2004年09月30日(木)
ナイトメア【わたしを殺さないで】


今、起き抜けでPCを立ち上げている。相当の寝ぼけ眼だ。タイピングもいつもの1/2以下の速度。
久々に、究極の悪夢を見たので、コレは記録しておかなければならないと思い、
軽い頭痛が残るものの、向き合う決心をした。


フィクションにしては重苦しくリアルすぎて、あたくしは頭痛だけではなく、発作を起こして目が覚めた。


では、その夢の全貌を書こう。


【転校生】
 どうやらあたくしは、この街から名古屋の高校へ転校したという設定のようだ。
 転校の挨拶はなかったものの、この学校は、生徒の出入りが激しく、特に転校生を紹介しない、
 そんなシステムになっているようだ。

 あたくしと同じ日に転校してきた、髪の長い少女がいた。
 彼女はおとなしそうだったが、非常に絵が巧く、転校初日の最初の授業であった美術でも、
 その異彩を放っていた。
 あたくしはその彼女に声をかけて仲良くなろうとした。ひとりは・・・・孤独で不安だ。

「どこから来たの?」

「北海道。」

「そんな遠いところから?」

「転校なんて・・・・そんなものじゃない?」

「うん・・・・。そうかもしれないね。私は隣の県から来ただけだけど、それでも転校が初めてだから
やっぱりちょっと不安で・・・・これから仲良くしてね。」


「・・・・私、あなたみたいな人と仲良くする気なんかない。
転校くらいで、不安になるような人と一緒にいても、生き抜いていけない。」


 夢の中で初めて「転校」という経験をしたあたくしは、右も左もわからない。
 ただ、同日に転入したこの彼女は名前を覚える前に、あたくしのことを弱虫だと受け容れなかった。

 ・・・・生き抜く?
 どういう意味なんだろう・・・・?

 不思議に思っている隙もなく、教室の中では既に定例となった、「いじめ」が始まっていた。
 男と女の境界も何もない、ただ、いじめられている子は決まってあたくしが知っている子だった。
 リアルの生活で、中学の同級生だったり、どこかで一緒になっている人ばかりだった。
 いじめている側の人間はほとんど知らない顔。
 ただ、何人かはあたくしが今までに出会った人のはずで、笑いながら残酷なことをしていた。


 そうか・・・・。生き抜くって、このサヴァイヴのことを言っていたのか。


 転校経験のないあたくしは、さっきの彼女の言葉を鵜呑みにして、なるべく目立たないようにして、
 美術の授業の課題であるデッサンに取り組むことにした。
 ただ、あたくしはこういうのが頗る苦手で、絵を描くにも一苦労なのだ。
 一方、先ほどの少女は、そんなにかなりの短時間で、凡そを仕上げようとしている。

 と、そこへ、美術の教科担任らしき男性教師が現れた。
 その男は、あたくしが丁度中学時代、最も毛嫌いし、逆にいじめぬいた教師にそっくりだった。
 名前も名乗らぬうちに、その教師は、あたくしともう一人の転校生に向かって、こう言った。

「前の学校から、デッサンや美術資料を持参するのが当たり前だろう!?」

 そんな「当然論」など、初めて聞いたので、あたくしももうひとりの転校生も、きょとんとした。
 つかつかと歩み寄るその教師に、まず捕まったのは、北海道から来たという少女だった。
 木のデッサンをさせられていたのだけれど、在校生たちはそんなに真面目に課題をこなしていない中
 彼女だけが、あと少しで完成というところまでいっていた。
 なのに、この教師が、彼女の絵を破り捨てたのだ。
 理由など、ない。(夢だから)

 周囲を見渡すと、見覚えのある少年が、紙をくしゃくしゃにされたり、画材を持ち逃げされたりと
 散々な目に遭っている。あたくしは丁度席が近かったので、何とか彼を救おうと必死になったのだけど
 多勢に無勢・・・・ようやく教室の隅に逃げ遂せて、そこで静かにデッサンをすることにした。

 そのすぐ傍では、新しい机と椅子が準備されている。また明日、転校生が来るのだという。

「こんなもんで、いいよね〜?」

「男なんでしょ、次のは? いいよ、いいよ、コレで。」


 準備に関っていたのは女子生徒で、彼女たちが用意した机と椅子を見ると、
 あたくしたちのものとは全然違う、簡易的で今にも壊れそうなものだった。

 あたくしのすぐ傍で、震えながらそれでも絵を描こうとしているのは、
 中学の時の同級生、タキヤマ君(仮名)だった。
 彼が描く絵は巧かった。なのにいじめられるなんて、信じられなかった。
 あたくしは見本となるモチーフを、彼のために必死に守り通したのだけど、
 結局、彼の絵も誰かに破り捨てられてしまった。

「転校初日から生意気じゃん。」

「さっきも、この椅子にケチつけたよね・・・・そんなに可哀想なら、コレ、今日からあんたが使えば?」



 他人を守っているヒマなどあろうか・・・・? 生き抜かなければ、いつかきっと殺される。
 タキヤマ君の姿は、1限目にして既にボロボロだった。
 そして、あたくしもとうとう、転校初日から目をつけられてしまった。



【食事のバトル】
 この高校は、弁当ではなく、完全配給制・・・・所謂、「給食」が昼食のメインのようだった。
 (夢なので、何とも思わないんだけど( ̄∇ ̄;))
 あたくしは先ほどの美術の授業で、かなり腰が引けてしまい、この食事も与えられるだけマシと
 とりあえず食べる物を食べて、教室を飛び出した。
 なぜなら、この他にも大勢いる「いじめられっ子」には、食べ物すら回ってこないのが
 現状のようだったからだ。

 廊下に出ると、とても懐かしい雰囲気がした。そうか・・・・中学の時の教室棟の廊下に似ているんだ。
 あたくしは、当時よく、駆け込み寺のように利用していた、階段向こうの教室に、同じように駆け込んだ。

 すると、見知った顔が温かく迎えてくれた。
 よかった・・・・ここにはいじめがないのかもしれない。
 そう思って、配膳状況を見ていると・・・・方や、きちんと全ての献立がそろい、
 方や、泣いて縋って、ようやくひとかけらのパンを床に放り投げられたのを貪り食う・・・・
 ここも似たような状況だった。愕然としたあたくしを、迎え入れてくれたのは、
 旧友:カズコと、あたくしのリアルでの初恋の人:シンだった。

 あたくしは、シンに掴みかかって抗議した。

「どうしてこんなことが許されるの!? シンは何とも思わないの!?
タキヤマ君だって、中学の時の同級生じゃない! どうして助けてあげられないの??」


「夕雅は何かされた?」

「・・・・まだ・・・・何も。」

「そうか、それならよかった。」


 シンは夢に出てくると必ず、あたくしをきちんと宥めてくれる、大人な存在だ。
 この日も、あたくしの頭を、ポンポンと撫でて落ち着かせてくれたのは、他ならぬ彼だった。
 カズコは夢の中でも、そしてリアルでも、あたくしの知る限りでは常に血気盛んで、
 勧善懲悪を地でいくような感じだったんだけど、この夢の中では少々不自由そうにしていた。

「逃げてきたの? 夕雅。」

「タキヤマ君にだけは、食事があたるように、1回キレたけど・・・・。」

「そうこなくっちゃ♪」


 あたくしの言葉を聞いて、シンカズコもニッコリと優しく笑った。

「何も怖がることはない。キミは自分の事をきちんと守れているじゃないか。
俺たちだってそうだよ・・・・自分で自分を守ることが何とか叶ったから、こうして食事も人並みだ。
洗礼は最初だけ・・・・気にするな。ここを潜り抜ければ、後はラクになれる。」


「夕雅、次は何の授業?」

「体育・・・・プールだったと思う。」

「トモと離れんじゃないよ。」

「え?」

「・・・・そうだな。利用できるところは利用した方がいい。」


 夢の中でだけしか、シンはあたくしのことを抱きしめてくれない。
 結局リアルでは、一度も叶わなかった、正に「夢」だ。
 プールでも何かが起こるというのか、厄介なところに来たな・・・・そう思いながら次の授業へと向かった。



【地獄のプール】
 まるで魔法がかかったように、シンカズコの言葉が本当になり、
 この授業から、設定は高校だというのに、中学の時の親友:トモくんが参加してきていた。
 トモくんも事情は飲み込めているようで、始終、あたくしの傍から離れなかった。
 状況はさっきの授業とまるで変わっていないけれど、あたくしは確実に「守られる側」に入れられ、
 もう、孤軍奮闘しなくてもいいと思ったら、水という、一番危険なものに包まれていながらも、
 なぜか安心できた。
 傍には、水泳の得意なトモくんがついていてくれるし、少なくとも、
 プールサイドの向こう側で、いじめの延長で沈められている子達よりは、マシなところにいられるだろう、
 そう考えていたのが甘かった。

「転校生、残れ!!」

 体育教師の一声で、ぞろぞろとプールから上がるクラスメイトたち。
 転校生・・・・といったら今日だけで2人のはずだったが、初の体育で転校生と呼ばれる生徒は
 8名もいた。
 男子生徒の一人が、いきなり教師に髪をつかまれて、プールに沈められた。
 25mのプールの他に、大きな50mプールがあるところなどが、いかにも高校っぽいんだけど。
 あたくしたち「転校生」は、その50mの大きなプールに残されて、ひたすら扱きの対象に遭った。
 1人1コース、ひたすら泳ぎ続ける。
 少しでも速度が落ちると、プールサイドから碁石か何か固くて鋭いものが飛んでくる。
 300m、500m・・・・だんだん、泳ぎが苦手でなくても疲れてくる。
 さっきの北海道から来た少女は、プールの丁度中央に浮いているではないか・・・・。
 誰も助けない。あのままだと死んでしまうかもしれないのに・・・・。

 あたくしは瞬間的に考えていた・・・・「あなたと仲良くしたいと思わない」
 そんなことを言われてまで、助けに行く必要なんかあるものか・・・・そう自分に言い聞かせて、
 黙々と泳ぎ続けた。
 だんだん、プールに浮かぶ人間の数が増えてきた。残りはあたくしともう1人。
 どちらも女子のようだ。
 そろそろ1500mくらいは泳いだだろうか・・・・遠泳なら3000m目安だからな、こんなところで
 音を上げたら、また別のところで何かされるに違いない。泳ぎきってやる、絶対に・・・・。
 1コースを泳ぐあたくしと、8コースを泳いでいるらしいもう1人。

 と、目をつけられたのはあたくしの方だった。

「速度を落とすな、しっかり泳げ!」

「この学校をナメるな!!」


 等々の罵声と一緒に、脚を竹刀で殴られたりした・・・・当然バランスが崩れ、溺れそうになる。
 昔見た、『人間・失格』とかいうドラマみたいだなぁ・・・・生徒も先生も一丸となって、
 誰かを徹底的にいじめるなんて・・・・今更もう、流行らないよ、センセー。
 そんなことを思いつつも、あたくしは何故だかわからないけれど、泳ぎ続けていた。
 自分でカウントしていたら、丁度2000m泳いだところで、教師が飛び込んできた。
 竹刀の先で体を突く。丁度鳩尾にそれが入って、急に呼吸が苦しくなる。
 こんな、落ちぶれた人間のすることに屈してなるものか・・・・あたくしは意地になって泳ぎ続ける。


 しかし、呼吸はどんどん苦しくなって、拍動もリアル・・・・ひいては水を飲み込んでしまうあの感覚まで
 夢だというのに、巧く再現しすぎなんだよ・・・・そのくらいに、現との境界線がよくわからない。




8:30・・・・発作と共に起床( ̄∇ ̄;)
頭の中はまだ気持ちが悪い。タイピングはいつもどおりの速度に戻ったけれど、
恐ろしいことに、この起きぬけの「ナイトメア」・・・・っつうか「モーニングメア」??(苦笑)には
本当に苦しめられた。

どうして今、いじめの被験者なのか。
どうして今、体罰なのか。
まるでアパルトヘイトのような高レベルな差別、しかし、物凄い臨場感があった。

夢で体験しただけなので、そのリアルさを、もっと刻銘にお伝えしたいのだけど、
如何せん「夢」なもんで・・・・すみません。


んで、この「ナイトメア」報告で何が言いたかったかっていうと、特に意味はないのだけど、
ここまで覚えていられるんだから、明晰夢とかいう可能性もあるから、文芸ジャンルということだし
記録しとこう!!というのが動機で、本当に大した意味はない。

今更、いじめがどうとか、体罰がどうとか、差別がどうとか、声高に叫んだところで、
心の貧しい人間はどうしてもそれに加担してしまうだろうし、人間というイキモノは、
自分と共通性のないものへは警戒心がとても高く、高等動物と呼んでいいものかどうかわからないくらいに
本能的なものなのだ。

夢の中であたくしを助けてくれたはずの人々も、自己防衛に走っていた。
いい、とか、悪い、とかじゃなくて、多分、それが自然な姿なのだろう。

↑コイツ、超ポジティブだな(笑)

悪夢も解釈1つで変わるもんでして・・・・(爆)。
嗚呼、今日も1日、無事に終わってくれますように・・・・。

あさみ


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