きょうの読書
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2005年08月25日(木) |
「デッドエンドの思い出」よしもとばなな |
人の心の中にはどれだけの宝が眠っているのだろうか――。時が流れても忘れ得ぬ、かけがえのない一瞬を鮮やかに描いた傑作短篇集。
大学の同級生である男女の出会いと別れ、そして再会に、普遍的な人生の営みを重ねた「幽霊の家」。会社を逆恨みする男によって毒を盛られたカレーを社員食堂で食べてしまった女性編集者の心の動きを描いた「おかあさーん!」。小説家の「私」が子ども時代に実家のある街で体験した男の子とのせつなく甘美な時間を回想する「あったかくなんかない」。そして、同じビルに勤める旅の雑誌を編集する男性への5年間の思いを実らせようとする女性の思いをつづった「ともちゃんの幸せ」など、痛苦に満ちた人生の局面にそれぞれのやり方で向かい合う女性主人公の姿が肯定的にとらえられている。
この人の本ははじめて読みました。妹がいいよーと言っていたので図書館で聞いたことのある題名だったこの本を借りました。――やられた〜×× ほんとによかった。他愛ない日常がすごく愛しくなるような、誰かと一緒にいたくなるような、すっと心に染み込んでくる作品だった。あっさりとして読みやすかったし。これから古本屋でこの人の本を集めようかなぁ。
昭和40年代の初め。わたし一ノ瀬真理子は17歳、千葉の海近くの女子高二年。それは九月、大雨で運動会の後半が中止になった夕方、わたしは家の八畳間で一人、レコードをかけ目を閉じた・・目覚めたのは桜木真理子42歳。夫と17歳の娘がいる高校の国語教師。私はいったいどうしてしまったのか。独りぼっちだ――でも、私は進む。心が体を歩ませる。顔をあげ、≪わたし≫を生きていく。
もし自分が今高校生で、寝て目覚めたら子供がいて夫がいて「お母さん」と呼ばれたら・・。登場する娘と夫がとてもいい人たち。この家族3人のほのぼのとした雰囲気が好きです。
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