あれだけ警戒していた台風は、この地方にはさして影響を与えず、さっさと伊豆のほうへ抜けていった。 少しは気圧も安定したのか、あたくしの状態もほぼニュートラルとなり、 2〜3日、ベッドに磔に近い状況だったのに比べると、上向きにはなってきた。
珍しく、書くのを少し休息して、昔手に入れたジャンクな資料を読み漁ってみたりしていた。 今、それが必要・・・・というのではなく、ただ何となく、興味の向くままのことをしていたらそうなった。 落ち込むと何もできなくなるし、更に上のステップに昇りつめると、あたくしはずっと書いている。 そうではない時間を、テレビ以外で過ごす時、手元にあるジャンク資料は意外と役に立つ。 (アスペクトとか、そういうB級特集書籍風雑誌。特集内容によっては何度も読む。)
そこには、聖書のようにありがたい言葉もかかれていないし、福音書のように目覚めを導くものもない。 退廃的で、常に警報が鳴り響いているような世界のことばっかりが書かれている。 何冊もあるそういった特集本の中から2冊、ここ最近で読み返した。 両方とも、ドラッグ関連の本だ。
こう書くと、胡散臭く聞こえるかもしれないが、あたくしはクリニックで処方された薬や 市販薬として流通している以外の、所謂「クスリ」で遊ぶことを知らない。 誘われたことはあるが、それでもマリファナにすら手を出さなかった。 危ないからという理由で、今手元にある薬を酒と一緒に飲むこともしないし、 逸脱した量を一度に飲み下すこともやらないで、何とかここまで戻ってきた。 それでも、まだ、毎日微量ずつではあるが、化学物質を体の中に入れているには相違ないので、 心して読む。 この本を手に入れた時は、ただ本当に冴えていて(苦笑)、 巷で囁かれる「音が見える」「色が聞こえる」というてっぺんのトリップ実況記事が見たくて、 でも、自分ではやるお金も何もないので、実体験はさておき、 とにかく、数少ない蘇生者の話に耳を傾けることで、そういう状態をトレースしたがっていたのかも。 芝居もノッてきていたし、劇中で「女優」という設定もあったし、 絶対的に時代の背景に「麻薬」がちらついている作品もたくさんあったから、 当時の自分には感覚的に分からない領域のことが、ただ単に不安だったのだ。
この本を読んで、確かに「クスリ」に対する知識は得ることができたけれど、 実際にやったわけではないので、それだけリアルからは遠のく。 だけど、追究していいリアルとそうでないものの線引きをするのにはすごく役立った気がする。
役者をやっていく以上、マリファナくらいは体験しておいた方がいいんじゃない?と あたくしを巧みに誘った同朋もいたけれど、とても「良書」とは呼べないこれら記事を読んだ後では、 とても手を出す気になれなかったのも事実だ。
確かに・・・・芸術とナチュラル系ドラッグ(大麻、コーク、MM、アヘン等々)は切っても切り離せなくて 時に、文豪たちとケミカル系ドラッグというのも、かなり親密な距離にあるというのも知ってはいたが、 キレた文章が好まれる時代はもう終わった。(太宰や三島が新進気鋭だったりとか、そういうの。) また来るのかもしれないけれど、ニュートラルな状態でそれが書けるのであれば、 経済的で申し分ないか・・・・とさえ思う。日本は麻薬に対して無知すぎるがゆえ、ユーザーが 他の国に比べて絶対的に少なく、転じて、臨床報告例も頗る少ないのだ。 そんなものに手を出すほど、あたくしもアホじゃないし(苦笑)。
そうはいっても、事実、毎日のようにケミカルドラッグの世話にはなっているので、 こいつは大事に上手に使って、いずれは体の中から全部抜かないといけないんだなぁ・・・・と 改めて確信する。こんなものが体に入っていること自体がおかしいのだ。 医者の指導の下、「安全なクスリ」と称されるものばかりだけれど、処方量を越えて飲めば、 一気にトリップできるものばかり( ̄∇ ̄;) 嗚呼。絶対に間違えるなよ、自分!!
どこかで自分に対して警告を出しているのか、ケミカルから離れたくて、処方に漢方が回って久しい。 しかし、この漢方もあたくしはいずれ切り捨てることとなる。そういうふうに考えている。 漢方ならば・・・・と周囲は安心してくれるけれど、あれだって、立派な「クスリ」だ。
今現在、心身ともにニュートラル。こういうチャンスに少し薬を減らす。 キックバックが怖いので、全く飲まない日はまだ作っていない。 フラッシュバックという言葉は有名になったけれど、あれと同じくらいに怖いのが、 ケミカルをいきなり断絶した時に起こる、キックバックだ。 ニュートラルだからこそ、冷静に見極めるチャンスであり、ありとあらゆる危険をきちんと判断しなければ ここまで減らした薬がまた徐々に増えていくのである。それだけは勘弁だ。
※ただ、キックバックもフラッシュバックも、起こる人とそうでない人がいる。 服薬者の全員が全員、そうなるというわけではないことを改めてご理解願いたい。 また、合法・非合法を問わず、薬理作用の問い合わせも十人十色なので、ご遠慮願いたい。
そんなわけで、金曜は婦人科、土曜はクリニックと、今週末は病院巡り。 いつものように鬱々とした感はなく、今あるものをそれとして受け止める。 幸い、どっちの病も快方へと向かっているらしく、クリニックで貰っている薬は2種類ほど減らす計画。 処暑を越え、台風もやり込めた。 暑い夏を乗り越えた後こそ油断がならないが、今年の夏は自分に対して集中できたので、 今後の実りに少し期待してしまう。(少しだけね(笑))
まだまだこの先にも、ありとあらゆる試練が待っているだろうけれど、 ふっ飛ばす図太さが少しは身についたと思う(笑)。 このニュートラルもいつまで続くかわからないけれど、「状態を楽しむ、慈しむ」ことさえ忘れなければ あったかい暮らしが出来るんじゃないかと、そんなふうに思っている。
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