エンターテイメント日誌

2001年03月31日(土) 宴(オスカー・ナイト)のワースト・ドレッサー

今年のアカデミー賞授賞式におけるワースト・ドレッサーは、文句無しに映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のナンバーを唄ったビョークとの世評が高い。白鳥を模したドレスが全然似合っていないし、みっともないことこの上なかった。「お前はバレリーナかっ!?」とテレビに向かって突っ込みを入れた人も多かったという。おまけに背中の方ではブラジャーのラインがスケスケだった(^^;。大体、映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」で彼女が演じた貧しい女工、セルマのイメージにあれでは似つかわしくないし、もう少しビヨークは場の雰囲気を考えるべきではなかったかと想う。それとも絞首台の露と消えたセルマは昇天して白鳥になったとでも言いたかったのか(^^;。
彼女が唄い終わって司会のスティーブ・マーティンが
「僕も白鳥の姿で来ようかと考えていたんだ(会場から笑い)。それにしてもビヨークがあの悲惨な最高裁の判決の後でも仕事をしているのを見て嬉しかったよ(場内爆笑)。」(注釈:映画のヒロイン、セルマは無実の罪をきせられ、裁判で死刑の判決を受けるのだ)
とコメントして、その彼の皮肉が、反米的と見なされオスカーでも主題歌賞にしかノミネートされなかった「ダンサー・イン・ザ・ダーク」の米国での評価を如実に表しているなと感じた。



2001年03月27日(火) 宴(オスカー・ナイト)のあと

アカデミー賞授賞式が終わった。僕の予想は本命のみで作品・主演女優・主演男優・助演男優・脚色・音響・音響効果・視覚効果・作曲・主題歌・メーキャップ・外国語映画の各賞、計12部門的中したことになる。対抗まで含めると17部門。まずまずといったところか。結局、「グラディエーター」5部門、「グリーン・デスティニー」「トラフィック」がそれぞれ4部門受賞し、これも予想圏内に落ち着いた。

司会のスティーブ・マーティンが意外におとなし目で、彼の得意とする唄やダンスの披露もなく、少々物足りなかった。
ジュリア・ロバーツは好きではないが、彼女の手放しの喜びようは、見ていて嫌な感じはしなかった。
ラッセル・クロウ、やっぱり渋く決めてみせてくれた。初受賞、心からおめでとう。でも本当は、彼の魅力は「グラディエーター」よりも「L.A.コンフィデンシャル」の方が良く引き出されていると想う。
印象的だったのは脚本賞を獲ったキャメロン・クロウがビリー・ワイルダーに感謝の言葉を贈っていたことや、イタリア人の大プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティスが映画の製作者達に向け「若い監督の起用を怖れるな。彼らが映画の未来を切り開いていくのだ。」とスピーチしていたことなどだった。



2001年03月23日(金) アカデミー賞直前大予想!!

<はじめに>
「エンターテイメント日誌」の愛読者の方にお願いがあります。
この日記はエンピツのランキングに参加しています。
お読みになられる際は是非その都度画面右下にある「投票」
ボタンをクリックして下さいね。
宜しくお願い致します。(._.)オジギ。

<本文>
さて、アカデミー賞直前予想である。私情を排し客観的に
総力を挙げて収集した情報から割り出した結果をご披露しよう。
今年は幾つ当たるかな?

作品賞:本命 グラディエーター      /対抗 トラフィック
監督賞:本命 グリーン・デスティニー   /対抗 トラフィック
主演男優賞:本命 ラッセル・クロウ    /対抗 トム・ハンクス
主演女優賞:本命 ジュリア・ロバーツ   /対抗 なし
助演男優賞:本命 ベニチオ・デル・トロ  /対抗 アルバート・フィニー
助演女優賞:本命 ケイト・ハドソン    /対抗 ジュディー・デンチ
脚本賞:本命 YOU CAN COUNT ON ME   /対抗 あの頃ペニー・レインと
脚色賞:本命 トラフィック        /対抗 なし
撮影賞:本命 パトリオット        /対抗 グラディエーター
美術賞:本命 グエラディエーター     /対抗 グリーン・デスティニー
音響賞:本命 グラディエーター      /対抗 なし
音響効果賞:本命 U-571
視覚効果賞:本命 グラディエーター    /対抗 パーフェクト・ストーム
編集賞:本命 グラディエーター      /対抗 トラフィック
作曲賞:本命 グリーン・デスティニー   /対抗 グラディエーター
主題歌賞:本命 ワンダー・ボーイズ    /対抗 ダンサー・イン・ザ・ダーク
衣装デザイン賞:本命 グリンチ      /対抗 グラディエーター
メーキャップ賞:本命 グリンチ      /対抗 なし
外国語映画賞:本命 グリーン・デスティニー/対抗 なし

結局それぞれの作品の受賞数は
「グラディエーター」6±1個 「グリーン・デスティニー」3±1個
「トラフィック」3±1個 と予想する。

実は一番自信がないのが作品賞と監督賞だったりする。僕はマッチョマンの映画「グラディエーター」を大して評価していない。しかしどうも作品賞がこれにいきそうな匂いが濃厚なのだ。心情的にはソダーバーグ監督の「トラフィック」を応援したいし、こちらにもワン・チャンスあるだろうと考えている。

主演男優賞は「キャスト・アウェイ」のトム・ハンクスという声が高い。しかし、まだ前人未踏の主演男優賞3回受賞という栄冠を史上初、彼に与えて良いのだろうか?彼はそれほどの名優なのか?という意識が投票者を躊躇させるだろう。そして初受賞になる「グラディエーター」のラッセル・クロウに票が流れるであろう、というのが僕の読みなのだ。

オスカーは必ずしも客観的な評価がそのまま反映されるわけではない。たとえばなかなか受賞できなかったポール・ニューマンは「ハスラー2」、ジョン・ウエインは「勇気ある追跡」で主演男優賞を獲得した。これらは歴史に残るほど優れた作品では全くないし、彼らのそこでの演技が取り立てて優れていたわけでもない。つまり「同情票」が集まった結果なのだ。アカデミー賞では、そういった投票者の心理を見抜くというのも予想に置いて重要なファクターなのである。



2001年03月17日(土) A.I.への期待

スピルバーグの新作映画「A.I.」のスチール写真が先日公開された。
ハーレイ・ジョエル・オスメント君の後ろに何やら意味深にロボット
2体が写っている写真だ。

「A.I.」ーその題名自体が「E.T.」を連想させるのは偶然ではあるまい。
主人公が少年であるというところも両者の共通項である。
久々にスピルバーグがSFファンタジーの世界に帰ってきたと考えて、
ほぼ間違いなかろう。大変嬉しいことである。

スピルバーグはどうしてもオスカーが欲しかった。だから
黒人問題を扱った「カラー・パープル」や「アミスタッド」を撮り、
ノルマンディー上陸作戦を描く「プライベート・ライアン」や
ナチスのユダヤ人虐殺を扱った「シンドラーのリスト」を撮った。
映画評論家の故・淀川長治氏はそんな彼を「物欲しげ」とズバリ
論評された。見事この表現が言い当てているのではなかろうか?

「カラー・パープル」ではスピルバーグ・バッシングが吹き荒れ
ひとつの賞も受賞できなかったが、その反動で同情票も相乗効果
となり、「シンドラーのリスト」はオスカーを大量受賞した。
さらに「プライベート・ライアン」はスピルバーグに2度目の監督賞
をもたらした。
しかし、これらの「社会派」作品を観ながら、僕は何処か彼は無理を
しているという印象が拭えず、何だか窮屈な後味が残った。
もうそろそろ良いだろう。スピルバーグ自身も、そう感じたのでは
なかろうか?そして彼は最も得意とする古巣へ帰ってきた。
「おかえりなさい。」と、そう僕は密やかに映画館で呟いてみようと想う。

「A.I.」の後、スピルバーグはトム・クルーズと組んでSF大作
「マイノリティー・レポート」を撮る予定だそうだ。
先日もキャメロン・クロウ監督の新作に出演中のトムと打ち合わせのために
撮影現場に出向き、ついでにその作品にカメオ出演までしたとか。
スピルバーグ、いよいよスロット全開である。

追伸:我が偏愛する作曲家、ジョン・ウイリアムズが「A.I.」でどんな
新たな音楽の地平を切り開いてくれるのか、それも非常に愉しみである。
今年の年末は「ハリー・ポッター」も控えているし、来年のオスカーは
確実だね、ジョン!



2001年03月09日(金) <わが命つきるとも>と加藤紘一氏

1966年度アカデミー作品賞、監督賞を受賞した映画「わが命つきるとも」を
久しぶりに再見した。

著名なイギリスの学者、政治家、作家であったトマス・モアを主人公に
敬虔なカトリック信者でもあった彼が、当時の国王ヘンリー8世の離婚
を断固認めなかったために投獄され、度重なる国王からの脅迫にも屈せず
遂には処刑されるまでを描いた作品である。

信念に生きた彼の生涯は潔く清冽である。しかしと同時に、宗教の
信仰に基づく彼の行動は、キリスト教徒でない日本人には共感し辛いのも
確かであろう。

この作品を観ながら今回感じたのは、死をも賭けろとまでは云わないが
先日の内閣不信任案決議に賛成票を入れることなく再度欠席した
加藤紘一さんには少しばかりでもトマス・モアの生き方を
見習って欲しいなあということ。そう想うのは僕だけではあるまい。
政治家が信念を見失ったらそれはただの「道化」であろう。



2001年03月05日(月) 全米大ヒットの中国映画

先週の全米興行成績ランキングで中国映画「グリーン・デスティニー」が
5位に留まった。これは凄いことである。字幕付きの外国映画としては
「ライフ・イズ・ビューティフル」がうち立てた記録を塗り替えて
ヒット街道驀進中だ。
アメリカ人には字幕で映画を楽しむという文化はないそうだ。
移民の国、人種の坩堝で文盲率も日本に比べはるかに高いのだから
当然のことだろう(アメリカの文盲率は少なく見積もっても10%以上、
30%弱という説もある。日本は0.5%)。そういう訳で今までは、字幕の
映画を観るのは一部の知識人に限られていた。
だから「グリーン・デスティニー」の大ヒットは異例の事態であり、
さらにアカデミー賞に10部門もノミネートされたのだからこれは
ただ事ではない。勿論外国語映画としては史上最多である。
一方日本では、昨年秋に公開されたがそれほどヒットもせず、
評論家の評価も高くないのだからこの両国の温度差は興味深い。
恐らく欧米人は、この映画の持つ東洋的神秘性、エキゾチズムに
魅了されたのではなかろうか?日本人には最早当たり前となった
カンフーも彼らには新鮮に映ったのかも知れない。
僕自身はこの映画を非常に愉しんだ。ワイヤー・アクションも
究極のレベルに達し、そのしなやかな動きは驚異的だし、
なんてったってチャン・ツィイーが可愛い(^^)。
「美少女格闘もの」の最高傑作だということを認めるのにやぶさかでは
ないのだが、それにしても米国での評判は過大評価というものだろう(^^;。
監督のアン・リーもあの名作、「いつか晴れた日に」でアカデミー
監督賞にノミネートされず、今回は有力候補というのだから
それは本末転倒というものだろう(笑)。


 < 過去の日誌  総目次  未来 >


↑エンピツ投票ボタン
押せばコメントの続きが読めます

My追加
雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]