本番が近づいているからかなぁ・・・・。 『いつもの』悪夢に魘される。 『いつもの』というのは、芝居の本番を迎える時にいつも見る夢・・・・ということ。
幕が上がる寸前だというのに、自分の衣裳だけなかったり・・・・ メイクが全然乗らなくて、凄くイライラしたり・・・・ 幕が上がってみたら、自分の配役とは全く違うせりふを言わなければならなかったり・・・・ そもそも、演目が摩り替わっていたり・・・・ 何でか、弾けないピアノを弾かされるハメになったり・・・・ 現場に大幅な勢いで遅刻したり・・・・
そんな、脂汗を伴う夢が次々にロードショー( ̄∇ ̄;) さすがのあたくしも、最近、体調が整ってきたとはいうものの、午前2時半に途中覚醒。 薬はこの時点でフルコース飲んでいたというのに、安定剤を追加投与しなくては どうにもならなくて、デパスとコンスタンを2錠ずつ飲んだ。 それでも、午前6時過ぎには完璧に覚醒してしまって、 その覚醒理由も、上に挙げた悪夢が原因だった。
が・・・・。 これら悪夢を、あたくしは恨んだりしない。 何故ならば、このような目に遭っているのは、 何もあたくしだけではないということを随分前に知らされたからだ。 すごく年上の、もうベテランといっていいくらいの先輩俳優さんや女優さんに、 この話をしたところ、
「俺もよく見るよ〜。」
「あたしも見る、見る〜♪」
といった返答が本当に多く返ってきたからだ。 コレによく似た症状で、よくあったのが、もう芝居がはねて定時に現場に入らなくてもよくなったのに 体内時計がそうはいかないのか、定時になるとバチッと目が覚めて、 無意識のうちに出かける支度をしていて、あっと気付いたら、そういやもう楽日ははねたんだった・・・・ とかいう人もいて、はりきって出かける格好をしていたのに、またパジャマに着替えて 二度寝した・・・・なぁんていう、図太いのかボケているのかよくわかんない人もいた(爆)。
つまるところ、とても神経を張り詰めさせた状態を持続させると、誰しもがこんなふうになる、 というのを、あたくしは正に現場で教えてもらい、今、変な悩みに狂わされなくて済んでいる。
今日は、久々にぷよ2と出かけてきた。 モールに行って、ぷよ2ママへのプレゼントを誂えるためだ。 彼はもうすぐ初任給というのを貰う。 それの一部で、お母様に何かプレゼントを・・・・というので付き合った。
予算が大幅に余ったので、あたくしは洋服を買ってもらえた。嬉しかった。 手に取ったGジャンはセールで1000円。ちゃんとしたブランドのもの。 元値は11000円もする・・・・( ̄∇ ̄;) お母様に買ったネックレスより、こっちの元値の方が高いじゃん・・・・でもまぁ、セールで1000円は 店もすげぇな・・・・なんて思っていたら
マジッすか???? 続けてお姉ちゃんはこう言った。
「よろしかったら、他の商品も見ていってくださいね〜♪」
あはははは・・・・( ̄∇ ̄;) それこそ、穴が開くほど見させて頂きました。 お腹いっぱいです(爆笑)。 っつうか、メーカー側の価格設定の基準が、一瞬、よくわかんなくなった。 でも、コレで助走がついたのか、あたくしはあと2着も服を買ってもらえた。 ありがたい、ありがたい・・・・( ̄人 ̄)ナムナム
それはそうと、本日の表題ですが・・・・。 今回、ミュージカルをやるにあたって、昔、ロンドンのオンブロードで観た作品のパンフを探すのに 我が部屋の「秘境」をごそごそやっている時に、丁度、クィーンズ・シアターで見た 「PRISONER」というミュージカルのパンフを発見してしまったので、 そのことについて書こうと思ってたんだった。
コレの主演が、リリィ。ファミリーネームその他、詳細たるプロフィールは一切不明。 男性なのか女性なのかもわからない(爆)。 ただ、劇場でリリィに対しての讃美の拍手や歌は、そのリピーターの多さを裏付けていて こんなの、日本なんかで見たことがない!!と圧倒されたのをよく覚えている。
初めての海外旅行で、単独行動に近いことをしたんだけど、 丁度、同じ部屋に泊まることになった女の子と、行き当たりバッタリでレスタースクエアに行き、 その日のハーフチケット(ソワレ分)を物色していたところ、コレが面白そうだ・・・・ってんで、 何の期待もせずに、とりあえずクィーンズ・シアターに行ってみたのだった。 端っことはいえ前から4列目という、かなりいい席を押さえられたのだけど、 何が凄かったかって、オーディエンスの熱狂振り。 まだ1ベルが鳴っていないのに、2階席から大合唱が聞こえてくる。 誰が指揮を採ったわけでもないのに、やんややんやとしている中、一際目立つこの合唱団・・・・ やがて、我々はその熱狂の正体を知ることになるのだが・・・・。
あたくしはビックリした。 リリィ・・・・という役者は、性別も不明、年齢も不詳、パンフに「SHE」とか「HE」とか書いてあれば まだ、正体もハッキリするんだけど、全ての記述が「Lily is・・・・」みたいなふうになっていて、 ホント、コイツは一体何者なんだ!? と度肝を抜かれたのだ。
しかも、面白すぎるキャラクター・・・・(爆)。 英語がわからないあたくしも、この芝居(ミュージカル)をみて、大爆笑してきた。 会場はもっと沸いていて、リリィが登場する度にわぁっ!!という声がするのである。
ホテルに帰ってきて、このクィーンズ・シアターでの出来事を他の部屋の子たちに話した。 あんまり芝居を絶賛しないあたくしが、結構興奮気味に話すので、皆、ほうほうと聞いてくれた。
「とにかく、わけわかんないんだけど、絶対ツボにハマるからっ!!」
早速、興味を示した子が出てきて、今度はその子が翌日、同じ劇場を訪れることになった。 で、翌朝。 ビュッフェから戻ってきて、今日はどこを散策しようかと、何となくテレビをつけたら、 何とそこには、愛犬を抱いたリリィがっっ!!!! 普通のニュース番組に、平然とした顔をして出てるよ、この人!!!! こんなに場違いなのに、すっげぇな・・・・(-。-) ぼそっ 早速、この夜、クィーンズ・シアターに行くと言っていた男の子を呼んできて、 「コレがリリィだ!!」 と説明した。っていうか、見てもらわないことには、どんな人物なのかハッキリしないところ、 丁度いいタイミングでテレビに出ていてくれたので、引っ張ってきたのだ。 その男の子は、リリィを見るなりまず大爆笑し、コレは是非自分だけではなく 他の連中にも宣伝した方が良さそうだな・・・・とばかりに、各部屋をあたっていた。
「PRISONER」は、オンブロードとはいえB級だ。 「CAT’S」や「PHANTOM」、「レ・ミゼ」とは毛色が全然違う。 コメディで、固定ファンも大衆的。 だからこそ、すっごく面白くて、とっても楽しめたんだなぁと、あたくしは今でも、 リリィが「Water・・・・Water・・・・」と、拷問室で叫んでいるシーンを克明に思い出しちゃうのだ(笑)。 B級なんだけど、愛されている。一流ではないけれど、熱狂的なファンがいる。 あたくしは、ここで、演劇の三大要素のひとつ「観客」の重みを知った。
大きな舞台でなくても、有名な場所でなくても、また、役者本人がそんなに稼げてなくても、 愛されるべき、慕われるべき存在って凄い・・・・全て観客がリリィを支えていて、 厳かなオンブロードのキャパとは違い、まるでコンサートのように気軽に大声で リリィの名を叫ぶ観客たちが、大きく見えたのだった。
きちんと英語を理解できないあたくしを笑わせたのだから、リリィは凄い。 「笑い」に国境はないというが、リリィはそれを実践している。 言語を超えた何かが、そこにはあった。 リリィが愛される「理由」かもしれない。
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