地質学者のトム(ジム・ブロードベント)と、医学カウンセラーのジェリー(ルース・シーン)は誰もがうらやむおしどり夫婦。 30歳になる弁護士の息子(オリヴァー・モルトマン)にはステキな彼女ができ、私生活は非常に充実していた。 ある晩、ジェリーは同僚メアリー( レスリー・マンヴィル)を夕食に招待するが、彼女は酔ってしまい自分には男運がないと愚痴って。。。
原題は『Another year』 トム&ジェリー夫婦と、その家族や友人達の1年を追った作品。
派手な演出があるわけでもなく、あっと驚くエピソードがあるわけでもなく、どちらかというと「地味」な物語。
仕事をして、市民菜園で野菜を育て、堅実に暮らすトム&ジェリー夫妻の日々の様子を、「春・夏・秋・冬」と季節の訪れと共に描いています。
学者と医療関係の仕事をしている夫妻、そして息子の職業は弁護士と聞けば、私の勝手なイメージでは、アッパー層のカテゴリーに入るんだけど、劇中の夫妻の様子を見ると、いわゆる「お金持ち」オーラは全くといっていいほどない。
ステキなおうちがあって、お庭があって、ボルボ(だったと思う)に乗っている姿は、それだけで十分にアッパー層なのかもしれないけど、トム&ジェリーの人柄や暮らしぶりからは、そういう雰囲気は全然感じなくて、きっと皆から慕われて信頼されている2人なんだなぁというのが凄く伝わってきます。
物語が進んでいくと、主役はトム&ジェリーではなく、メアリーということに気付く。
もし自分がメアリーなら、彼女の悩みや孤独や苦悩は本当によく分かる。
さほど個性がないトム&ジェリーのキャラクターより、メアリーの立場になって見ている人はきっと多いんじゃないかなぁ?
「幸せ」や「豊かさ」の価値観は、他人が決めるものではないけど、自分でも、その物差しがよく分からなくなってくるメアリーの様子も凄くよく理解できる。
人間、誰だって「隣の芝は青く見える」けど、どこで「これでいいか」と線を引けばいいか、バランスは大切なんだなぁと思わされた。
いろいろと不幸の多いメアリーに同情もするけど、力になれることとなれないことってあるんだよね…どうしても。
この辺りのメアリーの気持ちも、メアリー以外の人の気持ちも、非常によく分かる展開と俳優の演技が素晴らしかった!
メアリーを演じたレスリー・マンヴィルはいくつも賞をとったそうだけど、うん、納得! すっばらしい演技でした。
ラストシーンも切なかったなぁ…。
なかなかの作品でした。
今日も会員になっている小さな映画館で鑑賞。
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