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2003年08月23日(土)
♪『ゴールデン・バレエ・コー・スター』・『ノートルダム・ド・パリ』BBSより

BBSより拾い文です。

◆ 『ゴールデン・バレエ・コー・スター』(8・11)

『ゴールデン・バレエ・コー・スター』なるバレエ公演に行ってきました。
しかし『世界バレエ・フェス』の手馴れた職人技のような舞台進行の後、これを観てしまうと、不手際の多さが残念に思えてしまいました。
例えば、舞台で違う演目の2人が間違えて出てきちゃうとか、タイミングの悪い暗転や幕下ろしなど…まだ他にもいくつか…。
それと、子供にバレエ習わせている親子と思われる人が多く、踊りの最中にヒソヒソお喋りばかりしていて、せっかく踊っているダンサーがかわいそうになる場面もチラホラ…。

でも公演自体は、珍しい作品も見れたし、まあ良かったと思います。
今日の最大の功労者は、ドミトリー・シムキンと息子?のダニエル・シムキン、←この子がメッチャ可愛い&テクもあるし超綺麗な踊りをします。(15、6歳らしいが顔は小学生くらいに見える)

ドミトリーさんの方は、『バレエ・フェス』でバランキエヴィッチが踊って話題となった『レ・ブルジョワ』、こちらのプログラムでは『ブルジョワジー』を踊り、やっぱり大ウケだった。
以前にも『Le Gala Des Etoiles』東京公演で、シムキンさんの踊りを見て、是非もう一度見たいと思って今回チケットを買ったのです。

2人とも素晴らしかったが、私としては若さと明るさという点では、バランキエヴィッチ。
渋さとあの普通で地味目のお姿から想像出来ないほどの個性という点ではシムキンさんといったところでしょうか。楽しいな〜この演目。
踊る人もウィットに飛んでいてGoodです。

あと、ヤンヤン・タンのやわらかさと美しい肢体にはウットリ。ABTのホアキン・デ・ルーズとマリア・リチェットはこの前見たコレーラじゃないけれど、ああいった類の超絶を見せて、客席を盛り上げてくれました。

日本人では下村由里恵さんが特に良かったです。以前「情熱大陸」で取り上げられた針山愛美さんも細い柔らかな腕が印象的でした。 
こちらの公演もバレエ団の枠組みから離れていろいろなダンサーが一度に見られるという意味では、「プチ・バレエ・フェス」という感じですね。


 ◆ローラン・プティの世界『ノートルダム・ド・パリ』(8・23)

ルシア・ラカッラ(エスメラルダ)、ジェレミー・ベランガール(カジモド)、バンジャマン・ペッシュ(フロロ)、このような夢のようなキャストが出演。
しかもプティ作品というので、バレエ・フェス貧乏になってはいましたが、観ないわけにはまいりません!!
という訳で、渋谷オーチャードホールに行ってきました。

でも、平日&公演数が多いせいか、客席も後方や左右わきは空席があってとても残念。
ちなみに私の席は後ろの方ではなかったですが、中央ブロックでない為か、その列は私だけ。(前後には、けっこう座っていました)

で、ラカッラってやっぱり類まれな凄いダンサーだなぁと感心しました。
コケティッシュでキュート、表情もいいですし、バランス感覚も優れている。なによりも、あの完璧なスタイルに理想的な筋肉の付いた身体。
強靭なのに滑らかで柔らかくて、足先がとても綺麗、まさに踊る為に生まれてきたミューズだわ!!ラカッラのダンスを見ないなんて絶対にもったいないと思いますよ。

彼女は今でも、前髪おろした髪型でとても可愛かったですね。
もっと頻繁に来て欲しいダンサー。古典バレエの表現も見てみたいなぁ。

ベランガールはかなり痩せたように見えました。ルグリのグループ公演(丸かった)→プティ・グラン・ガラ(大分痩せている)→今回(更に細くなった)やっぱり素敵!!
醜い鐘つき男の自信のなさ、献身的に密かにエスメラルダを思っている姿を、好演していました。(←醜く見えない。だって魅力的なんだもの...)

フロロ=ペッシュも若くてきれいすぎます。ダンスが大変見事で悪役を演じる上でのアクはそんなにありませんが、素敵でしたよ。

フェビュス役のアルタンフヤグ・ドゥガラーがどうしても上記の3人から比べると、だいぶ落ちる…。表情にしまりがないし、幼児体型に見えるのよ〜(ゴメン)

カーテンコールにプティも登場!! 可愛い方だなぁ。並んだら誰よりも大きかった。



2003年08月21日(木)
◆ 映画『永遠のマリア・カラス』フランコ・ゼフィレッリ監督、ファニー・アルダン、ジェレミー・アイアンズ、他


珍しく映画について...

フランコ・ゼフィレッリ監督、
マリア・カラス: ファニー・アルダン、
ラリーケリー(プロモーター):ジェレミー・アイアンズ、

 

オペラの演出や、映画「ロミオとジュリエット」等たくさんの名作を生み出したフランコ・ゼフィレッリ監督作品。
個人的にもよく“マリア・カラス”を知っていたということで、期待して見に行ったのですが、ウーム…何かしっくりこない…。
カラスが最後に舞台に立った日本公演後、亡くなる以前のほんの何年間を想像とフィクションで作り上げたという作品ですが、その設定に少々違和感を覚えました。

話を簡単にまとめると、
日本公演で声の衰えを自覚したカラスは、パリの高級アパートに引きこもり、外部の人間とはほとんど交流しなくなっていたが、かつてのプロモーター(何故かホモ設定)が訊ねてくる。

そして、彼女に、“今でも並び立つものがいないほど素晴らしい演技力をいかして、彼女を主役にオペラ映画を製作したい。しかし声だけは昔の最盛期の頃の音声を重ねて、伝説の「マリア・カラス」を復活させる”という企画を提案する。

カラス最初は断るが、心の底では、「表舞台にもう一度立ちたい」という気持ちが拭えず、毎夜、自分の最盛期のレコードを聴いては、役になりきり歌うが、声が出ずに泣きはらしている。

そんな姿を目にしてしまったプロモーターは、改めて彼女を説得し、実際に舞台に立ったことがない役、オペラ『カルメン』を撮る事になった。
映画は試写段階で絶賛されるが、根っから芸術家の彼女は、
「所詮、本当の声で歌っているものではなく、過去に録音されたものを重ねただけのまやかし…。今まで積み重ねてきた自分に嘘をつく事は出来ない」

そう考えるようになり、公開中止をプロモーターに告げる。
そして、再び自分の声で歌いたいと宣言するが…。

と、大体こんな感じ。

*始めにまず、素晴らしいところは、劇中『カルメン』の映画撮影場面の出来。
夢の場面のように全く色彩やトーンが、現実を映し出す場面とあきらかに変えてあり、とても美しく迫力に満ちていました。オペラシーンは必見ですね。

*シャネルの衣装に身をつつんだ時の、カラス役を演じたファニー・アルダンは、本当のカラスの雰囲気を作り上げていた。ゴージャスな女ぶり。
難しい役を大熱演していました。

*それと、使用された、カラス歌唱のアリアの素晴らしさ。これはさすがにイイ!


反対に気になったのは、このフィクション作品を作った意味まで考えてしまう内容。
事実を追う方が、どうしても素晴らしいと思えてしまいます。
だって何と言っても、彼女の人生は、幸福も不幸も、人の何倍もの濃い一生でしたし、それと比べると、なんともしょぼく、こんなものではないでしょうと突っ込みを入れたくなってしまいますね。


貧しい移民の少女時代 → 歌手デビュー、結婚 → 過激なダイエットで美を極める → 名声 → オナシスとの交際 → 舞台の充実 → オナシスとの別れ(オナシスはケネディ未亡人と結婚) → 歌手活動停止 → パリで死去  
すごい人生ですよね。


少しでも、過去の人生を匂わす場面を描いてくれればよかったのに、キーワードとして、オナシスやジャッキーの名前や写真が一瞬出てくるだけ。何も知らない人は、何が何だか解らないと思うなぁ。
声も愛も失って、外にも出ずに引きこもっていたという理由付けが薄いのよね…
ゼフィレッリ監督が、オペラを愛しており、しかも大巨匠であるということに期待しすぎてしまったかも。

あと、一番萎えるのは、しょうがないと思いますが、女優のファニー・アルダンの歌の場面にカラスの曲を重ねるという手法が、本編であれほど、“まやかし”と言って否定している内容の根源なんですよ。
要するに、作品として(カラスの言葉として)否定していながら、その方法を使わなければ、この作品が成り立たないという苦しさを感じてしまうのです。

監督は、偉大なカラスの孤独や、いかに素晴らしい不世出の存在だったかを、今、皆に伝えたくて制作したと思いますが、他に創作のアイデアが無かったのかと考えてしまいました。

それと余談ですが、以前にNHKで貴重な資料として、歌手=マリア・カラス最後のコンサートツアー、(ステファノと共演、ピアノ伴奏、たまたま日本公演が最後だったのですが)、唯一現存する公演のカラー映像ということでNHKホールでのコンサート後半部分が放送されました。音源もFMラジオ放送時の録音とのこと。楽屋映像のおまけも!
(私もビデオに保存しました。この映像は一般に市販されています)

奇しくも、この映画で、“最悪の公演”として、カラスが心を痛め、歌手引退を決意させた原因として、最後の日本公演地、札幌公演のエピソードシーンが、何度も登場していました。
東京公演のコンサート映像は、確かに最盛期よりは質が落ちているように感じられましたが、そんなに酷くはなくて、存在感は大変なもの。
最後の札幌公演は本当に、“最悪”だったのでしょうか。
観客は大変喜んだらしいのですが...。


全体に、気になる点ばかり書きましたが、けして、つまらない映画ではありませんし、見所&聴き所が満載ですので、ご覧になってみてはいかがでしょう。


【作品登場アリア】

「ある晴れた日に」(蝶々夫人)
「私のお父さん」(ジャンに・スキッキ)
「カルメン」
「乾杯の歌」(椿姫)
「歌に生き、恋に生き」(トスカ)
「清らかな女神よ」(ノルマ)





2003年08月13日(水)
♪『第10回世界バレエ・フェスティバル』BBSより

以下、BBSからの拾い文。観た直後の感想なので一応保護しました(笑)

「ガラ」のプログラムとフェス・チケット


 ◆世界バレエ・フェスAプロ

「バレエ・フェス」Aプロ見てきました。 全体的には、地味な感じでしたが、色々楽しんで見ました。

特に「アダージェット」は、深い作品でもあるし、他のものとは比べられないほど、ズッシリ胸に迫ってきました。ホントしばらく引きずってしまいそう。
やはりナマはいいですね。再び上演してくれた事に感謝です。
まだ音楽が鳴っている〜

あと、感じた事は、好みの分かれる作品・ダンサーが多かった気がします。凄い拍手をもらったダンサーでも何だかちょっとなぁと思ったり、「いいわぁ」と思ったダンサーにブラヴォーが少なかったり…。
フェスはテクニックの優れた人が人気出てしまうのかなぁ…。

個人的にはやはり何といっても「アダージェット」が一番。「ジゼル」「優しい嘘」「バヤデール」素晴らしかった。ヴィシ「マノン」はひたすら色っぽい。「イン・ザ・ミドル〜」もパリオペとは違って面白かったし「チャイコ」は圧巻で楽しかった。「エスメ」も品が良くて好き。
他のは良かったとは思いつつも“感動”までには至らなかったかな。
「このダンサーには、他の演目を踊って欲しかった」と思ってしまったものも多少ありましたね。


 ◆フェス(Aプロ)最終日

この前に引き続き、「バレエ・フェス」Aプロ最終日に行って参りました。
かんかん照りの暑いさなか出かけましたが、ホールは前回暑かったのに、この日は冷房がきいていて気持ちよく観劇できました。

プログラムの順番が前回と変わった事と、ダンサー達も演目が慣れてきたのか、前に観た時よりも皆さん素晴らしさが増して、断然盛り上がった気がしました。

今日、印象的だったのは、やっぱりジルの「アダージェット」。これはもう泣きそうになりましたね。何度でも見たい!!
それとオレリー&ルグリの「シルヴィア」、オレリーの女優ぶりが良かった。前は地味でピンとこなかったのですが、今日は出来がさらに良かったようで、大声援を受けてました。
「エスメラルダ」もやっぱり素晴らしい。順番も少し後になって観客がノッてきたところで登場!! スタイルに見惚れます。
「優しい嘘」も相変わらず凄かったし、「バヤデール」も丁寧&迫力で素敵でした。
「ロメ&ジュリ」も前よりだいぶ雰囲気出てきたし、やっぱり公演を重ねると、後の方が全体に良くなるのかな? いつもそんな気がする...
前回は何だか物足りなかったのに、今日は満足できました!!

席位置でも印象が変わる感じ。オケの音やスピーカー音は、前よりは少し下がった方が良いのね...。


 ◆世界バレエ・フェス特別全幕プロ『ドン・キ』

会場に向う頃はどしゃ降りの大雨。
電車も運行停止になった線があったらしく、開演時間が少し遅れました。
しかーし、公演の方は、もう大盛り上がりで、本当に観て良かったですね。

『ドン・キホーテ』って、踊りが楽しくて幸せな気分になりますし、ゲスト&東バ出演者が予想以上に大健闘でしたよ。見終った満足感はやはり全幕ならではかも…。
ステパネンコは気風のいい可愛さがあって素晴らしかったし、ウヴァーロフもキュートな面が見れて大満足。カーテンコールでもお茶目でした。
絶対ファンが増えたな...

“熱さ”で語るとすれば、ウヴァ以上にノリが良くてキレまくっていたのは高岸さん。カッコよすぎのエスパーダ役で大活躍でした。
メルセデスの遠藤さんも、女性陣の中では特に魅力的で良かった。
東バ版「ドン・キ」はエスパーダとメルセデス役は最初から最後まで登場していました。酒場では勿論、大道の踊り子とファンダンゴも踊ります。好きなダンサーが踊ってくれると嬉しいね。

キューピッドの武田さんもすごく可愛かった。
斎藤さんのジプシーは、ウェットでエキセントリック過ぎて違和感があったかな。
あと、1幕に出ていた子供達(かなり小さい子も…)の、邪魔な動きが目に付いてしまった。子供人数多すぎでない? 

休憩が1回だけというのも私には嬉しい。その方がテンション的にもいいと思う。
客席には沢山のフェス出演ダンサーも観に来ていたようだけど、私はフィーリンとアレクサンドロワしか見かけませんでした。(お客は写真撮ってたぞ〜 いいの?)
でも目の保養をしましたわ。顔が小さくてきれいだった。

公演全体に満足できて、いい気分のまま帰宅しました。


 ◆ バレエ・フェス「Bプロ」

Aプロでは、ダンサーの演目チョイスが、微妙にはずしてあった感じがしましたが、Bプロは、大体が観たかった演目を踊ってくれたので、こちらの方が見応えあったかな?
良かったものが多くて、本当に楽しめました。でもちょっと席が遠かった。
以下簡単に一言感想…

Aプロでは、最後だったのにBプロは一番最初のコホウトヴァ組、「海賊」メドーラの衣装が素敵だった。ウルレザーガの指先が気になる。

「小さな死」のオレリー&ルグリは大変美しかったし、詩的で感動しました。出番早すぎじゃない?

「白鳥の湖」黒鳥のパ・ド・ドゥ、ローホは前より演技していたけど、どうしても私は苦手。カレーニョは前回同様素晴らしかった。

「シルフィード」アレクサンドロワ&フィーリン。彼のブルノンヴィルは必見。マラーホフのグループ公演の時ほど、完璧ではなかったけど、得意な役であることは確か。

「夏」ホジキンソンさんはこの作品でもすごく良かった。ボッレってハンサムすぎ!!(笑)

「レ・ブルジョワ」のバランキエヴィッチにはまいりました。魅力も充分で楽しかった。ユニークで超絶。この作品もD・シムキンさんが踊ったのを以前観ましたが、雰囲気が違ってこの方ヴァージョンは明るめな感じ。

「ライモンダ」ステパネンコ&ウヴァーロフ組みは、一般的に上演するパターンの構成ではなかった。(でも3幕だよね?)一部音楽が〜 あっちの方が好きなんだけどなぁ〜 ライモンダのソロは格調高いので難しいですね。 ウヴァ、いつも通り良かった。

「パキータ」華やかな演目も見たかったのでうれしい。マルティネスはいい味出してるなぁ。ルテステュも期待どおり。

「葉は色あせて」これは全編がみたい。音楽がすごく切なくなる。フェリは踊りだけ見るより表情を見るとさすがと思わせる。ゴメスはこれだけの為に来たの?もったいない…。

「ロメオとジュリエット」寝室のパ・ド・ドゥ、これはノイマイヤーの作品。男性のリアブコの方がアッツォーニより切なげに見える。この版初めて見ました。必見。

「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」ヴィシニョーワはこの作品を踊る女性ダンサーの中で、私は一番上手な方だと思います。音楽的ですし。でもダイブは遠慮していたかも。マラーホフは昨日の『ジゼル』疲れだと思いたい。相変わらずラインがきれいだけど、あの踊りはショック! ピルエットも2・3回転位しか回らないし、全体にも重かった。以前と比べてもしょうがないけど…。

「イン・ザ・ミドル〜」アマトリアン&フォーゲル組。先日「ジゼル」を踊った組とは思えないほど、別の魅力を見せていました。やる気満々の「イン・ザ・ミドル」だったなぁ。柔らかくてスピード感に溢れていたし、もうー素晴らしいであります!!

「マノン」沼地のパ・ド・ドゥ。ギエム&ル・リッシュのこの演技を見て、私は泣きそうになりました。表現の深さにも脱帽。

「ヨカナーン」世界初演 R・シュトラウスのオリエンタル風な音楽がいい。ジルは独自の世界を表現することが、天才的で突出している。観客は見入るのみ! 舞台奥の右手側、ビアズリーの「サロメ」のための挿絵(クライマックス)という絵に注目!

「ドン・キホーテ」コジョカル&コレーラ組。最後に相応しく盛り上げてくれました。コジョカルはバランス系は余裕だし、可憐でいいなあ。コレーラも客席を楽しませようと頑張ってくれました。以前は力みがイヤだったけど、何だかほほえましくなっちゃった。


 ◆ バレエフェス『ガラ』

「ガラ」に行ってきました。
いきなり入り口で、資生堂の《ZEN》という香水を配られました。今日は仕事を休んだにも関わらず、遅刻ぎみになってしまい、着席と同時に暗くなりました。あせった〜
全体的に現代・創作もの&ネオクラシックが多く、プティパは4作品にとどまってました。うん、ちょうどいいバランス。

私が気に入ったのは、フェリ&バランキエヴィッチ「じゃじゃ馬馴らし」。
フェリは今まで見た中でやっと本領発揮というか、やっぱり演技力は飛びぬけていると感心。いいね〜
バランキエヴィッチは今回の「フェス」全体の中で、見るたび楽しみになるというか、チャーミングだし、ユーモアも溢れているし、踊りのスケールも大きくて、特に気に入ってしまいました。

「太陽に降り注ぐ雪のように」のアマトリアン&フォーゲルのユーモアと身体能力の高さ。この二人も全体をとおして大変気に入りました。表現力、柔らかさと強さもあるし良いダンサーですね。
「マーラー交響曲第3番」アッツォーニ&リアブコの幸福感に包まれた世界にも魅了されました。ルグリの「エンジェル」も良かったな。

ギエム&ル・リッシュ出演のエック振付「アパルトマン」もとっても面白かった。
この何日間で改めてお二人の素晴らしさを再認識してしまいました。
正直、今まではギエムに対し凄いなぁとは思っていても、好きという訳ではなかった気がします。今ごろ思うのもなんですが、今の自分、そして良いものを見せようという姿勢の真面目さが、とても好ましく感じられてきました。

ヴィシニョーワのジュリエットは「マノン」と役作りがあまり変わらなかったのが不満。
清らかさより、何しろ色っぽく見えちゃうのよね…。
初めて恋を知った少女にはちょっと見えなかったなぁ…。
そう考えると、フェリの演技力はやっぱり凄いと思えちゃう。少女にも娼婦にもちゃんと見えるもの…。

あと、今回アニエス・ルテステュが高熱の為、「ドリーブ組曲」のアダージオだけの出演になり、出演順序も急遽変わりました。明日は大丈夫かな。無理せず休養して欲しいですが、明日来る人は絶対見たいだろうな。

おまけのパフォーマンス無しはガッカリ。(←手ぬぐいすら貰えぬひがみです)
もしかしたらまだやってくれるのでは、と幕が開くのを待っちゃった。
抽選時間があったのなら見せてくれ〜〜



2003年08月10日(日)
◆続き【第10回世界バレエフェスティバル】 《Bプロ》 (8/8、8/10分)ギエム、ルグリ、マラーホフ、ジル・ロマン、ステパネンコ、他

→8/8の続き


【第3部】

◆「パキータ」
〔アニエス・ルテステュ&ジョゼ・マルティネス〕&東京バレエ団
振付:マリウス・プティパ、ピエール・ラコット、音楽:ルードヴィッヒ・ミンクス

そろそろコール・ド付き華やかな演目が観たくなった頃のタイミングでの「パキータ」。
私は、「パキータ」の音楽を聴くと、心がウキウキして、かなり好きな作品ですね。
コール・ドバレエの東京バレエ団の方たちは、全員おそろいの白いパールカラーのチュチュで登場。張りや質感が、ちょっと安っぽかったかな。
踊りはパキパキした感じで、スピーディーなところもわりと揃っていました。若くて容姿の可愛い人が多くて嬉しい。

でもアニエスが登場すると、華麗なダンススタイルの美しさ、華やかさで圧倒されます。ベージュゴールドの大きめのチュチュはレースづかいといいとても豪華。とにかく良くお似合い。
マルティネスはゴールドとえんじのアクセントの衣装でした。 
アニエスはやっぱり丁寧な踊りで笑顔もいい。
ただ、フェッテの時だけは顔がかなり必死な表情になっていました。
フェッテの回転はゆっくりめですが、大きな円で足は高めの位置をキープ、誤魔化しが無いテクニックを披露。
マルティネスはフェスの最初からずっと好調をキープ…というか不調とかは見たことがないですねぇ。
安定感と大人な雰囲気、優美さではピカイチです。


◆「葉は色あせて」
〔アレッサンドラ・フェリ&マルセロ・ゴメス〕
振付:アントニーチューダー、音楽:アントニン・ドヴォルザーク

ドヴォルザークの切なくてどこか懐かしい音楽。
曲を聴くだけでもイメージが膨らみますが、チューダーの振付も柔らかく流れるようで、作品自体好きです。 

筋は無いということですが、この作品を見ると、一生を短く凝縮したように見え、“出会いと別れ”、“現われ、そして消えてゆく”、“青春の日々を懐かしむ”といったイメージが私の中で広がってきます。
「“甘い思い出”を振り返ったときの切なさがほのかに胸に迫る」こんな印象ですかね。
振り付けは流麗なものでした。是非、本編を全部見てみたい作品!!

2人のダンスに関しては、勿論素敵でしたけれど、あまりピンとこなかった印象。
やっぱり、フェリは「役」があった方が似合う気がしますし、ゴメスも悪くはないけれど、この作品では少々若すぎる感じがしました。 


◆「ロメオとジュリエット」寝室のパ・ド・ドゥ
〔シルヴィア・アッツォーニ&アレクサンドル・リアブコ〕
振付:ジョン・ノイマイヤー、音楽:セルゲイ・プロコフィエフ

簡素なベッド。花瓶に白い花、床には脱ぎ散らかされた衣服。
そして乱れたシーツに横たわるジュリエット。
ノイマイヤーが振付けた「ロメ・ジュリ」ですが、大変ドラマティックで、ロメオが夜明けに立ち去る場面を、これでもかという程未練たっぷりに演じてくれています。
かなりの大熱演で、現代的でありながらも、無味乾燥にならずにたっぷり魅せてくれました。
 
はじめにロメオだけが眠りから覚め、不幸な中で、より愛しさを増したジュリエットへの思いを演じる前半だけでも、グイグイ観客を引き込んでいく強さを感じました。
ラストの“散乱した服を拾って(着ずに)立ち去る“までの、激しい愛を演じた2人はとても素晴らしかったですね。これもキチンと全幕見たいな。
なお、この作品の初演はノイマイヤー自身がロメオを踊ったそうです。

◆「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
〔ディアナ・ヴィシニョーワ&ウラジーミル・マラーホフ〕
振付:ジョージ・バランシーン、音楽:ピョートル I.チャイコフスキー

ヴィシニョーワ得意の「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」を再び拝見する事が出来ました。
彼女独特の上半身の柔らかな動き、腕も背中から滑らかに指先まで伝わり、モッチリとした粘りも感じる踊りでした。
手馴れている作品だとは思いますが、やっぱり素晴らしいですね。 
途中、ダイブするところが控えめで、以前フルパワーで踊っていた時と比較すると、遠慮がちだったかもしれません。

マラーホフは「Bプロ」初日では、疲れがピークというのが観客に伝わるほど、今まで見たことがないくらいに重くて、表情も辛そうに見えてしまいました。
この時の姿はかなりショックで、前日に「ジゼル」全幕を踊ったからだと理解するしかないほど、観ていて辛くなりました。
私の周りの観客も、休憩時間に動揺を隠せない様子。 
しかし後日、もう一度拝見したときは、だいぶ回復していて、ホッとしましたけど...。
連日、舞台に穴をあけないように、体調をおして参加してくださったことは、ありがたいですが、すごく心配しました。

さて、「バレエ・フェス」の間の2人を見て、ヴィシニョーワとマラーホフのパートナーシップについては、素晴らしいダンサーの共演とはいえ、大きくプラスに働いたとは、現時点では正直、思えませんでした。 
マラーホフには彼女の色が強すぎるのか、個性や、つくる方向性とか雰囲気がピッタリ合うとは想像しづらい印象。
この作品に限らず、文芸作品や古典作品も、お互いに生かし合えるダンサーと踊っていただいた方が、この不思議な違和感を感じずに、見ていられるような気もします。 
でも、全幕を見ていないので、なんとも言えないとは思いますが、2人とも大変良いダンサーなので、次回ではより良く変化しているかも知れませんね。


【第4部】

◆「イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド」
〔アリシア・アマトリアン&フリーデマン・フォーゲル〕
振付:ウィリアム・フォーサイス、音楽:トム・ウィレムス

見た人がビックリする「イン・ザ・ミドル〜」でした。 
振付家、初演時のパリ・オペラ座ダンサーの作り上げた作品イメージとは違ったものになっていたようですが、それでも “凄い”と感じることができて、面白かったです。
この作品、脱力したような、面倒くさそうに立っている状態から、急に極限までシャープに組んで踊るイメージをもっていましたが、この2人の踊りは、常にやる気を感じさせ、ハードでスピーディーな踊りに仕上げていました。
迫力と、激しさ、究極のねじれたポーズや極限までの柔らかさをみせるアマトリアンとフォーゲルは「ジゼル」とは違った魅力を見せ付け、大きな歓声と拍手を浴び、観客の心をつかんだようです。

「ジゼル」の時は、抑えた表現で演じていましたが、この作品では、鋭さと柔らかさを大いにアピールして、新たな作品の面白さを伝えてくれました。
アマトリアンは長めの髪を、ダウンスタイルにしていたので、髪が身体の動きとともに激しく躍動していました。 
若さ溢れる2人のダンスは、「フェス」を充分に盛り上げ、先日の「ジゼル」とは違う、新たな魅力を観客に印象付けましたね。


◆「マノン」沼地のパ・ド・ドゥ
〔シルヴィ・ギエム&ニコラ・ル・リッシュ〕
振付:ケネス・マクラミン、音楽:ジュール・マスネ

本当に素晴らしかった。
スモークがうっすらと焚かれた中、足の運びもやっとで、今にも倒れそうになりながら、支えあう2人が登場。ボロボロの衣装に乱れた髪…。
この登場シーンから、2人は圧倒的な存在感で、物語の壮絶な最後の瞬間まで、まばたきを忘れるほど作品世界に酔わせてくださいました。
ギエムのマノンは、弱さというものがなく、痛々しさと“生”への執着を、全身全霊で演じ踊っていて、本当にスゴイとしか言いようがなかったですね。
大変激しいパ・ド・ドゥですが、ダンサーの個性がモロに発揮されて、好きな場面でもあります。 

マノンはだんだんと幻しか見えなくなり、とうとう力尽きたその瞬間、彼女が死んだのがなかなか理解できず、何度も抱き起こしながら、ようやく死を理解し、大きく口を開け絶叫するデ・グリュー(実際には声を出してはいませんが)、その姿を目にすると、心が震えてきました。
このような舞台を観られたことに感謝です。

そして是非、全幕が見たいよ〜…と、そう思ってふと思い出し、99年の「ロイヤル・バレエ」のプログラムを取り出してみたら、ギエムの「マノン」を見ていました。
でも全然見た記憶に無いのはなぜ? 感動していたら覚えているはずなのに…。 
きっと今の方が彼女の表現力が増したのか、私が変化したのかな…。 舞台はその時々違いますしね…とにかく、とっても感動しました。


◆「ヨカナーン」(世界初演)
〔ジル・ロマン〕
振付:モーリス・ベジャール、音楽:リヒャルト・シュトラウス

暗い舞台。左手には木の切り株に大きく湾曲した大刀が添えられている。
右手には、何段かの階段の上に、ビアズリー(Aubrey Vincent Beardsley)の【オスカー・ワイルド作『サロメ』のための挿絵、48-15「クライマックス」】というモノトーンの大きな絵が飾られている。
(R席の人は見えにくかったかも)
衣装は、白いシャツに黒く細いタイを締めたわりと普通っぽいもの。

印象としては、ジル・ロマン氏の、その場の空気を変えてしまう大きな存在感と、観客の集中力が途切れないほどの惹き付ける力の凄さを改めて感じました。
作品、サロメの物語を髣髴とさせるところは、具体的なイメージとして沸いてはきませんでしたが、面白くは拝見できました。
小道具の木の切り株に首をのせて、斬首を連想されたり、リヒャルト・シュトラウスのエキゾティックな音楽が、雰囲気を盛り上げていたと思います。
最後のまさにクライマックスに、ビアズリーの絵に勢い良く突進して、絵が切り裂かれてしまうラストはビックリしました。 
でも、理解できない部分も(ストレートに伝わるかと言う意味で)あり、私にはまだ“?”の作品。


◆「ドン・キホーテ」
アリーナ・コジョカル&アンヘル・コレーラ〕
振付:マリウス・プティパ、音楽:ルートヴィヒ・ミンクス

とっても盛り上がりました。
『バレエ・フェスティバル』の名物、トリの「ドン・キ」に相応しい若い2人の華麗なパフォーマンス。弾けた明るいコレーラと可憐で爽やかなコジョカルで楽しい舞台を見せてくれました。
コジョカルはロイヤル・バレエの品の良いクリーム色に白のレース、ピタッとした長袖の衣装。コレーラは全体に黒で胸元に赤いアクセントのシンプルなもの。

この「ドン・キ」では、コレーラの力みは気にならずに、踊りの楽しさが充分伝わってきて、晴れやかな気分になりますね。 
コジョカルのは軽さと長いバランスの妙を観客にアピールし、技術を見せてばかりのイヤミさも感じられなく、本当に好ましいダンサー。
可愛らしい容貌でも得していますよね。
とにかく明るくラブリーな雰囲気のパフォーマンスでした。良かったです。



「Bプロ」はかなり気に入ってしまいました。
このプロ分ラム&パフォーマンスは、ほぼ全部ツボにはまりましたね。(笑)
「Aプロ」で最初に観た時とは違い、途中、そして終わった時の観客の興奮度&満足度も、こちらの方が良かった気がします。 
帰りの家路までの道のりも、なんと幸せだったこと…。




2003年08月08日(金)
◆【第10回世界バレエフェスティバル】 《Bプロ》 (8/8、8/10分)ギエム、ルグリ、マラーホフ、ジル・ロマン、ステパネンコ、他

ダンサー達は後半になるにつれ調子のあがる方が多く、良いムードのフェスになっていました。「Bプロ」は「Aプロ」にも入っている同じ演目を、違うダンサーが踊って個性の違いも比較できる、そんなことも楽しみのひとつとして鑑賞しました。勿論、初見の演目も楽しみです。

8月 8日(金)【ソワレ】 (1階R席、舞台がなんとか切れない席で鑑賞。ピアズリーも大丈夫だった…私より端の人は多分見えなかったかな?)
8月10日(日)【マチネ】 (1階左寄り,前方席、カーテンコールのダンサーは目の前)


*【注】このプログラム順序は、8/10のときの並びです。
8/8と8/10では第1部の「白鳥の湖」「海賊」の順番が変わっていました。


指揮:ミシェル・ケヴァル/アレクサンドル・ソトニコフ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団


【第1部】

◆「白鳥の湖」より黒鳥のパ・ド・ドゥ
〔タマラ・ローホ&ホセ・カレーニョ〕
振付:マリウス・プティパ、音楽:ピョートル I.チャイコフスキー

オレンジの背景に黒のレース飾りの幕。ジークフリードのカレーニョもオディールにあわせて黒のトップスにタイツ。オディールの衣装もロイヤルらしく細部までよく出来た衣装。

カレーニョは戸惑いの表情や喜びの演技など細やかに演じていました。
ローホも先日の「海賊」よりは、役をどのように“踊りたいか”がハッキリとしていたように思います。その点は良くなったでしょうか。
どっしりと自信に満ちたオディールで、滑らかさと優美さがもう少しあればと思います。
この役は踊りなれているというのがとても感じられ、「ここで笑う」とか、「ここで睨む」とかがちょっと解りやす過ぎる気がしました。自然に見えて深みが出てくると更にいいのですが…。
でもトップバッター(10日)としては、頑張って盛上げてくれました。
フェッテは例のとおりトリプルを入れても安定していましたね。技術があるので違うバリエーションのフェッテも見たかったです。


◆「小さな死」
〔オレリー・デュポン&マニュエル・ルグリ〕
振付:イリ・キリアン、音楽:ヴォルフガング・A.モーツァルト

暗い中、モーツァルト「ピアノ協奏曲」の優しげな音楽が奏でられている。
そして、暫らく経ってから微かにぼんやりと2人の男女が浮かび上がってくる。
このじわっ〜とした導入部分から、詩的で静かで美しかった…。
ルグリとオレリーの衣装はスキン色がベースで同系色のストライプがはいったもの。ルグリは短いパンツ姿、オレリーも生足だったので、身体がライトにさらされ、筋肉の動きがくっきりと映えて、神秘的でもあった。

絡み合う体勢やポーズもキリアンの独特な世界観が現れ、非常に惹きつけられました。
とてもセンシティブな作品ですが、深みや力強さも感じられ、観ていてとても濃密な美しい時間を味わえたと、お二人に大感謝です。

カーテンコールでは、拍手が鳴りやまず、何度も観客の前に登場してくれたのですが、何回目に現れたときは、お辞儀をしないでその場に立ったまま、ただただ全身で拍手を浴び、しばらくの間じっくりと観客の熱狂を、気持ち良さようにあじわっていらっしゃいました。
素晴らしいパフォーマンスの後の素敵な光景で、私もジワァ〜ときました。


◆「海賊」よりグラン・パ・ド・ドゥ
〔バルボラ・コホトコヴァ&イナキ・ウルレザーガ〕
振付:マリウス・プティパ、音楽:リッカルド・ドリゴ

コホトコヴァのメドーラは、先日の「ドン・キ」よりもしっくりと役が合うように思え、良かったと思います。登場シーンから、柔らかな表情といい輝きがありました。
衣装も目を瞠るほど大変美しいシルバーブルーに、額から頭部に輝く大きなティアラ、お団子にしたヘアーのネットにも、沢山のパールがちりばめられていて、いつもながらスゴイ豪華ですね。
ソロはロシア系ダンサーが良く使うバージョンを使用。コーダのフェッテは、4方向に体を正面に向けるテクニックをされていました。(見ていると何故か応援したくなる…)

ウルレザーガは渋く燻した金色のハーレムパンツ。意外に身体が細くてビックリ。
もっさりした雰囲気のせいか、テクニックがあるのに、そんなに観客の支持を受けていない感じ。やはり指先まで神経を行き渡らせる気配りとか、キメる部分がビシッときまると、垢抜けてくるんじゃないでしょうか。
しかし、とにかく頑張っています。


【第2部】

◆「ラ・シルフィード」
〔マリーヤ・アレクサンドロワ&セルゲイ・フィーリン〕
振付:オーギュスト・ブルノンヴィル、音楽:ヘルマン・S.レーヴェンスヨルド

森の中の舞台美術付き。アレクサンドロワは、スタイルが良くて背も高いダンサーですので、シルフィード姿で登場した時は、ちょっと不思議な感じ。
「ラ・シルフィード」は、作品自体たいへん古いですし、踊りや顔の雰囲気が現代的に見える彼女には、ピッタリといった感じではありませんでした。
ですが、フィーリンとのマイムを含めたやり取りは、結構可愛く演技していたと思います。シルフィードらしいかと言えばそうでもない気がしますが、踊りはしっかりと美しいものでした。
衣装は、凝っていて、ラメがきらめく羽は大きめ、胸の中心に花、ロマンティックチュチュは、基本の白に、極薄いピンクとグリーンの生地も重ねられていました。

フィーリン得意のブルノンヴィル。私も期待して拝見しました。
脚の美しさも堪能しましたし、シルフィードとのやり取りも、可愛くふくれっつらをしたり、優しげな目線といい、たわむれ具合が見ているほうも楽しくなります。
以前の公演で見た時ほどの“完璧さ”ではありませんでしたが(そのときはホント見惚れました)、再び見ることが出来て良かったです。
こういった古典もプログラムに入っていて嬉しいですね。

◆「夏」
〔グレタ・ホジキンソン&ロベルト・ボッレ〕
振付:ジェームス・クデルカ、音楽:アントニオ・ヴィヴァルディ

ケヴァルさん、渾身のヴィヴァルディが素敵!
赤の背景。 ホジキンソンさんは」大人の色香と凛とした雰囲気で、私的に好印象。先日の「イン・ザ・ミドル〜」といい、今回といい、完全にボッレをリードしていますね。
たしかはじめにNBSのフェス参加ダンサーの発表時は、“ボッレの相手役として云々〜”と書かれていましたが(日本ではあまりなじみが無かったお名前だったかも…)、でも蓋を開けてみたら、かなり良いダンサーで、容姿も美しいしとても気に入りました。
英語版「DANCE MAGAZINE」の表紙にもなっていますし、本当は元々有名な方だったのですね。

大の字に脚を大きく広げ、脱力した様子で座り込んでいる男。(導入部はこんな感じ)
ボッレは表現において、まだ成熟の途中の段階といった感じでした。悪くはないんだけれど、圧倒する何かがまだ少したりない。
あと出来れば、A・Bプロのどちらか一つ、王子様ぶりを見たかったなぁ。 物腰が美しい方ですので…。


◆「レ・ブルジョワ」
〔フィリップ・バランキエヴィッチ〕
振付:ベン・ファン・コーウェンベルグ、音楽:ジャック・ブレル

バランキエヴィッチは今回のフェスで初めて名前を覚えたダンサーですが、特に気に入ってしまいました。観客の多くも私と同じように魅了された人が沢山いたのではないでしょうか。
大柄のスタイルとキレの良いダンステクニックに加え、あのチャーミングな演技といったら!! この演目を見られただけでも「Bプロ」イイですね(笑) 
Yシャツにネクタイ、めがねのお決り小道具。(以前見たこの作品を踊ったダンサーも同じ。あと脇にテーブルが用意されていた)
酔っ払ってしどろもどろ、おぼつかない足どり…。ユーモアたっぷりの演技。
だけれども、途中挿入されるテクニックは超絶…。

Bプロ初日の時は、こういった凄いジャンプをしたときに、ポケットに入れていた(大切な)タバコを落としてしまい、後で口にくわえて、「ライター持ってない?」が出来ない状況に…。
ポケットにはもう無いので、あわてずに床を探したら見つかって...。この一連のとっさの演技も、実に見事にやり遂げていました。
観客は彼に惹きつけられること!! 
後日見たら、こんなハラハラドキドキもなく、すんなりタバコをくわえ、流れるように演技されていたので、本当はこうだったのか、と納得しました。 
私はBプロ初日に感じた、彼の魅力と個性に対する驚きを、忘れられそうにありません。 


◆「ライモンダ」
〔ガリーナ・ステパネンコ&アンドレイ・ウヴァーロフ〕
振付:マリウス・プティパ、音楽:アレクサンドル・グラズノフ

正統派クラシック・バレエを踊るこのお二人も、フェスを盛り上げる大切な人材ですね。
ステパネンコはボリショイの「ライモンダ」第3幕の鮮やかなブルーの衣装を着用して登場。(でもバレエ団のものは、もうちょっとくすんだ青だったと思うのだが、デザインは同じかな)
ウヴァーロフは全身“白”で、初日はマントまで着用し、後日は付けずに登場。揺れる袖口と銀のサッシュベルトに小刀が装着されているような飾りも付いていて、結構凝ったデザインでした。 すごい貴公子ぶり…。
内容は、ステパネンコのソロ部分だけ、あの有名な3幕の哀愁に満ちたヴァリアシオン(ピアノが入っているメロディ)で、他は2幕との事です。

非常に優雅な導入部分。ゆったりとした中にも品があり、ステパネンコは先日の全幕プロの「キトリ」とはガラリと変わり、深窓の姫君を格調の高く演じ踊っていました。 
今回も、役をキッチリと意識して、緩むことなくクラシック・バレエの素晴らしい世界を伝えていました。
ライモンダのソロはやっぱり難しいヴァリアシオンだと、つくづく思います。一つ一つの動作や間、スタイルを、観客はピアノ音と共に神経を集中して観てしまいますね。それだけに踊るダンサーも大変気を使うのではないでしょうか。

ウヴァーロフは中世騎士という設定のジャン・ド・ブリエンを、やはり気品と迫力で踊っていましたが、少し覇気がなく、物憂い感じもしました。
でもやはりこの方の踊りは、とても美しいと実感しましたけれど。

→8/10に続く




2003年08月02日(土)
◆続き【第10回世界バレエフェスティバル】 8/1・8/3分、《Aプロ》 ギエム、ルグリ、マラーホフ、ジル・ロマン、ステパネンコ、他

>前日の頁の続き...

◆「アダージェット」
〔ジル・ロマン〕
振付:モーリス・ベジャール、音楽:グスタフ・マーラー

もう、感動しまくりで、勝手に色々な感情が湧き上がってきて、どう表現してよいやら…。
ジル・ロマンの踊りを観ていながら、心は様々なところにトリップしてしまう不思議な感覚。
ベジャールが意図して作った内容など詳しく知りませんでしたが、後でパンフの解説を読んだら、
《暗い夜の河を、さざなみがきらきら光を放ちながらたゆとうような、哀切に満ちた幻想的な音楽にのせて、死に向かい合った男の孤独が描かれる。禁欲的で内向的な踊りが、人間の生の悲しさをいっそう際だたせる》だそうです。生と死を連想したのは、そう的外れでもなかったのかな...。

私が感じたのは、生命を終えようとしている、ある一人の人物が、最後の場面で走馬灯のように過去の自分、苦悩だったり、怒りだったり、こうすれば良かったなどと悔やむ部分が、体感としてあたまの中に浮かびあがっては消える。過去には戻れぬ絶望…。若さへの渇望。命の重み。灯火が消え去ることの孤独…。葛藤をひとしきり味わった後に気づく、大いなるものへの感謝の心。

そしてあの官能的な音楽からして、どうしてもヴィスコンティの映画『ベニスに死す』を思い出してしまいます。 あの映画も、手を伸ばしても届かない“美”や“若さ”への憧れを、耽美的で残酷なかたちで描いていますが、どこか陶酔してしまう世界ですね。

それと、天上へと指先を伸ばすポーズは、レオナルド・ダ・ヴィンチが生涯、死ぬ時まで手放さなかった自作の絵画、【洗礼者ヨハネ】を思い出してしまいました。レオナルド自身の若い頃の自画像だとも言われていますが(ハッキリと断定は出来ませんが)、美しい若者の姿をし、人差し指を天上に向けているその姿、甘美なその表情といい、“美”、“若さ”という意味で何だかダブって見えてしまいました。

最後にジルが手のひらに掴み取ったものを、フゥと息を吹きかけ飛ばすようなしぐさがありましたが、私は、死に対して最後にすべてを受け入れ、生命の砂粒をそっと宇宙に返し、心静かな境地になる。
そして、壮大な宇宙の広がりの中では、人の人生など砂粒くらいに小さいかもしれないけれど、星屑のように煌いてる尊いもの...。
そんな風に感じました。


◆「ラ・バヤデール」より
〔ガリーナ・ステパネンコ&アンドレイ・ウヴァーロフ〕
振付:マリウス・プティパ、音楽:ルートヴィヒ・ミンクス

なんて美しいのでしょう。ロシアバレエの芸術性を真摯に見せてくださいました。 大変丁寧でしたし、現れただけで、存在感と踊りの美しさにウットリしました。 
ステパネンコは派手で強めのキャラが似合いそうと勝手にイメージしていましたが、こうして見てみると、しっかり丹念にもうこの世のものでない「ニキヤ」をしっとりと表現されていましたね。 あの真っ白なチュチュ姿の似合う事!

ウヴァーロフはもう何年間のボリショイのトップとして活躍していますが、憂愁のキャラでも、力強いキャラでも何でも美しく魅力的に演じていて、その都度素晴らしいと感じてしまうダンサー。
今回も、“お祭り”を意識することなく、いつも通りの迫力あるクラシカルな世界を見せてくれました。 彼が踊ると舞台が大変狭く見えてしまいます。いかにもこれぞ正統派バレエという感じで、他の色々ひしめくダンスの中にあっても、たしかな強さを印象付けました。


◆「優しい嘘」
〔シルヴィ・ギエム&ニコラ・ル・リッシュラ〕
振付:イリ・キリアン、音楽:クラウディオ・モンテヴェルディ・カルロ・ジェズアルド、グレゴリオ聖歌

全く楽器音の無い、人の“声”だけを使った音楽。紫と黒のフィットした衣装に、暗い照明の中に浮かび上がる2人の身体の美しさは、それだけでも“詩”となり、直接観客の心に届いてきます。
しかし、こうも沢山のダンサーをたてつづけに観てきましたが、やはりギエムの体形は驚異で異質。
あそこまで研ぎ澄まされ、磨きをかけあげた根底は、努力以外ありえないでしょうね。

彼女の古典ものは表現において感動できた事は無いけれど、こういった作品は本当に肉体が雄弁に語ってくれて感動的でした。
ニコラとのデュエットはぴったりで良かったと思います。
2人のそれぞれの単品を見たくなってしまいました。


◆「ドン・キホーテ」
〔バルボラ・コホトコヴァ&イナキ・ウルレザーガ〕
振付:マリウス・プティパ、音楽:ルートヴィヒ・ミンクス

コホウトヴァはマラーホフのグループ公演以来でしたが、まず身体がスッキリして落着き感が出てきた印象。今回は黒と白を基調とした衣装。この方はいつも素敵なものを着てきます。
しかし、今回のフェス、「ドン・キ」「海賊」と何か雰囲気に合っているのかちょっと疑問。たおやかな演目を、どちらかに入れて欲しかった。
踊りは、きれいで悪くはないが、フィナーレを飾るにしては派手さはなくて順番を入れ替えて、のびのびと踊らせてあげて欲しかったな。
ソロは、キトリのヴァリアシオンでなく、途中に挿入される1st友人ヴァリアシオンでした。なぜ?
彼女は金髪のお行儀良いキトリといった印象です。(ギエムの後、よく頑張ったね…)

プロフィールでは、来年よりボストンバレエ団で踊ると書いてあったが、この前ミュンヘンに移籍したばかりのようだけど、どうなっているのかしら?

ウルレザーガをまじかで見たら、プロフィール写真と似ていない。(どちらにしてもあまり好みではないが…スミマセン) テクニックもあるし、安定しているが、手の表情に気を使って欲しかった。
指先があまり美しくない、それとも大きすぎるのかなぁ…。 
迫力はありました。
しかしつくづく最近のロイヤルバレエ団て、個性や国籍、体形が全く違うダンサーを取り揃えていますね。


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最初に「Aプロ」を見た時、何だかスッキリしなくて、もっとすごいものを沢山観られると思ったのに、物足りなさを感じてしまいました。 
ですが、2度目に見た時は、それぞれダンサーの踊りも、演目の面白さもクリアに伝わってきて、舞台は日々違うものということを改めて感じました。
それと席位置により、表情が見えると見えないというのも、印象が違うように感じる大きな要素ですね。
今回、途中からプログラムの順番が変わりましたが、後も方が盛り上がったように思います。
後の「Bプロ」はどんな感じでしょうか。まだ楽しみは続きます。

*ちょっと関係ないですが、フェス内容を、たまたま昔のプログラムと比較してみたら、「第8回」のソワレは17時半開演、終演は21時55分だった。休憩時間も「5分、15分、5分だけ」とはすごかったなぁ…。
今年は18時始まりで21時45分。休憩も余裕あったしね…。
そういえば、フェスって“長い”というイメージあったような気がする。
ということは、上演演目が減っているんですね。観客も以前の方が過酷だったようで...。
それよりも前はどんなだったのでしょうか?



2003年08月01日(金)
◆【第10回世界バレエフェスティバル】 《Aプロ》 8/1・8/3分、ギエム、ルグリ、マラーホフ、ジル・ロマン、ステパネンコ、フェリ他

8月に入ったら、急に夏らしくなりました。
会場はもちろん超満員。そんなに大げさなおしゃれをしてくる方は少なかったですね。

8月1日(金)【ソワレ】 
(かなり前方中央席で観ましたので、表情をも含めて満喫しました)
8月3日(日)【マチネ】 
(1階L席中央寄り,ぎりぎり舞台が切れない席で鑑賞)

*【注】このプログラム順序は、8/1のときの並びです。
8/3は1部、2部の順番が多少変更されました。

(後のプログラムの方が良くなったように感じ…)



指揮:ミシェル・ケヴァル/アレクサンドル・ソトニコフ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団


◆「リーズの結婚」より 
〔フィリップ・バランキエヴィッチ〕
振付:フレデリック・アシュトン、音楽:フエルディナン・エロール

とても美しいスタイルで好印象を持ちました。
若々しく弾む感じが良かったと思います。
きれいなジャンプにアクセントも効かせて楽しそうな雰囲気が伝わりますが、何せヴァリアシオンだけなので、あっという間に終わってしまい残念です。 
コンクールではないのだから、お相手も呼んで、踊っていただきたかったな。 短かかったけれど印象にも残りましたし、とてもいいダンサーだと思いました。


◆「ロメオとジュリエット」より“バルコニーのパ・ド・ドゥ” 
〔マリーヤ・アレクサンドロワ&セルゲイ・フィーリン〕
振付:レオニード・ラヴロフスキー、音楽:セルゲイ・プロコフィエフ

きちんとバルコニーのセット付。満天の星空が美しい。
ラヴロフスキーの振付は清らかなイメージがあって結構好きです。
とくにジュリエットがロメオに掲げられて腕を一杯に広げるところとかはグッときます。ロシア系はこちらのヴァージョンが多いのかしら?
さて、ルンキナが出産の為来日できなくなり、代わって、アレクサンドロワの参加となりました。

アレクサンドロワはとても期待されている若手ダンサーですが、その強めで大人っぽい顔立ちのせいもあり、ジュリエットのイメージからは少々離れているように思えます。(年若く純真な可憐さという意味では…)しかし長い手足や動きは大変美しい方ですね。少しジャンプ時の足音は気になりました。

恋する心がぶつかりあうパ・ド・ドゥは、演技しているわりに“熱”が伝わってこなかったかな。濃厚なキスを何度もしていましたけど…。(笑) 
私は、良く踊っているとは思いつつ、その世界に入り込んでいけなかったです。
フィーリンも一生懸命、若い情熱を演じていましたが、2人のこのシーン、何か物足りなさを感じました。プログラムが始まったばかりで、気分が盛り上がる前に観たせいかしら? 

で、後日観た時は、前回より物語のワンシーンがすんなり溶け込んでいて、良くなったように感じました。 踊りに関しては、さすがに美しかったと思います。 フィーリンはBプロでの得意なブルノンヴィルに期待します。


◆「エスメラルダ」より
〔アニエス・ルテステュ&ジョゼ・マルティネス〕
振付:マリウス・プティパ、音楽:チェーザレ・プーニ

いやぁ美しいスタイル。
アニエスは、近くで見ましたが、舞台化粧がほとんど感じられず、すっぴんに見えてしまうほど薄かった。それでも美女は美女、羨ましいわ。
見た感想は、非常に端正で品格があり、けして勢いで踊っていないので、一つ一つのポーズが美しくウットリしました。
押しの強さはそれ程ないものの、オペラ座のクラシックスタイルが充分出ていたと思います。音楽の緩急にピッタリあって観ていて気持ちがいい。

でも本当につくづくこのお二人は“まじめ”なダンスをする方たちですね。
彼女の衣装は、黒地に金の揺れるタイプの飾りが胸元に付いていて、動くたびにシャラシャラと音が鳴り、エキゾティックで素敵でした。
マルティネスは伸びやかで、すごいテクニックを見せても、あくまで紳士的というか落着き感がある。
サポートも安心できるし、乱れたところを見たことが無い…。いつか、激しい演技(演目)の彼を拝見したいですね。はじけちゃってるところとか…(願望…) 大人の彼もいいですけど…たまーにはねぇ


◆「イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド」
〔グレタ・ホジキンソン&ロベルト・ボッレ〕
振付:ウィリアム・フォーサイス、音楽:トム・ウィレムス

フォーサイスの中では一番上演される演目ですね。世界各国のバレエ団でレパートリーに入っているのかしら? 
オペラ座ダンサーの鋭くて存在感のある演目のイメージでしたが、今回のホジキンソンさんは、けだるくて、めんどうくさそうな演技から、いきなり“攻め”というか緊迫感がある“強い”ダンスへの移行が、よくきまってました。迫力という感じではないですが、こういった作品に慣れている方だと思います。
ボッレは、鋭さというよりバネがある感じ。容姿、スタイルが王子様でした。
虚脱とキレの良さをもっと表して欲しかったかな。 
女性の衣装のレオタード、透けた黒の足首までのタイツを穿いていますが表に出しちゃっているのね。おなかまで上げたり、下がったりやたら位置が変わっている。


◆「ジゼル」2幕より
〔アリシア・アマトリアン&フリーデマン・フォーゲル〕
振付:ジャン・コラーリ/ジュール・ペロー、音楽:アドルフ・アダン

シュツットガルト・バレエ組の「ジゼル」ですが、多少賛否あると思いますが私は好きです。
とにかく作品世界に傾倒した演技が良かった。そしてアマトリアンの切なげな表情が素晴らしい! 
ちょっと昔のダンサーのような古い感じはあるものの、こういった表現もあるんだなぁと感心。

でも踊りに関しては微妙なところも正直ありました。
バランスもピタッとは安定していなかったですし、導入部のゆっくりとしたアラベスクにもっていくところの姿勢や、足を上げる高さも色々なダンサーと比べて、最近では珍しく低め、ジュテ系もそんなに高く飛ぶでもないし…。
わざと抑え目にそのようにまとめているのかしらね。
でも繊細な感情を表したあの演技がいいなと思いましたし、全幕をやってくれるのであれば是非見てみたいです。(1幕の演技も見たい!)

衣装は非常に柔らかい布地で、ロシア系のものとかなり違う感じ。
フォーゲルはアルブレヒトというより、普通の若者のよう。
もう少しドップリ入り込んでもいいかも…ちょっと爽やかな印象でした。
踊りではソロ部分が観客に支持されていましたね。
あと、洗って乾かしたばかりみたいなヘアーをもうちょっと落着かせてほしいかな。(笑)
で、2回目の時は、表情まではちょっと離れていて良く見えなかったので、最初に観た時の良さが、あまり伝わってこなかったのが少し残念。 


◆「ゲッティング・クローサー」
〔シルヴィア・アッツォーニ&アレクサンドル・リアブコ
振付:ジョン・ノイマイヤー、音楽:ネッド・ローレン

男性はトップスと短パンでイエロー、女性はごく薄いブルーっぽい衣装。
感動的な映画のクライマックスシーンでかかるような美しい音楽が使われています。
明るいオレンジの明るい背景から、女性の登場と共に濃い青バックに変わり、雰囲気も変わってきました。
リアブコの動きはハッキリとしていて良かったと思います。でもちょっと演目が長めだったので、不覚にも途中から眠くなってしまった。
彼の胸板が薄めで、日本人に近い体形でした。 
最初に観た時より2度目の方がクリアに伝わる気がしましたが、どうだったかというと悩んでしまうの…。 


◆「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
〔アリーナ・コジョカル&アンヘル・コレーラ〕
振付:ジョージ・バランシーン、音楽:ピョートル I.チャイコフスキー

やっぱり“コレーラ”だなぁ。
好きな表現ではないが、許しましょう。自分がこういうパフォーマンスを要求されて呼ばれたと自覚して張り切って踊ってくれたのですから…。
しかし顔の筋肉は力が入りすぎですよ〜。
結構踊りの喜びは表現しているので盛り上げ役としては、混じっていてもいいと思います。
かなり頑張っていますし、イヤミにならないのは彼のキャラ勝ちかも...
しかしアメリカ人は好きそうだなぁ。
ベッシー先生はこのバランシンを見て何とおっしゃるか…(苦笑)

コジョカルの衣装デザインかなり可愛かった。ブルーでプリーツの入った柔らかな布地が動くたびに揺れて…。彼女自身の非常に軽い踊りで、まだ可憐な少女としか見えない。アクセントを付けて踊るというのではなく、自然に踊っている印象。春風を連想しました。
2度目に見た時、最後、コレーラの頭上に掲げられて引っ込む時、あまりにも後ろに反り返った為落ちそうになってヒヤッとしました。あれで落ちたら頭からなので危険だったわ。


◆「シルヴィア」
〔オレリー・デュポン&マニュエル・ルグリ〕
振付:ジョン・ノイマイヤー、音楽:レオ・ドリーブ

黄茶のドレスにトゥシューズ姿のオレリーが旅行かばんを持って脇から登場。ルグリは薄いグレーのだぼっとした上着とズボン。インナーは背景と同じ緑色。ほんのり三日月が出ています。
小劇場の演劇を見ているようで、二人の息のあった絡み具合、微妙な表情がころころ変わるのが、じっくり見て行いくとさすがだなぁと思わせてくれる。きちんとした作品として見たかったかも…。

しかし、オレリーは複雑な感情とか、コミカルに見える演技もうまいですね。古典作品での強そうに見えるヒロインの彼女よりも好きです。
ルグリは本当に大人な円熟ぶりを感じます。 表情と言い、何より雰囲気作りが絶妙。
ガラでの作品としては、地味な部類でしょうね。全編ではどんな作品なのでしょう? 観たいですね!


◆「パヴァーヌ」
〔アレッサンドラ・フェリ〕
振付:ジョージ・バランシーン、音楽:モーリス・ラヴェル

黒背景に真っ白いドレスと同じ素材の大きな布を頭から被ってたたずんでいるフェリ。やがて布の間から細い腕が宙に伸ばされ、水辺を歩く鶴のようにトウのまま一歩一歩と歩むようなステップ。布の動きとフェリのダンス。
何だか無声映画に登場するような古さを感じるダンス作品でした。
バランシンの作品と聞いても、このピンとこない理由はなぜ? せっかくフェスに登場するのだから、他に良いソロ作品は無かったのかしら…。
確かに珍しかったけれど、やっぱりこの人だったら、“演じるバレエ”を観たかったな。


◆「マノン」より“寝室のパ・ド・ドゥ”
〔ディアナ・ヴィシニョーワ&ウラジーミル・マラーホフ〕
振付:ケネス・マクミラン、音楽:ジュール・マネス

「マノン」のこのパ・ド・ドゥは、フェス名物になっているのかしら? 嫌いじゃないが特に観たい部分でもないのです。楽しみなダンサーには、どうせなら他のものを見せて! の心境でしょうか。
さて、バレエ・フェス初登場のヴィシニョーワとお馴染みのマラーホフ。
それぞれでは観る機会が多い2人ですが、組んで踊るとどのようになるか興味深く拝見しました。

しかしヴィシニョーワの媚態は濃い口だなぁ。心変わりもありうる娼婦性、突然襲われる不安感、愛を求める女心を、舞台上で終始魅せつけまくり、マラーホフの印象より彼女の演技ばかり目に入ってしまいました。
柔らかな腕の使い方など独特な感じ。レヴェランスのときも役が抜けなくて色気出しまくりでしたね。
そういえば、いつもカーテンコールでも舞台で素になるところを見たことがないなぁ。

ヴィシニョーワについては、来日のたびに観たいと思わせるダンサーで、素晴らしくて満足できる公演を沢山見ていますが、何故か好きと思えるタイプではない…。でも観ればすごいなぁと感心するし、応援もしている私。
自分でも不思議な位置づけのダンサーです。
これからもずっと更なる成長を楽しみに見続けていくのでしょう...きっと。
マラーホフはオールバックの髪型が目新しい。 この人が女性に夢中になって身を崩すのって想像しがたい感じ。(あくまで私のイメージ)
彼の個性がいきるものが見たかったけれど、ヴィシニョーワには合っていたかな。


◆「海賊」よりグラン・パ・ド・ドゥ
〔タマラ・ローホ&ホセ・カレーニョ〕
振付:マリウス・プティパ、音楽:リッカルド・ドリゴ

カレーニョはガラ公演の度に「海賊」を踊っているイメージ。でもさすがに見事な海賊でした。
パンツが派手なのは、アメリカっぽさを感じますが、演技、テクニック、伸びやかさといった踊りの質の高さが感じられ素晴らしい出来でした。
以下、ローホファンの方は御注意を!

相手のローホに関しては全く魅力を感じません。超絶技巧フェッテはトリプルをきめ、観客にはウケていましたけど、逆にフェッテ以外に良いところって安定感くらいか...?
まず、登場した時の輝きが驚くほどなく、全くの無表情。つまらなそうにさえ見えました。
一応グラン・パ・ド・ドゥでも、ストーリーのある作品の一部という事で、ただ単に踊るのではなく、役を意識して踊って欲しかったです。表情が無いというのが私には辛い。
最後のコーダの後、やっと笑顔を見せただけが唯一表情の変化だった。(固まった笑顔すぎるもヘンですけど、逆なのもちょっと...)
腕の動きも固くて優雅ではない気がしたし、そういうメソッドなのかしら?でもねぇ...

衣装も色あせた色調で張りがなく、何だかイマイチ。
カレーニョの衣装とお互い少しは合わせてみるべきではない? 片方は派手だし、片方はくすんだトーンだし、色調が違っているんだもの。
Bプロではどのように見せてくれるのでしょうか?
今度は少し演技や役柄を意識してくれればいいんだけど…。

>翌日の頁に続く...