”BLACK BEAUTY”な日々
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2006年04月16日(日) 再生 番外編

バンドへの加入プロセスにおいて、前に記したようにいきなりスタジオに赴き、セッションするパターンもあるが、もう一つのパターンがある。

それは「お互いの音源を交換して、まずは話をしましょう」というパターンだ。

このパターンも結構多かった。待ち合わせ場所は新宿か渋谷。
待ち合わせ場所に到着すると、あらかじめ教えられた相手の携帯に連絡する。ネットつながりで知り合いになっているため、相手の本名を知らない事も結構多い。

だから「あの、モビルスーツ第25号さんですか?はいジンです。あ、服装ですか?Gパンに黒いTシャツを着て、肩から鞄をかけてます…あっ見えましたか?今右手上げます…あっこっちも分かりました。どうもです」

なんか同性愛テレクラの待ち合わせ場面みたいで、このやりとりは結局慣れることはなかった。

新宿も渋谷もすぐ近くにマックがあるので、まずはそこに向かう。
席に着くと簡単な自己紹介をした後、それぞれの音源を交換する。

そしてここから、実に奇妙な風景が展開される。
大の大人二人がテーブルに向き合ったまま耳にヘッドフォンをし、互いに一言も発する事なく目を合わせることもなく30分近く無言のお見合いをするわけだ。

けれど心の中では色んな独り言が浮かんでは消えていく。
「『オイラの心は野良猫ロック』ってどんな心だよ。あっなんかボーカルが『オイオイオイ』を連呼してるぞ。きっとライブだとここで客を煽るんだろうな。でも盛り上がる客はいつもの常連さんだけなんだろうな。痛いよなーそういうの」

相手もきっと同じように独り言を言ってるだろうと思う。
「『信号を七つ無視したエンジェル』てどんな天使だよ。違反してんだからとっと警察行けよ」
「『8ビートのリボルバー』ってチバユウスケかっつうの。あ、そう言えばこの人千葉から来たとか言ってたな。まあでもそれは関係ないか」

こうして約30分の無言のお見合いが終了し、お互いの意見を交換する。

まさか心で思った事をそのまま伝える事などできないから、まずは「カッコイイですね」と無難に切り出す。その後は「スネアはグレッチですか?ああやっぱり。独特の響きですよね」とか「一発録りですか!どうりで緊張感があると思いましたよ。ギターは何使ってるんですか?あっやっぱりレスポールですか。ハムバッカーの音、俺大好きなんですよ…」

肝心の楽曲についての話し合いが一向に始まる気配すらない。

やがて「俺、こういう音楽結構好きですよ」
相手も「俺も求めてたサウンドに近いです」

無難に話し合いが終了すると、店を出て駅へ向かう。

そして別れ際に必ずこういうやり取りが展開される

「じゃあ、他のメンバーにも話しとくんで、数日後また連絡します」
「分かりました。じゃあ連絡待ってますね」

この一連のお見合いを10人くらいとしただろうか.
[その後の連絡」が来たのはただの1回もなかった。


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