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文字通り、風に香りが乗ってきた。 俺様の薔薇庭に、芳香性の花が咲いたためである。 いずれも大輪で、まるでシャクヤクがボタンのような花だ。 色は杏色の花と、そして咲き進むにつれて オレンジからピンクへと変わる不思議な花である。 しかし、俺様の幸福な気持ちは一瞬で不幸なものになった。 なぜなら、MILETが剪定鋏片手に庭を徘徊しだしたのである。 何度も言うが、MILETが薔薇を触ると 必ず枯らすのだ。 俺様は気が気ではなく、MILETの挙動に注目した。 MILET曰く、花がらを取り除いていただけだという。 まぁ、それぐらいなら…と、思ったのだが… 花がらを取り除くだけなら、鋏は必要ないではないか。 俺様の不安を余所に、 MILETは実に満足そうに庭の見回りを終えていた。 何事もなければ良いのだが…
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