本日は、一日中、電話連絡業務に追われておりました。式場のレストラン、美容部、とある百貨店への問い合わせ、2次会に出席できそうか否かの友人への打診、2次会の会場を押さえてくれる友人とのメールのやりとり、果ては、サナエからも連絡があって、「祝いの品を用意するから、住所教えて♪」 とかいうのまで、朝から夕方まで忙しなかった(苦笑)。あづみはあと2週間ほどで第1子が誕生するみたいで、フゥフゥ言いつつも、元気そうだった。しかし、予定日が丁度うちらの挙式の1ヶ月前・・・・2次会にも出られるかどうか微妙なところみたい。何より体が大事! そして、新しく生まれてくるいのちのことも大事!!他人のコトブキより、自分のコトブキを優先せよってことで、あづみの出席が保留となった。昼寝はしたけれど、ちょっと頭がクラクラするかも(苦笑)。1日中、同じ事柄について考えていると、あたくしってばすぐに没頭しちゃって、そこで上手に切り替えが出来ればいいんだけど、いつの間にかそれが苦手になっちゃって・・・・。あづみとも話していたんだけど、昔は体力もあったけど、何より精神力の強さったら天井知らずで、受験を抱えつつ、いくつもの学校行事や他の習い事、部活や登下校には単純なる体力を必要としていてでも、そういうのも結構簡単にクリアしてきたけど、多分今は無理( ̄∇ ̄;)夏の日に外に出るだけで、ぶっ倒れそうなうちらは、紛いようもなく、雲ひとつない炎天下、真っ黒に日焼けして、野球のチアリーダーや、応援団の練習を日に何時間とこなして、あたくしなぞは加えて、夜まで部活をやって、そして真っ暗になった頃、ようやく家路に着いたのだった。そんな過去が、輝かしく思える・・・・本当にこの体がそんなふうに機能していたのかと思うと、今のこの如何ともしがたい状況が恨めしくもある( ̄∇ ̄;)そんなわけで、特別抜粋シリーズ第2弾。本日は「宵待ち草」をお送りいたします。この物語は、半分は実話、半分はフィクション。2つの本当の話をあたくしの都合のいいように合体させたら、巧い事、スジになったという異色の作品です(爆)。内容はライトなので、そんな肩肘張らずに、かっぱえびせんでも食べながらどうぞ♪2 赤染衛門やすらはで 寝なましものを さ夜ふけて かたぶくまでの 月を見しかな来るの? 来ないの? どっちなの?眠ってしまおうか、それとも・・・・迷っているうちに、月は西へと傾いた。平成の夜。とあるアパートの一室。女は一人、ぼんやりとしていた。 待つことができる人、できない人を決定づけるものって何だろう。元来持って生まれた性格、体質・・・・ひょっとして遺伝とか。もはやこれはDNAの配列でしか説明できないのではなかろうか。否、そんな小難しいことを持ち出すつもりもなくて。きっと、待つことの向き・不向きなんて、生理的に合う・合わないだけのことなのかも知れない。 午前1時30分。1本目の電話から40分。もうとっくに着いてもよさそうなのに。私は煙草の箱を空しさと一緒に握りつぶした。洗い髪はドライヤーをあててもいないのに、大方乾いてしまった。待っていなかったことを演出したかったのに、これでは折角の努力も台無しだ・・・・。 最寄りの駅からの終電は、上りも下りももう出てしまった。 TAXIで来るつもりなのかしら。きっと相当飲んでるだろうな。あの人、お金持ってるのかしら。・・・・私、手持ちあったっけ。1万、か。これだけあれば、新宿からなら何とか・・・・私、どうしてこんなに親切なんだろう。あ、そうだ。パジャマに着替えちゃおう。 今、寝るところだったのって言えば、待っていなかったことになるかもしれない。 15の時、「もう待つのはやめよう」と心に誓った。 鉛色した空から氷のように冷たい雨が落ちてきた冬の日、私は傘をさして、恋しい人を4時間半も待ちつづけた。もともと我慢強くもなければ、粘り強くもない。それなのにそんな悪条件の中、4時間半も人を待ったことは、私にとっては1つの快挙ともいえる。あと5分。あと5分したら帰ろう。この5分の間に来るかもしれないもの・・・・だからあと5分だけ。それを何回も何回も繰り返し、件の長さになったというわけ。待てど暮らせど、待ち人は姿を現さず、結局私は鉛色だった空がすっかり漆黒になるまで立ち尽くしていたのだ。 人を待つなんて、もうこれきりごめん。あれ以来ずっとそう思ってきたのに、心の中での近いなんて随分あっけない。パジャマに着替えてからも布団に入らずに、私は昔の淡い恋のことを思い出していた。 午前2時40分。2箱目の煙草が半分に減った。30分ほど前にまた電話が入っていた。――今、行くから。ごめんね・・・・ごめん。 私の予想に反して、彼はそんなに酔ってはいないようだった。私もそんなに眠くない。煙草のせいかも。頭が必要以上に冴えている。「今、どこにいるの?」――あぁ、今ね・・・・。 携帯電話を恨む。肝心なところを私に伝えないまま、電波は途絶えた。 仕方ない。 のかな。 でも口調はハッキリしていたし、ここにたどりついてからの介抱は必要ないらしいことだけはわかった。 私は出しておいた胃薬を元のところにしまった。 午前3時10分。 何もここに来なくても、都内なら他に泊めてくれそうな所くらいあるだろうに。私の倍くらいある彼の人脈、その内容は私の知らない女の子が半分以上を占めていることも私は知っている。男友達だって多いはず。 ため息をついた。 もう煙草も吸う気がしない。口の中が渇いて、さっきから立て続けにミネラルウォーターばかり飲んでいる。 そうだ、お酒。 棚にあの人の好きなEARY TIMESのボトルがあったはず。私は普段はあんまり飲まないけれど、気が向いた時にそこから少しずつ失敬していた。まだ半分くらいはあるみたい。私はいそいそとグラスと氷を用意して、ちょっと濃いめに水割りを作り、ちびちびとやり始めた。 ・・・・このお酒、こんなに美味しかったかしら。 グラスで1杯飲み干すと、煙草が欲しくなって、また1本吸った。もう1杯だけ飲もう。 あぁ、もうどうでもいいや。ここで寝てしまっても恨み言を言われる筋合いなんかないもの。バーボンの甘さってお菓子みたい・・・・あれ・・・・? 少し酔っぱらってきたのかな。 待つのをやめたのに、やめたはずなのに、どうやら今夜、私はまた保証のない人を待っていることになるらしい。 こんな思いをするくらいなら、電話なんか寄越さないでほしかったな。だって、「待ってて」と言われたら、待つしかないじゃない。 本当はこんなの嫌いなのに。 そう思ったら、だんだん腹が立ってきて、そうすると飲めもしないお酒がどんどん進む。今更来てみろ。タダじゃ済まさないんだから。 1杯目のより随分濃く作った3杯目。TVでは外人がフィットネスマシンの通販番組でオーバーリアクションまで安売りしていた。 3杯目の水割りを空けたところで、ドアホンが鳴った。午前3時40分。 私は本当に大儀そうに立ち上がり、ドアの鍵を開けてやる。と、そこには、びしょ濡れの男が照れ笑いを浮かべて立っていた。「やだ、雨が降ってたの・・・・?」――あぁ、ついさっきから。「こんな時間までどうしてたの? 大丈夫だったの?」――ん、実はね・・・・ 言い訳を聞きながら部屋に通してやる。バスタオルを渡し、タンスからスウェットを引っぱり出した。――起きてたんだ。「飲んでただけよ。」――ごめんね。 そう言って彼は、雨でふやけた箱を差し出した。――ここのヤツ、美味しいって俺の友達が言ってたからさ。 まったく、もう・・・・。罪の意識のない笑顔を前に、私はもう笑うしかなくて・・・・。 夕雅流みそひともじ夜明けまで待っていた私にあなたは「ごめん」とチーズケーキいかがでしたでしょうか?赤染衛門という女流歌人の歌を、忠実に物語にしたというのに、平安の世も平成の世も、「待つ身」の心細さや寂しさや、待たせる人間に対する小さな怒りなど、根底に流れているものはあんまり変わらないようで、平安女房たちは月を見ながら、来るか来ないかを待つのに対し、平成のオンナは、煙草を吸ってみたり、酒を飲んでみたり、テレビを見てみたり、電話の着信を待ったりと結構やることがあるのに気付かされます。最終的には、待ち人の持ってきた「チーズケーキ」に絆されてしまうわけですが、「待つ」というその行為自体は、平安も平成もなく、極々単純なことだったりもします。なので、あれこれ時間つぶしに主人公はバタバタと動きますが、風流を失わないにはどうしたらいいか?というのが、この物語の課題で、ここに赤を入れるとしたら、あたくしは相当の勇気が必要で、未だに直せずにいます(苦笑)。<ダメぢゃん( ̄∇ ̄;)前回の「オンナのいのち」と同じ号に掲載されました。よかったら目次を辿って、セットで見てみてね♪↑まぁ、小説なんてそんなもの(笑)実際に、そうは都合よく話は進まないもので、ずぶ濡れになってやってきたオトコを介抱した・・・・その経験はあるのですが・・・・といった具合で(苦笑)。そうそう。誕生日の日も待たされたのです(爆)。この日はさすがに、きちんとケーキとシャンパンを買って、遅れても急いでやってきてくれたんですがね。彼も今、どこでどうしているのやら。こんなふうに小説のネタにされているとは思わないだろうな( ̄ー ̄)ニヤリッ次回の予定は、お待たせしました、紫式部をモチーフに書いております。回を追うごとに、あんまり歌には忠実でなくなっていったこのシリーズなんですが、次回のヤツは相当忠実なつもりです。・・・・まぁ、小説の出来はおいといて( ̄∇ ̄;)↑おあと・・・・よろしくないような( ̄∇ ̄;)ではまた、明日。