2005年09月03日(土)
積木くずし今昔


多分、あれは小学校くらいの頃のことだったと思う。「積木くずし」という番組がテレビドラマ化された。
23年前・・・・8歳か。小学2年生だなぁ。
あたくしの後の母校となる中学が、目も当てられないほどに荒れている頃で、
近所にも、シンナーやヤニ臭いお兄ちゃん、お姉ちゃんがゴロゴロいた気がする。
中学生なのに平気でタトゥを入れている人もいたし、入手困難かと思われるくらいの改造制服、
万引きをして追い掛け回されている人を物陰から目撃したこともあったっけ。
1度だけ、いかにもヤバそうなお姉さん2人組に、下校途中に絡まれたこともあった( ̄∇ ̄;)
手は出されなかったものの、あの時の「恐怖」たるや、今でも忘れられない。


この当時、この学校はホンマもんの「スクールウォーズ」状態で、
木造校舎だっつうのに、その廊下をバイクで乱入暴走したり、窓ガラスは何度も粉々に破砕、
掃除の時間には、先生がタバコの吸殻を拾って回るような、ビックリするほどの荒れ模様。
後に、生徒会が立ち上がり、何とかそういった荒廃からは立ち直ったものの、
リンチ防止の為か、この学校のトイレの入口には、その当時の名残でかドアがなかったのである。


そんな時代背景がモロに投影されたかのようなあのドラマに、8歳のあたくしは結構ハマって、
最初から最後まで漏らさず見ていた。「積木くずし」も「スクールウォーズ」も。
前者で主役演ずる高部知子が、「わらべ」では決して見せない、
鬼気迫る恐ろしい目線で睨みつけるシーンなぞ、正直、幼いあたくしにとっては本物の恐怖に近かった。
・・・・実際、物凄く似合っていたし、ハマってもいたし、とにかく、「本物」に見えちゃったのだ。
実際、ぐるりと周囲を見渡せば、こんなお姉ちゃんがすぐお隣の中学にもいたわけだし、
その姿を見る限り、「わぁ・・・・同じだぁ・・・・」という感想しかもてなかったのである。


そんなわけで、8歳の子供の記憶にもガツリと残るような一大旋風を巻き起こした「積木くずし」ブーム。
後に、この続編が2〜3冊、また新たに出版されたらしいが、時代はどんどん変わっていった。
あれから23年しか経っていないのに、少年犯罪の多様化が進み、
この最初の著書も、育児に悩む親のバイブルにはならなくなっていったのかもしれない。
23年前のドラマは、確かハッピーエンドっぽくはあったけれど、
8歳ながらに「コレで終わるわけがない!!」と確信していたあたくし(苦笑)。
現実にはそうで、ドラマでも作り話でも何でもなく普通の報道で、彼女(由加里本人)が捕まったり、
病気で亡くなっていったりするのを、後年、見た記憶もある。
ついでに、高部知子までが直後にスキャンダルを出して、干されていったというのもよく覚えている。
・・・・何だか、不幸の塊だなぁ「積木くずし」・・・・と思うしか仕方がないような、そんな有様だった。


あの頃明らかにされなかった、少女・由加里に本当に起きていたこと、彼女が実際に思っていたこと、
そして、積木くずしが出版・放送されてからの新たな闘い等が加えられた、今回のリメイク版ドラマ。
父親に舘ひろし、母親に杉田かおる、娘(ドラマでは朋美)に安達祐実。
どうして中学生の格好が一番良く似合うんだ? 安達(爆)。
15歳で子供を産んだのは別のドラマでの話で、実際は子供がいないのに演技ではなさそうな
迫真の「育児疲れ」を披露していた、杉田(爆)。
この2人って、どうしていつまでもこうなんだろう? と思いつつ、タッグを組ませると面白い、
ということに気付き、2夜連続、見てしまったよ♪

内容に関しては、あまりにも有名すぎる話なので、もう特筆すべきことはないけれど、
23年前、あんなにリアルに見えたシーンの数々が、物凄く安っぽくなっていた・・・・。
恐らく、あたくしが日常生活でも見てきた、怖いお兄さんやお姉さんが姿を消してしまって、
「臨場感」に欠けるというか、すぐ傍で起きている恐ろしいリアルとは全くの別物になったことが
その一因かと思われる。要するに、トレースするような完璧なお手本がすぐ近くにないということ。
(あってもらっちゃ困るんだけど。)
あと、昔のドラマは完全に親目線だったのが、今回は違う・・・・ということなんだろうか。
娘の言い分を少し加えるだけで、著者であるはずの親が、完全なワルモノになる、
とても不思議な物語だと思った。
いや、実は不思議でも何でもなく、それが物の道理というか自然な姿で、
大事なところを隠して、200日分しか記録されなかった「積木くずし」こそが、
実録と銘打たれた、完全なフィクションだったのかもしれない。


たった1つしか年が違わないぷよ2が、この話を全く知らないと言うので説明すると、
正に現代的な感覚で、こんなことを言った。


「今の子だったら、お金がなくなったら、ほぼ間違いなく『ウリ』だろうね。」


全く以ってその通り。その通りなんだけどね・・・・でも、違うんだよなぁ。

留置所、少年鑑別所、少年刑務所の中で、一番肩身の狭い思いをする羽目になる罪というのが、
女子の場合、通称「春」と隠語で称される、売春である。
これは、数年前のデータなので、今はまた少し変わっているかも。
同じ少女の間でも、「ウリは最低最悪」と、罪が確定した時点で同じ穴の狢たちにもそう見られるのだ。
大体同等なのが、通称「薬」と称される、麻薬保持、密売、乱用各種、中毒患者。
ラリってても、誰も助けてはくれない。
窃盗や強盗を重ねて捕まったヤツが、別段大きな顔をしているわけではないけれど、
世間から「犯罪者」としてレッテルを貼られた更にその上に、こういったハコの中で
更に「ワルモノ」「バカモノ」が決められていく・・・・現実なんてそんなもんである。
(ちなみに、男子の場合、最悪とされるのが「強姦」だそうだ。今はどうかわかんないけど。)

そんな中に出たり入ったりしてきた少女が、本当は何を見てきたか、何を感じていたのか、
全部を吐露するはずもなく、確実に隠したまま息を引き取ったということは、
「真相」と銘打たれて、この度放送されたこのドラマも、真相には迫っていないかもしれない。

ただ、白日の下に晒されたのは、初期段階、完全に子育てに失敗してしまった著名人の、
悲しき実態・・・・それだけかもしれない。
ただの擦れ違い、行き違いが、大きなひび割れとなって、深い溝になっていく。
ほんの些細なことの積み重ねが、親にとっては「ある日突然」というふうに見えるのかもしれない。
子供にとっては、きちんと順序だてた理由がそこにあっても、隠すのが巧い「優しい子」たちは、
一気にキャパシティオーバーを起こす可能性を十分に秘めているのだ。
今も昔も、これは変わらない。


8歳の頃、「こんなお父さん、お母さんはイヤだなぁ・・・・」と素直な気持ちで見ていたあのドラマ。
そして、31になりやっぱり「こんなお父さん、お母さんだったらイヤかも・・・・」と
そこだけは変わらずに、あたくしの中に残った価値観。

↑場合によっちゃ、サヴァイヴァルを余儀なくされたかもだから。

もし、あたくしが、あの「積木くずし」全盛時に、かの少女と同じくらいの年頃で、
あの「スクールウォーズ」に巻き込まれていたとしたら、どうなっていたか、想像もつかない(苦笑)。
鬱屈したものを溜め込まずに済んだかもしれないし、逆にもっと酷い目に遭わされたかもしれない。
生れ落ちてくる瞬間というのも、ある意味で人生を左右する。
積木も崩れずに、持ち堪えることだって、あったのかもしれない。
もしくは・・・・どのみち通らねばならない「運命」のようなものだったのかもしれない。

真相は、やはり闇の中である。

あさみ


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