まだあげそめしまへがみの・・・・
なんていう感じだったかも。あたくしの初恋は。 シン(仮名)は1月15日生まれで、あたくしが彼に恋をしている時、 彼の誕生日はまだ「成人式」という祝日にあたり、学校で彼の顔を見ることはできなかった。
シンは双子で、その日が明けて学校へ行くと、 彼と瓜二つの弟と同じクラスだったので、彼の顔を見るより先に、 同じ日に、1つ年を重ねた弟の方と顔をあわせてしまうのであった( ̄∇ ̄;)
本当は、笑顔で「おめでとう」って言いたかったのに、3年越しの恋も その言葉が1度も出ないまま、終わってしまった。
バレンタイン・デーも、恐るべし思い出しか残っていない。 うちの中学は、恐ろしく規則に煩い学校だったのだけど、 常軌を逸する規則・・・・不文律・・・・も多々あった。 その1つが、バレンタイン・デーに纏わる、規則なのである。
学校内に学業に無関係なものを持ち込んだ場合は即没収・・・・。 ここまでは納得できる。 あたくしも、紛いなりにも優等生だったから、そのくらいは常識の範囲内として 受け止める覚悟もできていた。 しかし、これがバレンタイン・デーのチョコレートとなると、事は一転する。
学校内にチョコレートを持ち込んだわけではなく、 個人的に勇気を出して、家まで渡しに行った子達の話によると・・・・ なんと、自分たちは呼び出し対象にはならなかったのに、渡した相手の男の子が 何でか教師側にリストとして情報が渡っていて、 学年集会の後に、名前を読み上げられ、広い体育館にその男の子たちだけが残され、
「チョコレートをもらったくらいで、のぼせあがってるんじゃない!!」
と、訓告されるのである( ̄∇ ̄;) この事実はすぐに学年中に広まり、 翌年から、恐ろしくて、女の子たちも自分の好きな男の子にチョコレートすら 渡すことができなくなってしまったのである。 自分の好きな男の子が、自分の渡したチョコレートのことが原因で 呼び出され、居残りさせられ、叱られるなんて、見るのも怖い。 そんなわけで、あの時期の女の子たちは逆に萎縮し、男の子たちも張り合いがないのか つまらなさそうに見えた。
あたくしは、シンにそんな思いをさせたくなくて、 1度もチョコレートを渡せずに終わっていった。 この不文律の噂は、先輩たちからも聞かされていたので、 あたくしはとりあえず予防線を張って、渡すのを最初から諦めていたのである。
本当は、渡したくて渡したくてたまらなかったくせに・・・・。 彼が呼び出しをくらうことで、あたくしのことを嫌いになってしまったら・・・・ それもすごく怖かった。 でも、それが初恋の憶病さというのならそうなのかもしれないけれど(苦笑)。
あたくしは優等生という立場上、職員室を普通に出入りする回数が他の生徒よりも 格段に多かった。 そして、その成果として、先生たちの間でどのような情報交換をしているのか そのネットワーク体系というのも垣間見てしまったのである。 授業と授業の合間の休み時間、あいつら(先生たち)は休んでなんかいなかったのである。 女の子たちが小声で噂をする、恋の話を、彼らはそれこそプロのスパイのように 上手に盗み聞いては、ターゲットを絞り込み、 呼び出し対象の生徒を的確にリストアップしているのであった。 この連携プレイにあたくしは背筋が凍り、 絶対に先生には見つかってはならないのだと、本格的な秘密として、 自分の初恋を守ることにした。
うちの中学は、もっと特殊な集会があった。 「女子集会」である。 1年から3年までの女子全員が、全校集会が終わった後に全員残され、 男子全てを教室に返してから、その集会は始められる。 内容は・・・・ �“鰻拭�服装にまつわること。 �∪験菎崚戮砲泙弔錣襪海函� �C暴�交際にまつわること。 エトセトラ、エトセトラ・・・・。 どうして男子がいてはいけないのか? という疑問もあったが、 その疑問はすぐに解消された。 「女子がしっかりしていないと、校風が乱れるのだ。」 「部活をするのに、その髪は長すぎる。すぐに切ってこい。」 「女子がだらしないと、男子もそうなる!」 理不尽なことなのだが、出る前に芽を摘むこの行為は、確かに的を得ている。 しかも、男子の前では彼らの自尊心を明らかに侵害してしまう為、 このような形での集会がもたれたのだと思われる。卑怯な集会だ。 特に、男女交際にまつわるくだりでは、先生もピリピリとしていて、 もう、ほとんど脅しに近いような訓告をされてしまうのである。
あたくしは呆れてモノも言えなかったが、とりあえず、その訓告内容から 漏れないような位置を死守することを決めて、初恋のこともめったやたらに 他人に相談することなく、なるべくなら封印を決め込む方針を立てた。
だけど、あたくしが3年になった時、すでにこの「女子集会」も風化を来たし、 何となく動きやすくなったな・・・・と、勘違いしたのが15才の子供の甘さだった。
告白を・・・・したのである。
返事は意外にもOKだった。 あたくしはこの日からバラ色の人生を送るはずだった・・・・のに。 急に生徒会の仕事は増えるし、個人的に色々なやりとりをするのも、 執行部のメンバーばかりになってしまった。 オマケに、シンと話をする機会はめっきり減り、 別の男の子(ヨシオ(仮名))との事務的やりとりが増えてしまったのである。 しかも、厄介なことに、あたくしはヨシオに告白をされ、 事もあろうに、ファーストキスまで奪われてしまったのである( ̄∇ ̄;) ヨシオは当時、とても人気のある男の子で、 野球部のエースだった上、前期は体育委員長。そして、後期は生徒会執行部という 女の子たちには憧れの的だったのである。 これが、事を俄然ややこしくしたとも言える。
嗚呼。 明らかに、あたくしの手落ちでした。 あたくしは当時、親友と疑わなかった子に相談をしたのだけど、 それが逆に彼女の神経を逆撫でしたのか、どんどん関係がギスギスしていき あっという間に、あたくしはクラスから孤立してしまい、 それはいじめへと変化していった。 それだけならまだ良かったが、どこからどう漏れたのか、ヨシオとのキスの一件が 何と、シンの耳にまで入ってしまっていて、 あたくしは、ただ一人信じていた彼(シン)にまで別離宣告をされて、 正に灰色の生活を余儀なくされた。
こうなると、もう相談相手は執行部のメンバーしかいない。 すると、もう時は既に遅く、執行部のメンバーが個人的に繋がっていることまでもが 職員室では専らのターゲットにされて、男子メンバーには既に訓告。 あたくしを好きだとのたまい、ファーストキスまで奪っていったヨシオも あたくしから離れていった。 部活は引退してしまったし、クラスにも、執行部にも、あたくしの居場所はなく、 困り果ててしまった。 執行部の女の子は、同じ穴のムジナだったので「傷のなめあい」みたいな感じで 唯一、普通に口を利くことができた相手だったけれど、 あたくしは二度とシンに近づくことができなくなってしまった。 その女の子も、当時、つきあっている人がいるみたいだったが、 やっぱり別れ話が持ち上がり「参ったわ・・・。」みたいなことを言っていた。 でも、彼女は恋多きオンナというか、それがまるで「いつものこと」みたいに とらえているようにあたくしには見えた。 あたくしは、初めての恋をこんなふうにめちゃくちゃにされて、 次に、一体誰を好きになればいいんだろう・・・・と途方にくれていたのに。
それから数年間、シンのことは決して忘れなかった。 それから、あたくしのことを好きだといって、唇を奪っていったヨシオのことも。 忘れようにも、インパクトが強すぎて、忘れられなかったのである。 今でも、忘れられない。 彼らのことを嫌いになど、なれない・・・・。
あたくしが初めて本当に好きになった人と、 あたくしに初めて「好きだ」と言ってくれた人。
忘れられない。
中学を卒業して、あとちょっとで14年。 シンとは、高校時代に1度だけ街ですれ違っただけ。 彼の双子の弟と見間違わなかった、あたくしの動物的なカンはすごいと思う。 その時、あたくしの隣には、ステディがいて、話をすることはかなわなかった。
昨年の同窓会で、ヨシオとは少しだけ話しをすることができた。 恋人はいないと言っていた。 そんな話をしていたら、彼の周りには、その当時から彼のことを落とそうと必死になっていた オンナたち(独身)(爆)が一瞬にして群がって、 あたくしたちの会話はそこで絶たれた。 あたくしは、中学の頃よりもずっと垢抜けて、見た目にも俄然、変化を来した。 当時よりも更に痩せたし、化粧も巧くなった。 憶病な保守的優等生を脱却して、スリルのあることを選んでやるような性格になっていたし、 何人ものオトコたちを通過した。 思い出の少年も、あたくしと同じように年をとっていたが、 あたくしは、少なくとも彼よりも輝いているように、自分でも思えた。 当時は「あたしなんか・・・・」「男の子が振り向いてくれるような女じゃない・・・」 そんなことばかり考えていたというのに、 この傲慢ともとれる自信は一体どこから湧いてくるのやら(爆)。
あの同窓会で、ヨシオのことを囲んで、必死に自分をアピールしている 未だ独身を貫き通しているオンナたちの、脳みそカラッポっぽいあの行動は 既に15才のそれとは完全に性質を違えているのだけれど、 孤軍奮闘を強いられ、 彼女たちの一挙手一投足を嫌というほど観察してきたあたくしにしてみれば やっていることは、15歳当時と本質はほとんど変わっていない(爆)。
それは28のオンナがやると、バカっぽくて見苦しい。 懐かしさに事欠いて、それっぽく言い寄るだなんて、今時、昼ドラでもありえない。 ナンセンスだと思うのだ。 あたくしは、彼が今、どんな暮らしをしていて、どれだけ幸せかというのを 確かめたかったのだ。 恋人がいるならいるでいい。子供がいるならいるでいい。 幸せそうに微笑んで、それをそれとなく話してくれるような男性になってくれていることを ちょっと期待していただけなのだ。 トモダチにそういう、粋なオトコを加えたいあたくしのささやかな欲望は 本当にささやかすぎると思うのだが、許されないことだとでもいうのだろうか。
まぁ、彼が粋だかどうかはさておき、それを確認する前に あんなアホオンナたちに邪魔されたとなると、溜飲を下げるのにも時間がかかる(笑)。
ヨシオは、そんな彼女たちのアピール合戦に少し引いているようだったが、 自分の口から「イヤだ。」とは決して言わなかった。
このオトコは、あたくしには不釣合い。
つまらない。
あのオンナたちもつまらないけど、このオトコも。 独身で仕事熱心なのはいいけどさ、人生を本当に満喫しているんだろうか・・・・? あんなレベルのオンナと一緒にされたくもなし。 そして、あの程度のオトコのことを忘れなかったあたくしってば 結構、お人好しよね(爆)。 シンの誕生日は今でも覚えていても全然不覚ではないが、 ヨシオの誕生日まで覚えているなんて・・・・
ピンクの服はやだな(爆笑)。
冬になると、こうした思い出が頭を駆け巡る。 10年以上前より、素敵になれたことをかみ締めて、優越感に浸るのも またいいもんだ。
結婚もしないとかできないとか以前に、独身であることをアピールするような バカなオンナになっていないことも、確認できるからいいもんだ(爆)。 やっぱり、あぁいうバカオンナたちと住む世界が違ってホントに良かった。
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