小学校の頃、バレーボールをやっていた。 この頃、既に、小学生の世界ではリベロ制が導入されていた。
昨今の世界大会。 小さな小さな選手が、どんなボールも取りこぼさないように、レシーバーとして大活躍している。 どの国の選手にも思うのだが・・・・素直に、すごいなぁ、と思う。
そして、今回のワールドカップの日本の正セッター、竹下。 あたくしよりも身長が低い。5cmくらい。 でも、彼女のプレイを見ていると、本当に感心させられる。 普通のセッターにはもぐりこめないような隙間にきちんと入り込んで、 確実なトスを何本も上げて、それをアタッカーに叩かせている。 彼女はリベロではないので、バックに下がるとすぐにベンチに戻ってくるが、 あんな、巨人の犇くネット際。 彼女のポジションが前へとローテーションすると、必ず彼女はそこに戻る。 三枚のブロックが叶わないというのに、彼女はただ「打たせる」ための最強兵器なのだ。
今のチームになる前に、三雲というすごいリベロがいた。 彼女は恐ろしい執念で以って、どんなボールも獲り続けていた。 ビックリするくらいによく動く。 勿論、身長はそれほど高くないが、彼女は客席に突っ込まん勢いで、 コートの外にこぼれたボールにも果敢に喰らいついていっていた。
今大会、中国が強い、強い、と言われているが、 その所以は、やっぱお国柄にあると思う。 中国のプレイを見ていて、まるで三雲がバックに3人くらいいて、 アタッカーに在りし日の佐藤伊知子が両サイドにいて、セッターに中田久美・・・・という 構図が思い浮かんだ。三雲は少し時代が違うが、佐藤や中田が頑張っていた時、 あの強い中国とも、日本はいい勝負をしていた。郎平というとんでもない選手が中国にいて、 彼女を切り崩す術を、世界の選手たちが躍起になって探っていたのだ。
その中国のプレイを見ていて、ひょっとしたら日本は勝てるんじゃないか?・・・・と思った。 多分、相性は悪くないはずだ。
リベロ制が導入されて、小さな小さな日本人が大活躍している。 「適材適所」・・・・そんなことばが頭をよぎる。
清々しいんだ。自分のことではないのだけど。 昔、どうしてもレギュラーになれなかったあたくし。 ピンチサーバーとして、何とかチームに勝機を齎せるようにと、 あたくしに、左利きにしかできない狙い目をピンポイントで襲う、ドライブサーブを仕込んでくれた コーチのことを思い出した。 丁度、今の日本チームの吉原が打つような形のサーブだ。 ネットに引っかかると、それでサービスオーバーの時代だったので、 ネットの際スレスレを狙い、バックポジションの選手の肩を抜いたら、ストンと落ちる、 魔法のようなサーブを教えてくれた人がいた。
あたくしは結局レギュラーにはなれなかったものの、 ここぞという時に、サービスエースを3本ばかり決めて、ベンチに帰ってくる選手にはなれた。 不動のリベロよりも、多分、こちらの方があたくしには、お似合い。 左利きだったがために見出すことができた、あたくしの居場所だった。
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