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俺様が水を飲もうとしていると 目の前になにやら怪しいものが、うぞうぞと動いていた。 正体を確かめようと鼻面を伸ばしたとき、 MILETが俺様の動きに気がついて近づいてきた。 とたん、その怪しいものを見つけて 大仰な悲鳴を上げた。 俺様は思わずビックリして、目を見張った。 MILETといえば、 無表情、無感動、ついでに無情な生き物である。 あんなものぐらいで(何しろ、小さな生き物だった) 悲鳴を上げて3メートルも飛びすさるとは。 余談だが、MILETのこういうときの運動神経がいいのには、 いつも驚かされる。 その怪しいものはムカデにも似ていた。 但し、大きさはムカデの十分の一程であろうか。 どこから侵入したものか、おそらく当虫がもっとも困惑しているだろう。 MILETの悲鳴に度肝を抜かれた薔薇職人が 俺様たちのいるキッチンに飛んできた。 MILETがぎゃーぎゃー騒いでいるもとである虫を 薔薇職人はあっさりとティッシュで取り除くと 丸めてゴミ箱に捨ててしまった。 …薔薇職人よ。一厘の虫にも五分の魂があるのだぞ。 MILETに言わせると 「足が沢山ついているのと、足が全然ない生き物は嫌い」 なんだそうだ。 …怖い、の間違いだろう、というツッコミは 敢えて入れなかった。 パニック状態のものに、正論を説くほど 俺様も愚かではないからだ。
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