2004年12月24日(金)
やさしいキスをした


「ねぇ、例えばね・・・・お互いの顔がこのくらいの距離になってるとするでしょ?
その時、男の子は何を期待するの?」


「何をって?」

「例えば『目を瞑って欲しい』・・・・とか。」

「う〜ん・・・・。」

「何を思うんだろうね。」

「そうだねぇ・・・・。」

「まだ、キスをしたことがないと仮定して・・・よ?
あわよくばチュ〜できる距離で、もし叶ったら、その先の事とかは??」


「うん・・・・考えるかもなぁ(笑)。」



昨日、寝る前、こんな話をしていた。
実は、出先で急にふっと倒れてしまい、ママさんたちにも迷惑をかけちゃって・・・・。
で、調子を持ち直したのはいいのだけど、右脚だけ感覚がおかしくて、ずっと引き摺るように歩いていた。


そうでなくても、もう次の月の使者が、今日来るか、それとも明日か・・・・といった状態で
精神的には頗る不安定・・・・子作りするような状態ではないものの、それでも同衾だけはせねばならない
悲しき新婚生活の条件( ̄∇ ̄;)
せめて一緒に寝る時に、楽しい話でもと思って、ずっとくっついていた。
(くっつくだけで喜ぶから(爆)。興奮して、むこうの体温がすぐに高くなるから(爆笑))


「こういう状態ならね、顔をちょっとだけ上げて欲しいかなぁ・・・・って思うかも。」


言われるがまま、ほんのちょっと・・・・頷く時だってもう少し動かすのに、
その10分の1くらいしか動かさなかったのに、ふっと唇が触れた。


「あ・・・・。」

「ね?(笑)」



つまり、15年前に遡ると、あたくしとヨシオの距離は、物理的にこの距離くらいだったんだ。
その距離に至るまで、何の「罪」も感じなかったし、周囲も「罪」と認識していなかった。
その距離がたった数cm縮まるだけで、あたくしの認識は変わらなくても、周囲の認識が変わった。
コレは魔法の距離だなぁ・・・・そんなことを確かめながら、いつもはしないような、
それこそまるで出会ったばかりの恋人がするようなやさしいキスをしていたら、
一気に涙が溢れ出した。


嬉しい、とかでもなく、悲しい、とかでもなく、涙だけがポロポロと伝う。
その姿を見て、ぷよ2はあたくしがまたどっかに行ってしまわないように、こんなことを言うのだ。


「もし、またあの頃のことで新しいことを思い出しても、
きちんと話してくれればいいからね^^ 全部話せばまたスッキリするからさぁ♪」



頭の中では、次の紅白の出場決定曲でもあるDCTの「やさしいキスをして」が流れまくる(苦笑)。
こういう時に、きっと銘曲PRI2の「ガールズ・ナイト」が巡ると思っていたのに、
意外とな感じで、記憶の整理整頓がきちんと始まっていることを物語っているような気がした。


「あたしね・・・・あの時、本当に全然わからなくて、今みたいに、ちょこっとだけ顔を上げたんだった・・・・。」

「そうか^^」

「あたしが・・・・『誘惑』したんだね、きっと。」

「嫌いな人がこの距離に来るかはわかんないけどな(笑)。」

「そっか。」



確かな記憶の甦りでなかったら、こんな気持ちになるものか。
あの時と同じように、同じだけ顔を傾けて、そしてそのままじっとしてたんだ。
それが「罪」になると知ったのは、数日たってからのことになるのだけど。


やさしいキスが罪になるなんて、不条理だと、当時も今もそう思っていたんだなぁ、あたくしは。
罪などではない。ただ・・・・。
何かで気持ちの琴線同士がふっと触れ合うと、堰を切ったように何かが溢れ出してしまうんだ。
でもそれって当然のことで、責められる謂れのないことでもある。
だから、当時も今も「不条理だ!」と思うのかもしれない。


たとえ、オトコとオンナの関係でなくても、だ。
何か、そういうのを取っ払っても尚、「好き」という感情が残る人っていうのはいる。
男性にも勿論いるし、女性にもいたりする。
あたくしは生粋のバイセクシャルではないので、偉そうなことは言えないのだけど、
きっと、人の数だけ恋愛の形があるというのを知らない人たちに包囲されてしまって、
身動きも何も取れなくなってしまっている、本当の同性愛者やバイセクシャルの人たちなどは
きっと、物凄い苦悩を抱えて生きているのかもしれない。
マイノリティというだけで、社会全部が対岸に回ってしまい、味方はほんの少ししかいないのだから
きっと、とっても心細いに違いない。

でも、ある時、あたくしの知っている人がこんなことを言っていて、その言葉は
まるで生理食塩水のようにあたくしの体に自然に浸透していったんだった。
確か、学生時代に知り合った人だったと思う。


「自分はバイセクシャルなんだ。男性も女性も同じように好きになる。
で、同じようにセックスもできるんだよ。
あ、勿論、病気防止のために避妊具は絶対に欠かせないわけなんだけど、ね(笑)。

男性を好きになる時も女性を好きになる時も、感覚は一緒だよ。だって好きなんだから。
相手はどうだかわかんないけどね・・・・。
一番悲しいのは、別れる時。自分に新しい恋人ができても、素直に今までのステディに言えなくてね。
続けて男性を好きになったり、女性を好きになったり・・・・って時はまだいいんだ。
ただ、前のステディが女性で次が男性とか、その逆とかになると、ホント・・・・
汚いものでも見るような目で見られるんだよね・・・・自分の好きだった人に。
あれだけは本当に悲しい・・・・いつまで経っても慣れないし。
・・・・それでも、好きになる瞬間っていうのは、次々にやってくるから、自分は2倍楽しめてるって
最近はそう思うようになったんだけどね(笑)。」



2倍楽しんでいる、そのポジティブな人がすごく羨ましくて、まだその当時、
あたくしはちょっとした事件に巻き込まれた後で、セックス依存症になりかけ・・・・みたいな状態で
好きになるならない以前に、先に「カラダ」ありき・・・・
それで何もかもを払拭しようと躍起になっていたんだけど、この人の言葉を聞いたら、
スッと何かから醒めていく気がしたんだった。
それこそ、まだこの頃から数えると数年前の出来事だったはずのあの思い出も、
近かりし過去の事件も、今自分がどういう立場にいるとかも、全部一旦リセットされて、
浄化してくれるそんな言葉だった気がする。

2倍楽しむ分、2倍苦しいはずなのに、ニッコリ笑って、わざわざバイでもレズでもない
あたくしにこんな話をしてくれたその人は、

「自分のスタイルを貫き通せばいいじゃん?」

と言ったんだった。多分、とっても敏感な人だったから、
他の人には気付かない「何か」があたくしから滲み出していたのを、感じ取ったのかもしれない。

↑でも、大事なことは覚えているものなんだなぁ。


一緒にいると、すごくラクな空気を作ってくれる人だった。
この人のステディになれば、きっと幸せになれる気もしていた。
ただ、この人はあたくしを選ばなかった。
あたくしがその当時、他の人に恋をし始めていたからだと思う。

これからも、せめて自分は「やさしいキス」ができるような人でありたい。

あさみ


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