垂頭喪氣
 人前で泣き出すのを必死で堪えて自分の心を抉る映像を見續けるのは非常に辛い。僕にはとても辛い。

 いつも母の事を想ふ度に「ごめんなさい」といふ言葉で胸が一杯になる。
 「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい…」、そして「眞面目に生きなきや。眞面目に勉強しなくては。眞面目に。眞面目に。眞面目に…」そればかりを心に溢れさせ、僕は他に思考が及ぶ前に逃げる。
 考へても考へても僕が償い切れる事は無く、考へるだけでは何も償えずに無意味に終わつてしまふから。
 思考の迷路に嵌まり込んでぐるゝゝと堂々巡りをする前に僕にはすべき事が澤山あるのだから。

 だが、今日見た映像は僕に逃避を許さなかつた。
 あの時、僕が正直に母に話していたら如何なつたのだらう。僕は少しでも彼女の望む方向に進めたのでは無かつただらうか。
 あの時期に僕がまう少し眞面目に生きていたら、母はもつと喜んでくれただらうか。
 あの頃の僕の決定は全て母を苦しめる結果しか齎さなかつたのではなかろうか。

 考へても仕方無い。
 今の僕に出來る事は既知の失敗を繰り返さずに前に進む事だ。
2003年10月21日(火)
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