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結局今日もMILETは死んでいた。 しばらくは 俺様も看病で忙しくなりそうである。 今日、薔薇職人が職場から電話を寄越した。 内容は 「○○病院の動物舎が閉鎖されることになったので、 動物たちの里親を捜しているんだって」 ということだった。 ラットやうさぎは残念ながら既に処分してしまっていて、 犬も引き取られてしまったという。 残るのは我らが同朋である猫だけとなっていた。 猫は実験動物としては不都合な生き物で、 最近ではあまり利用されていないと聞いている。 よくよく話を聞いてみると、 動物舎で実験動物として飼育していたのではなく、 単に研究員が愛玩動物として 猫を飼っていたらしい。 5匹の猫が里親を捜していたのだが、 最後の二匹だけ、どうしても 引き取り手が見つからないと言うのだ。 「一匹、貰って帰って良いかな」 薔薇職人がそう言ったのだが、MILETは 「陛下がいるから、ダメよ。わかってるでしょ」 と冷たく言い放った。 そうなのだ。 俺様はことのほか縄張り意識が強く、 どうも自分以外の猫が目の届くところにいるのは、 我慢できない質なのである。 夕方帰ってきた薔薇職人からは、 見知らぬ猫のニオイがしたが、肝心の猫はいなかった。 結局、薔薇職人に猫がなつかず、 あまりにも可哀想だったその様子に看護婦が引き取ることを 決めたのだそうだ。 残った最後の一匹は、院長が「責任を持って」育てると 豪語したそうである。 なんにせよ、身勝手な人間どもの所為で 動物たちが悲惨な目に遭う。 いつでも弱い立場のものが、最大の犠牲を強いられるのだ。
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