2005年05月21日(土)
名作だからこそ


まだ東京にいた頃。レンタルビデオで「グリーン・マイル」を借りてきて、
ぷよ2と一緒に見たことがある。
この頃、既にこの映画の評判はものすごく好評で、2人とも別々の友人に

「絶対に見た方がいいっ!! オススメっっ!!」

などと言われていたんだけど、この言葉に数回だまされているあたくし( ̄∇ ̄;)
周囲の人たちがいくら、「ゴースト」「タイタニック」が面白いといっても、
あたくしとポイントが違うのだ。上記2作は、大して面白くない・・・・そう思っている。
そのことも同時に伝えて、

「ホントにいい映画なの? (   ───__──)ジッー」

と疑い深く確認したところ、

「『火垂るの墓』はどう思う??」

と逆に聞き返された。


「あぁ・・・・アレは何だか切なくなるよねぇ。もう、うちらが共感したところでどうにもならんっていうか。
いい映画なんだけど、もう1回見るのに、すごく勇気がいるような・・・・。」


「それっ!! この映画もそんな感じ!! 絶対1回は観た方がいい!!」

「恋愛映画のお涙頂戴じゃないんなら・・・・。」



と、こんな感じの経緯で借りることになり、初回の鑑賞に至った。
観終わってすぐ、この友人が言いたかったことが何なのか、やっとわかったうちら2人・・・・。
映画を見て、感動して泣く・・・・なんてこと、ホント珍しいのに、
この映画を見た後は、何でか知らないけれど、もう、とてつもないやりきれなさが襲ってきて、
2人とも、ティッシュの箱を奪い合いだったことを今でも鮮明に覚えている。

まだ付き合い始めて日も浅く、みっともない泣き顔なんか見せられる関係でもなかったのに、
2人とも、この映画のツボにモロにはまって、グシグシ泣きながら
確かに「もう1回!」というふうにはならずにそのまま封印し、お店に返した。

その後、地上波で1回、吹き替えの放送があったのだけど、見ようかどうしようか非常に迷った。
が、前に見たのは字幕スーパーでオリジナル、とりあえず、吹き替えのも見てみようってことで、
とりあえず視聴・・・・奇しくも、同じ目に遭った(爆)。


そんな今日も、地上波で再び吹き替えの放送。
ぷよ2は嫌がったけれど、あたくしが強引に引き止めて、3時間まるまるこの映画に費やした。


もう、2人とも、この話がどんな筋書きかというのを知っている。
このシーンの後に何が起こるのかというのも知っている。
なのに、なのに、感動とはまた違う「やりきれなさ」が募ってきて、じんわりしてしまう。
どうして死ななければいけないの?
確かに罪は償うべきだけど、こんな死に方ってある?
正義って・・・・何なのさ!? 幸せって何なのさ!?
そりゃもう、色んな感情が交錯して、自分でもどういうふうに表現していいのかわからなくなってしまう、
というのが、この作品が本当の名作である所以なのかもしれない。そんなふうにも思った。


何ていうの? 例えばおすぎちゃんが「この映画、絶対いい映画!」って勧められても、
そこに色んな言葉が付けば付くほど、どっちでもいいような・・・・日常にありそうな話っぽく聞こえて、
そんな物語は、別に劇場に行かなくても自力で探し当てることができる。
言葉を失うほど・・・・となると、逆に信憑性が高いっていうか、
表現してある中身は「映画」という手段でしか通用しないんだ・・・・とあたくしなんかは思ってしまう。
あらすじくらいは説明できるかもしれないけれど、そのあらすじを全部説明してしまったら最後、
魅力が半減してしまうので、どこをどう削除して話すべきか、というのを考えた時、
この映画は非常に難しい。
「火垂るの墓」も同様。あたくしは野坂氏の原作も読んだけれど、
あの原作をあんなアニメーションに投影するなんて、ジブリもやるなぁ・・・・と別な意味で感動した。


1週前だか2週前だか忘れたけれど、アレも見たんだ、日本版の「Shall we ダンス?」
成分は全然違うのだけど、こっちも名作の域に入ると思う。
コメディだろうが、感動超大作だろうが、恋愛モノだろうが、あたくしが好きな映画というのは、
基本的に、物凄いバッドorハッピーエンドがいい。極端であればあるほど。
あと、主演とされる人が積み重ねでどんどん成長していくような物語だと、素直にいいな♪と思う。
「Shall we ダンス?」とか、「プリティ・ウーマン」とか、
恋愛の要素が入っていても、このくらいライトな方が逆にくすぐられる。
前者はまず社交ダンスありき、後者はストリートガールありきで「恋愛」は二の次だからこそ面白い。
もしくは、ほんのりと恋愛要素が入っていながら、主軸は全く違う伊丹作品なんかは好きであった。


異端児とか、ジーニアスの物語も大好きで、
例えば「G.I.ジェーン」 「シャイン」 「交渉人」 ここらあたりはそのどっちかっぽくて
そこが好きなのだ。
IQ180クラスの元交渉人と交渉する頭脳プレイ、天才がその限界の一線を越えたらどうなるか、
女性だてらに男性と同じメニューをこなす海兵隊・・・・見ているうちに自分の許容範囲というのが
広がっていく、この感覚が良かったりするのだ。


そろそろあたくしが「タイタニック」や「ゴースト」で感動できない理由が明白になってきたと思う(笑)。
まず船ありき、まず幽霊の存在ありき・・・・じゃなくて、まず恋心というのがやっぱつまんなくて、
いくら主人公を物凄い逆境が襲おうとも、結局のところ「だからどうした!?」で、
悲恋だろうが純愛だろうが、成就しようがしまいが、人間クラスの恋愛はそこらにゴロゴロしているので
多額の資金を投与して・・・・というよりも、適当に木曜の夜、「アンビリーバボー」でも見てれば
それでいいような気がするのである(笑)。


まず恋愛ありき・・・・の映画なのだけど、そうなだけにあんまり期待せずに見に行った映画に
上手に裏切られたこともある。(=結構良かったということ)

↑ジーニアスの括りになるのかな?

「仕事」=「恋愛を描き出す」というところがポイントだったからか、思いのほか楽しめた。
派手な作品ではないが、あたくしは密かな名作だと思っている。
主人公の描写がとてもハッキリしていたように思うし、極端だったので(爆)。


うぅ・・・・それにしても「グリーン・マイル」
あたくしはスピルバーグを礼賛するわけじゃないんだけど、4回泣いたとかいう彼の心中を
容易に察することができるよ(苦笑)。
この映画には、妙なことに、悪しき空気の流れと、穏やかな空気の流れ、そして匂いまでもが
巧く織り込まれているような気がして、見ている者をグワッと引き寄せる。
死体の焼けた臭いを知らなくても、顔を顰めたくなるような惨状はシンプルすぎるくらいに描かれているし
病気が治った瞬間の人々が発する穏やかな「気」を巧く映像処理している。
それは悪しき「気」の流れに関しても同じで、もし見えるとするならばこんなふうなのだろうという
この作品にだけに通用するある「ルール」が、法律と同じくらいの拘束力を持っていて、
逆らおうとすると何か良からぬことが起こりそうな「予感」を同時に発していると思う。
180分クラスの作品にしては「退屈」とは縁遠く、
究極、人生って・・・・例えば「不死」であることのメリットが見出せなくなることも。
せいぜい、3年が寿命のネズミがラストシーンで5〜60年も生きているということが明かされ、
と、いうことは、ネズミ同様に特別な力を身につけた人間は・・・・平均寿命×20年という
気の遠くなるような「歴史」をきちんと自分の目で見なくてはならない・・・・こんな過酷で救いようのない
バッドエンドは、それこそ「火垂るの墓」以来なんだけど、
考えようによっては、まだあの兄弟は死ねたから良かったようなものの、
「グリーン・マイル」のポールは、1人で孤独に数百年もの間、生き続けなければならない。
夢も希望もなく、本当に救いようのない話だ。
ありえるかというとそうではなく、かといってメルヘンかというとそうではない。
ありそうでなさそうな、微妙な1本のラインがあって、彼がその上を歩いているとするならば、
そのラインの色は緑色・・・・そう言うしかない。。。。
誰にも信じてもらえない夢物語を、1人で生きるのだ。孤独で、凄惨・・・・。

↑名作は奥が深い。。。。

そう考えると、『浦島太郎』って、基本は結構えげつないよね(苦笑)。

あさみ


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