2012年03月21日(水) |
『種まく旅人〜みのりの茶〜』 |
東京のアパレルメーカーのデザイナーをクビになったみのり(田中麗奈)は、有機緑茶農家の祖父・修造(柄本明)を訪ねて大分県臼杵市にやって来た。 祖父の家で、全国各地の農家を回って作業を手伝う金次郎(陣内孝則)に出会う。 “金ちゃん”の愛称で呼ばれ、地元の人たちと酒を酌み交わす金次郎は、実は農林水産省の官房企画官。 しかし、畑と役所では別人のように振る舞っているため、両方の顔を知っているものは誰もいなかった。 そんな時、修造が突然の病に倒れ、仕事をリストラされたばかりのみのりが代わりに畑仕事をする羽目に。 市役所農政課に務める青年・卓司(吉沢悠)から有機栽培の奥深さを教わりながら、くる日もくる日もお茶の葉と向き合うみのり。 自然の厳しさや慣れない田舎の風習にも、何度も挫けそうになる。 飲んだ人を幸せにするみのりのお茶はできるのか。。。
全く話題になっていない作品なので、レポを書いたところで誰も興味がないかもしれませんが…。
お茶どころに住む者としては、題材がとても興味深く、珍しく相方と一緒に見に行って来ました。
みのりは最初から祖父の家に遊びに来たわけではなく、初めは、農業カフェを営む友人の香苗(中村ゆり)に会いにやって来ます。
今まで、華やかなアパレル業界で働いていたのに、突然リストラされて、「会社の駒」という気分もあったんだろうね。
雑誌にも取り上げられる香苗のカフェを羨ましく思って、上辺だけを見て「いいなー、いいなー」と言う姿は、まだ、お茶畑の「お」の字も知らない正直な姿でした。
祖父のアクシデントから、突如、お茶畑の作業を始めることになったみのり。
草取り1つしたことがない素人が急に畑仕事なんてつとまるはずがないのはわかっている。 こんな上手い話があるわけがないのもわかっているけど、お茶っ葉のドギュメンタリー映像じゃないから、長靴姿で畑に埋まる田中麗奈は頑張っていて好感がもてた。
畑の作業と平行して、市が推奨する栽培方法と、修造が信念を持っている有機栽培に関することも描かれています。
当たり前だけど、自然相手の仕事は何がどう起こるかわからない。 陽も照れば雨も降る。 暑い日もあれば寒い日もある。 農業は、日々、この自然や天候と向き合いながらの仕事だと思う。
劇中、この辺りのエピソードも挟まれているけれど、もう少し深刻さを出すと、見ている観客にもより深く伝わってきたんじゃないかなぁ。 その辺がもうひと押しあれば良かったかも。
今の世の中、パソコンを1つクリックすれば、どこに居ても何でも取り寄せられる時代。
食の安全が叫ばれ、震災以降、第一次産業の被害を目の当たりにしている今、お米粒1つ、お茶っ葉1枚の向こう側には、「これを育ててくれている人がいるんだ」という当たり前の事を、改めて感じられる作品だったと思う。
私の住む街には、お茶畑がいっぱいあるので、見慣れた景色だったけど、やっぱり緑はいいね。
これから新茶の季節に向かい、美味しい緑茶をいただけるのがますます楽しみ♪
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