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今夜の拙宅の台所からは えもいわれぬ薫りが漂ってきていた。 俺様の鼻腔をくすぐる その妙なる薫りは、秋鮭の薫りだった。 MILET曰く 「冷凍物で、その上養殖」 だそうだ。 厳密には秋鮭では当然ない。 それは買い物袋から出された鮭のことだと 俺様は理解した。 真っ黒に使い込まれたダッチオーブンからは そんな安物のにおいなど、 微塵もしなかったのである。 あの薫りは 間違いなく「秋鮭」のものだった。 塩もあまり利いていない、極上の薫り。 俺様が味見してやると言ったのだが、 「どうせ匂いだけなんだから」 と薔薇職人が相手にしなかった。 反論できないのが、辛いところであるが。 今日の鮭ご飯は、俺様も試食したかったぞ。
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