思考回路2011
もくじむかしあした


2003年07月28日(月) 炎に包まれて

炎に包まれて、飛び出した先は油がまいてあった。
和食店は想像以上に内部分裂しているようだ。
ようだ。というのは二人営業の夜番なので、
不毛極まりない、人間関係を目撃せずにすんでいる
から。唯一店で、ニュートラルな存在の人との
夜番なので、一番平和な時間帯なんだそうだ。
なんだそうだ、というのは、あと3日で辞める
人の言葉。人間関係のごたごたで辞める。
オープン以来、わずか4ヶ月で、語り尽くせぬ
ほどの、いざこざがあったようだ。
ようだ、というのは・・・。
世の中には知らない方がいいこともあるわけで、
多くは聞かなかったし、聞ける立場にもないので
あまり良くはわからない。
それでも視界の端々に、ちらちらと鬱陶しい
モノの影が見え隠れする。
おそらく・・・一番始めに教えてくれた28才
主婦を中心に、とあるグループが出来て、
それ以外の気に入らない連中といざこざを起こし
ている・・・。と推測。
中高生の集団の様な、低レベルな争いを繰り広げて
いるようだ。
で、どうやら私は夜番オンリーな新人なので、
ごたごたに巻き込まれずにすんでいる。
それでも、28才主婦には、気にくわないらしい。
何をしたのか分からないが、なんとなく。
ホント無駄な事に感情と時間を浪費しているものだ。
どこもかしこも、燃えすぎ。


2003年07月24日(木) 予定通り

和食店の、イカれた人間関係は
いまの自分には必要だった。
カフェの人々が、貴重に思えてくる。
久しぶりにパンを焼く。解凍するための
蒸気の蒸し暑さも、ここちよくなじむ
のが不思議だ。あんなに大嫌いなキッチン
だったのにな〜。帰ってきたって気がした。
今日はドリーがいなかったのも幸いだった。
バーの責任者の浜ちょん(仮)は、もしか
するとイイ大人なのかもしれない。
30才。妻子持ち。と、書くと大人だな。
ミュージシャンを目指している
ので、目指す者同士、いろいろ話す。
わくわくする。めちゃめちゃ嬉しい。
30代の人間と、真っ向から語ることが
出来るから。まぁ自分もその辺の年になった
ってことだけど。
複雑なジレンマをこの人も抱えてバーの
副店長をやっている。夢と家庭。
家族を食わせて行くためには働くしかなく
だから今は、音楽はやっていない。
唄は人を喜ばせるために楽しませるために
歌っていた。接客業も、良いものを提供して
人を喜ばせる。根っこは同じなんだから
唄だけで無くてもいいと、彼は言っていた。
確かにそうだけど、でも私には納得できない。
やりたいことを諦めた、辻褄のあった
理由の様に感じた。
人を喜ばせる、楽しませる。いくつかの
方法のうち、彼は接客業を選んだということ
なのだろうか。1人身ではないという事も
責任ある仕事をしている事も含めて。
さて、自分はといえば。
何者にも縛られていない。
守るべきものはない。
責任もない。
自由だ。
彼からみれば、なにをぐずぐずしてんねん!
という事になるのかな。
おもしろいな。この出会いも。誰かを失うと
新しくそれを補う人が現れる。
中国に旅立ったご友人の役割を彼ははたしている。
迷って立ち止まると、まっすぐすすめと言う。
そしてわたしは、じゃぁ進もっかな〜と
思うんだから単純だな。


2003年07月23日(水) うわー、ヤバイとこだよココは

9時に帰宅して18時に再び入店。きつい。
キッチンを覚えて休憩の時だけでも回せる
ように、ということで。初キッチン。
キッチンに3人。ホールに2人。
普段は夕方のピークは4人で回している。
ここの和食店はオープンして4ヶ月目。
つまり今店を回している連中はオープン
から一緒ということで、後から入る身と
してはなじみにくい。
しかも、仲良くまとまっているのかと
いえばそうでもない。裏ではおばちゃん
たち、特有の陰険な何かがうごめいている。
ほんと、くだらない事に時間と感情を
浪費していることで。
教えてくれたのは店長だったが、
相変わらず教え方が??ポイントポイントで
教えろっつうの!そんな感覚的に言われて
も、分かりません。こっちはどこに何がある
のかも分からないの!
店長のことを細かいと言った人の訳を知る。
同じタレを5種類の定食で使う。分量はそれぞれ違う。
ぜいぜい二本ぐらいで、計れそうなところ
五本すべて用意されていて、しかもご丁寧に何に
使うかラベルが貼られている!。
じゃまなんだよね。五本もあると。タレを
取り出すのに、いちいち引っかかる。
そこまで厳密に計る必要があるのかってゆう。
恐ろしい事に、秤にもご丁寧に5種類ほどの定食
丼のグラムに併せてラベルが貼ってあった。
いやはや。店長・・・。細かいよ。
店長が終始こんな感じだからなのか、その下で
働いている連中もどっかおかしくなるのか。
もう1人キッチンにいた男。大学1年らしいが
ものすごくフケて見える。異様に目つきが
顔つきが悪い。男前なんだけど。性格の悪さが
顔ににじみ出ているというか。珍しく、顔で嫌な
タイプ。とゆうか、ここって意地悪そうな顔の
人が多すぎ。よくもまぁ、こんな嫌な顔した
奴らを集めたなってぐらい、第一印象が悪い。
で、店長が店長らしからぬ人物だと下も下な
のか、何をすればいいのか分からない
新入りに対して、教えるっつうことをしない。
君は分かっているのかい?ちゃんと教えておかない
と、後で自分が困るってことを。
恐ろしいくらいに、放置。しょうがないので
少ない知識で、動くが、そこで少しはフォロー
しようよ。次になにをして下さい、ぐらいさぁ、
言えるだろ。店長もそうだったが、やっぱり
店が若いせいなのかなぁ。そうゆうあるべき
気配りがないんだよ。
終始むかつきを押さえながらキッチンを
やっていたが、目に付いたことがもう一つ。
それは店長とバイトたちの関係。
悪男をより悪く見せていたのは、端から見ても
分かるぐらい店長を見下していた。
表面的には店長に確認を取りながら仕込みなど
していたけれど、言葉の端々にいちいち反抗的
というか、さげすむ含みがあった。
店長は知っていて流しているのか、なんなのか
分からないが、普通に対応していた。
どうも悪男は自分の方が店長よりも仕事が出来
ていると思っているようだ。店長は仕事が
出来ていないと思っているようで。
その辺は、ホールをやっていた二人も同じ
らしい。もちろん蔑む度合いは違うが。
とくに表面に出していたのが、この悪男。
つまり、店長は店長として店をまとめきれて
いない。
それも分からなくもない。
初めの教えてくれていたのに、途中から
洗い場に回ってしまって、一切口を挟まなく
なった。洗い場にいるのは別に問題じゃない。
そこから指示なりなんなり出せるじゃん。
こっちは分からないんだからさぁ。そこで
黙々洗ってる場合じゃないでしょ。
オープンからの連中だから、それぞれ動いて
いたけど、仕切らなすぎ。
上がるときも、上がってとか、その辺を
責任者のあなたが仕切らないでどうすんの。
帰り際は、誰も店長に「お疲れさまです」
さえ言わない。怖すぎ。
なんだろね、この店は。
この間バックレた人が出たって聞いたけど、
そりゃバックレるわ。









2003年07月22日(火) なんだなんだ、ヤバイのか?

深夜は女の人と二人営業だった。28才のお目目
ぱっちりで、年より若く見える。今まで何人か会った
中では一番まともに受け答えと話しをしてくれた。
深夜の3時半ごろ、店長が来ると聞いたときには驚いた。
わざわざ休憩を取らせるための1時間に深夜の3時に
店に来る!。いやはや、なんという店長。
彼女は平気だと断ったが、行くからと言ったそうな。
そして店長は深夜三時に現れて、彼女に休憩をとらせ
て、1時間半ほどいて、帰っていった。
彼女が休憩のときにはそこそこ混んだので、来たかい
もあったとは思う。
そのことを朝番で来た魔女顔のおばちゃんに話すと
「バカ店長、ホントに来たんだ」と笑いながら言った。
もちろんあきれた笑いで。
そのことを中番で来た元夜番で28才の主婦に話す
と、あたしが夜だったときは一度もそんなこと
してくれなかった。休憩も無い日も多かった。
と言った。
・・・さて。これはどのようにとらえれば
いいのだろうか。
彼女が店長のお気に入りだったので。
たまたまその時間起きていたので。
新入りの様子がどんなものか見に来たので。
うーん。
彼女がお気に入りなのは分かる気がする。
雰囲気が癒し系だし。まともだったし。
ま、そのうち分かるだろう。

朝番に二人来たけど、魔女顔のおばちゃんが
突然もう1人来た、女将風のおばちゃんの
悪口を私に言ってくるし。
三回目にして、もう二人の悪口を吹き込まれて
いる。
・・・勘弁してよ。
入って間もない情報を持たない人間にいきなり
他人の悪口を吹き込む輩の方が、嫌だ。
朝の9時に帰宅。



2003年07月20日(日) 謎な店長

深夜はずっと二人営業だった。
経験から、入って二日目の人間と
二人で営業すると言うことがどれだけ
もう1人に負担がかかるか知っている。
教えることはたくさんあるが、自分の仕事
があるので見てられないし、休憩も行けない。
相方が当然のことながらキッチンを出来ないから。
そんなわけで、ワタワタと二人営業。
「店長」と十回以上呼んだような気がする。
呼びすぎで、途中でブチきれるんじゃないかと
思って、出来るだけ呼ばないようにしたけど
やっぱり、分からない事だらけなので、
どうしようもない。
しかし、この店長。あまり店長っぽくない。
面接の段階から薄々気づいていたことだが
働く人間の個人レベルの事柄について
まったく頓着しない。なぜって、面接なのに
履歴書も見ない。見たのは髪の毛の色。
聞かれたのは1年出来るかどうかだった。
ここの面接方針が、そうなのか、それとも
この店長がそうなのかは分からないが。
数日、聞いたり見たりした限りでは、
「細かい」「バカ店長」と呼ばれている。
上に立つ人間は大抵、アホなので、まぁ
バカ呼ばわりされるのはいいとして。
無表情だ。びっくりするくらい。
疲れは顔に出ているが、普段の様子から
テンションが低いので、感情がよみにくい。
別にまったく笑わない、漫画チックな
キャラでもないが。
掃除機のコンセントがどこにあるか聞いたら
笑っていた。店長も知らなかったらしい。
苦笑に近い笑いだったような。
カフェのドリーなら無駄話のオンパレード
だったろう8時間。個人的な会話は一切ない。
とゆうか、この店長、最低限交わされる
あいさつさえしないから、すごすぎる。
こっちが言っても返さない。
かといって、別に偉そうにしている訳でもない。
仕事ぶりは、見た限りすごく動き回っている。
休み無く。まぁ休んでる時間もないんだろうが。
仕事の指示や教え方も、丁寧ではないが
一応教えてくれる。しかし妙に配慮が足りてな
かったり。
徹底的に一定の距離を保っているといった感じ。
高校の時の先生で、こんなタイプの人がいた
ことを思い出した。口が悪くて冷たい突き放した
しゃべりかたをする。ほとんど笑わなくて、
時々、真面目な顔でボケた事をいって笑わせていた。
そんなタイプの人間なのかはまだ分からないが、
あんまり店長って風じゃないよな・・・。
ドリーみたいなのが店長でも、問題あるが。
精一杯やった朝8時頃、ようやく朝番の人が来た。
たぶん店長より年上の、パートさんが店長に
「大変だったでしょ。大丈夫だった?」
と言った。
長くやってる間柄なのか、お母さんみたいだと
思いながら店長の顔を見た。
そりゃ、大変だったろうな。ピーク中の引継
だったし、入って二日目の新入りとだし。
しかし店長は・・・・。
無言。しかも無表情。視線はここにあらず。
肯定も否定もしない。
びっくりした。
「まあな」とか「大変だった」とか「それほどでも」
せめて、「あぁ」とか「いや」ぐらい言う場面。
なのに無言って。想像外のリアクションに
目をぱちぱちしちゃったよ!。
そんなリアクションにパートのおばちゃんは
慣れているのか、ふつーに流していた。
なんなんだろう、この「店長」は。
「おつかれさまでした。ありがとうございました」
と言うと、
「おつかれ〜、今日はどうだった。大変だった
でしょ〜。深夜やっていけそう?」
なんてことはもちろん言わず
「あぁ、いや」みたいな、しかも
ほとんど聞き取れない声で言っていた「店長」
・・・もしかするとカフェのバイトで、そんな
気づかいの言葉に慣れてしまっていたのか・・・。
いやいや、店長って、そうゆう事をするのも
仕事の一つじゃないのかと思ってみたり。
とにかく、まか不思議な店長。
おもしろい。後から笑いがこみ上げてきた。
そんな配慮が欠けた店長を補うように
朝のパートさんが「きつかったでしょ」と
声をかけてくれたり。
うーむ。
親がダメだと子がしっかりするって感じだね。


2003年07月16日(水) 違う人々

何事も比較から始まる。
初日。
予想通りぶっつけ本番。しかも
こちらは満足に教えず、やらせる系。
しかも店長は完全放置系。おいおい。
ここが初バイトだったら相当きついぞ。
あいさつも満足に教えない。怖すぎ。
まぁいいけどさ。育たないぞこんな店。
教えるバイトさんはムラありすぎ。
教育行き届いていないから、なぁなぁすぎ。
カフェの人々がまともに思えてなんだか
可笑しい。
でもキッチンはみんなで協力して回して
いたから、そこだけは最高にいい。
食材の検品も、仕込みも、洗いも
手伝ってるから。といっても食事が
メインだから当然と言えば当然か。
いきなり初日に、嫌われている人がいる
ことを知らされる。とゆうことは、
そいつよりはマシと判断されたらしい。
オープンからいるので天狗になってる
21才女の子。表面的にはフツーに
しゃべってるところは、どこも同じか。
まぁ、どうなるか分からないや。
どこも、かしこも。


2003年07月14日(月) 背筋が寒いわ

ミーティング。寒かった。
失笑した。
今まで働いた感想を1人1人言わされて、
一番始めに指名された人間が、これまた
気合い入れて長々としゃべったものだから
その後にしゃべるみんなが青ざめた。
簡単でいいって言っているのに、熱く
語るなよ〜!。言った後に拍手。
寒かった。寒すぎた。
紙を渡されて、仕事内容のチェックとやら
で、何が出来て、何が出来ていないか
項目ごとにチェックを入れる。
失笑した。
項目はすべてホールに関してで、
キッチン業務に関しては、何一つなかった。
私がやってきた3ヶ月ちょっとの、仕事は
一体なんだったのだろう。
ドリーが長々と決意表明をしていた。
ノートに言うことを書いていたのを読み上げ
ていた。隣に座っていたSVが長すぎて寝ていた。
さらに、ドリーにダメだしをしていた。
もしかするとドリーに上から一撃を加えられる
唯一の人間かもしれない。しかし、ドリー以上に
クセがありそう。
店長は15日付けで、異動。
影が薄いと初めは思っていたけど、今はいなくなる
ことが悲しい。穏和で頼りなさそうだったが、
実はいろいろ気にかけてくれていた。
いい人だった。
さて、いつ辞めてやろうかな。


2003年07月13日(日) 人望なさすぎ

ドリーはどうして副店長なんて肩書きで
いられるのだろう。
こんなに、誰からも慕われていないし
頼りにもされていないのに。
人が大きく入れ替わって、新しい人々と
慣れつつあるこの時期、なにやら
いろいろなことがうごめいている。
それは自分の事でもあるが・・・
どうもそれ以外でも、なにやら騒々しい。
ようやくこの店の上下関係というか
人間関係がおぼろげながらも見えてきた。

SV
オープンからの古参社員
店長
バーの副店長
カフェの副店長ドリー
カフェの主婦社員
アルバイトのまとめ役のパートさん
アルバイトたち数十人

SVは元店長で、ヤクザ系。
その子分がドリーで、服のセンスが
そっくり。25才でセカンドバックっつー
オヤジ趣味が、そっくり。性格もそっくりらしい。
きれやすい、人の意見をきかない、怒りっぽい。
上がアホだと、下が本当に迷惑する。
この二人が店のガン(笑)なのだとすれば
店長とバーの副店長が店の良心のような気が
する。いっそ、この二人だけで店を回す
ようにすればいいのに。二人とも元キッチン
だから、気持ちも通じやすいし。
でも、もうすぐ店長は他店へ異動になるらしい。
しばらく店長不在。で、仮としてSVのヤクザが
店長兼任ということになるみたい。
上のことだから、どうでもいいけど。
現店長よりもSVヤクザの方が、副店長二人に対して
プレッシャーが大きそう。いや、上の責任者クラス
の人々すべてにとって。それくらい、きつい人らしい。
明日のミーティング、何か起こりそう。


2003年07月03日(木) 善意がつらいってアリか

未知の感情。
あんまり人に優しくされたり、気を使って
もらったことって多くはない。
だから、大丈夫?とか、手伝おうか?とか、
いろいろ気遣ってくれる、このバイト
のみんなはいい人達だと思う。
にもかかわらず、ものすごく泣きたくなる
のはなんでだろ〜♪
もちろんウレシ涙ではなくて。

「今日はあんまパスタ入ってないね」と
その日の時間帯責任者だった人が言った。
そんなに忙しくないね、暇だね。
大変じゃないね。
今日は。
と。

何気ない一言。
めまいがして、涙が出て、1人でキッチンで泣いた。
キッチンはいっぱいいっぱいで、へたりそう
だったところを、がんばれと自分を励ましながら
立て直そうとしていた所の、その一言だった。
途中でパスタの仕込みが足りなくなって、
仕込む野菜を切って、ソースを入れて、食材を補充し
、たまる洗い物をこなし、無機質に機械から
打ち出されるオーダー表と1人で格闘して、
あぁ、明日のピザの仕込みをしなきゃ、
あぁ、チーズも切らなきゃもうない、
あぁ、届いた食材の片づけもしなきゃ、
あぁ、でもパスタが途切れてくれないぞ、
あぁ、パスタを混ぜるボールが洗わないとない、
頑張って終わらせるんだ、ガンバレガンバレ・・・

「今日はあんまパスタ入ってないね」

パスタは、数字的には確かに普段より少ない。
そうだよ。パスタはそんなに出てないよ。
けれど、今日は決して、ヒマではないんだよ。
朝から新しいパンとピザを焼いたせいで、時間
が押して、ちゃんと仕込みを終わらせることが
出来なかったんだよ。だから、その分いつもより
パスタは出ていなかったけれど、仕込みが無くなる
のが早かったんだよ。だから、ずっと普段より
忙しくて、大変だったんだよ。
見て分からないのだろうか、荒れ果てたキッチン
たまっている洗い物。疲労ぎみな私。
それでも、立て直して頑張ろうとしているのに。
途方もなく虚しくて、やるせなさが襲ってきた。
この状況をほっぽりだして、帰ってやりたかった。
急激に下がったテンション。
やっとともった火が、消されてしまった。
あんまりにもガクッと来たので、異変に気づいた
のか、いぶしかげな顔をしていた。
けれど、気がつかない。なぜそうなったのか。
分かるわけがない。分かるはずもない。
なぜなら、キッチンをやったことがないから。
1人で、すべてをやらなければいけないキッチン
の大変さが理解できないのだ。
4年もいて、何やってきたんだろうこの人。

もやもやを抱えたまま、上がる。
しかし、本当につらかったのはこの後だった。
またしても、普段いない店長がいた。
店長は、大丈夫?という顔をしてきた。
その後は大丈夫?と。あるいは、大丈夫だね?
とにかく様子を気にしてくれていた。
それが、ものすごくつらかった。
私は曖昧な笑みを浮かべてうなずいた。
バックルームを出ると、今度は、いろいろ
話しを聞いてくれているバーの責任者の
人がいた。同じキッチン同士。
彼は、にやっと笑うと「お疲れさま」と
言った。そうして店長と同じく、大丈夫大丈夫!
という顔をして、私の肩をたたいた。
それが、ものすごくつらい。
いろいろな理解しにくい感情が入り乱れた。
心配してくれている人がいる。
にもかかわらず、それがつらい。
ありがたい、幸せなことのはずなのに。
悲しくて、また涙が出た。
本当に悲しいのかも分からない。

しかし、一つハッキリと言えるのは
・・・もうムリ。もうダメ。


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