”BLACK BEAUTY”な日々
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Boogie
3バンド目。そろそろ運命的出会いがあっても良さそうな気配である。 バンドのプロフィールにはレッチリ、ナンバーガール、レイジアゲインストマシーン、ZAZENBOYS等々が好みと書いてあった。 多少自分の好みとは違うものの、新しいジャンルにトライするのも悪い事ではない。
指定されたスタジオは埼玉の戸田公園。遠い。千葉から出発し、東京を超えて埼玉までたどり着く。
メンバーはやたら早口で饒舌なボーカリスト、異様に無口なベーシスト、お腹がポコンと出たドラマーだった。
オリジナルが1曲だけあるというので聞かせてもらう事になった。 その曲はAメロがラップでサビが歌モノという構成だった。 早口なボーカルがラップを自信満々にやっているのだが、明らかに下手だった。俺はHIPPOPはほとんど無知であるが、それを差し引いてもやはり下手だと思わざるを得なかった。 そして、Bメロの歌モノに入ると歌の下手さにさらに拍車がかかる。 他のメンバーはどうかというと、無口なベーシストはルート音だけをボヨーンと弾くだけで、フレーズに全く展開がない。ベースでもやはり彼は無口を貫いていたのだった。 そしてドラマー。オカズを入れるたびにリズムがモタっていく。基礎ができていないドラムの典型例である。
次に俺のギターを入れてやってみましょう、という事になった。 ギターを弾くとより鮮明にリズムがおかしいのがわかる。 それでもなんとかその曲が終わった。すると早口ボーカル君が「すごいっすよ!マジすごいっすよ!」と目を見開いて言った。 何がどうすごいのか自分には全くわからなかった。ただ自分が褒められている事は事実だからお礼を言った。
数日後、バンドから連絡が入った。
「ベース担当が転勤の為、バンドは解散します。申し訳ありません」
きっとベーシストは無口に脱退を宣言したのだろうと推測した。 2005年の夏は終わりを告げようとしていた。
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