露惡趣味
 偶に僕は自分の血族に關する事など是迄の人生で關わった出來事を他人に話す事がある。
 其れは例えば僕の叔父が爲した惡行についてであったり、僕が幼い頃に爲した行爲であったり、僕の母に關する話だったり、僕を「友達」だと云っていた女性の所業だったりする。
 大抵の場合、僕が相手にそういう話をするのは相手がしている話を遮る爲だ。
 相手が話すよりも重くて救い樣の無い話をして、相手の話を其れ以上聽かない樣にする爲だ。

 僕が露惡趣味を顯にすると相手と僕との距離は遠ざかる。二度と僕の望まぬ類いの話をしなくなる人が多い。
 それまでの樣に表面上だけのあっさりした關係に戻っていくのだ。顏を見たら挨拶をして、偶に一緒に食事をとる程度で特に生活の苦しみを語る事の無い表面的な友人關係に。

 自分の過去がフラッシュ・バックする樣な類いの話は聽きたくない。
 徒に其れだけの理由で今日も僕は作り笑顏で知人に話をした。乾いた笑い聲をあげながら。
2003年10月10日(金)
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