| 2003年10月16日(木)
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サミットのないしょ話 |
中学の頃の話。 ・・・・などと書くと、またあの「洗脳教育推進」についてかよぉ・・・・とお思いの方がいるといけないので 昨日よりは少し目線を上げて、学年のサミット的集まりの中でのことを少し話したいと思います。
3年にもなると、クラス、学年の統括だけでは収まりがつかず、とうとう学校全ての統括にも駆り出される。 まぁ所謂、生徒会執行部であったり、それに準ずる専門委員会がそれにあたる。 加えて、各クラスの学年連絡会というのがあり、コレは各クラスの学級会長・副会長総勢10名で 組織されたもので、専門委員会並みの権限と組織力を持っていた。(というか、持たされていた)
我々は、物凄く窮屈な監視下の中、3年になる頃には、その中で如何に楽しむか・・・・ みたいなものも見出そうとしていた。 あたくしだけが、優等生のジレンマで悩んでいたわけではなく、ここに出てくる女の子たちは皆、 それぞれに様々な悩みを抱えていつつも、いつも強い立場で全てを統率する役割を担っていたので、 うつを開いて話せる相手にも恵まれずに、イライラしているのが現状でもあったのだ。
そんなサミットたちの悩みなど、他のクラスメイトたちは知る由もなく、 かといって、弱さを見せつつも、統率し続けることができるかというと、そこまで甘くもなく、 丁度いい「友達」というのは、なかなか出来ないのであった。 2年も終わりがけ、3年が卒業しきった後は、随分、開放された感じがした。 と、いうのも、サミットに集まるメンバーが格段に増えたからである。 今までは、生徒会執行部のほんの少しと、学年連絡会、専門委員長だって学年に1人か2人の状況で 仲間がいない。 しかも、その仲間の中に心を開いて話を出来る人間がいるとも限らない。 選択肢の少ない中、よくもまぁ、生活が出来ていたものだと、今更ながらに感心する。
やっと3年になり、横のつながりが頑丈なものになると、運営そのものよりも 議会後の寄り合いが楽しくなってきて、よくそこで話し込んだりもしたものだ。(本末転倒) 生徒会室なんて、用事がなけりゃ入れそうもない場所なのに、まるで勝手知ったる他人の家、 先生が見回りに来るまではそこでどうでもいい話をしていた。
うちの中学には当時、以下の専門委員会があり、専門委員長は生徒議会にも参加してきていた。
生活委員会 わりと、優等生がこなす花形ポジション。 朝のあいさつ運動に始まり、とりあえず他校でいう「風紀委員」みたいな役割だった。 前期はトモくんが、後期は野球部のキャプテンがやっていた。 うちの弟も、歴任したと言っていた。偉い、偉い。
文化委員会 こっちは女子の花形ポジション。 うちの学校は合唱が頗る盛んだったため、それを盛り上げ維持していくこと、 その他、文化的行事活動の総指揮はこの委員長に委ねられている。 やりたがっている子は多数いたのだが、(実はあたくしもやりたかったのだが) あまりの競争率の高さと、トップ当選間違いナシの人物がいたため、サァ〜っと引いていった。
体育委員会 これは、男子限定の花形ポジション。あたくしのことを唯一呼び捨てにし、 後に執行部入りしたヨシが前期の委員長を務めていた。 うちの学校には奇妙な逸話があって、前期に体育委員長をやった男子は必ずモテるようになる という、胡散臭いものではあるのだけれど、あたくしの在学中、確かにその現象に間違いはなかった。 美化委員会 響きの良さから、文化委員の次に花形のこのポジション。 役割は、校内美化の推進やそれに準ずることだったりするのだけど、 後期の委員長は何でか男子生徒だった。
給食委員会 ある意味で、異様に人気のあったこの委員長。 委員長の仕事としては、主に各クラスの残飯の確認、それの通達が毎日の日課。 給食当番の服装チェックなどである。 あたくしの友人は、先生にとりあえず「何かやりたい委員長はないか?」と訊ねられ、 だったら絶対に給食委員長をやらせてください!! と、猛アピールしたものの、 蓋を開けてみると、3年のクラス発表の時点で、学級副会長をやる人間がいないことが判明し、 結局給食委員長も遠のいていったというイタイ思い出だけが残った。
JRC委員会 あたくしの中では「偽善者委員会」(爆)。小学校の頃からどうも好きになれなかった・・・・個人的に。 各施設の慰問であったり、ベルマークその他を集めて車椅子を寄贈、等々 まぁよく言えば、学校の中のボランティア団体。
図書委員会 あたくしのダブルスのパートナーが無類の読書好きで、この委員長の座も、満場一致、 不動の座として彼女が年間勤めた。図書室の本の状況、管理をやらせたらコイツの右に出る者など うちの学年にはいなかったので、司書も兼任する国語教師からも絶大な信望を集めていた。 新聞委員会 あんまりすることがないので、2年生が委員長を務めていた。 オマケに、各クラス1名のみの選出だったので、委員会自体が地味。
保健委員会 女子の母性本能を開花させる花形委員。女子のみで構成されていた 特殊な委員会。これも各クラス1名のみの選出で、緊急事態の時にしか出動しないので 活動としては地味であったが、クラスの中の頼れるお世話係みたいなもの。 かわいいが地味目で大人しく、押しの強くない子達の集まりであった。
交通委員会 これも、存在感が薄いというか、活動内容からして生活委員に追われているフシも否めなかった 地味な委員会であるため、委員長は2年生が務めていた。 交通委員会が責任を問われている場面に一度も遭遇したことがない(爆)
放送委員会 双子の兄・シンが前期委員長を、そして、その弟が後期委員長を務めていた。 各クラス、男女を問わないが1名ずつ選出し、小規模で活動をしている。 実質、放送室を自由に出入りし、機材を自由に使えるのは彼らだけで、 何か大きな集会があると、彼らにオペレーターという重要な仕事が回り、 加えて、昼の放送での放送当番は何気に美味しい仕事だったりするので、結構人気があった。 ちなみに、夏の放送室は死ぬほど暑いため、あたくしは呼ばれてもあんまり行きたくなかったのだけど シンに個人的な用事を頼まれると、やっぱり嫌とは言えないのだった(笑)。
と、単純計算9名が3年のサミットチームに入ってくる。 生徒会執行部6名のうち3年は4名。プラス学年連絡会が10名。 ラクになったよ・・・・とりあえずは23名の間で、何らかの形で責任の擦り付け合いができるのだから(爆) それまで12〜14名しかいなかった上、活動場所も限られていた中、 生徒会室がほぼ一般開放の状態になり、寄り合いが出来るようになったというだけで、 肩の荷が2つも3つも降りる。
あたくしには専門委員長の打診がない代わりに、学級副会長をせよ!という ほぼ命令に近い通達が同時期に出されていた。
「えぇ〜? たまには文化委員長とかそういうのやりたい・・・・(-。-) ぼそっ」
「口外無用じゃ!! とにかく、始業式の日にクラス全体を見渡して、絶対に挙手するように。」
「( ̄∇ ̄;)」
学年副主任の先生に、印刷室で仕事を手伝っている際に、こっそりと釘を刺され、 文句ひとつ言えないまま、新学期を迎え、新しいクラスメートの面々を見渡して そして、愕然とする。 先日、登場した大沼(女子)は、あたくしが選挙管理委員長を務めた執行部選挙で 既に生徒会長就任が決まっており、Cちゃんは無言のプレスでどの委員にも属さないように 配慮がなされた後だった・・・・他には・・・・いないのであった( ̄∇ ̄;)
後日談だが、町田も実は同じ先生からあたくしと同じように釘を刺されていたらしい。 見渡せど、トモくんは既に生活委員長としての襲名を受けていたので、逃げ場がなかった。
・・・・謀られた!! と思った時は既に遅く、あたくしに至っては、学級副会長4期連続・・・・( ̄∇ ̄;) いい加減、別の仕事もやらせてよ・・・・みたいな感もあったが、学年連絡会の権限が強かった我が校は そっちに人材を集中させ、半期の解任後の処理も巧くいくようにクラスが組閣され、 前期を終えると、まるで入れ違いのようにあたくしが執行部へ行くと、大沼が学級副会長に、 そして、生活委員長を解任されたトモくんが学級会長を、というふうに スライド式でサミットたちは流動していたのである。
そんな我々のクラスに、思いもよらぬ事件が起こる。 学級会長の町田が、転校するというのである。 折りしも、前期の行事が集中的に行なわれる準備段階で、ここでクラスの要が抜けるのは、 非常事態に近いのであった。 無論、一番焦ったのはこのあたくしである。 専門委員会に所属した人間は、学級会長に就任できない。 クラスの半分に当たる人間が、専門委員会に何らかの形で所属している中、 町田の後継者を探すのは至難の業であった。 彼が転校した後、すぐに持たれた学級会では、波乱に波乱を呼んで、 結局、クニという男の子が就任を受諾してくれた。
クニは特別に目立つ子ではなかったけれど、 決して出来ない子ではなかった。 ただ、いきなり舞い込んできた町田の後継、しかも未経験の学級会長という大役に かなりビビっている様子ではあった。
「クニ! しっかりして! 議会なんて、話を聞いていればすぐに終わってくんだから。 何かあったら、あたしが後ろからメモ回すから、それを読めばいいからね!」
「う・・・・うん。」
「大丈夫??」
「だ・・・・だいじょぶ・・・・だと思う。」
「( ̄∇ ̄;)」
あ・・・・あかん・・・・( ̄∇ ̄;) 慣れない環境で完全にガチガチになってる。 彼が町田の後継になることを受諾する条件はとりあえず、副会長であるあたくしが、 クラス運営に関しては采配を取って、体裁を整えるために議会と学年連絡会にだけ出てくれればいい、 と、こういう流れで了承を得たのだ。 学年連絡会は、まだ見知った顔ばかりなのでいいが、議会となると1〜3年の連絡会に 専門委員長各位、生徒会執行部が顔を揃えるので、緊張するその気持ちはわかるが、 一応、クラスの「顔」なので、自信がなくとも威風堂々としていてもらわなければ困る。
彼にとっての初回の議会が終わると、それこそ逃げるようにクニは退散していった。 あ〜ぁ・・・・ここらへんから面白くなるのに。
議会が散会して、1、2年生もほぼ生徒会室から出て行くと、そこは3年のサミットの社交場となる。 この頃、丁度修学旅行も終わった頃で、だんだんと恋の話が出てくるようになった。 あたくしの気持ちを知っている、執行部のカズコは早速探りを入れてきた。
「その後、どうよ?」
「どうって・・・・。あ、それより写真、手に入りそう?」
「それとなく注文しといたから、安心しぃよ♪」
カズコはシンと同じクラスな上、班も同じだったので、 修学旅行の行動は全て一緒だったのだ。 学年連絡会の中でも、修学旅行に関しては色々と係が決め与えられ、 各クラス、各班の総合統括として、色々と動かなければならないところ、 あたくしはあえて、「写真」の係を選んだ。前もって、カズコが流してくれていた情報で シンがクラスの写真管理をすることになったと聞いていたからだ。
と、そこへ、給食委員長のミッコ。
「夕雅さん、●●君の写真、何とか手に入らんかなぁ。」
「ミッコは彼と同じクラスでしょうが。どうにかならんのかぁ?」
「ダメやったん?」
「他の班の写真、注文なんかできへんもん。」
「ネガ番、控えた??」
「写真は見たんだけど・・・・ネガ番は見ることさえも( ̄∇ ̄;)」
「多分・・・・ムリ。あたしもカズコにわざわざ誤魔化して頼んでもらったんだもん。」
「大体、おかしいよね〜? 何で他のクラスの子たちの写真を注文しちゃダメなのよ。 他の班の子のヤツだって、注文すると検閲が入るなんてどうかしてるわ。」
「うぅ・・・・カズコがシンと同じ班であったことを心から感謝するよ(涙)」
各班、カメラは1個のみ持参可。現像処理、焼き増し注文は全て学校内で済ませること。
まぁ、規則だらけのこの学校。このくらいのことは覚悟してましたわ。
でも、でもねっ!!
この規則が、却って、嬉しい事件を起こしてくれたりもするものなんだ。 現像が上がってきたのを、各クラスごとに分けて、ネガ番号を振り、 クラスに下ろす、そして注文番号が上がってきたのを確認して、ネガに数字を書き込む・・・・ この七面倒臭い作業を、土曜の午後、写真担当の人間がやるのだけれど、 七面倒臭いからこそ、一緒にいられる時間も長くなる( ̄¬ ̄*)♪♪
あたくしはその責任者。クラスから上がってきた写真係の代表者(5名)が黙々と作業をする中、 突然、シンが逃げ出した。
追いかけ、捕まえ、引き摺り戻す(爆)。
・・・・というのを作業中に4〜5回やった(爆笑)。
「もう、お願いだからちゃんと仕事してよ。」
「お願いだから、そろそろ帰らせて♪」
たったコレだけのやりとりが、どれだけ幸せだったことか。 顔は怒っているが、心の中では踊りださんばかりの勢いなのである。
そんなこんながあって、ある日。 あたくしは土曜の午後、久々に部活がないものだから、既に帰り支度をして昇降口にいるところを シンに呼び止められた。
「丁度いいの、見〜っけ♪」
「丁度いいとは何ですかっっヽ(`⌒´メ)ノ」
「今、ヒマ?」
「帰るとこやけど・・・・。」
「だったら、放送室までつきあって♪」
「何なわけ?」
「部活紹介のVの演出頼めん??」
「演出くらいやったらいいけど・・・・」
「じゃあ、来て、来て。」
放送室に入って数十分。あたくしは見事に謀られたことに気がついた。
「嫌ぁ〜〜っっ!!」
「いいじゃん、ちょっと出るだけ。」
「ただでさえ忙しいのに、お願いだから放送委員会の仕事をこっちに回さないでちょうだい!!」
「・・・・ケチ(-。-) ぼそっ」
「ケチで結構( ̄^ ̄) 帰る〜!!」
「じゃあ、内緒でお茶をご馳走してあげよう♪」
彼は部活用に持参してきた麦茶をちょこっと分けてくれた。 夏の放送室は頗る暑い。 お言葉に甘えて、頂くことにする。
「ところでさぁ・・・・」
「ん・・・・?」
「身の危険とか、感じません? 個室なんですけど。」
「( ̄∇ ̄;)・・・・あのねぇ。」
サミットはサミットで、ないしょ話が多いものである。 そして、その権限を許されるところまで利用して、自分の仕事を全うする人種なのである。 あの時、あなたがあたくしの気持ちに気付いていて、そういうことを言ったのならば、 あたくしはもっと早くに、「恋の告白」を決意していたかも。
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