは違って。
一種のコメディに仕上げている監督の手腕は
なかなかのものです。

とくに、フォスター・ペアレントという存在が
ポイントなのですが、
この映画を見て、男性の支援者が
増えたというのは納得。
私も一瞬なろうかと思っちゃいました。

それにしても娘の婚約者一家が謎(笑)
明るい義母さんのキャシー・ベイツもすごいし、
息子もイイ人なんだか抜けてる人なんだか(笑)
さらに、同居している人々が。。。笑えます。

観客の大半が中年以上の劇場内、
予告編は「アンパンマン」じゃない方が
良かったんじゃないかなあ(笑)
お孫さんを誘ってってこと??




2003年06月05日(木) 「プール」

先日見た「ニュー・ガイ」も本日の「プール」も
どちらもアメリカのハイスクールが舞台。
なんだか日本の高校よりも、詳しくなりそうな(笑)。
そして、どちらもキーワードは「転校生」

それにしてもタイトルは「プール」
これからの季節にぴったりですねー。
じめじめして、すっきりしなくて(あ。違ってた)

転校して来た女性に、ちょっかいを出したばかりに
怖い目に合うという、ある意味古典的なストーリーを
いかに斬新に見せてくれるかと期待していたのですが。。。

とにかくストーカー化する女子高生が
強すぎる!!
ある時は、医療機関にしのびこみ
そしてある時は、警官よりも強く、
その正体は、女子高生だった!
(無理だって)

そんな女子高生を演じるエリカ・クリステンセンが
なんだかぼーとした感じで。。。
男子がころっとだまされる雰囲気が
ないんですが。。(笑)
でも、目つきがなんかこわーい。
いっちゃっている雰囲気が出ていて、
あ。「トラフィック」のジャンキー娘の
視線から選ばれたのかしらん。

とんでもなーく、強いわりに最後は。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

まあB級スリラーと割り切ってみましょう。
それにしても監督
次回作はエドワード・ノートンくん主演の
「Fear Itself」ということですが。
大丈夫ですよね。。と余計な心配までしまったのでした。



2003年06月03日(火) 「ニュー・ガイ」

「ザコア」にも出演しているD.J.クォルズ主演とのことで
まず軽く「コア」の前に勉強(笑)ってあんまり出てなかったりして。
映画の紹介写真をみると、ちょっと不気味な感じでありましたが、
実際見たらなんだかソフィアの松岡君にちょっと
似ている気が。。。

学園で、まったく存在感のない少年が、あることから
刑務所に入り、囚人からいろいろ指南を受け
強くモテル少年に変身して新たな学校にいくのですが。。

正直変身前も後もそれほど変わらない気が(笑)
全編なんだかせこいギャグ満載。
「メリーに首ったけ」で脚本を担当したエド・デクターが
初監督に挑戦した作品らしく(あ。メリーの印象で)
下ネタ系もメリーに負けず多いですが、
なんだか笑いがすぺってしまったのが残念。

クォルズを指南する囚人役に「ジョンQ」の人質となった
ルーサー・エディ・グリフィンが演じています。
とくに目で威嚇するのが
オーバーすぎて笑える人と笑えない人と別れるかも。
私は、太ったダンスが上手い囚人が
まるでパパイヤ鈴木に迫る勢いのよさで笑えました。

ところどころ、アメリカ映画のパロディあり
カメオ出演ありで、細かいところに
気を配っていながら、全体的にチープな雰囲気なのは
なぜなのかなあ。

でも、決していやな雰囲気ではなく
出てくる人も悪役であっても、なんだか全体的に憎めなく
見終わった後も、やっぱり高校生時代って
いいもんだよね(そんな映画じゃない気もしますが)と
思ったのでした。

でも、150人は入る映画館、しかも都内で1館上映ながら
見ている人はたったの5人(涙)
しかも私のそばにいたのは70代のおじさまであった。
ニューガイいかがでしたか?聞いてみたかった。うん。




2003年06月01日(日) 番外編「黒船展」

今から150年前にやってきた黒船に、
幕末の日本人がいかに驚いたかということは、
歴史の教科書でも習った事でありますが、
実際日本の千石船が150トン級に対して、
2450トンもあったらそれはびっくりしますよねー。

と、いきなり歴史のお時間ではありませんが、
本日横浜歴史博物館の特別展「黒船」行ってきました。
以前から幕末好きの私には、黒船も
150年前に来た昔々の話ではなく、
つい5.6年前に来た感覚(それは無理ありすぎ。。。)
ペリー提督の肖像画も何度も見ていたので
未だ生きているような錯覚におちいりますが(って150年以上生きてる人。。)
そんな私のようなおたくは別として。

今回の特別展。貴重な資料が多数展示されていて
なかなか見所満点でした。
といっても、古文書よりもビジュアル好き(笑)な私は、
当時の絵師が描いた、とんでもなく細かい来航図や
ペリー家から寄贈された軍服とか
はたまた当時の人が見たアメリカ人の姿を描いた絵などが
いたく気に入って、魅入ってしまいました。

なにしろ、当時のアメリカ人の絵。
うむむ。全員同じ顔???はたまた鬼??
なんて形相だったりして、
いかに当時の人が脅威に感じたかよくわかります。
来航図も1人1人細かく描いてあり
こんなに細かくする必要があったのかと思わず笑ってしまうほど。
山より大きい黒船って(笑)

また大工さんが黒船のうわさを聞いて
思わず(だと想像)描いたのであろう
床板の落書きなどは
150年前の人であっても、
現代の私達となんら変わる事の無い
感性があって、ほほえましいです。
あ。でも、自分の家を建築中にいくら板の裏とは言え
大工さんが勝手に落書きしていたらどうか。。むむむ。。。

などとすっかり脱線しつつも
幕末への時を想像して、しばし現実を忘れたのでした。

それにしても歴史博物館のチラシに
ペリーでない人物がいますわかるかな?と
5枚の絵が載っているのですが
人と思える絵が2枚しかないんですが。。。(笑)


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