『ガールズ・ライフ』〜花鳥風月 をとめの事情〜 の原稿がWEBページでやっと揃えられました。近日中にアップロードして、4話一挙に大公開したいと思います♪今日はその作業で疲れてしまったので(笑)、あとがきとして書いた「命名よもやま話」 をそのまま日記に転載します。これも、シリーズと一緒のページに後日改めて載せるので、おヒマな人は、後日改めて読んでね♪このシリーズ(4作)には、それぞれ、主となる4人の少女が登場しますが、彼女たちに名前を付ける段になって、感触のよい「四字熟語」はないものか・・・・と熟慮した結果、この「花鳥風月」という言葉が選ばれちゃって、実は最初から彼女たちに名前がついていたわけではないのです(あはは♪)。更に言うなら、実際4人分もネタがなくて「花鳥風月」にしたはいいけれど、さて、どうしたものかと、『雑』に「花世の場合」を送ってしまってから、「うがぁ〜〜〜っっ! しまったぁ〜〜っっ!」 と後悔したのですわ(笑)。「花鳥風月」にしたら後には引けない。4人分、作らにゃならぬ・・・・。こんなことなら、「雪月花」にしときゃよかったよ・・・・(トホホ)と嘆いても後の祭り。そんなこんなで、ぐわっと悩んだ挙句、渾身の一撃で「月子」を仕上げてシリーズも完結したわけでして。言い訳はこのくらいにして、本題に入りましょう。第1話の「花世」ですが、これはしっかりとした原作(プロットかな)があり、そこでの名前は「英理」(エリ)でした。彼女を「花世」に改名すると、シリーズとして書いたもの(原作)が他にいくつかあったので、後が続くな・・・・とタカをくくっていたのですわ。第2話の「千鳥」は、本当に締め切りギリギリまで名前がありませんでした。そのわりにはあたくしの頭の中できちんとした個性を持った少女が出来上がっていたので、コイツにだけは何とかいい名前を・・・・と思っていたのです。2稿目くらいまでは「千鶴」(チヅル)でいこうと、半分「鳥」の字を使うのを諦めていたのですが、やっぱり「花鳥風月」と決めたからには、絶対に「鳥」を名前を入れなきゃな!というあたくしの頑固な一存で、「千鶴」はあっさり却下され、原稿提出の時には少し不本意だったけれども「千鳥」という名前に変えてしまいました。でもこれが案外しっくりきて、嗚呼やっぱりこいつの名前は「チドリ」でないとダメだなと思うようになるのは、正に親心(笑)。第3話の「風美」と第4話の「月子」は、ネタがないのに名前だけが決まっていた少女です。すると不思議なことに、「風美」にはネタの神様でも降りてきたのか、すらすらすら〜っとあっという間にプロットが立ち上がり、あっという間に原稿になり、大した手直しもしないまま『雑』に掲載という運びになって、作者であるあたくしが一番驚いていました。一番あたくしを手こずらせたのは「月子」で、ネタがないまま名前だけが存在して「何てこの子は不憫なんだろう。」と作者が同情してしまう始末。シリーズ完結編をコイツに任せて大丈夫だろうか・・・・と半ば不安でもあり(苦笑)。しかし完結してみれば、彼女が一番普遍的で、本題である「ガールズ・ライフ」 をきちんとまっとうしてくれた子というふうに解釈できないこともない。ともあれ、あたくしも納得できるし、釈然としない点も拭い去れるんじゃないでしょうか。さて。日本人の名前・・・・特にファーストネームですが、最近の若い親御さんたちはかなり凝った名前を付けてらっしゃるようですね。男の子にしろ女の子にしろ、ある種感心してしまうような旨い字を充てて、音を表現するという技巧的な命名術が目立っているように思います。実際、名前に使用する漢字にはそれぞれ意味の他に「音」もあって、これがしっくり来るか来ないかでその子の人生も決まってしまうようです。ちょっと前までは画数を重視した命名が台頭していましたが、ここ数年、明らかに目立ってきているのは、「音」の陰陽を意識した命名術の方です。物語に登場した4人の名前をもう一度、漢字と共に思い浮かべてみてください。「花世」を「ハナヨ」とせずに「カヨ」としたのは、見た目とその裏側のギャップが欲しかったので、敢えて硬い音であるカ行を優先させました。お嬢様という設定は崩したくなかったので、淑やかで知識にも長けた、「花魁」を彷彿とさせる「花」は絶対で、「世」も「代」ではダメだったのです。彼女には昼と夜の顔が全く別で、しかも「花の世界」に生きる少女であってほしかったのです。「千鳥」は中間音ばかりです。しかも、納まりが悪いです(笑)。どうしてそういうふうに感じるのかというと、たった3文字しかない名前の音の母音が、高いところから低いところに移りきや、またもとの高い位置に戻ってくるという「バタバタ」感がそうさせているのです。そして「千鳥足」などという言葉に倣う奔放な雰囲気でなくてはならないと思いました。だから「千鶴」(チヅル)が却下されたのです。「ヅ」と「ル」はウ段の連携になってしまうのでそれだけで適当に納まってしまうのです。音の「バタバタ」さ加減が彼女そのものを表現できたので、最終的にあたくしも納得できたのだと思います。「風美」は存在設定が既にふわふわした感じがします。名前が先だったのであのようなキャラクターになったとも言えます。全て軟音。彼女に硬い感じの音(カ行とかタ行とか濁音とか)は似合いません。「風のように美しく」という意味もついてまわりますが、所詮、風の美しさというものは彼女のように、いつ、どこへ行ってしまうかわからないような儚げな感じを表現します。だから彼女はあのような結末に向かったのだと思います。というか、あの名前を持った時点で、結末はほぼ風任せだったということです。「月子」の本名は「月姫子」。最初は「月妃子」になるはずだったのですが、「妃」という字は「キ」とは読まず「ヒ」と読むことを漢和辞典で知り(爆)あえなく断念しました。漢字の音には忠実でありたいと思ったからです。でも、何となく後者の方が文字の見た目の感触はいいと思いませんか?だからわざわざ本文中でも彼女の本当の名前を「月姫子」と書く回数を減らしました。彼女のイメージに合わないからです。硬い音で固めたのは、彼女が他の人にはない能力(記憶)を持っているという一つの芯が欲しかったからで、そのへんの由来は、「カヨ」あたりと同じです。と、このように実際、あたくしが小説や物語に出てくる人物に名前を付ける時は、ほぼ8割方がインスピレーションで、まず「音」から入って、そのキャラクターに見合った漢字を執筆する中で探し当てることの方が多いです。あたくしを診ていてくれる主治医に「キャラクターの独り歩き」について説明すると、「それは才能だ!」と賞賛されましたが、そんな非科学的な問題ではなくて、現実、名前の「音」がその本人の行動や性格を左右することの方が多いとあたくしは思っています。だからあたくしの書く物語の人間たちは結構早い時期から「独り歩き」を始めて、あたくしはまるで自動筆記でもやらされている一つの機械みたいなものに過ぎません。「命名」という一番大事な創作をしたら最後、キャラクターたちは自由を手に入れ、あたくしはただそれを見守る役目をするのです。見張りがいないと、何をしでかすかわからないからな・・・・ヤツらは(苦笑)。いくらフィクションだからといって、やって良いことと悪いことくらいは、名付け親が教えてやらねばなりません。もし、自分に子供が生まれたら、一体どんな名前を付けるのでしょうか・・・・。あの4人の名前はもう使えません。彼女たちは、それぞれ自由と個性を手に入れてしまっているので、あたくしの頭の中で実の子とフィクションの子が混同するようなことになったら困ります(笑)。女の子が生まれたら、柔らかい音を。男の子が生まれたら、硬い音を。それぞれが、それぞれの道を歩んでいくための大事な「呼び名」を与えたいと思っています。↑如何せん、周囲の子と字がかぶる(爆)↑先人がブレイクしすぎた( ̄∇ ̄;)小説のように、現実は上手くいかないものである(爆)。