2006年11月15日(水) |
『ウィンター・ソング』 |
雪の降る夜、上海の街を走るバスの中で天使はつぶやいた。 「人はみな人生の主役。私はカットされたシーンを戻すためにここに来た」。 街では、映画の撮影が始まろうとしていた。 香港から来た俳優、見東(金城武)は、主演女優、孫納(ジョウ・シュン)とかつて愛し合っていたが、女優としての野心から二人は別れた。 見東は孫納への思いが断ち切れず、この映画に出演したのだった。。。
映画監督を夢見るしがない学生と、スターを夢見る貧しい女の子。 2人が出会い、恋に落ち、愛し合い、そして別れ、、、10年後、トップスターになった2人は、恋愛映画で共演。 と、、、ストーリーそのものが“映画みたいな”映画でした。
現実と劇中劇と常にシンクロしていくところが、また魅力的。 ミュージカル好きな私は、音楽やダンスシーンも楽しめました。 パッと見、『ムーランルージュ』のように映るけど、もっと哀愁漂う感じで(劇中劇の華やかなミュージカルとは対照的に)実際は、北京の寒々とした景色の方が印象的です。
恋愛の「別れ」って、2人が同時に完結する事はないと思う。 「別れたい側」と「別れたくない側」と、単純に区別できない。
若い頃は、なんにでもなれると夢を追うし、目の前の恋愛か夢かをじっくり考えるより、瞬間で判断して走り出してしまう時もあるでしょう。 「別れたい側」が悪人で、「別れたくない側」が善人とは言えない。 「完結できない恋愛」が、冷たい北京の景色に凄くマッチしていて、切なさをより強くしていました。
主人公3人の演技も歌も見事だったし、楽曲やダンスも良かったけど、ヒロインの感情の動きをもう少し掘り下げてくれたらなぁ…。
1つのお鍋を2人で啜り合っていた北京時代〜トップスター〜ミュージカル劇中劇と、色々なシーンが登場するので、なかなか感情を深く掘り下げるところまでは表現できなかったのかもしれないけど、ジョウ・シュンの、貧乏女の子とトップスターになってからの対比が良かっただけに、残念です。
ジョウ・シュンちゃんは、『お針子』の時に比べるとグッとオトナっぽくなった感じね。 金城くんは相変わらず超かっこよかった〜。 あと、ホンの脇役で『インファナル・アフェア』のエリック・ツァンが出てました。
悲恋モノを好む私は、ストーリーも良かったけど、とにかく凍りつく冷たい北京の景色が凄く印象的でした。
金城くんのセリフにも「北京を忘れないで」ってあったけど、タイトルは、『ウィンター・ソング』ではなく、『Beijing』の方が良かったんじゃないかなぁ?
♪BGM〜『Nat King Cole At The Moveis』
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■感想予告■(映画見済・感想暫待) 『椿山課長の7日間』
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