short story


2006年06月26日(月)


「相い対する」






あらゆる事象の基底値とされる時間軸は
こと、生きていくということに関しては
ただ一つではない。





2006年06月20日(火)


「祝福」







相手が誰かなんてどうだってよくて
自分が誰かなんてあまり考えず
今日が何曜日かなんて関係ないさ。

大事なのは
もう少ししたら日が暮れて
もう少ししたらご飯の時間で
お父さんの手は大きくて
お母さんと一緒に寝たら
もう明日になってるってこと。

そう言えば明日もキミは
この公園に来るの?





2006年06月15日(木)


「二度とは明けない空」



心からの優しさ。を
にじませながら
空は更けてゆく。

それは美しさと共に終端を象徴する
ある種の荘厳な儀式でもあり
侵食されて消えかかる
悲しみの歌でもある。

まるで人の死のように
二度とは明けないものを
私はできるだけ記憶にとどめようと
息を呑んで瞬きすらしない。


2006年06月08日(木)


「ボーダー」







大事なのは距離ではなく
境界線だと思う。
それは存在を個別化するために必要であるが
決して乗り越えられないものであってはならない。

僕らはその境界線が
一体どんなものかを知るべきだ。
越えるための通行証が
ある時は、言葉であったり
ある時は、優しさであったり
ある時は、沈黙であったりすることを知るべきだ。

境界線があるからこそ
僕らが抱き合った時
なんだかとてもぼんやりとした
なんだかとても確信に満ちた
なんだか温かな幸福感に包まれるんだということを
知るべきだ。






2006年06月02日(金)


「記憶の一部」



記録のためでなく
記憶のために
私は夢中でシャッターを切る。

それは私が生きている時間を
ごく一部であるけれど表現していて
少なからず、私が得たものの
忠実な模倣であるはずだ。

そうやって切り取られて
止まったまま残った私の記憶に
見る人がちょっと立ち止まって
私という人間を理解してもらえたらいい。

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日記才人