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 ドラゴンランス(6)天空の金竜/マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン

内容(「MARC」データベースより)
全世界5000万部ファンタジーの第1幕がついに完結! 連続する危機、意外な展開、驚くべき結末に、あなたは涙する。そしてはりめぐらされた伏線の数々が、今こそ明らかに! 1987〜88年刊「ドラゴンランス戦記」改題。


主な登場人物&主な種族


<6巻のまとめ>

ローラナを救うために、<暗黒の女王>の地ネラーカに赴いたタニスたちだが、この巻で老ドワーフのフリントは、心臓発作を起こしてこの世を去る。騎士スタームのように、名誉のうちに死んでいくものもあれば、フリントのように、突然去っていく者もいる。悲しみに沈む一行の中で、謎の魔術師フィズバンが、フリントの遺体を抱いて、聖なる地へと連れて行く。老体とは思えぬその行動に、フィズバンとは何者だろうかという疑問がさらに深まる。

ネラーカの町で、タニスらは敵に捕らえられてしまうが、タニスはキティアラに取り入ることで、敵の中に潜入する。すでにキティアラからは心が離れているタニスだが、それでも完全にとはいえない。このまま敵方に入ってしまえば、どんなに楽かという思いも否定できない。だが、今はローラナを助けることが最も大事なこと。タニスもその気持ちに気が付き始めた。けして裏切らない。何があっても信じていて欲しいと仲間に伝える。

いよいよ<暗黒の女王>に謁見するときが来て、タニスはキティアラに服従するという苦しい演技をする。いざローラナが女王に捧げられるというとき、タニスは行動する。もはやキティアラには従わず、どんなことがあってもローラナを助けると宣言する。このときに助けてくれたのは、誰あろうレイストリンであった。

そして、仲間の皆が、苦しい中を必死で戦い、敵を倒し、ローラナを助け出し、とうとう暗黒の女王も消え去り、ようやく世界に平和が訪れたかのように見える。だがキティアラは今も生き残り、次の機会を待っているし、ドラゴン軍も全て滅びたわけではない。強大な魔術師となったレイストリンの本当の目的も不明である。話はまだまだ続いていくのである。

最後に、タニスはローラナに愛を打ち明けるが、ローラナはすぐには承諾しない。昔、愛していると思ったのは、幼い恋心でしかなかったので、大人になった今、もう一度考えてみるという答えであった。タニスもそれを了承する。すでにエルフとのわだかまりは解けている。

もうひとつ、謎の魔法使い老フィズバンは何者であったのか。その答えがこの巻にある。彼は善の神パラダインであった。

2004年11月26日(金)
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 ドラゴンランス(5)聖域の銀竜/マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン

内容(「MARC」データベースより)
かつてない壮大さと感動のファンタジーの第5弾。ドラゴン、騎士、エルフなどが争う壮大な「剣と魔法」の世界。ハラハラ、ドキドキの海外ファンタジー。1987〜88年刊「ドラゴンランス戦記」の改題。


主な登場人物&主な種族


<5巻のまとめ>

5巻では、じっと隠れていた善竜(銀竜系)たちが、悪竜たちと戦うために続々と登場する。また<暗黒の女王>が狙っている<緑宝石の男>ベレムが、タニスらに説得されて、<暗黒の女王>の地ネラーカに赴くことを了承する。女王がなぜ彼を必要としているのか不明だが、ベレムの胸に埋め込まれた緑色の宝石が、かつて<暗黒の女王>を呼び出したのである。そこに行けば、解決の糸口があるのではないかとの考えからだ。

キティアラの留守中に、仲間のもとに戻ったタニスは、嵐をついて船に乗るが、この仲間は、キャラモン、レイストリン、ティカ、ゴールドムーン、リヴァーウインドである。この船で、タニスらはベレムに出会い、かれを伴って、<暗黒の女王>のもとへと旅をするのだ。

しかし、途中でドラゴン(キティアラ)の襲撃を受けた船は、大渦巻きにのまれて沈没してしまう。だが、不思議なことにタニスらは、乾いた土地で目を覚ました。海底にあるシーエルフの土地である。

シーエルフの助けで、再び地上に戻ったタニスたちは、のちにローラナ、ギルサナス、タッスルホッフ、フリント、シルヴァナらと合流するが、その前に、ローラナたちは騎士たちの都カラマンで大いなる勝利をおさめており、ローラナは人々の英雄となっていた。だが、タニスが大怪我をして死に際にローラナに会いたがっているというキティアラの計略にだまされ、ドラゴン軍の捕虜にされてしまう。そこで、タニスらと再会するのだ。

そして、タニス、ベレム、ティカ、タッスルホッフ、フリント、キャラモンは、ローラナの救出へと向かう。

ここでは、竜の化身であるシルヴァナにより、ドラゴンの中にも善の竜がいることがわかり、それが非常に嬉しかった。だが、キティアラは相変わらずドラゴン軍にいる。それほど富と名誉が欲しいのだろうか。世界を支配する力が欲しいのだろうか。すでにタニスの心はキティアラから離れているようだが、まだキティアラの本心はわからない。

2004年11月25日(木)
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 ドラゴンランス(4)尖塔の青竜/マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン

内容(「MARC」データベースより)
かつてない壮大さと感動のファンタジーの第4弾。ますます展開もドラマチックになり、物語もひとつの大きな山場にさしかかる。ドラゴン、騎士などが争う「剣と魔法」の世界! 1987〜88年刊「ドラゴンランス戦記」改題。


主な登場人物&主な種族


<4巻のまとめ>

この巻では、タニスよりも騎士スタームが中心となる。騎士審理において、デレク卿の差し金で正式な騎士に任命されなかったスタームだが、ローラナたちの証言により汚名も晴れ、立派な騎士となる。最後に、その騎士道精神を発揮したスタームは、たった一人で青竜と対決し、名誉のうちに死んでいく。

その時の青竜には、タニスの恋人キティアラがドラゴン卿として騎乗しており、スタームの遺骸の前で、ローラナと対面するのである。それより以前に、キティアラはタニスに再会し、自分の軍隊に入るよう薦めているのだが、キティアラの変貌にとまどうタニスは、愛と友情との板ばさみで苦悩する。

一方、スタームを愛しているアルハナ姫は、スタージュエルが輝かなくなったことで、スタームの死を知るが、父王の墓にジュエルを埋めようとしたとき、再びスタージュエルが輝きだし、不滅の愛を確信するが・・・。

魔術師レイストリンは、待ち望んでいたドラゴン・オーブを手にしたことで、自分の目的を達成しようと、オーブに向かう。力のあるものだけがオーブを支配できるというのだが、レイストリンは瀕死の状態になっても、オーブには負けなかったため、密かにオーブの支配者となり、強大な魔術を身につけるようになった。

4巻目にして、やっとタニスの恋人であるというキティアラが登場するのだが、なんと名誉欲の強い彼女は、敵方のドラゴン卿となっていたのだ。ドラゴン軍に捕らえられたタニスが、彼女の軍の士官になったと嘘をついてキティアラに助けを求めるのだが、キティアラは本当に<暗黒の女王>に忠誠を誓っているのだろうか?キティアラの本心はどうなのか?タニスがローラナをふってまで愛を貫こうとしている女性が、これほど邪悪であるとは信じられない。

この巻で最も感動的なのは、騎士スタームの死であるが、高潔で勇気と責任感にあふれたスタームが、命を懸けて、たった一人で世界を守るためにドラゴンに向かっていき、倒れるところでは、本当に涙が出た。自分のことばかり考えている人間の多いこの世の中で、このような自己犠牲の話は、いつだって涙を禁じえない。

また、この巻で、前に死んだはずの魔法使いフィズバンが再度現れる。フィズバンとは、一体何者なのか?

2004年11月24日(水)
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 ドラゴンランス(3)氷壁の白竜/マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン

内容(「MARC」データベースより)
かつてない壮大さと感動のファンタジーの第3弾。ドラゴン、エルフ、ドワーフ、ゴブリン、ユニコーンなどが総登場。おもしろさ保証付きの「剣と魔法」の世界を堪能しよう! 1987〜88年刊「ドラゴンランス戦記」改題。


主な登場人物&主な種族


<3巻のまとめ>

パラダインの僧侶エリスタンや、ソラムニア騎士の一行を加え、パックス・タルカスでの勝利を収めたタニスらは、山ドワーフの王ホーンフェルに戦利品の<カーラスの槌>を献上することで、ドラゴン軍に奴隷にされていた人々を、地下にあるその王国トルバルディンに移住させてもらうようはからう。

しかし、勝利は一時のもので、タニスらは再びクリンを暗黒の女王から救うため、伝説の港都タルシスへと旅を続ける。だが、タルシスには海はなかった。このタルシスもまた、ドラゴン軍によって滅ぼされる。

ここにいたシルヴァネスティ・エルフは、ローラナたちクォリノストのエルフたちとは別の種族だが、けして仲がいいとは言えず、暗黒の世にあっては、一触即発の危機さえある。シルヴァネスティ・エルフもまた、暗黒の力によって、故郷を捨ててきたのだ。ここで、騎士スタームは、エルフの姫アルハナと恋に落ちる。

シルヴァネスティの姫アルハナは、ただ一人都に残った父王を探すため、タニスらに同行を願う。父王はドラゴンを破るという<ドラゴン・オーブ>を持って、ひとり残ったのだという。大きな河を渡ってシルヴァネスティに到着した一行を待っていたのは、ロラック王の悪夢だった。それぞれが王の悪夢に囚われ苦しむが、それを打開したのは、双子の弟、魔術師のレイストリンだった。

ロラック王を悪夢から解放したあと、<ドラゴン・オーブ>はレイストリンの所有となる。力のある者にしか扱えないオーブは、目下のところレイストリンにしか使えないのだ。実際、レイストリンでさえ扱えるのかどうか疑わしいのだが、ともあれ、目的地サンクリストまで大事に運ばねばならない。

一行は、折れた伝説の<ドラゴンランス(竜槍)>を見つけ、オーブと共に持ち帰る。このあたりで一行は二手に分かれる。ローラナたち一行の<氷壁城>への旅と、悪のドラゴン卿フェアル=サスに対する勝利は、<氷原の蛮族>のあいだで伝説となった。そこには氷壁があり、中に白い竜と騎士が閉じ込められていた。それが、<ドラゴンランス>でドラゴンを倒したという、伝説の騎士ヒューマであるのかもしれない。

氷壁城でめざましい活躍をみせたローラナの一行は、故郷クォリネスティを離れたローラナの父や兄と再会する。そこはカガネスティ・エルフ(野生エルフ)の里で、怪我をしたギルサナスを介抱したシルヴァラに案内され、山深いヒューマの墓(遺体はない)へと赴く。そこで、英雄ヒューマが乗った銀竜の話と、シルヴァラの重大な秘密を知ることになる。

この巻では、高潔な騎士スターム・ブライトブレイドと、エルフの姫アルハナとの悲恋が描かれる。現実には結ばれない運命の愛なのだが、アルハナがスタームに贈った、命ある限りお互いの消息を知ることができるという<スター・ジュエル>により、二人の心は結ばれたのかもしれない。

また、ローラナの兄ギルサナスもまた、シルヴァラとの悲恋に苦悩する。彼は知らず知らずに、英雄ヒューマと同じ恋愛に身をゆだねてしまうのだが、この愛も行く末はおそらくヒューマと同じ運命となるのだろう。

2004年11月22日(月)
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 ドラゴンランス(2)城砦の赤竜/マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン

出版社/著者からの内容紹介
剣と魔法のファンタジー第2巻。謎が謎を呼ぶ展開の中、魅力的なキャラクターたちが仲間同士の葛藤や死を賭した友情を描く。死を賭した友情を描く。

内容(「MARC」データベースより)
一行はいったん故郷ソレースに戻るが、そこはすでにレッドドラゴン群の火炎に焼き尽くされた後であった。ドラゴン群の捕虜となり、奴隷鉱山に送られる一行は…。1987〜88年刊「ドラゴンランス戦記」改題。


主な登場人物&主な種族


<1巻と2巻のまとめ>

それぞれの冒険に出かけていた、ハーフ・エルフのタニスを中心とする仲間たちは、5年後の今日、ソレースの<憩いの我が家>亭に集まる約束をしていたが、タニスの恋人キティアラだけは姿を現さなかった。

タニス、フリント、タッスルホッフが待つ中、スタームが蛮族の男女(ゴールドムーンとリヴァーウィンド)を連れてくる。炉辺にいた老人の話がきっかけで騒ぎが起こり、タニスたちは、青水晶の杖を持っていることが明らかになった蛮族の男女とともにティカの家に逃げるが、さらに杖を探しているドラゴン軍の兵士(ドラコニアン)たちから逃れるため、再び冒険の旅へ出ざるを得なくなった。

1巻では、空の<暗黒の女王>と<雄々しき戦士>の星座が空から落ち、再びこのクリンの世界に戻ってきて、世の中が次第に暗黒に染まっていくいきさつが描かれている。逃亡先の寺院で黒竜に襲われた一行は、ゴールドムーンの杖の導きにより、女神ミシャカルの元へとたどり着く。その時より、ゴールドムーンは蛮族の族長の娘であり、またミシャカルの神官として存在することになる。

2巻では、暗黒の女王に仕えるドラゴン軍の勢力は大きく、ソレースの町も赤竜に焼き尽くされてしまう。この時タニスたちは、ソレースに戻ってくるのだが、ドラゴン卿ヴェルミナァルドに捕まり、<憩いの我が家>亭のティカともども、鉱山のあるパックス・タルカスへ、奴隷として送られる。その護送車の中で、エルフのギルサナス、鍛冶屋のテロス、不思議な魔術師フィズバンと会う。

ギルサナスの仲間の助けによって、護送車から脱出したタニスら一行は、エルフの都クォリノストに着く。クォリノストは、タニスが子ども時代を過ごした場所で、そこを去る原因ともなったローラナ(ギルサナスの妹)が住んでいる。人間とのハーフであるタニスは、ローラナとの恋に悩み、それが引き起こす影響を考えた結果、都を出たのだった。

タニスはいたたまれぬ思いでクォリノストを後にし、仲間を率いてパックス・タルカスへ攻め入るが、幼い恋心を抱いたままのローラナは、タニスを追って家出をしてくる。恋人キティアラのことがあるため、ローラナに諦めるよう説得するタニスだが、やむにやまれずローラナを仲間に加える。

そして、パックス・タルカスでの壮絶な戦いは、ドラゴン軍の2頭の巨竜による戦いにより、幕を閉じる。その後、さまざまな難関を乗り越えたゴールドムーンとリヴァーウィンドは、めでたく結婚する。

2004年11月20日(土)
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 ドラゴンランス(1)廃都の黒竜/マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン

出版社/著者からの内容紹介
コンピュータRPGの元祖「Dungeons & Doragons」をベースにした剣と魔法のファンタジー第1巻。謎が謎を呼ぶ展開の中、魅力的なキャラクターたちが仲間同士の葛藤や、死を賭した友情を描く。

内容(「MARC」データベースより)
剣と魔法の世界クリンを舞台に、ハーフ・エルフの剣士タニス、魔術師レイストリンらの冒険者一行が、闇のドラゴン軍との戦いに巻き込まれてゆく。1987〜88年刊「ドラゴンランス戦記」改題。

<主な登場人物>

タニス : 孤児のハーフ・エルフの戦士で、一行のリーダー役。自分の中に半分ずつ流れる人間の血とエルフの血との葛藤に悩む。弓と剣の名手。

レイストリン : 異例の若さで<大審問>をパスし、肉体を犠牲に強力な魔術師となった双子の弟。頭脳明晰だが、謎と疑惑の多い人物で、仲間からも疑いの目で見られている。

キャラモン : 双子の兄で、陽気でおおらかな巨漢の戦士。常に弟と行動をともにし、体が虚弱な弟の身の安全を第一に考える。大食漢で、怪力の持ち主。

スターム : 正義と名誉を何よりも重んずる、厳格な騎士道に生きる人間。融通が利かない面もあるが、常に困難な任務を率先して受け持ち、頼りになる。

フリント : 頑固なドワーフ族の老戦士。木や金属を利用した細工物造りの名人。不平、不満も多いが、本当は仲間を深く愛している。タニスとはもっとも古いつきあいである。

タッスルホッフ : 恐怖の感情とは無縁な、好奇心旺盛なケンダー族の男。手先が器用で、錠前破りの名人。いたずら好きで、他人の持ち物を勝手に“借りる”ことも多い。

ゴールドムーン : 聖なる青水晶の杖を持つ、蛮族の族長の娘。金と銀の髪をした美しい姫。リヴァーウィンドに対しては恋人であると同時に支配者でもあり、その葛藤に悩んでいる。

リヴァーウィンド : ゴールドムーンの恋人である長身の蛮人戦士。無口にして無表情だが、他人のことをあれこれ詮索するようなことはしない誠実な男。森林や荒野に関して詳しい。

ギルサナス : クォリネスティ・エルフの長<太陽の評議長>の次男(第2王子)。タニスとは兄弟のように育てられたが、妹をめぐり対立している。魔術の心得もある。

ローラナ : ギルサナスの妹で、絶世の美女。タニスへの恋心と冒険を通じて、甘やかされた無垢な少女から、人として、軍人として、大きな成長を遂げていく。

ティカ : <憩いの我が家>亭の元看板娘。陽気にして天真爛漫、火のような性格をした赤毛の美少女。フライパン叩きの名人。料理上手で、キャラモンとは惹かれあっている。

キティアラ : キャラモン、レイストリンの美しい異父姉で、タニスの恋人。激しい気性を持つ凄腕の女戦士で、官能的な魅力に溢れる。しばらく行方知れずだったが・・・。


<主な種族>

エルフ : 人間よりやや背が低く、やせている種族。とがった耳が特徴。その多くは容姿端麗で、自然美、音楽、舞踏を深く愛する。見た目は弱々しいが、非常に長命で、中には1200歳まで生きる者も。弓の扱いがうまく、歌や詩に秀で、魔法と剣技に多大な関心を示す。暗闇でも体温のある生物なら見ることができる。

ドワーフ : 背は125cm前後と低いが、筋肉質の頑健な肉体を持つ種族。髭もじゃで頬が赤く、目も髪も黒い。平均寿命は350〜450歳。その多くは金属細工や石工芸など手先の技に長じており、ドワーフ製の武器や防具、装飾品は世界中で高値で取引されている。非常に勇敢で不屈の戦士でもある。

どぶドワーフ : 別名アガー。ドワーフ族の最下層民で、他のドワーフ族からは縁を切られた存在。生存欲が何にも増して強く、そのためには臆病さも卑屈さも、そして卑怯な行為ですらも美徳とされる。遠い祖先はドワーフとノームの混血であると言われる。その多くは汚い場所に群れをなして暮らしている。

ケンダー : 小柄で身軽、そして器用な種族。恐れを知らず、好奇心旺盛で、ちゃめっけもあるが、手癖が悪い。(他人の物でも興味さえあれば)何でも勝手に“借りて”しまう習性がある。よってケンダー族を見た者の通常の反応は、扉に鍵をかけ、ポケットの中身を確認するといったものとなる。独立心が強く、放浪癖もある。

ゴブリン : 邪悪で小柄な、醜い顔をした人間型生物。寿命は50年。他の人間型生物を憎む。臆病だが殺しを好み、集団になると残忍性を発揮する。腐肉、ネズミ、蛇から人間までを食す。洞窟や湿った地下住居に住み、住処は不潔で悪臭を放つ。ホブゴブリンはより獰猛な、軍隊社会を形成する別の種族である。

ドラコニアン : ドラゴン軍の主力を形成する、謎の邪悪な種族。別名、ドラゴン人、またはドラコ。背中からは皮の翼が生え、爬虫類的なしっぽを持ち、全身を爬虫類の鱗が覆っている。大きな手足にはかぎ爪があり、人間のように直立して歩行する。死ぬと、石化する種、骨が爆発する種、死体が酸の海となる種などがある。魔術の使い手もいる。


※この巻の内容は2巻目で。

2004年11月19日(金)
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 Corpsing/Toby Litt

出版社/著者からの内容紹介
新進気鋭の鬼才が描くノワールの傑作!
最初の弾丸が元恋人で女優のリリーの身体を貫通した。瀟洒なレストランでの突然の出来事だった。つづけて2発はリリーに、そして僕にも2発の弾丸が撃ち込まれた・・・。僕は奇跡的に命を取り留めたものの、昏睡状態に陥った。リリーは即死だった。意識を取り戻した僕は、リリーが妊娠していたことを知った。警察は何も説明してくれない。どうして僕らがプロの殺し屋に狙われたのか、リリーのお腹の子の父親は誰なのか。僕はどうしてもそれを知りたかった。半年後、僕は退院し、そして独自で操作を開始した・・・。


冒頭からむかついている。主人公が半端でなく嫌な男なのだ。「今でも惚れている」という別れた彼女が目の前で撃たれたというのに、それを見ながら拳銃の仕組みや銃弾が人体に入っていく過程を説明して、何になるのかと。

それはそれで、嫌なら飛ばして読めばいいのだが、自分も撃たれて昏睡状態が続き、目が覚めて彼女が死んだことを知らされ、初めて口にした言葉が、「彼女は何分くらい生きていたのか?」とか、「僕に何か言ってなかったか」とか・・・。

普通、死んだと知らされたら、悲しみでショック状態になるんじゃないのか?それも「今でも惚れている」彼女なんだから。なのに、平気の平左で真っ先にそんなことを尋ねるなんて、彼女は死んでも死にきれないだろう。しかも、そんな男に自分の全財産を遺してやったなんて!成仏できないぞ!

あーあ、こいつも自分のことしか考えない、自分勝手な男なのかと思ったが、原文だけでは勘違いしているかもしれないので、翻訳 『リリーからの最後の電話』 にあたってみたところ、訳者のあとがきにも、この主人公はダメ男であるとはっきり書かれていた。ハニフ・クレイシの 『ぼくは静かに揺れ動く』 とか、ベルンハルト・シュリンクの 『朗読者』 の主人公などを思い出して、やな気持ちになった。

世の中強い男ばかりじゃないし、優柔不断だったり、はっきりしなかったり(優柔不断と一緒か)、礼儀知らずだったり、弱音ばかり吐いているという男のほうが多いとは思うけど、実際の社会では我慢できても、愉しみで読んでいる小説の中でまで我慢する必要はないだろう。好き嫌いで判断してもいいと思う。

だったらさっさとやめればいいのだが、ミステリでこんな男が出てくるのも結構珍しいし、とりあえず撃った犯人くらいは知りたいというので、本筋には関係のないところは読み飛ばしながら、早いところ終わらせようと思っている。

しかしこの本、イギリスでの評判は良かったのだが、こうした評判てのは全くあてにはならないんだなあ。日本では、村上春樹を誰も批判できないなどというのも、評判があてにならないひとつの見本のようなものだろう。

自己中心的でダメ男の主人公が好きになれなかったので、かなり飛ばし読みだけど、主人公の好き嫌いだけでなく、ストーリー展開も面白くなかった。これってミステリのジャンルに入るのかな?とも思った。それに、ダメ男の主人公、撃たれて当然だよ、てな感じさえする。何事もはっきりせず、ネチネチしてて、すごくやな男だった。

でも、現実にはこういう男のほうが多いわけで、あなたがはっきりすれば、何事もスムーズに運ぶのよ!と言いたくなる男ってのは、悲しいかな、山ほどいる。そういう男は、自分がそういう立場にあることさえわかっていないし、はっきりしないので、他人が迷惑しているということも認識していない場合が多い。とにかく、最後まで読んだってことが奇跡に近いような本。

2004年11月18日(木)
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 花の魔法、白のドラゴン/ダイアナ・ウィン・ジョーンズ

出版社/著者からの内容紹介
<ブレスト>は魔法に満ちた世界だ。たくさんある異世界の魔法のバランスを保つ、大事な存在でもある。ところがある日、その世界のイングランドに住む、宮廷付き魔法使いの娘ロディは、国中の魔法を司る「マーリン」が、恐るべき陰謀を企てていることに気づいた。だけど大人たちは、そんな話は信じてくれない。ただひとりの味方、幼なじみの少年グランドも、どんな魔法もひっくり返してかけてしまうから、頼りになるどころか、ロディの方が面倒を見なければならない始末。自力で陰謀に立ち向かう決心をしたロディは、古の魔女から<花の魔法>を受け継ぐのだが……。

一方、<地球>の英国に住む少年ニックは、長年、魔法を習いたいと夢見ていたが、ある日、ロンドンのホテルから異世界に足を踏み入れ、事情がわからぬままロディを助けることになり……?冥界の王、燃えあがるサラマンダー、大地に眠る伝説の<白のドラゴン>……多元世界を舞台に、二つの視点から描かれた、波乱万丈のファンタジー。著者最新作にして渾身の最長編!


これは、魔法使いマーリンが出てくる話だと内容説明にも書いてあったのだが、あら!これもまたとんでもない勘違い。うげげ!そういや、「マーリン」とかぎカッコがついているのだから、よくよく考えれば、個人の名前ではないと気づいてもよさそうだが・・・。

魔法使いマーリンと言えば、 アーサー王の師である偉大なイスタリのマーリン のことで、アーサー王も好きだが、個人的にはマーリンのほうがもっと好き。「指輪」のガンダルフに並んで、私の中では「2大魔法使いスター」なのだが、てっきりそのマーリンかと思って楽しみにしていたら、なんと、全然違ってるじゃない?・・・残念!

この話の中の「マーリン」は魔法使いの役職名で、国に仕える魔法使いなのだが、「マーリン」職についている魔法使いが死ねば、また新しい「マーリン」が選ばれるというわけで、アーサー王のマーリンとは全く違うものだ。

「マーリンが恐るべき陰謀を・・・」などとあるので、たしかにアーサー王のマーリンは悪魔の血を引いているなんて話もあるから、さもありなんと思っていたのだが、あーあ、まただまされてしまった。

ダイアナ・ウィン・ジョーンズは 『魔法使いハウルと火の悪魔―ハウルの動く城〈1〉』 くらいしか読んだことがないのだが、雰囲気はこれも同じような感じ。日本語訳の文体のせいか、 『ゴシップ・ガール』 とか 『プリンセス・ダイアリー』 でも読んでいる気分になってくる。非常にガーリッシュだ。しかも「マーリン」が、あのマーリンでないってことは、私好みのカッコいいヒーローものではないってことだ。御年70歳にもなるというジョーンズだが、「女の子」の心はいつまでも失っていないと見える。

で、あのマーリンの話でないのなら、もうやめようかとも思ったのだが、「外国語訛り(実際ドイツ人らしい)のある英語を話す図体の大きいアーノルド」というのが出てきたので、ちょっとシュワちゃんをイメージして(たぶん作者もシュワちゃんをイメージしたのだろうと思う)、主人公の女の子ではなく、このアーノルドを追ってみようかと。<たいした役ではなかったが。

それにしても、ダイアナ・ウィン・ジョーンズの本は、相変わらずやかましい。本の中からドタバタ騒ぎが聞こえてきて、途中で何度も「やかましい!」と声に出して言いそうになってしまったくらい。

ジョーンズの作品て「ハウル」もそうだけど、女の子がキャンキャンしてて、物事全てがドタバタしてる感じ。いろいろと世界が絡み合ったりして、一見複雑なようなんだけど、読み終えてみるとそうでもない。人がいっぱい出てきて大騒ぎしているだけの感じ。奇想天外というより波乱万丈。物語に直接関係のないナンセンスなことも多いし、こういう雰囲気が好きな人には楽しいだろうが、私にはちょっとやかましすぎる。疲れた。

ジョーンズの描く女の子って、天邪鬼な性格というか、それが特色なんだろうが、けして素直でおとなしい女の子など出てこないんだろうと思う。ジョーンズがそういう性格なのか?それにしても彼女もすでに70歳。いつまでも子どもの心を忘れないというのはいいが、もう少し落ち着いた話にならないものかな。(^^;

それと、邦題にはドラゴンが活躍しそうなイメージがあるが、当のドラゴンは、最後のほうにちょっと登場するだけ。これもがっかりだった。原題は 『The Merlin Conspiracy』 で、マーリンの陰謀というものだが、内容はそのとおりなのだから、やはり的確なタイトルだ。邦題の花の魔法はよくわかるが、ドラゴンはタイトルに登場させるほどのインパクトもなかった。

魔法のあれこれは楽しかったし、内容も盛りだくさん、展開もアップテンポで乗れる本だが、読後はどっと疲れた感じ。男の子はいいのだが、女の子が皆やかましいのが難。キャラクターが個人的好みに合わないのは、こればかりはどうにもしょうがない。

2004年11月16日(火)
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 銀の森の少年/リチャード・フォード

内容(「BOOK」データベースより)
愛情あふれるアナグマ夫婦に育てられた人間の子ナブは、銀の森の一員として成長した。彼は森の救い主として、金髪の少女ベスを伴い、賢く勇敢な動物の仲間と小妖精王国への冒険に旅立つ。不思議な宝ファラドーンを手に入れれば、森を破壊し動物たちを苦しめる"大いなる敵"に勝つ方法が分るのだ。人と自然との関わりを感動的に描き、生きることの喜びを感じさせる長編。


主人公のナブは、赤ん坊のときに銀の森に捨てられた人間の子どもで、アナグマのブロックとタラに育てられる。銀の森は動物たちがきちんとした社会を作っており、長老とも言うべきフクロウが、ナブをここで育てることは、小妖精王(エルフロード)も認めている、新しい歴史の始まりであるとかなんとか・・・。そんなこんなで、その新しい歴史の始まりの時が来て、ナブはエルフロードのもとに赴き、自分の使命を知る。

動物ものは好きだが、動物が主人公の話というのは、どれもこれも人間は邪悪なものとして描かれる傾向にあるようだ。これもまた例外ではなく、人間(アーキュー)は敵であるという設定のもとに描かれている。

この本がほかのそういった本と違うのは、森の動物たちと人間が、非常に密接な関係にあるということだろうか。人間との接触が頻繁にある。そして、エルフロードが語る、宇宙の始まりから天地創造、生命の誕生、善と悪の戦いといった物語が、 『指輪物語』 に酷似していることだ。

『指輪物語』での指輪にあたる「力」の象徴は、ここでは「論理の種」と呼ばれるもので、3人のエルフの王たちに授けられるのだが、これを悪の勢力が奪うという筋書きも、指輪戦争以前のことが書かれている 『シルマリルの物語』 などを読むとわかるが、やはり「指輪」にそっくりだ。堕落したエルフがゴブリンになるとか、悪の王が一度は追放されたが、次第に勢力を取り戻し、大々的な戦いになるなどというのも一緒。

おそらく、アナグマやウサギ、キツネといった動物たちは、「指輪」のホビットやドワーフなどという種族に相当し、長老格のフクロウは、ガンダルフなどの魔法使いといったところだろうか。やはり「指輪」を真似ているのかとも思うが、唯一違うのは、「指輪」ではのちに中つ国の王となる人間が、ここでは敵であるというところだ。

しかし敵であるはずの人間であるナブが、今後どういった役割を果たすのか、「指輪」と同様、のちには偉大な王になるのだろうか。そんな行く末が興味深いが、イギリスの森というのは、誰しもそんなような物語を考えずにはいられないような、不思議な力があるのかもしれないなと思う。やはりこの作家はアメリカ人ではないと納得する部分だ。

読了し、全体としてそれなりに面白く読めたとは思うが、やはりどうしても「指輪」と比較してしまうので、それに比べると穴が目立つ。

第一に、主人公ナブが危険な冒険をする必然性がない。「指輪」のほうは、指輪戦争のもとである力の指輪を「滅びの山」の火口に投げ入れなければ、冥王サウロンに世界は滅ばされてしまうので、どうしてもそこまで行かなくてはならない。

それだって、大鷲の王、風早彦グワイヒアが途中まででも運んでやればいいのになどと思うくらいなのだが、こちらは3つの「論理の種」を集めればすむわけだから、何もいたいけな少年少女や動物が、危険な旅をしなくてもいいじゃないかと思ってしまうのだ。いくら神に選ばれた少年だと言っても、種を持っている力のある3人の王(森、海、山)が、少年のところに来たっておかしくはないだろうに・・・。

などと考えてしまうと話は成り立たなくなるのだが、こんなふうに納得できない部分は多い。そういう点で言うと、「指輪」には穴がない。本当によく考えられ、詳細に作られていると、また新たに感心する。

それと、「指輪」の世界はトールキンの作り出したオリジナルの世界で、文明もまだそれほど発達していない。だから剣や弓、手作りの武器で戦うのもわかるし、不思議なものや生き物がいても、何の疑問もない。

しかし、『銀の森の少年』のほうは、車も走っているし、銃もある。ナブと生涯添い遂げることになっている少女ベスは、ジーンズまではいている。そして、作者は明らかに「地球」であると断言しているから、現在に近いこの地球上の出来事ということになる。

すると地球を作ったとされる善王アシュガロスは全知全能の神で、悪王ドレアグは悪魔か?と、妙に宗教的になってしまうので良くない。もっとも悪魔というのは、もともと天使であったわけだから、神とはイコールにはならないのだが。

けれども太古の地球の話は、ほとんどキリスト教的で、何ら新しいところがない。ドレアグという存在が、「指輪」のサウロンのようなものとすれば、旧約聖書と『指輪物語』の合体といったところだろうか。

『指輪物語』を引き合いに出すのはフェアではないかもしれないが、どう見ても「指輪」を意識しているとしか思えないし、トールキンが「指輪」のベースにしたケルト神話なども含まれているようだから、比べたくなるのも無理のない話なのだ。

何よりまいったのは、作者が動物や自然が好きというわけで、そうした描写が異常に多いこと。自然の美しさは、どれだけ書いても言い尽くせないものがあるとは思うが、これはファンタジーであると同時に冒険小説でもあるわけだから、いちいちそれを語っていたのでは、なかなか先に進まない。そういった自然の描写が減ったなら、あっという間に終わってしまう冒険談だ。一方で、そうした描写が詩的で美しいとも言えるのではあるけれど。

ところで、ひとつ疑問がある。ここまで動物や自然を美化し、人間を悪役にしたからには、作者はベジタリアンなんでしょうね?ちなみに、動物の友だちになれる良い人間は「エルドロン」といい、これもまた「指輪」に登場する裂け谷のエルフ「エルロンド」のアナグラムかと・・・。

2004年11月13日(土)
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 顔を返せ(上・下)/カール・ハイアセン

顔を返せ (上) 角川文庫/カール・ハイアセン (著), 汀 一弘
文庫: 316 p ; サイズ(cm): 15
出版社: 角川書店 ; ISBN: 4042655017 ; 上 巻 (1992/11)
内容(「BOOK」データベースより)
何者かがミック・ストラナハンの死を望んだ。ミックは元フロリダ検察局の捜査官。干潟に建つ古い船屋に住み、魚たちと孤独を楽しんでいた。結婚5回、離婚5回、殺人五人。くえないやつだ 誰に恨まれてもおかしくない身だ。狙われた理由はわかっている。4年前に手がけた女子大生失踪事件がくすぶっているのだ。ミックは事件にけりをつけることをきめこんだ―。犯罪小説のマーク・トゥエインと称された奇才ハイアセンが軽妙洒脱に描く会心の一作。

顔を返せ (下) 角川文庫/カール・ハイアセン (著), 汀 一弘
文庫: 310 p ; サイズ(cm): 15
出版社: 角川書店 ; ISBN: 4042655025 ; 下 巻 (1992/11)
内容(「BOOK」データベースより)
整形外科医ルディ・グレイヴラインは世の変身願望症患者から金を巻き上げることに余念がなかった。失踪した女子大生もルディの患者だった。近頃、四年前の事件をむし返えそうとしている者がいる。ルディは殺し屋を雇った。ケモ―誰もがそうよぶ無気味な巨漢―は、以前、整形手術に失敗していた。見るも無残になってしまった顔を元にもどしてもらうことを条件に殺しを引き受けたのだが…。

※画像は原書 『Skin Tight』


あっという間に読めるかと思っていたら、意外に手間取った。ハイアセンはかなり文章をひねっているし、文章もしっかりしている。省略がない。さらっと読めそうなのに、結構じっくりいかなくてはならなかったりするのだ。ハーラン・コーベンなどよりは、文章も上手いし、ユーモアも上級だと思うが。

ハイアセンのミステリは、ほとんどがフロリダが舞台。私もフロリダ好きなので(年寄りじゃあるまいし)、雰囲気も気に入って入るのだが、ハイアセンの好みの殺しは、「ミンチ系」。人間をミンチにするマシンは毎回違うが、ありふれたものである。ゴミ収集トラックだったり、植木屋の材木断裁マシンだったり。でも、必ず一人はミンチ系で死ぬ。あまり想像したくはないが。

今回の主人公である元フロリダ検察局の捜査官ミック・ストラナハンも、ばっちり私好みの主人公だったが、今回もまた性懲りもなく登場している(ハイアセンのミステリにたびたび登場する)アル・ガルシア警部もいい。

どちらもアウトロー的だが、シニカルなユーモアたっぷりのタフガイという感じ。ミックとは、お互いにさんざん悪口をいいながらも、男でなければわからないといった類の友情=信頼感を持っているといった関係。

フロリダという場所柄、汚職や買収なんていうのは日常茶飯事なのだが、ミックやガルシアもそういうことを否定はしないが、ちゃんと正義は貫くといった具合で、血なまぐさい殺人などがあったにも関わらず、結末は妙に明るい。ハイアセンお得意の、「登場人物のその後」も笑える。

2004年11月09日(火)
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 唇を閉ざせ(上・下)/ハーラン・コーベン

『唇を閉ざせ』(上)/ハーラン コーベン
出版社/著者からの内容紹介
8年前に殺されたはずの妻が生きている!?
ハーラン・コーベン、注目の新作!
NYの若い小児科医ベックは、亡き妻エリザベスのことを思い続けていた。今から8年前、2人は連続殺人鬼キルロイに襲われ、彼だけが九死に一生を得たのだ。そんな彼のもとに1通の謎のメールが届く。そのメールには、ベックとエリザベスしか知らないはずの秘密が隠されていた。悪質ないたずらか、それとも!?

『唇を閉ざせ』(下)/ハーラン・コーベン
内容(「BOOK」データベースより)
謎のメールを解読して妻のエリザベスが生きていることを確信したベックは、彼女の居場所の手がかりを探し求める。しかし、二人の友人だった女性カメラマンが殺害され、ワナにはめられたベックは犯人として追われるはめに…。逃亡者となったベックは妻と再会できるのか?そして8年前の悲劇の真相とは。



上下巻を一気に読めたのだから、たしかに展開は面白いのだが、結末にあっけにとられた。ミステリだから、どんでん返しや、あっという驚きの結末があるのはいい、というか、むしろそれを期待しているわけだが、それにしても、この主人公ってアホじゃないの?って感じで、あ〜、もう呆れて物も言えないってくらい、別の意味で驚いた。

オビに「ジェットコースター・ストーリー」とあるように、次の展開が気になって途中でやめられなくなるのだから、面白い本だと言っても差し支えないが、ちょっとこれはないでしょうよという結末には唖然。殺された人たちは、救われないよねえ。

これは、先日マーケットプレイスで買った「マイロン・ポライター」のシリーズではなく、単独の話なのだが、ちょっと心配になってきた。たぶん、一気に読める本だとは思うが、読んだ後に、ああ、またこんなもの読んじゃったという感覚に襲われるんじゃないだろうかと。(^^;

一気に読めると言うところで、「ハーラン・コーベンは面白いよ」と言えるだろうと思うのだが、個人的にはあまり好きではないかもしれない。というのも、私の場合、やはり主人公(男女問わず)に魅力を感じないと、ダメなのだ。これに関しては、アポロ13号も「主人公には魅力がない」と言っていた。

そういう意味で、マキャモンが描く主人公は私の好みに合っているってことなんだろう。まだ全部読んだわけではないが、これまで読んだ作品では、どの作品の主人公も好きだし。同じく、カール・ハイアセンの作品の主人公も好き。文章的にも、コーベンよりマキャモンのほうが上手いと思うし。

一方、キングやアン・ライス、ロバート・B・パーカーなどは好みではない。ストーリーはともかく、主人公が好きになれないのだ。これは、何もミステリに限ったことではなく、純文学でもファンタジーでも一緒。

ちなみに、作中の殺人鬼「キルロイ」に関しては、青山先生が 「ロスト・オン・ザ・ネット」 の中で言及されていたが、その「キルロイ」とは無関係ではあるものの、このあだ名は、そこから取られているものだと思う。


2004年11月02日(火)
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