petit aqua vita
日頃のつぶやきやら、たまに小ネタやら…

2005年09月21日(水) やっても〜た〜(大汗)

……ははは……やっちゃいました。

『十六夜の月の赤い花』!
ヒカルちゃんバースデイSS、続きました!!(もぉ笑うしかねぇ)

なんで?!なんで下書き10行の話がこんなになったの?!
……すいません。本人が一番混乱しているようです。

今回の敗因は……「十六夜」でしょうね。
説明好きの血が騒ぎすぎたようです。
だいいち、今回の話、元題は『赤い花』だったのに〜(泣)。

そんなこんなで。
予定大変更です。
『十六夜の月の赤い花』は、このままプチアクアで続きを書きます。
フリーSSは、あと一個残ってるネタで何とかしましょう。

ははは…サイト四周年記念って………何にもなってないんでやんの(爆)



2005年09月20日(火) 『十六夜の月の赤い花』(女の子ヒカル。誕生日記念SS。つ、続いた…)

今年は9月も半ばだというのに、連日真夏日を記録するような晴天続きな上に熱帯夜のコンボ、人々は何とか涼しくならないかと、天気図を見ながらため息をついていた。
 そして、ようやく降った雨はまる1日をかけて大地と空気を冷やし、ほこりを洗い流された空は高く澄んで、白い雲がぷかりと浮かぶ秋晴れとなった。
 まっすぐに照り付けてくる太陽の光も、どこかやさしく感じられる。時折頬に感じる風は、ひんやりとして、昨日の雨の匂いがかすかにするような気がした。



「じいちゃんが、今晩お月見に来いって〜」

 花火も用意してるからってvv
…と、はしゃいだヒカルが緒方のマンションにやってきたのは、そんな日の夕方だった。

「…月見……?ああ、昨日はせっかくの仲秋の名月なのに、雨だったからな」
「そうみたい。「せめて「イザヨイの月」は見る!」って、何かリキ入ってた」

 ヒカルは抱えてきた風呂敷包みをソファの上にぽすん、と置くと、勝手知ったる緒方の家、とてとてと台所に向かい、冷蔵庫を開けた。

「緒方さんも何か冷たいのいる〜?」
「いや、俺はさっきコーヒー入れたからいい」
「ん〜。…あ、オレンジマンゴーのジュース、これでラストだ。ごめん」
「買って入れておけよ」
「うん」

 空になった紙パックをシンクで洗ってさかさまに干してから、ヒカルは自分のジュースを入れたマグカップを持って、熱帯魚の水槽の前にぺたん、と座りこんだ。

「…ねぇ、緒方さん」
「あ?」

 呟くようなヒカルの声に、緒方は手元の本をめくりながら応えた。
 ヒカルはぼんやりと熱帯魚を見つめながら、ジュースをこくん、と一口、口にする。

「「イザが良い」月って、どんなの?」

 緒方はずる、と、椅子からずっこけた。

「……オマエが言いたいのは、「十六夜の月」のことか?」
「うん。だから、「イザ」って何?」
「だから変な所で切るんじゃない。「十六夜」でひとつの言葉だ」

 緒方は手にした本をデスクの上に置くと立ち上がり、書棚から写真集のような大き目の本を取り出し、ソファの方に移動してヒカルを手招きした。
 ヒカルは招かれるままソファに向かい、その上にあった風呂敷包みをテーブルによけて緒方の隣におさまった。
 緒方はあるページを開いて、ヒカルに示してやる。

「ほら、これが「十六夜の月」だ」
「ビミョーに丸くないね」
「まぁ、十五夜の1日後の月だからな。漢字で「十六夜(じゅうろくや)」と書いて、「いざよい」と読むんだ」

 ヒカルはじっと、写真の月をのぞきこむ。青い、青い夜の空にひっそりと輝く、白い月。彼女の髪が、くしゃり、と緒方の肩に触れた。

「なんで「いざよい」……?」

 緒方は無防備に自分にもたれかかるヒカルに唇を緩めながら、答えた。

「さっき言っただろう?これは十五夜の1日後の月だから、そのぶん、月が出てくるのが遅い」
「うん」
「だから、「ためらう・遅くなる」という意味の古語…昔の言葉で、「いざよふ」という言葉をつけて、「いざよいの月」と呼んだらしい。今風に言えば、「なかなか出てこない月」という感じか」
「……はずかしがりな月なのかな」

「?」
「…もう、十五夜じゃないから…自分は丸くないから……って」

…ふ、とヒカルは緒方を見上げてくる。

「さぁな……」

 緒方は顔を近づけて、自らの唇でヒカルの唇に触れる。


――かすめるだけの。


「…月は月だ」

 緒方の囁きに、ヒカルはそうだね、と笑った。







 ふわりと流れてくる風に、緒方はかすかな樟脳の匂いをかぎとった。

「この包みは…着物か?」
「うん。じいちゃん家に持って行ったら、かーさんが着せてくれるって」

 ヒカルが包みをほどくと、丁寧にたたまれた縞の着物が現れる。風を通してはあったのだろうが、やはりふわりとその香りが漂う。
 触れてみると、ほどよく着慣らした、柔らかい綿の感触がした。


「なあ」
「なに」

「…着せてやろうか」

「できるの?」

…くすくす……と笑うヒカルを引き寄せ、腕の中にすっぽりとおさめてしまう。

「ああ。半巾帯ならば、結び方もそんなに難しくはない」


 男は、囁きながらヒカルの髪に何度も唇を落とす。…感じるのは、やわらかな髪と、最近つけるようになった、フローラルグリーンのコロンの香り。

 ヒカルはくすぐったさに首をすくめながら、くい、と緒方を見上げて、自分を覗き込む彼の頬に触れた。


「…じゃあ……ヨロシク」



2005年09月19日(月) 真っ白になりバタン

イベントでネタ降臨の第2段。
せっかくだからヒカルの誕生日ネタも加えてフリーにしちゃえ…と途中まで書いてたら。


パソコンがフリーズ


どうにもこうにも復旧しなくて、


泣く泣く強制再起動



わーーーーん。



書き直す気力もなく、真っ白になってそのままバタン。


明日中に書けるかなぁ……upできたらいいなぁ。



2005年09月16日(金) 『この雨が通り過ぎるまで』(精良&ヒカル。雨に打たれながら降臨したネタ第一弾)

――まさか本当に降るとは思わなかった。
さっきまで、これでもかというくらい太陽が照りつけ、自分はあまりの暑さにウンザリしていたのだから。

…それが、ちょっと曇ってきたかな、と意識した途端に一気に本降り。
たまたまリュックサックに入れっぱなしだった折りたたみ傘があったから、慌てずに済んでいるが、大抵の人は雨を避けるために足早に屋根のある所や建物の中に駆け込んでゆく。
カツカツ…と後ろから駆けてくるヒールの音の主も、その一人らしかった。

す…とヒカルの横をすり抜けて行こうとするその瞬間、その女性が自分の見知った人物であるのに驚く。

「緒方さん?!」
「進藤!!」

驚いて足を止めた精良はすっかり雨に濡れていて、ヒカルは慌てて小さな折りたたみ傘を精良にさしかけた。

「どうしたんだよ?いつも移動は車なのに…」
「その車に戻る途中で、降られたんだ」

…やれやれ、と精良は小さなバッグからハンカチを取り出して、濡れた顔や雫が落ちる亜麻色の髪を軽く拭いてゆく。
精良はヒカルよりも10センチ程背が高い。ヒールの高い靴をを履けば、さらにその分、ふたりの身長差は開いてしまう。ヒカルはそれを意識して、傘を精良に丁度良いように高めにさした。
しかし、狭い折りたたみ傘では、十分に2人を雨から守ることはできず、傘から外れたヒカルの右肩はどんどん濡れていった。
精良はその様子に、眉をひそめた。
…雨は止むどころか、次第に勢いを増してきている。

「進藤、とりあえずそこの軒先に入って雨宿りしよう」
「…へ?」
「この雨の勢いだと、傘をさしていても殆ど意味がなくなる」
「う…うん」

ヒカルは、精良に腕を引かれるまま、シャッターの閉まった銀行の軒先に歩いていく。さしていた傘をたたむと、ヒカルの足元にはすぐに水たまりができた。
精良は水滴がついた眼鏡を外し、軽く水気を拭き取るとバッグにしまいこんだ。

(…うわ、眼鏡を外した緒方さんって、初めてかも……)

怜悧な印象を見せる銀のフレームの眼鏡を外した精良は、いつもよりも雰囲気が柔らかいような気がした。濡れて首筋に幾筋かはりついた髪も、普段のかっちりとした彼女とは……違う。

「すまなかったな……結構濡れたようだ」

気がつけば、当の精良はヒカルの目の前に立っていて、ヒカルの濡れた髪や、肩を拭こうと少しかがんでいた。


「――――っっっっ///////っっっ!!」


その瞬間、ヒカルは顔を真っ赤にして、ガシャン、とガレージにはりつく。

「?――進藤?」

精良はヒカルの行動をいぶかしむように首をかしげる。

「――い…いやそのっっっ!!オレ、そんなに濡れてないからっ!」

慌てて手を振るヒカルの顔はまだ赤い。

――だって。
見えてしまったのだ。

精良がじぶんの目の前でかがんだその時に、茶色いカシュクールの襟元からのぞいた……白い胸の谷間と…それを包む、黒いレース。
ちらりと見えたにせよ、その黒い下着は彼女の肌をより一層白くきわだたせているようで、まるいそれは…とても、やわらかそうで。

(――って、何考えてるんだよ俺!!)

「そうか?」

ヒカルの様子をいぶかしみながらも、精良はそれ以上の追求はしてこなかった。
しかしヒカルはそれどころではなく、精良の顔を見ていると、自然に濡れた首筋とか、少し開いた襟元とかに意識がいきそうで、目線を下の方にずらした。

(――――っっっっ!!!//////↑↓→☆☆っっ///)

そうしたら、彼の目にとびこんできたのは、生地の薄いオフホワイトのパンツが濡れた事によって精良のすらりとした脚にはりついていたのと…腰の辺りに見える……下着の、線。

意識をそらせようと思っても、どうにもこうにも。

「……こ、困ったね〜。まだ、止まないのかな、この雨」

不自然ながらもヒカルは精良から一歩、二歩離れ、軒先のぎりぎりに立って、左手を伸ばした。
雨は、そんなヒカルの掌を叩き、濡らしてゆく。

「夕立みたいなものだろうから、一時で止むだろう」

精良も、カーテンのように降りしきる雨を眺めた。





雨は降る。

車道では、水たまりをけたてて走る車が行き交い、

雨の強さに、傘をさして歩く人の姿はほとんどない。



雨が降る。

あまり広くもない軒下に、ふたりを閉じ込めるように。




「この雨が上がったら、虹とか、出るのかなぁ……」

「さぁ、どうだろうな」



ふともらした呟きに、精良は応えてくれたけれど、まだ、ちょっと振り向けない。







この雨が通り過ぎるまでは、このまま。








遠くで、ごろごろと雷鳴の音がした。






2005年09月15日(木) 最近のひいき

ここしばらく、新しく好きになるマンガ家っていなかったんですが。

最近、千川なつみさんのマンガにハマってます。
絵もお気に入り。
話の持っていき方も好き。(妙に軽いようでシリアスなようで、明るいところが)
キャラもいい味出してて、
何より私の萌えツボをついてくる………!(年の差とか、相手に思われてる自信がなくて、信じられなくて二の足を踏んでるキャラたちが……)
ん〜、ちょっとアダルト系の少女マンガです。
(絵柄でいったら昔のマーガレット系…今で言うとFEEL やYOUNG YOUとかにこの系統の絵があるような…)
短編、読み切り多し。
でもよくまとまってて、私は好きです。

単行本が出たら、絶対買うぞと、久々に思わせてくれるので、ちょっと嬉しいですvv

……ああ、だからラブラブ書きたくなってんのかな。



2005年09月13日(火) おもわず拍手

コンビニ前に高校生の坊ちゃん方がたむろってました。


「こないだのテストでや〜」

「おう」

「Pがリンやろ〜。Kがカリウムやろ〜。Feが鉄やん〜」

「そやな〜」

「そん中に「エイチジー」ってのがあってや〜」

「何やったっけ」

「俺、思わず「ハードゲイ」って書いてやろうかと思ったわ〜」



………危うく彼らの前で爆笑するところでした。
素晴らしい!
正解は「Hg→水銀」だが、ネタ的にはそっちの方が大正解だ!!



2005年09月02日(金) 復活〜

…大変長らくお待たせをいたしました。
何とか復活でございます。

というか、やはり長いこと書いてないと文章の書き方忘れてますね〜。
何か書き上げるのにすごくよたつきました。

これから、超スローペースではありますが、サイトも動かしていこうと思っています。
先日、大阪のイベントに一般参加して、炎天下にさらされた上に雨に降られた、そんな中で突如降臨してきたネタもあることですし。(笑)

涼しくなってきたので、夜が眠りやすくてとても助かります。



2005年09月01日(木) 『夏をあきらめないで』(女の子ヒカル)

外し忘れられたポスターの前で、少女はひとつ、ため息をついた。

「どうした、進藤」

「…ん?いや、何でもないよ。もう取材は終わったの?」

ふるる、と小さく首を振るヒカルの髪を、緒方は柔らかくかき回した。
いつもの乱暴なそれとは違うそれに、ヒカルはぱちぱちとまばたきして男を見上げる。
少女があどけなく見上げてくる表情に、緒方は笑みを深くした。

「…あんな顔してため息までついてたんだ。気にならない訳がないだろ」

榛色の瞳が、すい、と細くなる。
普段の彼からは想像もつかない程の、優しい表情。
髪をかき回していた大きな掌が、ヒカルの頬に触れる。

――いつから、だっただろう。


この優しい指が、包み込むような視線が、時に強引な態度が。
――すべて、自分だけの…自分だけにもたらされるものだと、気がついたのは。


そして、それが、どうしようもなく嬉しい。
――そう、素直に思えるようになったのは。


触れてくる掌に甘えるように、ヒカルは頬をすりよせた。


「別に…大した事じゃないんだよ。今年は海に行けなかったなーって、それだけ」

「…海?」

緒方の視線には、外し忘れられていた、鮮やかな海のポスター。

「…まぁ、当然なんだけどねー。この夏はいつもよりばたばたしてたし」

段位も上がった。参加する棋戦も増えた。イベントの講師の依頼も、調整しなければならないほど来ているという。
対局するのは楽しい。――それが、強い相手ならばなおさら。
1日じゅう碁を打っていたって、平気なくらい。
そのくらい、囲碁はいつのまにか自分の生活と同化していた。


――あの頃は、囲碁ばかり強要するあのひとと、喧嘩ばかりしていたのに。



…そうして、ふと、気がついたのだ。
きっかけはこの目の前のポスター。
青い海と。白い砂と。ぎらぎらと晴れた空と、食べられそうなくらいぽっかりと浮いた雲。
以前は、夏といえば真っ黒になるまで、海で、プールで泳いだものだった。


「――なんかさ、気がついたら、もう海って時期も過ぎちゃってるし」


ヒカルは微笑むと、行こう、と緒方を促した。

緒方はポスターを見つめたまま動かない。

「――緒方さん?」

「ヒカル」

「なに?」

2人きりにならないと名前を呼んだりしない男の呼びかけに、ヒカルはどぎまぎしながら返事をした。
緒方はぐい、と彼女の白い手首を掴むと、やや強引に引っ張って、ずかずかと歩いてゆく。ふたりの歩幅が違うので、ヒカルはやや小走りについていくことになった。

「…な、なに?緒方さん?!」

棋院の自動ドアをすりぬけると、むわ、とばかりにふたりを包むのはまだ衰えを見せない残暑の空気。コンクリートジャングルな都会は余計に熱い。


「――海に行くぞ」
「へっ?!」
「確か、ここ3日ほどお前のスケジュールは空いているはずだな?」
「…うん」
「…喜べ。俺もオフだ。だから海に行くぞ」

ぐい、とRX-7の助手席に押し込まれた。

「海って……ひょっとして今から?!」
「そうだ。行きたかったんだろう?」
「そりゃそうだけど……って、じゃなくて!今の海なんて、クラゲでいっぱいなんじゃないの?!」
「そんな海に俺がお前を連れて行くと思っているのか?」

にやり。自身たっぷりの視線で断言する。

「…お、思いまセン……」

何故かこっちが悪いことを言ったような気分で、つい小さくなってししまう。

「…あ、でも!今の時期、台風が来るから海はよく荒れるって言うし!」
「任せろ。俺の行く先は台風も避ける」
「何だよその妙な自信は!」
「事実だ。ちゃんと実績もあるぞ」

焦るヒカルを適当にあしらいながらも、緒方は順調に車を走らせ、首都高速に入る。


「ちょっと待ってよ、ホントにこのまま行くの?!」
「ああ」
「せめて家に寄ってってば!水着とか着替えとか、用意するモノいっぱいあるじゃん!!」

ヒカルの言葉に、緒方は嬉しそうに微笑んだ。

「何もいらねぇよ。お前が海に行く気になったのなら、それで十分だ」

必要なものは向こうで買えば良い。
そう言って煙草を咥えた緒方は、悔しいけど、認めるのは本っ当に悔しいけれど、格好良くて。

「安全運転で行ってよね!あおられても勝負受けんなよ!!」
「安全運転はいつもしている。…だが、売られたケンカは買わないと勝負師の名がすたる」
「ヤダ!約束しないとオレ海に着いても速攻帰る!」
「………。善処、する」

ムッとした表情が、年上のくせにどこか可愛い。

そんな衝動のまま、ヒカルは緒方の頬に唇をよせた。


――それは、ほんの一瞬。

かすかに触れるだけの。


「ありがと」










――夏は、まだ、終わっていない。


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