2002年02月06日(水)
花鳥風月 をとめの事情

 ・・・・というサブタイトルで、4本の短編を書いている。
 メインタイトルは「ガールズライフ」
 つまり、「少女たちの日常生活」ということ。


 一口に「少女」といっても、大体どこらあたり(年齢的に)で線引きをしたものか
 まずそれがわからなかった。
 あと・・・・「青春時代」っていつからいつまで? ということ。
 その個人によって、「青春」なんてモノはまちまちだし、
 大体いつ始まっていつ終わったなどと、その個人ですら自ら断定することは難しい。
 あたくしがそうであるように。


 本日。
 ダンスを休んだ。
 理由は、微熱が高熱になりかけていたから。
 他にもあるけど・・・・ちょっと考えたかったんだ。色々と。
 そして、「ガールズライフ」の最終章、「月」のプロットを上げた。
 先日、トキオに示唆された「孤独」というキーワードは無視である(笑)。
 無視したつもりだったけれど、ひょっとしたら原稿を立ち上げる段になって
 「月」の主人公「月子」も孤独になっているかもしれない。


 「花」の主人公、花世(カヨ)。
 生まれも育ちも誰に憚ることのない生粋のお嬢様で、ちゃんと友達も作ってやった。
 だが、その姿を見て「孤独」と示唆した男がいる。トキオだ。


 「鳥」の主人公、千鳥(チドリ)。
 15才にして、1度世を渡りきってしまったかのような価値観を持たせた。
 故に、その姿を見て「孤独」と示唆した男がいる。トキオだ。


 「風」の主人公、風美(フミ)。
 絶命を試みるが何の因果か、叶わず存命。病室で死ぬことも生きることもやめた少女。
 これを「孤独」と示唆するのは容易だが、
 多分トキオは彼女を水準にあとの2人も捉えていたかもしれない。


 「風美」を作った時点で、恐ろしく完結したふうに見えた「ガールズライフ」
 しかし、最初に「花鳥風月」と謳っているからには、
 「月」を出さないわけにもいかない。
 と、ここしばらく、名前だけは決まっていた「月子」を
 如何なる少女に仕立て上げるかで、頭を悩ませていた。


 そういえば、この短編に出てくる少女たちの名前は、本当にあっさりと
 そのわりには美しく決まっていったな・・・・と思った。
 花鳥風月・・・・と謳うだけのことはあった。
 昨今、「子」のつく名前が減っているから、
 絶対に「子」のつく名前を1個は入れようと最初から決めていて、
 それは、最終章の「月子」がいいとそれだけはかなり初期段階に決定していた。
 悩んだのは、「鳥」で
 いっそのこと「チヅル」とか別の鳥(メデタ系)で代用しようかと思っていた矢先に
 プロットが出来上がり、別の鳥を使うより、「鳥」そのものを使った方が
 野性味もあってよろしいと判断し、「千鳥」となった。
 「花世」「風美」は、頭の中に出来上がっていた名前だ。
 この2人がいたので、件のサブタイトルをつけようと考えたくらいだから。


 実は、「花世」の下りは、原作があってそこでの名前は「英理」(エリ)だった。
 この原作は、あたくしが大学時代に書いたもので、
 それこそ今回のように、何人かの少女たちの生活を綴って、
 どっかの公募か大賞に応募しようとしていたモチーフだった。
 「英理」に対する思い入れは結構強くて、シリーズの1本目を飾るに相応しい
 少女だと自負すらしていた。
 そうしたら、その矢先に、「黒磯で中学生が校内で先生を刺した」などという
 あたくしにとっては個人的にもんすごいショッキングな事件が起きた。
 あたくしはいつも、小説はフィクションを意識して書くようにしている。
 あたくしが「英理」という少女を通してぶったてたフィクションが、
 ニュースとなって報道されているこの現実。・・・・悪夢である。
 それ以来、「英理」の原稿は無論、お蔵入りである。
 現実に起こりそうなんだけど、起こり得ないギリギリのライン・・・・
 あたくしはフィクションというものにそういう危うい美学を求めていたので、
 「中学生が校内で先生を刺した」というあり得そうで無さそうな1つのモチーフは
 またとない素晴らしい素材であったはずなのに・・・・。
 タイミングを逃がすと、こういう素材は一気に鮮度を失う。
 買い手も読み手も、現実とそれ以外の線引きに関してはシビアで、
 あたくしのように稚拙な描写力では、
 鮮度を失った素材を唸らせる料理に仕上げることができないので、
 自然と原稿も行き場を失う・・・・( ̄∇ ̄;)


 あたくしはいつもそれで、随分と悔しい思いをしてきた。
 小学3年生の時に書いた物語も、
 構想は「セーラームーン」とほとんど変わらなかったのに、
 小学3年生という年齢が邪魔をして、発表するには至らなかった。
 まず、出版そのものの構造がわかっていなかったし、
 何せ素材・・・・女の子たち変身してが力を合わせて戦う・・・・これが時流に
 合っていないというのもあった。
 後年、「セーラームーン」が登場し、華々しくヒットを遂げて1時代を築いた時、
 あたくしが唖然としたのは言うまでもない。
 あたくしがあと数年早く生まれていて、
 今と同じように変身ヒーローものに夢中になっていれば、
 かなり稼げていたかもしれないのである(ひがみも半分あるけど)(笑)。


 時流をつかめない・・・・これはモノカキにとっては致命的な弱点である。
 その弱点が9歳の時点で表出していたのだから世話がない。


 ダンスを休んでまで考えていた内容というのは、正にそれだ。
 踊ることはあたくしにとって大切なことで、楽しいことには違いないのだけど、
 それよりももっと大切で、かつ切実な問題と対峙していると、
 楽しいものを追求して逃避することが、罪なことのようにも思えてくる。


 まぁ、とにかく平和的終章「月子の場合」のプロットが上がったので
 この際、何も言及すべきことなどないが。
 このシリーズは、またそのうち、うちのHPでも発表します。
 まだ第3章「風美の場合」が本誌で刊行されていないので、
 随分先になるとは思いますけど・・・・。
 その前に、「平成夕雅流小倉百人一首日常考」の残りを
 早くアップしてしまわなければなりません。
 あれも、完結したわけではないので、またシリーズ続行するのも可能だけど
 とりあえず、今まで「雑」で刊行した分はのっけます、近いうちに。


 日常を・・・・それも、ハイティーンの少女たちを追うのは、
 結構楽しい。
 ただ、当世の事情にきちんと即しているかというと、必ずしもそうではない。
 あたくしの物語に登場する少女たちは、身に纏うアイテムを重要視されていない。
 あたくしの中では、ミニスカートもルーズソックスもはいていない。
 逆に、それらの描写をあえてしないことで、リカちゃんやバービーみたいに
 読者が脳みその中で、それぞれうまく着替えさせてくれたらありがたい。
 そのかわり、精神的には常に丸裸的な描写をする。
 これは・・・・あたくしが勝手に信心していることなのかもしれないけれど、
 今も、そしてあたくしが少女だった頃も、それよりも前の時代も、
 彼女たちをとりまくものたちはあまり変わっていないだろうと推測されるからだ。
 恋や、友情や、家庭や、学校。
 その中で、少女たちがどんなふうに振舞うのか。
 身に纏うコスチュームは変わっても、大正浪漫の匂い馨しい
 純粋な恋をする子もいる。
 「不良」と呼ばれる素行の子もいる。
 まぁ、例えいないとしても、
 あたくしの書いているものは、常にフィクションなので
 基本的に何でもアリなんです。


 昨今、急に生活環境が変わっていって、
 このあたくしですらPCを操る時代・・・・。


 あたくしが温めている作品で、源氏物語並みに長い原稿があるのですが、
 (5年がかりくらいで書いていて、しかも未完)
 その環境の変化に対応し切れなくて、奇妙な時代考証が必要になってきた。
 ポケベルが必要だったり、パソコンがワープロ程度の機能しかなかったり・・・・。


 時代考証・・・・。
 あたくしは現代ものを書いていたハズだったのに・・・・(トホホ)





あさみ


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