サヨナライツカ |
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2003年11月24日(月)<<<LAT.43°N〜forty-three degrees north latitude〜
泊まる場所は決まっているのか訊かれて、 ないんですよね、と答えた。 できるだけ軽く聞こえるように。
あなたはそれ以上なにも言わなかったけれど きっと予想通りの展開だったんだろうと思う。
三泊四日の滞在で 一緒に眠った夜は二回。
だけどもうあなたの腕は差しだされなくて、 離れて寝ていたはずなのに いつのまにかくっついてしまっていたり 半分眠ったままキスしたことに気がついたりしたあとも あの頃のようには笑ってくれなくて、 ただ驚いたような顔をするだけだった。
眠っているとき、 身動きするたびに抱きしめてくれるのは 腕のなかにいるのが彼女だと思っているからじゃないかって。 そんなふうに考えたこともあったけれど、 いま思えばそれでも幸せだったのに。
ほとんど条件反射みたいなキス。 幸せな気持ちになんてなれなかった。
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どんなに愛しても 電話のkissじゃ遠い 冷たい受話器に くちびる押しあてて あなたの街では もう雪が降りる頃 会えないもどかしさが 不安に変わる
約束も何もない あなたの言葉も 信じていなければ 明日さえ暮らせない
彼女はどうしてるの 今度はいつ会えるの どこまで愛していいの 繰り返しては いつまでこうしてるの 私を愛してるの 一度も聞けないまま また胸にしまって…
どんなに思っても 伝わるのは半分 あなたの口ぶり いつもどこか嘘ね 電話の遠い声 感じない訳じゃない でもそれ認めたなら 恋が終わるの
淋しい夜を いくつ越えればあなたは 私の心の中 気付いてくれるの
私を見つめてほしい きつく抱いてほしい 私を愛してほしい ただ一人だけ ほかの誰も見ないで 彼女のこと忘れて 一度も言えないまま また胸にしまって…
一緒に見る約束 ホワイトイルミネーション かなわぬ願いなら うなづいてほしくない
今頃雪が降って 街中白く染める 私のことを思う あなたを消して こんなに遠い場所で どんなに思っていても いつかは忘れられる 雪と距離に邪魔されて…
ほんとは気づいているの あなたは彼女を忘れない
a.mia 「LAT.43°N〜forty-three degrees north latitude〜」
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2003年11月21日(金)<<<どうにもならない距離
金曜日から月曜日までの四連休。 親には内緒のその休暇で、あなたと会う約束をした。
相変わらず忙しいという話は事前に聞いていたし、 きっと今日も遅くなるだろうと思っていたのに 21時過ぎにはメールが届く。 どの辺でしょ? なんて短い文面。 あの頃と同じイルミネイションの下。
いつものように言葉を交わして、 街の裏通りにある小さなイタリアンレストランで食事をして、 口数の多い店員がいる地下のバーで ちょうど解禁されたばかりのワインを飲んだ。
楽しくなかったわけじゃない。
だけど料理を取り分けてはくれても 私の旅行鞄に気がつかないふりをするあなたの態度に、 もうどうにもならない距離を感じた。 きっと、あなたのなかでは区切りがついたんだと思う。
私だけがいつまでも思い切れなくて、 はっきり玉砕することも 恋愛感情を棄てることもできない。
あなたがみせてくれた夢は最初から期間限定のものだった。 そんなこと全部わかっていても。
このままじゃほんとうにつらくなるだけだ。
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2003年11月14日(金)<<<予想外
同期に誘われて、二人で夕飯を食べた。 週末でどこも混雑していたけれど、 軽口をたたきながらお店を探すのは予想外に楽しかった。
笑ったときの顔が好きかもしれない、と思う。
でもそれだけだ。
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2003年11月08日(土)<<<わかっていても
あなたの誕生日にはメールを送った。 それからすぐに届いた返信。 すこし疲れたあなたの顔。
こうやってときどき、 思い出したように画像を添付するのは まだ私に好意を抱いてくれているからですか。
そう思っても、否定されるのがこわくてなにも訊けない。
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今月末は有給をもらった。 ひさしぶりに大学時代を過ごした場所へ帰る予定になっていて、 そのときあなたに会いたいと思っていることを伝えた。 拒否こそされなかったけれど、たぶんこれが最後だ。 あなたはもうじき彼女と暮らし始めるし、 そうなれば離れたところにいる私の存在なんて なんの意味もなくなることくらいわかっている。
ほんとうは今度の休みもライヴの日程に被せて申請しようと思っていた。 仕事が押さなければ。
こんなふうに、 自分の生活をあなたに合わせようとするのは危険だって。 わかっていても私はやっぱりあなたのことが好きで、 会える可能性がすこしでもあるなら 無理をしたって会いたいと思ってしまう。
だけどたとえばそれで私がなにかを犠牲にして 取り返しのつかないような状況に陥ったとしても それをあなたのせいにはできないし、 あなたが私のために必死で動いてくれるわけじゃない。
だからもうきちんとしなければいけないって、 わかってるのに。
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