short story


2003年08月17日(日)


「この先の灯り」


ものすごい勢いで
僕の横へとやってきて
腕を引っ張りながら
あっちへ。こっちへ。

僕はしばらくはこのまま
あの人と歩いてみようと決めたけど
あの人はいつまでたっても進まないなら
僕も進めないんだ。

それなら仕方ない。
僕は待つよ。
待つのは慣れているから。

そう言った僕から
あの人はまたすごい勢いで
離れていった。

あまりに予想外で
驚きはしたけど
そうなるような気もしてた。
初めからうまくいくはずなどなかった。

あの人はこの先も
そうやって人を渡り歩いていくのかな。
と、ふと思う。
自分だけを愛して。


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日記才人