「窓辺」
風吹く窓に軽い足音。背後に伸びるのは穏やかな熱線。一枚の絵に納めるべきはただひとつの真実より僕とあの人とのあんなことやこんなこと。いつだって前言撤回しながら言葉と裏腹な口笛で風の中に紛れ込むんだ。今日は日が沈むまでこうしていよう。
「失うこと」
ただ笑い合い足りないものを補うように共に時間を過ごすことは僕が考えていたよりは複雑でそして残酷だった。軽々しく求めることはそれなりの代償を伴って僕から大事なものを奪う。それを引き止める場所に僕はいなく力もないのは自分で招いた種であるが選択肢のない道の真ん中で戻る事のないあの頃に思いを巡らす。だっていつだって僕はこんな結末を望んじゃいなかった。失うのは耐えられないこと。今はただ誰も僕を知らない世界へ行きたい。そこならばもう失うことはないかもしれない。