東京の片隅から
目次|きのう|あした
亡くなった子どもが火葬を終えて病院に帰ってきたので、迎えに行く。 まだダメだ。 病院そのものは平気でも、病棟に入ると精神的に不安定になる。 気持ちの整理が出来ていない。
生まれたときも自分の両手に収まってしまうくらい小さかったが、灰になってしまうとそれは本当に小さく、抱いているこちらが途方に暮れる。
午後は家でゆっくり過ごす。 第一子の遺骨と並べて置く。 二人なら淋しくないだろう。
「井の頭自然文化園」から逃げ出したリスを捕獲しているらしいのだが、「30匹中38匹捕獲」って数が合わないんですが(笑) どうやらそもそもリスの数そのものをはっきり把握できていないらしい。大丈夫か。
懐かしの「銀河英雄伝説」が宝塚でミュージカルになるそうだが、キャストやイメージ云々よりも「まだやっていなかったのか・・・」という感想のほうが先に立ってしまう。 とっくにやっていると思っていたよ。
引きこもり生活。 入院生活ですっかり落ちてしまった筋肉は動かさなければ戻らないのだが、体が痛くてストレッチもままならない。 子どもの保育園送迎も家族にお願いしている。 産後休暇が明けるまでには体調を戻さなければいけないが、来週から徐々に動き出せれば、と思う。
夜眠れない分、昼間にも横になるようにしている。 夜同様、一度目が覚めるとその後は眠れない。 それでも、少しでも睡眠時間を確保して日常を送らなければならない。 自分の状況はどうであれ、家には2歳児がいる。
ピンタゾウガメのロンサム・ジョージが死んだというニュース。 彼は幸福だったのか、不幸だったのか。 近縁種のメスと一緒にいたらしいが、それは彼にとっては何の意味もなかったのではないか。 いろいろ考える。 一つ言えるのは、これで彼はひとりぼっちではなくなったということだ。
全身が痛い。体中が軋む。夜眠れず、3時間ほどベッドに座り込んでぼんやりする。
昨夜から精神的に不安定な状況。 食事は取れるが会話がままならない。
午後、子どもと最後の別れをしてから帰宅。 名前を決めてやりたいが、話を切り出せる雰囲気ではない。
胎動の幻覚がまだある。
私は人殺しだ。
会社に連絡。 労働基準法では妊娠4カ月以降なら生死に関わらず産後休暇が取れることになっているらしいが、実際会社での運用はどうなっているのか、総務に確認してもらう。 確認後、連絡をくれるらしい。 所属部署への連絡はその確認が取れてからする予定。
台風一過。 面会室に誰かが置いた「暮らしの手帖」を読んで一日過ごす。
遺伝子検査について、話がある。 両親に問題がある可能性を踏まえて、次回妊娠を希望する前に、系列の病院で遺伝子検査を受けることも出来るらしい。 自分たちに「次」はあるのか、今は考えられない。
死産届提出。 理由に「社会的・経済的事情のため」とある。 決まったフォーマットなのだろうけど、「経済的」は外して欲しかったな、と思う。
カラッポの腹。ものすごい空虚感。
夜、台風接近。 近くの送電線の鳴る音が病室の中まで聞こえる。 第1子が亡くなった前の晩も台風だった。
朝から陣痛。 隣の部屋で生まれた赤ん坊の声が鴉のように聞こえる。 15:50、男児出産。stillborn。
病院に戻る。 先生と面談。 このまま妊娠継続しても助からないことは、第1子の経験と記憶から自分が一番わかっている。 決めたはずなのにグラグラ。 夜、全身の震えで、立っていられない。 個室に移してもらう。
まーさんと話し合う。
第1子の時の状況より今の状況は悪い。 おそらく母体も子どもも持たないこと、生まれてNICUに入っても障害が残る確率が非常に高いこと、他、理性ではわかっている。 それでも感情面ではあきらめきれない。
一日気持ちが揺れる。
保育園を休ませて、子どもと一日過ごす。
考えないように考えないようにとはしているが、精神状態が良くない。
隣のベッドの産褥婦さん、家族が見舞いに来ると「別にいいんだけど」の前置きから愚痴が始まる。 血液検査の結果が遅いとか、食事とか、そういうレベルの話。 難産だとはいえ、母子ともに無事に出産できて、他に何の不満があるのだろうか?とちょっといらっとしてしまう自分の狭量さが嫌だ。
夜、先生と面談。 急に面談を申し出られたので嫌な予感。 話の内容は、このまま妊娠を継続しても出産までこぎつけられるかがかなり危うい状況であること、出産後の予測など。 決断しなければならない時が来てしまった。 一時帰宅。
昨日の検査の精神的ダメージが予想以上に大きい。 一日グラグラする。
エコー検査。 入院当日よりは改善傾向にあるが、状況は良くない。 子どもは元気だが、母体が持たない可能性が大。
隣のベッドに出産後の人が入る。 明け方に出産したらしいのだが、昼には普通の食事。 「普通」の出産ってすごいんだな・・・と普通の出産をしたことのない自分は思うのであった。
今日もまーさんと子どもが来る。 実家の両親もちょうど時間帯に来たので、病院隣の公園で一緒に遊んでもらう。 滑り台を自分で滑ったとのこと。 上に登りはするするものの最近は滑り降りることがなかったので、意外な感じ。 あとで聞いたら帰り際にちょっと泣いたらしいが、帰宅するまでには普通に戻っていたとのこと。
関東地方梅雨入り。
午後、まーさんと子どもが来る。 拗ねているのか最初は全く近寄らない。 家ではごねることもなく、全く普通通りに日常生活を送っているとのこと。 安心したような、拍子抜けしたような。 2歳なりに我慢しているのだろうと思う。
尿検査・血液検査の結果が出る。異常なし。 血圧も入院前よりも低い全くの正常値。 とにかく今はひたすら安静。
ブラッドベリの訃報を知る。 萩尾望都のマンガで名前を知り、彼女とともに私をSFの世界に誘ってくれた人である。 SFと呼ぶのが正しいのか、ひょっとしたら幻想小説と呼ぶ方が正しいのかもしれないが、中学生には新しい世界であったことは間違いない。 今頃火星行きの宇宙船にでも乗っているのか、と、窓の外を見ながら思うのであった。合掌。
医師からの指示はひたすら安静。 売店までは行っていいとのこと。 基本的に食事やトイレ・シャワー以外の時間はひたすらベッドの上で眠る。 それ以外の時間はスマートフォンでネットを見るか、面会スペースに退院者が置いていった雑誌を読む。 頭に何も入らないのだが、それでも何かをしていないと落ち着かない。
午後、母来る。妹に良い話があるらしい。
いつもどおり妊婦検診とエコー、のはずだったのだが、そのまま緊急入院を言い渡される。
とりあえず、自宅、まーさんの携帯、会社、実家に電話。 帰宅したまーさんに必要なものを持ってきてもらう。
こうなることを予期したかのように、普段コンタクトの自分がこの日は眼鏡。 入院に必要なパジャマなどは前の週に全部クロゼットの奥からタンスに移動済み。 なんだかタイミングが良すぎて嫌な感じ。
子どもの耳鼻科。 まだ完治していないが、薬で様子見。 7月のプールに間に合うのか?
買うものメモ。 ・萩尾望都「コトバのあなた マンガのわたし」(河出書房新社) ・「七緒」最新号 ・今市子「百鬼夜行抄」21巻
・・・まだ何かありそうな。
親子で上野動物園に出かける。 前回の教訓を生かし、今回は上野駅構内で昼食を仕入れ、万全の体制・・・のはずが、子どもが爆睡してしまい、ベンチスタート。
パンダ舎の警備員の手際の悪さに暴動が起きそうになりながらもとりあえずパンダを見せる。 親子連れ(必ず前列で見たい人)と後ろでもいい人を分けて並ばせておきながら肝心の屋外展示場のところで仕切のロープがない→当然大人が前のほうに割り込む→親子連れもきちんと行列を守らないで割り込む・・・ってナシだろうこれは。 現場の人間がもうちょっと頭を使ってくれたらなぁ・・・と思うわけだ。
子ども的にはあまりパンダは感動がなかったようで、結局メインイベントは今日もゾウ。かじりついて見ておりました。
前回時間切れで入れなかった子ども動物園にも今回は間に合い、山羊も羊も鶏も全く平気なのはやっぱり家に普段から動物がいるからなのか、それとも小さすぎて恐怖感がないのか、前者かな。
しかし疲れた。
今年は人事に動きがありそう。 今月来月と徐々に発表になるのだろうけど、異動が必ずしもいい方向に動かないのが会社の常、しばらく社内がドタバタするんだろうなぁ。
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