ヒトリゴト partIII
 Moritty



決して完成することのないパズル

2007年03月24日(土)



大学生になったころ、少し自閉症気味だった時期があった。初対面の人と気軽に話をすることがどちらかといえば苦手だったし、田舎の高校から都会の大学に出たこともあって、周りの大学生がとても大人びて見えて怖かった。暫くしてクラブ活動をきっかけに自閉症は治ったけれど、それまでの間は自分の部屋に引きこもってひたすらジグソーパズルをしていた。よくそこまで集中できると驚くほど、一日中パズルをしていた気がする。今でもその残骸が実家の自分の部屋に飾られている。何故そんなにはまっていたか自分でもよくわからない。最初に合う二つのピースを見つけるのは大変だけれども、時間をかければパズルは必ず完成するし、最後のピースがピタッとあったときの爽快感がすばらしかった。現実の生活で最初のピースすら見つけられない焦燥感を紛らわせるための、単なる現実逃避だったのかもしれない。

でも、大学生活の焦燥感はほんの始まりでしかなかった。社会に出ると、周りが思い描いたとおりになるなんて、本当にまれだ。新入社員になったばかりの頃は熱い想いを先輩に語って「まだ青いね」なんて言われてカッとした。しかし、いつの間にかそんな想いは冷め、「まだ青いね」という人すら青いと思う人間になった。

ひとりの人の人生をパズルにたとえるなら、それは決して完成することのないパズルなのだと思う。一日一日がパズルのピースだったり、めぐり合う一人ひとりがパズルのピースだったり、気持ちの断片がパズルのピースだったりする。一つ言えることは、ジグソーパズルと違って人生のパズルはピースの形が時間とともに変わることだ。ピッタリ合ったと思っていたピースとピースの間にいつの間にかすき間が出来ていたり、合わないと思っていたピースとピースが実はぴったりと合うことに気付くこともある。諸行無常。人生のパズルは難しい。



自然の畏怖

2007年03月01日(木)



先週末、北海道に行ってきた。天気はいまひとつだったけれど、昨夏テレビで特集を見てからずっと行きたかった旭山動物園にも行くことができて大満足。動物たちの自然の姿が色々なアングルから見れるように工夫されている。白くまの海水ジャンプは大迫力だったし、空飛ぶペンギンは颯爽としてかっこよかった。でも一番のお気に入りはアザラシ。縦型の筒状の水槽の中を、私たちをみながらのんびりと立ち泳ぎしている姿はなんだか子供の人魚みたいでとってもかわいかった。ホント、動物たちには癒される。

北海道では、動物園のほかに紋別で流氷を見るつもりだったのだけれど、前日にオホーツク沖に流れていってしまったみたいで、残念ながら接岸している風景は見ることが出来なかった。以前、誰のなんと言う小説だったか忘れてしまったけれど、網走の海辺の宿に泊まっている傷心の主人公が、明け方、ギャー、ギーっという何かが叫ぶ声で目覚めて外に出てみると、海の遠くのほうから流氷が流れてきた、というシーンがあった。ストーリーは忘れてしまったけれど、何故だかそのシーンは鮮明に心に残っていて、いつかその何か物悲しげな「流氷鳴り」を聴いてみたいと思っている。でも、早くしないと、温暖化で北海道では聞けなくなってしまうかもしれないけれど。

温暖化といえば、今日、某会議で東京大学の理学部助教授の中村尚先生の講演を聴く機会があった。「自然気候変動の予測可能性−大気による遠隔影響と地球シミュレーターによる予報実験」というタイトルで、気候変動の構造を気象力学の観点から説明、そして昨今の気象予報における様々な取り組みについて紹介された。ロスビー波やブロッキング高気圧、エルニーニョ/ラニーニャ現象といった専門用語が多くて理解しがたい部分もあったけれど、結局は地球の根源である風水火土気等が複雑にリンクして気象変動が起きているということのようだ。天気についてあまり深く考えたことはなかったけれど、かなり奥が深いかもしれない。テレビの天気予報を聞きながら、良純さんに男のロマンを感じてしまった(感化されやすすぎ!)

【写真:流氷の天使 クリオネ】


※気象庁ホームページより以下抜粋:

【ロスビー波】地球の回転の影響で、大気中や海洋に存在する波。コリオリ力の水平成分の大きさは緯度によって異なり、これが復元力として働いている。偏西風が大規模な山岳にぶつかることなどによって励起される。ロスビー波の位相速度は西向きで、波長が大きいほど位相速度が大きいが、適当な波長に対してロスビー波は停滞し、これを定常ロスビー波とよぶ。

【ブロッキング高気圧】中高緯度偏西風帯のジェット気流が大きく南北に蛇行、分流し、その状態が1週間以上続くこと。ジェットが北に蛇行したところでは、対流圏全層にわたる背の高い高気圧が形成され、これをブロッキング高気圧という。

【エルニーニョ/ラニーニャ現象】エルニーニョ現象は、東部太平洋赤道域の海面水温が平年より高い状態が半年から一年半程度続く現象である。逆に、同じ海域で海面水温が平年より低い状態が続く現象はラニーニャ現象と呼ばれる。気象庁では、エルニーニョ監視海域(北緯4度〜南緯4度、西経150度〜西経90度)の月平均海面水温の基準値(1961年から1990年の30年間の平均値)との差の5か月移動平均値が、6か月以上続けて+0.5℃以上/−0.5℃以下となった場合をエルニーニョ/ラニーニャ現象としている。

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